ライナー曇らせ?…いや、曇らせお兄さまだ!   作:栗鼠

40 / 116
いつもお気に入りや評価、感想等ありがとナス!

キシベのアニメをガン決まりして見ていた週末。ドラマ楽しみ過ぎて吐きそう。アニメも進撃と同時期で死にそう。というかもう一年終わることにトびそう。


ザンコクな悪魔のThese(テーゼ)

 戦わなければ死に、戦えども相手を殺さなければ死ぬ。

 奪い奪われ、築かれる死体の山。血と肉の上で成り立つ世界の有様に、人は何を思うのか。

 

 これにジーク・イェーガーならば、歴史の最たる悪であるエルディア人の“死”によって、世界に救いを求めんとする。

 

 アウラ・イェーガーならば、兄ジーク以外は何の価値もない有象無象と捉える。ただし誰よりも()()()()()彼女は、血と肉で築かれる世界に並々ならぬエクスタシーを見出すのだ。

 

 

 ではエレン・イェーガーなら、血肉に塗れた世界はどう映るのか。

 

 残酷で、しかし美しいと思うのだろうか。大きな翡翠の瞳は、彼に世界を生々と伝える。

 

 

 力を持たぬ友───アルミンが、いじめっ子たちに虐められていた様子を。

 刃物でミカサを傷つけた強盗犯の肉を捌いた瞬間を。

 超大型巨人によって壁が壊れる瞬間を。

 カルラが巨人に食われる瞬間を。

 訓練兵時代、三年間苦しみ共に過ごした仲間たちの姿を。

 トロスト区でまた超大型が出現し、壁が壊された瞬間を。

 訓練兵の仲間が次々と死んでいった瞬間を。

 巨人に食われんとするアルミンの姿を。

 それを助けた後に見た巨人の赤い内臓の色と、息絶えたバラバラの兵士たちの死体を────。

 

 そして目覚めた、巨人の力。

 

 

 

(姉さん)

 

 

 少年の最も古い記憶。幼い彼の手を握り、ニコニコを通り越して、デレデレとした顔でエレンと遊んでいた姉の姿。

 

 優しい姉だ。

 いつもエレンに笑いかけ、彼が泣いた時でも微笑み、少年をあやす。

 

 そんな姉を嫌いになるなど、できるはずもない。両親からも愛され、近所でも評判だった少女。

 

 だが転機が起こった、地下室での一件。エレンは“死”を望む姉の姿を見た。今まで彼が見たことのなかった、アウラ・イェーガーの()()の一面。姉の心が脆いことを知った少年は、彼女を守れるくらい強くなろうと考えた。

 

 しかして回復した姉はすぐに調査兵団を目指し、弟の元からいなくなる。その三年間で少年は「寂しい」という気持ちと、思春期に苛まれながら成長した。

 

 

 そして訓練兵を卒業し、成績九位で調査兵団入りした姉。

 

 元々調査兵団を目指していた少年にとって、活躍する姉の姿は羨望そのもの。もちろん調査兵団が壁外から帰還する度、母と共にアウラの姿があるかどうかを、毎回確認していた。カルラも心配していたが、エレンもまた同じように不安を抱いていたのである。

 

 だが姉はいつも帰って来て、カルラとエレンに近づき「ただいま」と告げた。

 

 

 今でこそエレンも、「ただいま」の側になってしまったが。いや、そもそも「お帰り」と言ってくれる場所がなくなってしまった。

 

 そんな中起こった、ウォール・マリア陥落。

 

 カルラの死の直後、母を救えなかったアウラが見せた()()の一面。死を望み進んだ姿に、どれほど少年の胸中は苦しめられただろうか。

 

 この一連の一件が無力な己を強く自覚する、エレン・イェーガーの転換点であったのは間違いない。

 

 

 絶望した少年。果てのない憎悪を燻らせていた、彼の元に届いた吉報。姉が生きていた、という内容だ。

 

 姉と再会した時、エレンは人生で一番“姉を求める弟”になった。泣いて泣いて、泣き続けた。もう二度とどこにも行くな──と。そして、強くなることを誓って。

 

 

 

 

 

 そうして進み続けたエレンは知った。

 

 アウラ・イェーガーが右翼索敵にいたことを。女型と巨人の群れによって、全体の中でも最も大打撃を負った場所であり、「壊滅」と知らされた場所だった。

 

 

 目の前が真っ黒くなった瞬間少年が浮かべたのは怒りでも、悲しみでもない。笑いの表情。

 

 おかしかったのだ。おかしくて、笑うしかなかった。

 

 おかしい、力を持ったはずの少年は、何も出来なかった。姉を守ろうと誓いながら、みすみす死なせてしまった。その事実が頭の中でグツグツと煮え出し、そこから生まれたのは殺意。

 

 殺してやろうと考える。どんな方法で、どれだけ苦痛を与えて殺してやろうか考える。

 

 

 この時、己を嘲笑っていたエレンの笑みは意味を変えた。心の底から、姉の命を奪った物体を殺すことへの狂い笑い。その狂気の所以は長く共に過ごしたことで伝播した、アウラのものであるのか。もしくは元々エレンが兼ね備えている、狂気の一端であるのかもしれない。

 

 まぁ言うまでもなく、この姉弟が人を壊す狂気を持っているのは確実である。

 

 

 

 それからペトラたちの制止の言葉も頭に入らず、巨人化したエレン。その勢いに巻き込まれ、近くにいたリヴァイ班の面々は吹き飛ばされた。

 

 幸いケガを負ったものの、死傷には至っていない(ただし、リヴァイの負傷原因は異なる)。

 

 そして戦い始めたエレンと女型。場所は罠設置に利用された、森の開けた場所。

 

 両者巨人であれど、中身は人間。行われるのは対人格闘そのものであり、繰り出される怪獣大乱闘な様に、並の兵士は近づくことすら敵わない状況。

 

 エルヴィンの命令はこの間女型からエレンを守るものから、一時待機へと変わった。リヴァイも同様である。団長の意図として、女型が罠を避けてしまった現状。女型を疲労させることが最優先だと判断した。

 

 ゆえにエレンvs女型の「ファイッ!」が許されたのだ。

 

 

 予想外であったのは、ミカサ・アッカーマンの乱入。いや、彼女のエレンに対する執着具合から鑑みて、来る可能性があるとは考えられた。問題なのは彼女の乱入後起こったこと。

 

 エルヴィンの見立てでは、エレンの勝機は薄かった。女型の対人格闘技術は異常なまでに優れている。拳が振り出されればそれを寸前で躱し、エレンの足をはらい顔面に拳を叩きつける。一方的な攻撃にエレンは攻めあぐねていた。

 

 最終的に女型がうなじを狙うことを理解していたゆえ、エルヴィンは必ず生まれるその隙を狙い、リヴァイを当てようと画策した。これは女型が戦闘中見せた、硬質化の力を踏まえた上でだ。

 

 硬質化する際、女型には一瞬の動きの静止時間ができる。即ちそれは硬質化を使う場合、意識して使わなければならないことの証拠。

 

 仮にエレンをうなじごと狙うとき、女型が使う部位はどこか。

 手?──否、移動する際潰れる可能性があり、周囲に兵士がいる以上狙われやすい場所に持たないだろう。

 

 ならば、考えられるのは口の中。口であればうなじごとかみ切って、含んでしまえばそれで済む。その動作が行われる時、うなじをリヴァイに狙わせる。

 

 

 無論急遽計画した考えだ。だが流石相棒同士であるのか、エルヴィンが目配せしたのみで、リヴァイは団長の意図を理解した様子だった。

 

 そしてその直後現れたのだ、焦燥を覗かせたミカサが。

 

 

 彼女は驚愕から一転、セコム・アッカーマンたる凶悪な表情に変え、女型を狙わんとした。

 

 先も言った通り、並の兵士では巨人同士に戦闘フィールドに入っただけで、巻き込まれて死ぬ。だがミカサは、他の付随を許さぬ訓練兵の主席卒業者。その力は並の兵士100人相当。まるで100人乗っても大丈夫、な例の倉庫だ。

 

 ただ一つ彼女の欠点を挙げるとすれば、エレン・イェーガーがピンチに陥った時、周りが見えなくなってしまう点である。

 

 これは兵法会議でも如実に現れていた。最悪彼女は、エレンを罵倒する輩を平然とサンドバックにしていただろう。また女型が、どれほど驚異的な身体能力を持つのか知らなかったことも、仇となった。

 

「!!」

 

 女型のうなじを狙った一閃の攻撃。それは硬質化した手でうなじが覆われたため、失敗に終わる。

 

 攻撃が不発に終わり、滞空するミカサの身体。その隙を女型が狙い腕を振るった直後、リヴァイの助けが入った。

 

 ミカサはこの時身体を押され無傷に済んだ──が、リヴァイは女型の腕と左足が接触し負傷。動けるものの、女型のうなじを狙うことはできなくなった。彼はその後ミカサを羽交締めし、エレンに向かおうとするのを止めた。

 

 代役として考えられるなら、この場でリヴァイに次ぐ力を持つミケかミカサ。

 団長が思案し、場が緊迫状態となった中、こっそりとこの時アウラが兵士の中に紛れ込んだのである。

 

 策士トルトの策にハマり、お兄さまメーターが時折振り切れる彼女。正しく今のアウラは「FF外から失礼するゾ〜」の状態。そこには隠しスパイスとして、「()くゾ〜⤴︎」も付け足されていた。

 

 

 

 

 

(ヤ、ベェ)

 

 

 どこか似た()()()()を思わせる女型の動きに翻弄され続け、押されっぱなしでいるエレン。

 

 このままでは負け、彼は女型に連れ去られてしまう。勝つ以外に選択肢はない。だが追い込まれた巨人体はボロボロ。実際に痛みが身体にフィードバックされるわけではないが、激しく巨人体を動かし、そして負傷した箇所が再生すれば、疲労は加速度的に蓄積されていく。

 

 そもエレンと女型では、決定的に巨人体操作の力量差が存在する。

 

(クソッ……)

 

 女型の顔が近付く。

 

(クソ、クソクソ、クソッ……!!)

 

 口の端が裂け、女型の赤い口内がありありと覗く。

 必死に少年の名を呼ぶミカサの声が聞こえた。他の兵士も同じように声をかけている。

 

 このままエレン・イェーガーは、敵の思うままになって良いのか。増援が文字通り命をかけ、リヴァイ班がここまでに至る時間稼ぎをしたというのに、女型は罠を避けた。

 

 彼らの命を、そしてこの作戦そのものが“無駄”になるのかどうか、全てはエレンに託されている。

 だが身体は鉛のように重く、指一本動かすことさえ苦痛だ。

 

 

 

 ──────()みなさい、エレン。

 

 

 

 少年の頭の中に響いた、父グリシャの声。いつ聞いたものかはわからない。その声は彼を導くように、進め、進めと告げた。

 

 エレンの巨人体が唸り声を上げる。

 

 人類の命運が託されている重圧は、15歳の少年にとって重過ぎる。本来なら若人は失敗して成長していくところを、次の“成功”のために“失敗”することすら許されぬ。必要なのは“成功”のみ。

 

 トロスト区で大岩を持ち上げ、作戦を成し遂げたことがまず奇跡であった。それもその作戦では、多くの犠牲を伴い得られた勝利であったのだ。決してエレンだけの手柄ではない。

 

 むしろ彼が一時操作不能になっていなければ、もっと円滑に事は進んだ。

 

(動け、動けよ動け………クソッ!!)

 

 まだ再生しきっていない身体で、女型を押しのけようとするエレン。

 ちょうどその時彼の視界に、一人の女が映った。

 

 

(ねえ、さ)

 

 

 少年が見たのは、三度目の“死”を希求する姉の姿。

 

 生きていた姉は右足を折ったのか、木で簡易的に固定されており、顔に生気はない。弟を捉える白銅色の瞳は濁りきっており、エレンを見ているにも関わらず、彼を捉えていなかった。

 

 姉の生存の嬉しさはほんの一瞬に、少年の身の内で押し寄せた激情。

 

 

 少年の脳裏によぎる、幼き頃見た姉の姿。

 地下室で絶叫し、気狂った姉。カルラの死の後、死に急ぎ野郎になり遠くを眺めていた表情。

 

 

 エレンを置いて、遠くに行こうとするアウラ。その事実に激しい憤りを覚える。同時に少年は生きることを()()()彼女が許せず、またそんな姉を作り出してしまった原因が己にあると思い込み、歯を軋ませる。

 

 

 

「オレに、守らせろよォ────ッ!!!」

 

 

 

 もうエレン・イェーガーは、守られるだけであった子供ではない。熱くなった脳が一周回り、冷静になっていく。

 

 彼が叫ぶと同時に、巨人体も再び外にまで轟くほどの咆哮を上げた。

 大気が、木々が、地面が、激しく揺れる。

 

 

 エレンは()()()()()()()()、急速に回復させる。

 

 そして振り抜いた拳が、うなじに歯を突き立てようとした女型の右頬にぶち当たった。その衝撃で大きく開いていた女型の歯や舌が吹っ飛び、目玉も飛び出す。だがすぐに大きく損傷した顔が、蒸気を発し再生し始める。

 

 敵がフラついた隙に、ついで彼は脛から下が欠けていた左足を再生。

 無事だった右足で大きく地面を蹴り抜き、木にもたれかかった女型へ拳を振るう。

 

 女型は咄嗟に攻撃に転じようとする。しかしエレンが優勢になった一瞬の隙を突き、ミカサとミケ・ザカリアスが女型の膝裏を削いだことで、彼女は前のめりに大きく体勢を崩した。

 

 アニも長時間走り、またエレンとの戦闘で、かなり疲弊している。その疲れが二人の攻撃を許す結果に。

 

 彼女はそれでもうなじを硬質化させ、人間の本体を守る。だがおかまいなしに、転がった女型の身体をミンチにするように、踏み潰し続けるエレン。

 

 荒い息を吐きながら翡翠の瞳を光らせ、激情をぶつけるのではない、()()()()()()()()に痛めつける。

 遂には足が女型の身体を貫通し、内臓と肉、そして血が噴出する。

 あまりの惨たらしい光景に、無数の兵士が口元を覆った。

 

 

 ────バケモノだ。

 

 大勢の頭の中に過ぎった考え。

 

 

「エレン!!」

 

 

 その光景を見ていたミカサは、懸命に叫ぶ。このままではエレン・イェーガーが()()()()()()()()()()()()と、漠然とした恐怖があった。尚も彼女は最もエレンと近い木の場所から、叫び続けた。

 

 お願い、と彼女が声をかけても、少年の蹂躙は止まらない。

 ミカサは下を向き、涙を堪えながら語りかける。

 

 

 

「いっしょに、帰ろう……エレン」

 

 

 

 掲げていた少年の足が止まる。ゆっくりと顔が上がり、長い前髪から覗く翡翠の瞳が、ミカサを捉えた。

 

 その、瞬間。

 

 エレンの咆哮とは比較にならない叫び声が、森中に響き渡る。音の発生源は女型。ついで叫び声が止まり、周囲が静まり返る。だが異変はすぐに訪れた。

 

 罠が設置されていた場所へ向かい、近づいてくる無数の巨大な足音。無知性の巨人が女型の「叫び」により集まっているのである。

 

 

「………ッ、総員撤退!!」

 

 

 現状では女型を捕らえることが出来ぬと判断したエルヴィンは、撤退命令を出した。上げられた煙弾により、撤退を知った外側の兵士も続々と移動し始める。

 

 

 此度の本作戦で右翼側索敵は甚大な被害を受け、また一部の人間が重軽傷を負うケガをした。

 

 

 

 

 

 

 

 ⚪︎⚪︎⚪︎

 

 

「………」

 

 荷車に乗り、俯いているエレン。少年の横には彼が巨人化した時落馬し、足を負傷したオルオや、腕を折ったペトラなどがいる。

 

 オルオは完全にエレンから視線を逸らしており、ペトラは俯くエレンに声をかけた。

 

 

「そう自分を責めないで、エレン」

 

「………でも」

 

「…っけ、エレン、お前が急に巨人化しなけりゃな、俺はみっともなく足をケガせずに済んだんだ」

 

「………オルオ」

 

 ペトラはニッコリと微笑みながら、オルオの顔を引き伸ばす。

 痛みにうめいた男の顔はまるで、しわしわピカ野郎。

 優しくない歳上の男の追撃に、エレンは三角座りの体勢で、顔を埋めてしまった。

 

「………勘違いすんじゃねぇぞ。お前が戦わなくとも、リヴァイ班(俺たち)が女型から守り通すくらい、簡単だったんだ」

 

「…すみません……」

 

「う、ぐッ………だ、だからよォ、そんなうじうじしてんじゃねぇよ!!」

 

 エレンはペトラに肩を叩かれ、ゆっくり顔を上げる。眉を下げて微かに笑いを堪えているペトラの顔が視界に入り、彼女が指差す方へ視線を向ける。

 

 少年が見たのは、ブツブツと、小さく何かを呟いているオルオの背中。

 何を言っているのか首を傾げた途端、大声で男は叫んだ。相変わらず、顔は背けているが。

 

 

「あ、ありがとなッ!!………きっとお前があの時巨人化の力を使ってなきゃ、俺たちは今頃荷馬車の上に積まれる死体の一つになってただろうからよ…」

 

「女型の力は、私たちの想像を遥かに超えていた。多分リヴァイ兵長一人だけでも……無理だったと思う」

 

「………ッ、う、……でもオレ、オレッ………!!」

 

「…今は疲れたでしょ?ゆっくり休みなさい。今度は私たちが、あなたのことを守ってあげる。だから安心して」

 

 ペトラに頭を撫でられ、精神の限界が来ていた少年の意識は、荷馬車の揺れも相まって、一気に深みへ落ちていった。

 

 

 

 こうして女型捕獲作戦は、少なくない兵士の命と費用を犠牲にしたにも関わらず、失敗へと終わる。非難の声が多くの住民から上がった。

 

 また上の決定により、エレンの身柄の引き渡しが決定する。

 

 しかして、それでも兵士の中に敵が紛れ込んでいるのは、確実となった。人類の一歩は、着実に進んでいる。

 

 ただし一人の男と一人の少年の内に、大きな疑問を残して。

 

 

 

 

 

 女型が罠についてあらかじめ知っていたと思われる点。さらに女型の侵入位置、及びその場所から煙弾がなかった点から考えられた、女型の行動指標の変化。

 

 そこから導き出される一人の怪しい人物。

 

 その人物は一人だけ怪我を負いながら生き残り、巨大樹の森へ戻ってきた。その部分に関しては女型が巨人を呼び寄せ移動していたことからも、遭遇せず生き残れた点については()()納得がいく。

 

 しかしそれ抜きに、限りなく()()と考えられた。

 

 

 そして女型の人間と思わしき人物を捕獲する前に、敵の内通者とされる人物の名前を聞いたエレンは、驚愕することになる。

 

「バカ…言ってんじゃねぇよ、アルミン」

 

「でも、怪しすぎるんだ」

 

「黙れ。そんな、わけ……ない。そもそも接点がないだろ!!」

 

「……接点はね。でも他にも不可解な点が多いんだ」

 

 エルヴィン曰く、ウォール・マリア陥落時その人物は単騎で、しかも重傷を負って壁内を移動した。

 あり得なくはない。しかし奇跡でも起こらなければ、難しい。それこそ、()()()()()()()()()()()ぐらいの奇跡がなければ。

 

 そも似たようなことが一度ならともかく、二度までも、その人物には起こっている。

 

 

 

 

 

「アウラ・イェーガーは、エルヴィン団長から女型捕獲の内容を伝えられていた、数少ないメンバーの一人でもある」

 

 

 

 女型捕獲の一件を受け、()()()()()()と努めているアルミンの言葉に、エレンは血が滲むほど、唇を強く噛んだ。




【素数を数えたし】


 壁内に帰還する調査兵団の面々。アルミンは馬を走らせながら、荷馬車を凝視する隣の少女を諌める。

「お、落ち着くんだミカサ、こういう時は落ち着いて素数を………み、ミカサ?…………に、逃げて……ペトラさーーーーん!!!!!」
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。