ーーー光が柱を作り、一面砂の世界に芽が拓いた。
ーーー蒼い目もまた、開いた。
やぁ、私クソ幼女ちゃん。今あなたの家の前にいるの。
まぁ当然それは嘘で、私が今いるのは日が沈み始めた青に夕日を混ぜた空と、一面砂漠が広がる壁の上。どうせそれも嘘だろうって?いえいえ、本当なんですねコレが。
では何故かわいい幼女が壁の上で緊縛プレイをしながら空を見つめているか、ここに至るまでの経緯をお話ししましょう。
◻︎◻︎◻︎
まず初めに私の目標としては、ジークお兄さまに生きてもらいつつ、「私」という名の妹、アウラ・イェーガーの存在を刻みつけることでした。これは一ヶ月間、熱で死にかけながらずっと考えていたことです。
私がお兄さまへ抱く感情がクソ面倒くさいものであるとわかった以上、自分の存在が不必要に感じざるを得なくなったのです。
私が望むのはお兄さまのすべて。感情の一つ一つ、どれをとってもじっくり堪能したいわけで。
ですがお兄さまに叩かれた時、私は実感してしまった。自分に
正直言って、いらないんですよね。私が感じたいのはお兄さまであって、自分の感情ではない。一々些細なことで傷ついていたら、お兄さまを堪能することなどできなくなってしまうではないですか。
ゆえに、自分を消すことにしました。
お兄さまに殺してもらえないのは残念ですが、これからお兄さまの心に私を最大限刻みつけられれば満足です。
熱が治ってからしばらくは、お兄さまはあからさまに私を避けていました。そりゃあ気まずいですよね、表情が絶対に私を叩いたことを悔やんでる、って感じでしたもの。
でもお兄さまは謝ってこなかった。来ても逃げる予定だったので好都合ですが。
しかし途中から様子が変わったのです、お兄さまがボールを家に持って帰ってきてから。少し明るくなったというか、ボールを見つめている時は年相応の子供らしくなりました。
お父さまが誰にもらったか尋ねれば、お兄さまは「クサヴァーさん」なる戦士の人間からもらったのだと答えました。誕生日プレゼント…私も用意していたんですけどね。まぁこれは、お兄さまを曇らせるイベントを起こすために、熱が治ったあとお母さまに手伝ってもらい書いたもので、純粋な好意でいただいたらしいボールとは正反対でしょうね。
クサヴァーさんについて話す時だけ、お兄さまは明るく喋った。それだけクソ幼女から受けたダメージや、“使命”への重圧が大きかったのです。その男がお兄さまの恩人のような存在であることは、すぐにわかりました。
単純に言って悔しい。お兄さまの心の奥底で沈澱して、溜まっていいのは私だけ。
であれば、お兄さまの一番になり得るよう行動に移すのが最適でしょう。
ボールをゲットだぜ!して以降、私に近づき始めたお兄さま。全力で抱きしめてお触りして舐めたい欲求を抑えつつ、私は必死に逃げた。「逃げのアウラー」とは私のことだ。
その時のお兄さまの愕然とした顔が、これまた可愛かったのは余談です。
して、私の当初の計画は『お兄さまに誕生日プレゼントを渡そうとこっそり家を出たら、うっかり川へどんぶらこっこ』作戦でした。
収容区には小川があり、幼児がうっかり落ちればそのまま死ねないこともない場所があります。ちょうど花がその近辺に咲いているらしいので、かわいい幼女ちゃんは兄のために取りに行っちゃうわけだ。
小川の情報についてはお祖父さまから聞きました。昔よくフェイと、彼女の付き添いのお父さまが花を取ってきては、冠などを作ってプレゼントしていたらしいです。
家を抜け出すのは存外簡単。夜になれば、私は自室で一人になる。今まで家を抜け出したことのない娘が、まさか急にいなくなるとは思いもしないでしょう。娘息子を一人で寝かす文化が追い風となってくれました。
そして翌朝、溺死した幼女ちゃんの遺体が発見。お祖父さまはすぐに花の件を思い出すでしょう。これに合わせて私がおもちゃ箱の底に隠した手紙が見つかれば、アウラちゃんの行動はお兄さまのプレゼントのために起こしたことにされる。
お兄さまに私のことを刻みつけられますね(ニチャア…)
ですが突如、私の前にビックウエーブが到来します。この波に乗らなければクソ幼女失格もの。
ことの発端は、ジークお兄さまがある夜、両親にこっそり話していた内容から始まります。
夕食が終わった後やけに真剣な顔で「父さんと母さんに話があるんだ…」とお兄さまが言うものですから、気にならないはずがありません。必要のない私はお母さまに寝かしつけられましたが、襲いくる睡魔に全力で戦った。
そして聞いた、両親にこれ以上危険なことはしないで欲しい──という内容。
今まで両親に逆らわず、ただひたすら親の愛を求めて生きていたお兄さまが、両親にもの申した。
それだけで異常事態だと私は察したわけでございます。何か、相応のことが起こっているのだろうと。
お兄さまが同時に口にしていたのは、「楽園送り」という言葉。実際に親から教えられたことがあるので私も覚えています。
言うなれば、巨人GO。悪魔の末裔たる我々は、巨人の脊髄液を体内に取り入れただけでビッグヒューマンへと変身する。またソイツらには知性がない。
そんな歩く災害に、楽園送りにされたエルディア人はさせられてしまうのです。
話を戻しましょう。
わざわざお兄さまがお父さまとお母さまを止めた点と、「楽園送り」の言葉を受けて私が至った考えは一つ。
両親が“復権派”であるとバレた可能性。あるいは、復権派の組織そのものが明るみに出始めた可能性。
もし両親がバレているなら、既に捕まっているはず。ゆえにメンバーはまだ不明であれど、復権派の組織が政府に嗅ぎつかれている。お兄さまはそれを何らかの形で知った。偶然聞いてしまったか、あるいはお兄さまが信頼する「クサヴァーさん」が情報を教えた可能性もある。
ともかく、猶予は一刻を争う。
色々方法を考えても、やはり両親含む復権派を売るしかないでしょう。しかし私が密告したとして、政府の人間が信じるかどうか。信じたとしても私は復権派の親族に該当する。私はまだしもお兄さまが楽園送りにされるなんて許せません。
…幼女パワーで「ふぇぇん」しながら、それとなく官憲に訴えればいけるでしょうか。あくまで私と兄は被害者で、両親が加害者であると。クソ幼女は顔だけは本当に愛らしいので、上手くいけば“非人間”扱いされるエルディア人でもいけなくはな……いや、流石に無理ですね。
ならば、お兄さまに密告してもらうしかない。ただのエルディア人である私ではなく、戦士を目指すお兄さまなら、上層部が復権派を売る代価に、私たちの身柄の安全を保証する意見を呑んでくれる可能性が高い。
お兄さまはこれまで訓練に勤しみ、マーレに忠誠を示してきた。戦士であるクサヴァーという男が一目置いている節もあるので、ことさら都合がいい。それならば最低でもお兄さまは助かる。両親は絶対に助からないけれど仕方ない。
お父さまお母さま、最後くらいは息子のためになってください。私も一緒に行ってあげますから。
そうなると、お兄さまに密告を促してくれる相手が必要だ。当然その相手はクサヴァーさん以外ありえない。
戦士となれば市内にいることは確か、マーレの中心的な施設は市内にしかないしね。お父さま並みに甘いお祖父さまに頼んで早急に許可証をもらい、クサヴァーさんを探すしかない。二人がキャッチボールしている場所はお兄さま情報で把握している。なんなら「ジークおにーたん」に会いたいムーブをかまし、目立ちまくってやる。ギャン泣きクソ幼女を発動し、クサヴァーゲットだぜ──!だ。知っている名前を聞けば、クサヴァーさんも出てくるだろう。
───え?祖父母たちの胃が痛むだろう、って?知ったことじゃありませんね。
お兄さまの命以上に優先するものなんて、この世にないでしょう?
◻︎◻︎◻︎
「……と、思ってたんだけどなぁ」
翌日両親にごねてお祖父さまの家まで訪れ、許可証を頼めたまではよかった。発行までは不審な点がなければそう時間はかからない。例えば過去に血縁者で謀反を起こそうとした者がいる──など、よほどのことがあれば発行自体できないなど、話は変わってくるものの。
これでクサヴァーさんを見つけられると思った数日後、事は起こった。私はどうやら、お兄さまを甘く見ていたらしい。
昼寝の最中物音がしたので起きてみれば、扉の外に無数の人の気配がする。今日はちょうどお父さまは仕事が休みで、私を寝かしつけた。復権派のメンバーをこっそり連れ込みオトナな話をしていることはあれど、それにしても物々しすぎる。その上銃の金属音までしたのだから、何事か悟った。
最初は、バレてしまったのだと思った。私の行動が遅く、復権派のメンバーを突き止めた政府の人間が来てしまったのだと。
しかし扉をこっそり開けてみれば、最初に目に入ったのはお兄さま。その周りには銃を掲げた大人が複数人控えている。お兄さまは誰かを指差していて、その先にいたのは────両親。
(はわわわぁ……!)
ユミル様は、こんなクソ幼女にどれだけご褒美をくださるのでしょうか。
あの、お兄さまのお顔……!!感情を削ぎ落として、キレイな瞳を濁らせている。女性が暴漢された時に浮かべそうな、そんな真っ黒な感情をありありと瞳に宿している。
かわいいってものじゃない。私にとっては
つまり、
素敵です、ジークお兄さま。今誰かに作られたお姿ではない、お兄さまの皮を裏返したような、ありのままのお姿を私は見ている!好きです好きです、好きですお兄さま……!!!
私が絶頂に至っている最中、こちらに近づく革靴の足音がした。
咄嗟によだれを拭いて、布団の中に潜り込む私。入ってきた人物は私の背中を軽く叩いて、起こしてきた。
私の脳内では今までにないほど、素早く脳が回転している。
お兄さまは両親を売った。最低でもそれでお兄さまは救われ、最高で祖父母と私が助かる。
しかし私としては生涯お兄さまに「私」を心の中で飼い殺して欲しいので、私は死にます。
ふとした時に私を思い出して欲しい。アウラ・イェーガーが、ジーク・イェーガーの妹であったことを。
妹を叩いてしまって以来、微妙な関係になった兄妹仲。まぁそう思っているのはお兄さまだけで、私はお兄さまのことを変わらず愛している。この世界とお兄さまをかけたら、もちろん私が選ぶのはお兄さま。その他は私も両親も含めて比べるまでもない。私にとっての全てが、お兄さまでできていると言っても過言ではない。
────「私」の世界は、お兄さまの涙から始まったのだから。
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それから私は幼女ちゃんを起こした政府の男によって、外へ連れられて行った。
男曰く「君の身柄は安全だよ」と。
あぁ、お兄さま、私のことも救おうとなさったのですね。ですがそう簡単に問屋は卸せません。
私はお兄さまではなく、両親を選びました。自分の元へ来るように言ったお兄さま、その時の睨んだ私の顔をぜひ覚えていてくださいね。
お兄さまはこれからご自身の手で妹を叩いたことを、そして妹に謝れなかったことで斯様な運命が出来上がってしまったことを、後悔し続けてください。私を思い出して、思い出し続けてください。私は無知性の巨人になっても、ずっとお兄さまを愛し続けておりますから。
そして話は、冒頭の緊縛幼女ちゃんに戻ります。
私は「アウラ!」と必死に叫んでいたお兄さまの顔を思い出す。
空に残る青い色は、お兄さまの色そのものだ。視界については目隠しをされていたけど、「おちょらがみたい」と言ったら取ってくれた。やっぱかわいいってのは得だね。
下から侵食してくる夕日の色はうっすらと黄色く、お兄さまの髪のよう。とてもキレイだ。私の名前を最後に叫んだ、お兄さまのお顔の美しさほどじゃないけれど。
その景色に混じって、時折下から眩い明かりが差す。
ついにやけそうになる口を堪えて、無表情を装った。腕が後ろ手に拘束されていなければ、口元を隠せたんだけど。もちろん聞こえる悲鳴に対して笑っているわけじゃない。私は精神異常者じゃないので。
ただ、お兄さまのこれまで見た笑顔や怒り──悲しみといった表情が走馬灯のように頭を駆け巡って、私を満たしているだけだ。
みんなも最期くらい、このお兄さまのような空を眺めて死ねばいいのに。
「あぁ……あ、あ……」
私の隣では声にならない声を上げて、お父さまが項垂れる。巨人にされた復権派の仲間は人間のまま蹴落とされた人間を追って、遠く、遠くへと駆けていった。
お父さまはここにくる前に尋問にあったようで、指には包帯が巻かれている。私は助かるところをクソ泣き幼女で通して無理に来たので、まさか娘が本当に楽園送りにされると思わなかったお父さまからしたら、絶望ものだろう。
「何でアウラまで…」と言われた際に「おとーたんといっちょにいたいから」と言った時は、今まで見たことがないほど号泣していた。
よくよく見れば、ジークお兄さまと顔のパーツが似ているので(半分血を分けた父親なのだから当然だが)、お兄さまも大きくなったら似た顔立ちになるのかもしれない。
成長したお兄さまも味わいたかったなぁ…まぁいいか。どうせもうすぐに理性とはおさらばになるのだ。
「よぉし、次はコイツにするか」
そう言って恰幅のいい曹長の男が、お父さまを指す。しかし「クルーガー」と呼ばれた男が追加でお父さまに尋問があるようで、一旦スルーされた。次は私かなと思っていれば、遅れて連れてこられたお母さまだった。
お父さまはそれに驚いているようだけれど、流石にガッツリ復権派に入っていたお母さまが助かるのは、難しいでしょう。
「ダイナ…」
「グリシャ……」
ちょうど娘がサンドイッチになるようにお母さまを連れてきたの誰だよ。せめてお父さまの隣にしてやれよ。なんでわざわざ娘を挟んで両親をセットするんだよ。完全に両親がいちゃついてるのを覗き見してしまった子供の気分だよ。
「グリシャ、私どんな姿になっても、あなたを愛してる…あなたを必ず、見つけるから……」
やめて、やめてよ。両親の熱い言葉のやりとりをこれ以上私の鼓膜を通して行わないでよ。新手の拷問ですか?
その間お母さまの首元に、巨人の脊髄液入りの注射が投与される。さようならお母さま、私もすぐにそちらに行くので束の間の別れですね。
「それに────大好きよ、アウラ。私たちの元へ生まれてきてくれて、ありがとう」
お母さまの背が、曹長によって蹴られる。
私を見つめるキレイな青い瞳、それに陽に照らされて輝く金髪。サラサラと一本一本舞う髪質は私とそっくりだ。
「わたちも、だいすき」
──ーあぁ、私こそありがとう、お母さま。
悪魔のような私を産んでくれてありがとう。何より、ジークお兄さまを産んでくれてありがとう。
お兄さまの人生は両親のせいで歪なものになってしまったけれど、私は決してお母さまやお父さまを恨んだりはしない。お兄さまと出会わせてくれたこと以上を、あなたたちに望むことはない。せめてもの恩返しとして、形だけ娘はあなたたちの後を追う。それであおいことしましょう。
そして、お母さまは、ビッグお母さまになった。
「ダイナ……ダイナ…」
お父さまは完全に腑抜けになってしまった。巨人化させる人間はあと二人、私とお父さまだけ。
あともう少しで終わるところで曹長の指示により、クルーガーと曹長以外の人間が壁の上から去っていく。何が始まるのか見守っていれば、曹長は両親を巨人にさせ、そのあと娘を突き落とす算段らしい。私は人間のままで。
思わず、「はい?」と思ったのは仕方ない。
せっかく理性をなくす心構えをしていたのに、こんなかわいい幼女を両親に食わすとか地獄か。いやまぁ、私の所業を思い返せば、妥当と言えば妥当ですかユミル様…?
「ふざけるなッ、何が…何が
「心?エルディア人にかける心なんてないだろう、ましてや“悪魔”のお前らに」
激昂したお父さまに、淡々と話す曹長の男。さらにソイツはタバコを吹かしながら、フェイ・イェーガーを息子の犬に殺させたことも語った。
以前お兄さまの発言で彼女が「殺された」と知ったが、犯人が目の前にいるとは驚きである。
…ということはこれは私への当て付けというより、お父さまへの当てつけか。
娘を自分が食ってしまうという事実をグリシャ・イェーガーに突きつけて、その反応を楽しむ。我ながら私も思いつきそうな考えだ。
私もできるなら、両親より巨人の力を手に入れたお兄さまに食べられたかった。食べられたらお兄さまの一部になれると尚嬉しい。
──というかそもそも、巨人の力ってどうやって継承するのだろう?個人的に普通の脊髄液とは違う専用の脊髄液があるのだと考えていたけど。大人の事情というやつで、そこら辺の情報は教えてもらえなかった。こういう時幼女って不便だ。
「どうして、お前らはこんなことを……」
「こんなこと?過去にエルディア人が巨人の力を使って世界にしてきたことを思えば、我々の行いは微々たるものだろう」
それに、と曹長は続ける。
「人間は残酷なのが好きなんだよ。日夜世界のどこかで戦争が起きているのも、平和じゃ物足りないからだ」
────そうだな、謂わば
その言葉が、今まで空以外を鮮明に映し出さなかった私の世界に入り込む。
残酷っていうことは、即ち「生」を感じられるということ?
ストンと、胸の中で何かが収まる。
私の異常性は、私がお兄さまの曇り顔を見たかったのは、自分の「生」を実感することができたからだ。
最初に見た、お兄さまの泣き顔。私に死んでほしくないと、ひたすらに願っていた表情。
そこから「私」は始まって、今終わろうとしている。私はきっとお兄さまの苦しみを自身の生きがいにしていた。お兄さまの曇りから始まったこの人生は、どこまでもお兄さまと、その陰りから抜け出すことが出来なかった。刷り込まれた意識は絶望的なまでに「私」の根幹に根付いている。それこそ引っ張り出すには、私の死しかありえまい。
「───ははっ!」
自分でもどうしてお兄さまに執着していたのか、ずっと疑問だった。それをこの曹長の男は、あっさりと答えを教えてくれたのだ。
そうだ、人間は残酷の中で「生」を実感する。私が他人の苦しみや悲しみ、怒りを見て心が満たされることも、私自身が生きていることを感じているに他ならない。
正しく、人間讃歌────!!
その人間性を否定しない、
「ア、アウラ……?アウラ!!」
「…ふふ、ぐひひ」
「なんだ、母親が巨人になっちまって頭がイカれたか」
違う、ずっと心のどこかで否定し続けた私の生き方が肯定されて、とても嬉しいんだ。誰かの不幸を見ることは悪しきことではない。むしろ、喜ばしいことであった。
私の──お兄さまに叩かれて存在を確認した人間性もまた私で、残酷を好む私も、「
せっかくだ、エルディア人を“悪魔”と呼んだ曹長に教えてあげよう。
本当の悪魔ってやつはきっと、誰のためにも動かない。自分のために、自分の欲求のためにしか動かない。それは全て「生」を享受する上で大切なことだから。
クルーガーと呼ばれる男は父からみれば右にいる。私は父の左におり、クルーガーからはかなり距離が離れている。一瞬の動きは止められまい。ガキだからと、足までしっかり拘束をしなかった自分を呪え。
そして曹長は私の左前方。老若男女問わずお注射(意味深)してくる変態だ。
「えるりあじんは、あくまじゃないよ」
「いいや、お前たちは悪魔だよ。どんなにお嬢ちゃんがかわいくても、中身がバケモノならどうしようもない」
「おじちゃんしらないの?」
「何?」
────悪魔は、誰だってなり得るんですよ。
かわいい幼女ちゃんらしくない、感情のこもらない声。
幼女の仮面を捨て、舌ったらずじゃない素の私。
お兄さまがいなければ、私はどこまでも冷めた人間だ。
そのまま身を乗り出して、空中に我が身を投げる。
三人とも、瞳を丸くしていた。
てっきり私が、曹長の男にタックルをすると思いましたか?──いえいえ、そんなことするわけないでしょう。
私が曹長を殺したとなれば、お兄さままでも楽園送りにされるかもしれない。だからあるのは私の「死」のみ。別に死ぬのは構わないので、問題はどう死ぬかになってくる。
曹長の思い通りには死にたくなかったので、自分で身投げすることにしました。お父さまは絶叫していて、その他二人は尚も呆然としている。
「アウラァァァァァァァ!!!!!」
あぁ、とてもいい響き。他人の不幸は蜜の味って、こういうことを言うのね。
私今とても、
真下にいた巨人の一体──お母さまが、大口を開けて落ちてくる私を迎える。お母さま、私は今からあなたの
お兄さまが作られて産まれた中に戻るのって、控えめに言って最高ですね。
空には、キレイな青空が広がっていた。お兄さまの色。それに手を伸ばした瞬間、私の身体は丸々暗闇へと誘われる。滑った感覚に、熱すぎる巨人の体内。丸呑みされても私の頭の中は、狂ったように幸せだった。
だって最期に、お兄さまの色を見れたんだもの。
クソ幼女ちゃん編はとりあえずここまで。こっからはクソ少女ちゃん編にーーーあれ、特に変わってなくね?
いくつか閑話挟んで次に行きたいです。構想練り途中なんでゆっくりになるかもしれないけど、のんびり待っててくれ。
そしてここまで感想評価、お気に入り等ありがとうございました!引き続き読んでいたらけたら幸いです。モチベ続く限りは頑張ります。
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