ライナー曇らせ?…いや、曇らせお兄さまだ!   作:栗鼠

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新章でございます。
今回もいっぱい主人公の変態が吸える回です。


【八章】MADE-IN-ホニャララ編
売れないロックバンド


 天上天下唯我独尊な兄を持ってしまった世界一ラッキーな妹は私、アウラ・イェーガーちゃん。

 

 26歳になった私の美貌は衰えを知らず。髪もすっかり伸びて腰を優に超える長さになりました。毛先に行くほど明るい金色に近づきます。無論ダメージを受けて髪が傷んだ結果の色ではない。極上のキューティクルをお母さまから賜りしこの髪は、そう簡単に傷つかない。

 

 ちなみに切らなかった──というか切れなかったのは、ユミル()から圧力がかかっているからです。()だけに(激寒)

 

 

 

 

 

 四年続いた中東連合との戦争もマーレ国の勝利で終わり、講和条約が締結された。号外の新聞で見た内容である。

 お兄さまもご無事でよかったです。戦士が死ねば記事に載る事態になりますから。

 

 偏にここまで時間がかかってしまったのは、「始祖奪還計画」に失敗し、国力(=巨人)の一部をパラディ島に奪われ弱体化したため。

 

 失った《超大型巨人》は謂わば爆弾。それも通常の物と比較にならない威力の兵器だ。

 それが無くなった痛手は戦争を行った当事者らが一番体験したことだろう。

 

 基本の戦闘では《獣の巨人》が投擲攻撃による“矛”で、《鎧の巨人》が“盾”。援護が《車力の巨人》。

 

 そして、状況に応じてオールラウンダーに動くのが《女型の巨人》。仕事量が多いのは相変わらずアニのようだ。南無。

 

 今回は勝利できましたが、対巨人用兵器がさらに発展を遂げれば、マーレの大国の地位も揺らぐでしょう。そう遠くない未来に。

 

 ようやくジーク・イェーガーの「俺のターン(、ドロー!)」がきたわけです。

 

 お兄さまも戦争が長引くと分かっていても、流石に四年もかかるとは思っていなかったのではなかろうか。それは戦士長だけでなく、マーレ政府も同じに。

 

 

『安楽死計画』に向けてお兄さまは布石を打って行っている。そこら辺は私はノータッチなので、ガンバレ、としか言えません。

 

 最初の調査船団でパラディ島に向かったイェレナが、うまくやっていればいいんですけどね。

 調査船団はすべて帰還していないため、義勇兵が潜入できたことはほぼ間違いないと思いますが。

 

 一応言うと、お兄さまの計画の邪魔になるようなことは彼女に頼んでいない。

 

 あくまで、エレンくんが私へ抱く感情に対して多少のテコ入れを行ってほしい──といった具合だ。

 

 忠犬かどうか百パーセントは信じられないレナ公は、悪魔なご主人にヨシペロしてもらいながら「がんばりまひゅう…♡」と言っていた。

 まぁ彼女が失敗しても、私自らエレンくんとお話し合いする機会を作って、感情を誘導してあげましょう。

 

 私の出番は弟とお兄さまに挟まれた時。果たしてその場面にまで持ち込められるか分かりませんが、“最高の最期”に向けて頑張ります。

 

 

 ただしお兄さまの中で、巨人の力を持つ王家の人間との接触なしでエレンが始祖の力を一時的に使った点や、人間であれど王家の血筋を引く私なら、エレンと接触して何かしら反応が起こる可能性があるにも関わらず特に何もなかった点を踏まえ、疑問を抱く箇所はいくつかあるようです。

 

 いったいどこの金髪蒼目美少女ちゃんの仕業なんでしょうねぇ…。

 

 

 どの道残りの任期は一年しかないから、計画を実行せざるをないのでしょうけれど。

 

 あと一年です。あと一年。約365日。

 

 365日後に死ぬお兄さま………この世なんていらねぇな(本気(ガチ)

 私の寿命はそれより短いですね。お兄さまより長く生きる気なんて、天変地異が起こっても絶対にあり得ないのでご安心ください。

 

 進むしかないこの残酷な世界で、アウラちゃんは有終の曇らせを味わって、余生はユミルたそとキャッキャウフフ♡と過ごしてやります。

 

 

 

 

 

 

 

 そして、戦争を終えた兵士らがマーレに帰還し、レベリオ収容区の外へ出る巨大な門の場所で私含め多くの人間が家族の帰りを待った。

 

 祖父母と待っていつものフェイ()ムーブでお兄さまを曇らすのもよいですが、今日は二人から離れて後方で人々の姿を観察する。

 

 そりゃあ誰よりも先に、それこそ門が開いた瞬間脱兎の如き勢いでジークお兄さまに抱きつきたいですが、暫しの辛抱です。祖父母の後、絞殺する勢いで抱擁します。

 

 

 門が開いて家族の元へ向かうエルディア人兵士。

 

 私の目当ては知り合いの様子をうかがうこと。家族の対面を果たして早速家に帰り始めた人々の隙間を縫うように視線を巡らして、最初に発見したのはフィンガー家。

 

 今回のスラバ要塞の作戦では巨人の次期継承者を見定める意味合いもあり、戦士候補生らも参加した。その中のウドくんやゾフィアちゃんも家族に抱きしめられている。

 

 美しい光景ですね。家族が涙ながらに、生きて生還した兵士を抱きしめる。

 

 これを見たいがために、最初にお兄さまの元へ向かって脳内がドロドロになる前に、後ろでスタンバっていたわけです。脳内絶頂モードでは他の不幸を享受できませんので。

 

 お兄さまのお姿も見えた。というか、一番最初に私が群衆の中で見つけた人なんですけど。

 首を傾げ周囲を見渡した後、祖父母を抱きしめた。

 

 

 美しい……これ以上のゲイ術作品(宗教画)は存在し得ないでしょう。

 

 

 グライス兄弟はなぜか兄の方が青白い顔で頭を抑え、父親に肩を持ってもらっている。戦士候補生になった子どもたちは、今や私の胸元に顔が迫るまでに大きくなった。それを言うと、コルトくんには抜かされてしまったんですが。

 

 エレンやミカサちゃんで実感した子どもの成長というのをひしひしと感じている。

 

 また、万年ドベだったファルコくんは努力の末、好成績を残して無事に戦士候補生入りした。

 ガビについて色々とファルコ少年から聞かれる身としては、愛の力にニチャニチャしてしまいます。

 

 アニちゃんの方はいつも通りで、父親を抱きしめている。彼女については髪が伸びた以外、何も変わっていません。ピークちゃんが少し背が伸びて、胸もさらに成長したにも関わらず(ギリィ)。

 

 これを言うとアニ本人に殺されるので気をつけましょう(4敗)。

 

 

 最後にブラウン家は……ガビちゃんの笑顔が眩しいです。

 

 両親の元へ駆け寄った従妹と離れたライナー(ナイスガイ)の方はというと、視線を彷徨わせています。

 

 未だに返事を聞かれて断り続けている美女ちゃんとしては、せっかくの家族との時間を邪魔したくないのでね。こちらに視線が向きそうになったら、人の後ろに紛れて姿勢を低くします。戦争で活躍して“副戦士長”にまでなったのだから、早くイイ人を見つけてしまえばいいものを。

 

 アウラセラピーで飴と鞭を使い追い込んであげていますが、「恋」の感情がそれを阻害してナイスガイの精神を奮い立たせる結果になっている。

 

 物事とはなかなか上手くいかないものですね…。

 

 

 

 

 

 そろそろ人もまばらになってきて、座り込む美女に気づくと顔を赤く染めたり、訝しむ。隠れられなくなってきたから観察タイムも終わりだ。

 

 人間魚雷アウラ・イェーガーちゃんの出番である。

 目標位置は「ONIーSAMA」。これから特攻作戦にかかる。

 

 松葉杖で重心を取りながら立ち上がり、攻撃態勢に入ったところで、事前に目視していた目標の位置が大きく変わっていた。目の前……だと……?

 

 祖父母は元の位置から変わっていない。こんな愚妹を探しにきてくださったとでもいうの?

 

 ───今日を命日にします。(我が人生の終わりに)乾杯。

 

 

「何をコソコソしてるのかな」

 

「おっと、こんなところに石がッ──!」

 

 松葉杖がつまずいた拍子に手から滑り落ちてしまいました。自分から離したように見えるって?気のせいです。

 倒れた可愛い妹をまさか兄が助けないわけがありません。

 

 角度は完璧。このまま倒れれば兄の胸元へと顔が突っ込む。もし斯様な競技があるのだとしたら、私に勝てるものなどいないでしょう。

 

 さぁお兄さま、手を開いて「お筋肉」を堪能させろ(血眼)。

 

「えっ」

 

 しかし事前に予期していたように、お兄さまは倒れる妹の両肩を掴んで転倒を防いでしまった。なぜ?私の策略が見抜かれていたというの?さすお兄。

 

「前に同じ手を使ったからな」

 

 私としたことが、しくじってしまいました。倒れたフリをして、ラッキーすけべを敢行したツケが回ってきてしまった。

 

 転んだまま前に突き出した手で胸筋に触れて、揉んでしまったことがダメだったんでしょうか。…いや、絶対ソレか。

 

 

 

 色々とございましたが、お兄さまはすっかり奇行が多い妹の扱いに慣れてしまわれた。

 ドライな対応を取られる度に、アウラちゃんは毎度のことメス堕ちしてしまいます、

 

 

「祖父母には抱擁したのに、妹にはしてくれないんですね……」

 

「中身も可愛い妹だったら抱きしめてあげるよ」

 

「……じゃあ、いいもん」

 

 自分の年齢はさておき、頬を膨らませて松葉杖を拾おうとしたら、大きなため息が聞こえた。「ったく、もぉー……」と呟いたお兄さまの両手が自分のお腹あたりに回り、抱きしめられたまま持ち上げられる。

 

 突然の事態に思考が停止した私は、大きく揺れた体を抑えようと兄の頭に抱きついた。

 ナニが、とは言いませんが、大きければ押し付けられたのに。

 

「お、おお、おに、お兄ちゃん!?」

 

 周囲の目が向いているんですけれど。微笑ましそうだったり、驚いていたり。一部始終を見てしまった知り合いの視線が突き刺さるんですけれど。ほらガビちゃんなんか、ニッコニコしているぞ。

 

 はず、恥ずか、し……(遺言)

 

 

 

「ようやく戦争が終わったぞ────アウラ!」

 

 

 

 そのままグルグル回された私は、途中で気持ちが昂りすぎて失神したのでした。

 

 お兄さまも戦争が終結して嬉しかったのでしょう。でも公衆の面前で妹を絶頂死させるプレイは…………好きぃ♡♡

 

 

 

 

 

 

 

 ◻︎◻︎◻︎

 

 

 戦争からジークお兄さまが帰ってくることは嬉しいです。しかしその都度銃声がパァンパァンと飛び交い、手榴弾がドピュドピュと舞う戦場で心的外傷を負った兵士も量産されるため、戦争帰りの後は仕事が忙しくなる。その分アウラちゃんのオカズが増えてしまうわけですが(ニチャ)

 

 本職ではないにしろ、人手が足りなくなるので半ば無理やりな形で病院にお願いされる。

 

 アウラセラピー(初心者向け)は中々評判が良いのです。

 まぁ当然ですね。美女が親身になってケアをしてくれるわけですから。むしろ元気にならない方が(息子♂さんを)疑ってしまいます。

 

 

 そして、お兄さまの羞恥プレイを受けて私が失神した日のこと。

 

 祖父母との食事も吹っ飛ばして、気づいたら夜、自分のベッドで目覚めた。お兄さまがずっと運んでくれたわけである。

 

 こっそり兄の自室を窺いましたが、すでに寝ていた。酒瓶があったので飲んでから寝たと思われる。

 流石に疲れ切っているお兄さまを邪魔をするわけにはいかないので、シャワーを浴びてから大人しく自分のベッドで寝ました。

 

 

 

 それから翌日。

 

 患者の皆さんの砕けた心のエサを求めて私は病院へ向かい、天使アウラ・イェーガーちゃんへと変身した。

 

 一日があっという間に過ぎ去り、夕方。

 屋上に干した洗濯物を取りこみにきた折、柵に身を預けて空を眺めている負傷兵を発見した。

 

 何度か無理にでも高い柵を乗り越えようとするエルディア人を見たことがあり、そのたびに発狂する兵士を引きずり下ろしてきた。

 

 落ちても死にはしない高さですけど、骨折でもしたら看護婦や医者の仕事が増えるんでね。逆に言うと死ねないがゆえに、落ちてしまったら痛みに苦しむ姿を見れてしまうというわけですが。

 

 

「こんにちは、新しく入院された患者さんですか?」

 

 カゴを置いて負傷兵の元へ近づくと、負傷兵はゆっくりとこちらを向いた。

 

 身長はお兄さまとほとんど変わらない。右足の膝から少し上が欠けていて、髪は男性にしては長い。伸ばしっぱなしか。左目と額を覆うようにして巻かれた包帯に、うっすらと生えたヒゲ。一瞬レナ公の線を疑っていましたが違うようだ。

 

 綺麗だった翡翠の瞳は、深い深い闇に沈んでいる。

 

 私を捉える深い深淵にうっかり絶頂しないよう気をつけながら微笑むと、負傷兵は口を開いた。

 

 

「どうも……エレン・クルーガーです」

 

 

 イェーガーさん、と続けたクルーガー。

 

 私でさえ読み取れないほどの深い深淵の奥深くで彼が何を抱いているのか、楽しみで仕方なかった。




【グルグル兄妹】

アニ「何やってんの…?」
ピク「あらあら(ニコ)」
コル「オロロロ…」
ファ「に、兄さん!!」
ガビ「ライナー、私にもやって!」
ライ「おっふ…」

???「………」
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