相変わらず短い。
風都神社の境内。
風車が飾られている屋台の前に立つ着物の男。
背後から帽子を手にした男が近づいてくる。
「久しぶりだな、サム。」
声を掛けられた男は振り向くと、少し驚いた表情を見せる。
「旦那...どうしたんですか?随分と久しぶりじゃないですか。」
「まあ、此処ん所以来受けてなかったからな。
...聞きたいことがある。最近起きてる幽霊騒動のことだ。」
サムは眉を上げる。
「驚いたな。旦那はオカルトなんか興味ねえと思ったのに。」
「依頼だから仕方ねぇに決まってんだろ。」
気だるそうに荘吉は帽子で首を扇ぐ。
へへっと笑うサムは、屋台のカウンターから何枚か写真を取り出し荘吉に手渡す。
「なんだこれは。」
「被害者が撮っていた写真ですよ。公表されてない方のね。
で、こっちが知り合いに頼んだ拡大写真です。」
荘吉は手渡された画像を見ると、
「ドーパントで決まりか。」
と、呟きその写真を懐にしまう。
写真にははっきりと化け物の姿が映っていた。
「にしても、手が早いな。」
「まあ、旦那ん所の幽霊から電話がきたもんで。」
『近々荘吉が行くと思うから、これから言うことを調べてほしいの。』
『それはわかったが、あんたは?』
『そうね...鳴海探偵事務所の幽霊、かしらね。』
「旦那も罪な男だねぇ。また女つくって。」
「あの女...」
忌々しげに呟き荘吉は神社をあとにした。
サムの頭を小突くのを忘れずに。
+++++
「ここか...」
写真に見切れていたビルの名前を頼りにここまで来た。
数年前に倒産し、今では廃材置き場となっている。
確かに、夜になればいかにもといった雰囲気が漂う。
この時期には絶好の肝試しスポットだろう。
荘吉は薄暗い廃墟の奥へと歩を進める。
物音一つしない部屋。
荘吉の足音だけが響き渡る。
一階を一通り見周り、荘吉は首をひねる。
(気配が全くない。感づかれたか?)
この階は諦め二階へ向かおうとした時だった。
「...!」
ギリギリの所で、飛んできた光弾(いや、火の玉か!?)を避ける。
掠めた白い帽子が黒く焦げる。
『ちっ...外したか。』
何処からともなく声が響く。
荘吉は警戒をしながらも、帽子を拾い上げ埃を払う。
「お気に入りだったんだがなぁ。」
帽子を被り直すと、辺りを見る。
攻撃してきた主は見当たらない。
(柱の影、いや瓦礫の裏か...)
耳を澄ます。
静まりかえった室内で、微かに風の音が聞こえた。
「そこか!」
懐からスタッグを飛ばす。
スタッグは一直線に柱の裏に飛んでいき、その影にいた存在を攻撃する。
「ぐあっ!?何だコイツは!」
柱の影から出てきたのはやはりドーパントだった。
全身に髑髏を纏ったデザイン。
右腕が青い炎に包まれている。
「くそっ...てめぇ何もんだぁ?」
ドーパントがジリジリと近づいてくる。
「探偵さ。ちょっとした依頼でな。」
「探偵?ひゃっひゃっひゃっ!それはご苦労なこったな!
ただの人間がよ!お前も燃えちまいな!」
ドーパントは高笑いし、青い炎を飛ばしてくる。
しかし、荘吉は身じろぎせずニヤリと笑う。
「ただの人間か。それの方が良かったんだがな...」
火の玉が着弾し、荘吉の体が青い炎で包まれる。
「あっけなかったな!ひゃっひゃっひゃっ、ひゃっ...ひゃ?」
ドーパントの高笑いが徐々に疑問に変わる。
青い炎が掻き消え、黒いオーラが広がる。
「俺はとっくに人間じゃないんだ。」
黒いオーラが霧散し、そこから一人の戦士が現れる。
銀の髑髏の仮面、そして白い帽子とマフラー。
「て、てめぇまさか...!」
風都の守護者、仮面ライダー。
彼の名は仮面ライダースカル。
スカルは右手を挙げ、目の前のドーパントを指さし、一言。
「さあ、お前の罪を数えろ。」
短いよ!ってツッコミが聞こえる。
次回は...また先になるだろうな。