死神さまの大冒険 〜ゲームから転移しましたが、自分だけバグって最強です〜   作:サンサソー

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安定の不定期更新


終わりこそ始まりにすぎない

「それでは、私はもう帰りますね」

「は〜い、お疲れ様でした〜」

 

職場に残っていた最後の一人も、荷物を纏めて帰っていく。もう11時半、彼は明日から家族と旅行に行くらしい。羨ましいことだ。

 

彼を見送ると、自分はそばにあった機械を頭につけ、情報群の中へとダイブする。せっかくの最後なんだ、仲間たちとともに終わるのもいいだろう。

 

『接続中・・・』

 

画面には接続中の文字が映され、点が増えては消えてを繰り返している。地形やシステムにもかなり割いてしまったからか、繋がるのはどうやっても遅いままだった。

 

私の仕事はダイビングによる仮想世界での生活、その中の一つであるゲームを担当していた。

 

VRMMORPG【リベリオンスレイブ】

 

その名の通り、モンスターの奴隷である人間たちが反逆し自由を取り戻していくというもの。プレイヤーはモンスターか人間になることができ、世界の中心にある世界樹を人間が奪取できるか否かで勝敗がつく。

 

私が行ったのは主にバグなどを片付けること、そのためにゲーム内での人脈を広げるために様々なことを行った。ギルドに入ってみたり、仲間と共に冒険したり、イベントに参加したり、はたまた『世界BOSS』になってみたり。私は管理者として奔走する以外にも、純粋にこのゲームを楽しんだ。

 

そのサービスが、明日の0時に終了する。私の費やしてきた人生、その結晶もついに消えてしまう。寂しいが、みんなの記憶に少しでも残ってくれていればそれでいい。

 

そして、残り30分を切った今はお世話になったギルドメンバーたちに会うために機械を繋げたのだ。唯一無二の友たちとゲームの最後を迎えるために。

 

『接続完了。メモリカードをスキャンします』

 

……時間あるかなこれ。メモリカードスキャンして、サーバーにログインして、情報をアップデートして……話す時間は確保したいなぁ。

 

『スキャン完了しました。サーバーにログインするためにパスワードを入力してください』

 

キーボードと同じ配置で文字が表示される。目で2秒見つめると自動で入力されていき、7つ目の文字でやっと入力が完了した。

 

『パスワードを確認しました。現在の情報をアップデートします』

 

前回終了した後に変わったNPC等の位置、修正した部分の情報を古い情報と置き換えていく。世界自体が大きいために少し時間がかかるが、その分遅延も少ない。こういったプログラムを担当してくれた方々には感謝だな。

 

『アップデートが完了しました。ようこそ、リベリオンスレイブへ』

 

1度画面が暗転し、やがて視界が開けた。まずは私の姿を確認しよう。

 

赤い紋様の入った黒衣に身を包んだ骸骨。爪は赤く、長い骨のシッポもきちんと動かせる。メニュー画面を開き、正面からも確認してみる。眼孔は少し細くつり上がっており、瞳は縦に長い。口はキバと一体化させて目と同じように赤くしている。

 

「……よし、グリッチもないしちゃんと動かせる」

 

アバターの動作を確認すると、次は周囲を見渡し確認した。

 

最後にログアウトした場所、そこは私の所属していたギルド【黒鉄の翼】のギルドホーム【深淵に浮かぶ常闇の城】だった。

 

黄金の装飾などはあれど、城壁も内装も真っ黒の城だ。荘厳と言うよりも重々しく禍々しい。悪魔の像とかあるし。

 

巨大な門を開け、すぐ側に置いてある悪魔の像に触れる。

 

「【玉座の間】前へ、『転移(テレポート)』」

 

像の目から光が放たれ、私のアバターを包み込む。光がおさまると、私は数多の天使と悪魔が彫られた扉の前にいた。

 

ギルメンだけが知る秘密の転移方法。こういった仕掛けも良い発想だよなぁ。私はこういったロマンは好きでも思いつかない。

 

扉の前にいるだけでワイワイとした話し声が聞こえる。愛しの仲間たちに顔を出すために、扉をゆっくりと押し開けた。

 

「お、来たきた!Rキンさん!」

「やあ、遅くなってしまってすまないね」

 

真っ先に声をかけてきたのは龍人の男性。ネームは『りゅうおう』。3時間ぶっ通しで話し続けるほどのドラゴン好きだ。

 

「やぁっと来た〜。遅いよRキンくん!」

「クヒヒヒヒ!同僚全員が帰るのを待ってたんだろ?Rキンは基本は優しいからな」

「でも、早めに来て欲しいと思うのは酷かしら?」

「おいおい、こちとらしっかりと仕事してきたんだ。少しぐらい遅れたって仕方ないじゃないか」

 

難癖つけてくるのは私の2倍程もある巨大な魔人『きくらげ』と、2本の刀をさげた人間の女性『ハラショー』、フォローしてくれているのは筋肉モリモリマッチョマンの人間『とっとこ』だ。

 

「とーう!」

「うわっとっとっ!」

 

突然背中に衝撃が走る。飛び乗ってきたのは小さな妖狐『たまも』。しかしシッポは9本あり、ギルドの中でも指折りの実力者だ。そしてこのギルドを紹介してくれたリア友でもある。

 

「くふふふ、やっと定位置がこの手に」

「私の背中はお前さんの定位置じゃないんだが」

 

たまもさんが飛びついてくるのは今回に限ったことではなく、もはや恒例と化している。まあせっかくの最後だし、今回は振り落とさないでやろう。

 

「で、ギルマスは?」

「ギルマスちゃんはね、あそこ」

 

きくらげが指さしたのは玉座。そこには足を組み、ほほ笑みを浮かべながらこちらを見ている吸血鬼『常闇之王アバドン』さん。【黒鉄の翼】のギルマスであり、この【深淵に浮かぶ常闇の城】をたった1人で作り上げた怪物だ。

 

「よく来たな、我が盟友よ」

「お〜う、お前さんも相変わらずだな」

 

そして厨二病である。言い回しもそうだし、見た目まんま魔王だし。しかもこの話し方、ロールプレイじゃないらしい。

 

初見のギルドホームとこの人には本当に驚かされたよ。

 

所持金上限の9999億9999万9999G(ゴールド)を使って最難関ダンジョンを買ったと思ったら、他のアカウントからまた所持金上限を持ち出してこの城を作ったもんだから。管理者の私でも目が点になったもんだ。

 

本人もかなり禍々しい姿をしてるもんだから怖くて怖くて……実際にギルドに入るとそんなこと気にしなくなったけど。なんせ他の人も一味も二味も違うんだ。

 

記念すべき最初のツッコミはなんだったか。

 

「『黒鉄の翼』とか飛べないじゃん、だね」

「ナチュラルに思考読むのやめてもらってもいいか?」

 

くふふふと笑いながらドヤ顔をするたまも。ムカついたからひっぺがしてとっとこにぶん投げてやった。突然飛んできたたまもを反射的に腕でホームランするとっとこ。哀れたまもは壁に埋まったのでした。ザマァ見ろや。

 

「ザマァ見ろや」

「心の中にとどまらず口に出しよった!」

「ははは……ん?」

 

ズボッと頭を壁から引っこ抜いたたまもに笑っていたら、ピロリン♪という音と共に通知が届いた。

 

「あ〜?……げっ」

「いかがした盟友。よもやもう別れるなどと言うまいな」

「……どうやらそうみたい」

『っ!?』

 

全員がこっちを向く。嘘だろお前という顔だが、こっちも好きで呼ばれたわけじゃない。

 

「呼び出しだ。なんか致命的なバグが見つかったらしい」

「致命的なバグぅ?よしんしゃい、もう終了するよ?」

「少しのバグも許さないんだよこの人。『最後ぐらいいいじゃん』、じゃなくて『最後ぐらい綺麗に終われ』の人だから」

「めんどくせぇ〜」

 

でも、今からじゃ絶対に間に合わんぞ。なんならログアウトだけで終わる。でもこのままログインしたままだとバレるだろうなぁ……そしてセッキョ食らうんだ。

 

「んじゃ、行ってくる。お前さんらとの活動は楽しかったよ。また別のゲームで会おう」

『お疲れ様〜』

 

メニュー画面からログアウトボタンを押す。視界がだんだんと白くなり、接続切断中という文字が表示される。

 

「致命的なバグ……たしかログインとログアウトの時に出るんだったか」

 

何か起こるかもしれんな、そう思っていると、接続切断中の文字がブレ、絶え間なく震え始めた。

 

「あ〜これか。問題なくログアウトできるとは書いてあったけど、これは流石に後味悪いなぁ」

 

一体なんだってこんなバグが発生してんのか……ログアウトしたら少し見てみるかな。

 

画面がブレ続け、プツッという音と共に画面が真っ暗になる。ログアウトは……まだできてないな。ちょっと不安になってきたぞ。

 

「真っ暗だな……文字も出てこない」

 

おいおい、本当に問題なくログアウトできるんだろうな。いや、アイツらもちゃんと強制ログアウトされているのだろうか。こんな状況に陥ってたらとっとこ辺りが泣くんじゃないか?

 

「……しばらく待つか」

 

そのうちログアウトできるだろうとは思いつつ、一抹の不安を抱えながら目を閉じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

『誰かいないのか!?誰でもいいから答えてくれ!気がおかしくなりそうだ!誰か、誰か!』

 

 

 

 

 

 

 

 

土の匂いがする。鳥のさえずりが聞こえる。

 

目を開けると、木々の間に青空が見えた。

 

どうやら私は見知らぬ土地に放り出されているようだ。

 

「……は?」

 

どうなってんでーすかコレェ?

 

題名、どれがいいかな?(締め切り11/13)

  • The Virus
  • 〜仲間に会いたいだけなんです〜
  • 死神さんの異世界めぐり
  • 〜仲間の行方とゲーム世界〜
  • 死神さまの大冒険
  • 〜ゲームから転移しましたが、
  • 自分だけバグって最強です〜
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