死神さまの大冒険 〜ゲームから転移しましたが、自分だけバグって最強です〜 作:サンサソー
見渡す限りの木、木、木。
たま〜に顔を出すのは小鳥などの小動物たち。
ど〜なってんですかコレ。私はログアウトしようとしただけだったのに……変なステージに移動しちまったのかな。
それとも夢か?いや、さっきから感じる匂い、手ざわり……夢にしてはハッキリと捉えられる。これが本当に夢だったとしたら私の頭とんでもないな。
これ、まだゲームの中なのかな。だけど五感は実装してないぞ。何かわかりやすいもの……あ、メニュー画面開けるかな?
「メニューオープン……うわっ」
ブォンッ!という音とともに見慣れた画面が表示された。よしよし、ここはやっぱりゲームの中か……あれ?でも、もう【リベリオンスレイブ】は完全に停止してるはずだけど。
メニュー画面の端にある時刻表示は午前7時18分を指している。もう夜もあけてしまった頃だというのに……別のゲームにでも迷い込んだ?いや、接続されてない限りそんなことはありえない。
「姿は問題ないな。動かせるし……ステータスも見てみるか」
どうせなら全部確認するために、まず手始めにメニューを操作しステータス画面を開く。
プレイヤー名:Rキン
Lv:100
種族:ブラックリーパー
職業:覚醒錬成術士LvMAX
攻撃力:E
防御力:E
敏捷性:E
魔力:A(+)
技巧力:S(++)
運:A
装備
頭:怜悧のモノクル
体:覚醒錬成のローブ・死神の聖衣・黒鉄の翼
アクセサリー:神秘の腕輪・絶技の指輪・黒曜の腕輪・太陽の指輪
スキル
魂の掌握
常闇の儀式
死霊使役
死神の大鎌
超錬金術
超調合術
探知SP
武器錬成SP
防具錬成SP
エンチャント
収納魔法
改めて見てみると完全に拠点支援型だな。戦いには向かないステータス……一人ぼっちの状態である現状、この性能だとかなりマズイ。
一応ブラックリーパーという進化の果てには到達しているが、それでも覚醒錬成術士という職業のせいで大幅にステータスが変更されている。これじゃあ通常職の戦士とかに斬られても大ダメージだ。
覚醒錬成術士は、様々な武器防具やアイテムを作成できる生産系では最上位の職業だ。その代わりにステータスの攻撃力・防御力・俊敏性は著しく低下するが。それでも最低のFランクでないのは装備のおかげだ。
怜悧のモノクル・神秘の指輪・黒曜の指輪は魔力に、覚醒錬成のローブ・絶技の指輪は技巧力に、死神の聖衣は全ステータスに補正をかけ、太陽の指輪は全耐性を補強している。
黒鉄の翼は飾り。ギルマスから渡されて、アバターに合っていたので付けているだけだ。他のギルメンは持ってはいるが付けていない。
外見があまりにも禍々しい。こんな……まんま死神の格好したモンスターが人前に出るのは大丈夫なのだろうか。攻撃されないか心配だ。変身系のアイテムは全てりゅうおうに渡してしまったから姿を変えることもできないし……。
ええい、まずは問題を全て見つけないと!さてさて、次はスキルか。ブラックリーパーのスキルは使うの怖いから後回しでいいかなぁ。その辺のモブにしてみるのもいいかも。
なら他のスキル……って、使えるのは探知SPとぐらいかな。調合の材料を収納魔法で出すのもいいけど、先に周囲の情報を確認しなきゃね。
「スキル『探知SP』発動」
次の瞬間、頭が割れるように痛くなった。
「おっ!?おっおっ!〜〜〜っっ!!」
痛った!痛った!?ヤバい頭が逝く死ぬ死ぬ死ぬぅ!?
暴れ、転げ、のたうち回った。それはもう木にぶつかろうと岩にぶつかろうとゴロゴロゴロゴロ。
「あぶっ!おぶぅっ!す、スキル停止!停止ぃ!」
私の叫びに反応してようやくスキルが停止する。頭がズキズキと痛むが、十分すぎるほどこの辺りのことはわかった。なんならアリが何びきいるのかすら正確に言えるぐらいには。
まったく、アンデッドでも痛覚はあるの?骨なんだし無くても良くないかな!
「あぐ……気持ち悪い…」
痛みの次は吐き気まで…!頭がグラグラする…盲までしてきた…。
「と、とりあえず水……近くに湖があったはずだ……」
フラフラとした足取りで……いや、転がった方が楽だな。受け身も取らずに倒れ、そのまま湖へと転がる。
目は絶対に開けてはいけない。気持ち悪さが回転する景色によってさらに増すからだ。目を閉じれば何とかいける……あ、でもやっぱりキツいかも。
間に合え…間に合わなければオロる。虹色の流動体を見せることになってしまう!……あれ?骸骨なのに吐くものある?込み上げてくるものがあるということは、何か吐けるらしい。いや待て、間に合わないぞこれ。
転がるのをやめて、木に手をつく……ん?木にしては温かいような……まあいい。すまんな木、汚いが少しくらい栄養あるだろ。養分の足しにでもしてくれ。
「カハァァ……」
んん?固形物とかじゃないな。ドロドロでもない、水蒸気みたいなモヤモヤしてる感じ。でも目は開けられない。吐いてるもの見たらさらに気分悪くなりそうだ。耳鳴りも酷いし、早く頭冷やさないと……。
無事に吐き終わり、再び転がり湖を目指す。幸いなことに、すぐそばまで来ていたらしく、回転しながら湖へと入水。水の中を漂いながら痛みと熱に襲われている頭を冷やしていった。
あ゛あ゛〜気持ちいい〜。
少女は山賊に襲われていた。薬草を採取するために、住んでいた村から少し離れるだけのつもりだった。それが、まさか運悪く獣を追っていた山賊と鉢合わせるとは。
「朝飯を追いかけていたと思ったら、とんだ上物がいるとはなぁ!」
「こいつ巫女服来てやがるぜ!てことはまだ初物ってわけだな!」
「カシラぁ!売り飛ばしちまう前にたっぷりと楽しみましょうぜ!」
「あ〜?そうなると買値が少なくなっちまうじゃねぇか……ま、いいや!今回ぐれぇは目を瞑ってやらぁ!」
『ヒャッハー!』
「あ…ああ……」
善性の欠けらも無い悪意。産まれて初めて向けられているソレに、少女は震え何も出来ずにいた。逃げる様子のない少女に気を良くした山賊のカシラは、ニヤケながら手を伸ばし……突然首を掴まれた。
「おっぐ!?」
「え……っ!?」
首を掴みあげた者の姿を目にした少女は、まるで電撃に打たれたかのような感覚に陥った。
その者の姿は、荘厳なローブを纏った骸骨だった。その眼孔と口は赤に染まり、禍々しい雰囲気を纏ってはいるが……神に仕えている身であるからこそわかる、聖なる気配。
「は…ヒィ!?な、何が起こってんだ!?お前らぁ!助けろぉ!」
「か、カシラ?なんで浮いてんだよ!」
怯えた様子の山賊たち。どうやら骸骨の姿が見えていないようだ。骸骨は意に返さず、その口をゆっくりと開けた。中から溢れ出したのはどす黒い瘴気。それはゆっくりと山賊のカシラを包み込んでいく。中からは苦しむカシラの悲鳴が響き渡った。
「カハァァ……」
「た、助けで…だれがぁぁ……げげげ…」
骸骨が腕を下ろすと、カシラがドサッと崩れ落ちた。その顔は干からび、体は黒く変色していた。ピクリとも動かない、死んでいる。
「カシラ、カシラぁ!」
「なんだよ、何が起こってるんだよ!」
真っ先に離れ逃げようとした山賊たちは、次の瞬間にはただの死体へと変わっていた。
骸骨が消え、木々を薙ぎ倒しながら湖へ向かった衝撃に巻き込まれたのだ。自分は座り込み、少し離れていたために無事ではあったが……。
凄まじい水柱を上げた骸骨の姿は湖の中へと消え、後に残されたのは少女ただ1人。ふと倒れた木々で出来た道を目で辿ると、山の中腹辺りが大きく抉れ、そこから湖へと続いていた。
「……もしかして」
まだ小さい頃に、親に神について書かれた本を見せてもらったことがある。
神とは多種多様の存在だ。太陽を司る神もあれば大地を司る神もある。
そんな中で、誰もが嫌悪し恐怖する【死】を司る神もいた。【死神】と呼ばれるその神の姿は、鎌を持った骸骨がローブを被っている状態で描かれていた。
「死神…様……」
わかっている。自分を助けるために山賊たちを殺したわけではない。湖へ真っ先に向かったのが何よりの証拠だ。
でも、そうだとしても。仕えるべき主に命を救われたことが、どうしても嬉しくてたまらない。
「……行ってみよう」
いつの間にか足は湖へと向かっていた。せめて感謝を伝えなければ。何か捧げ物でもしなければ無礼だろうと。
本当はただ吐きそうになって慌てていただけなのだが。少女は死神の向かった湖をただただ真っ直ぐな目で見つめていた。
題名、どれがいいかな?(締め切り11/13)
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The Virus
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〜仲間の行方とゲーム世界〜
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