その名声は何処に響く   作:ガラクタ山のヌシ

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純粋なダートウマ娘ほんと少なくてつらい。


メイセイオペラ是非とも実装してほしいけどなー。

「顔上げでくなんしぇ」

そう言うメイセイオペラの声は自然体そのものだ。

しかし、彼女のトレーナーは未だ顔を上げない。

それだけ謝罪の気持ちが強いのだろう。

「おらは思いっきり走れで、故郷さ錦飾るごどもでぎで、十分だ。

元々表彰されるようなガラでも無えし」

頬を掻きながら照れ臭そうに言う。

「……君は、悔しくないのか?」

「悔しい?なしてだ?」

「中央の所属じゃないからって、実績を無かったことにされて……」

「んだなはん(そうですねぇ)」

メイセイオペラが考え込むような素振りをした直後

「わたしは悔しい!!」

そう言うトレーナーの声は震えていた。

「君は示したんだ。実力を。だからこそその努力は報われて然るべきなのに…」

努力にはそれなりの成果を、そして成果を出したのなら相応の評価もされるべきというのが彼女のトレーナーの信条であり信念だ。

だから、担当ウマ娘の喜びも悲しみも、一緒に真摯になって向き合う。

自身の担当ウマ娘以上の成果を挙げていたウマ娘が中央にいたのならまだ納得もできた。

むしろ、そのウマ娘とトレーナーの努力と実力を手放しで祝福しただろう。メイセイオペラのトレーナーはそう言う人間だ。

しかし、今年に限って言えばそれに該当する対象は居なかった。

ダート戦線を支えていたのはまず間違いなくメイセイオペラだったとトレーナーは胸を張って言える。

されど中央の出した結論は『該当者無し』これの意味するところは今年度に於いてメイセイオペラ以上の結果を出したウマ娘は居ないと認めたうえで、あえて彼女を選考から外したともとれる暴挙。

彼女の努力をすぐ近くで見ていたトレーナーにとってはこれ以上ない侮辱だった。

しかし、その当の本人は悔しそうにするどころか目の前でオロオロと困ったような…いや、実際困っているのだろう言動をするばかり。

普段は穏やかで、しかし真っ直ぐに己を見つめるトレーナーが、こんなにも打ちのめされているのだ。困惑しない方がおかしいだろう。

ウマ娘は本能として走ることが大好きである。

メイセイオペラもまたそう言ったウマ娘のひとりで、最初こそメイクデビュー以降勝ちきれないレースが続き、トレーナーと一緒に悔し涙を流し、八戦四勝というなんとも言えない結果でジュニア級を終え、東北ダービーでレコードを一秒近く塗り替えて重賞初勝利を飾った時は盛岡トレセン学園の皆で勝利を祝った。そして、岩手で行われたダービーに匹敵する不来方賞(こずかたしょう)に二着に1.5秒と言う大差で勝利して偉大なる先輩トウケイニセイの再来と謳われ、この頃には中央からも声がかけられていたがやんわりと断っていた。ひとえに故郷が好きだからと。

その矢先の出来事だった。

彼女が片目を負傷したのは。

ユニコーンステークスに向けての調整中、車通りの少ない道路で遊んでいた子供を庇っての負傷だった。

ウマ娘の頑丈さ故か幸い骨に異常はなく、視力もいずれ回復するだろうとのことで安堵したが大事をとってユニコーンステークスは回避。

土下座する勢いで謝り倒す親子を前に「気にしねぁーでくなんしぇ」と微笑みを浮かべる彼女は本当に心優しいウマ娘なのだとトレーナーは感じたものだ。

幸先の悪いことになったが、それでも彼女は走るのをやめなかった。

怪我が癒え、出たレースは二連続で十着と大敗。

しかし、その後調子を取り戻した桐花賞では地元のシニア級ウマ娘を相手に勝利を飾った。

宿命のライバル、アブクマポーロとの対決所謂『AM対決』は本当に接戦の繰り返しだった。

川崎賞、帝王賞を破れたのを皮切りにメイセイオペラがマイルチャンピオンシップ南部杯で勝てば、アブクマポーロは東京大賞典で勝利する。

メイセイオペラがフェブラリーステークスに出れば、無謀と言う声もありながら終始レースのペースを握って勝利。

彼女のトレーナーが地元の人たちと一緒に歓喜の涙を流したのは言うまでも無い。

メイセイコールと共に「夢をありがとう、感動をありがとう」の垂れ幕を見た時の彼女の笑顔は今もトレーナーの中に鮮明に残っている。

URA史上、たった一人地方ウマ娘でありながら中央G1を制する快挙を成し遂げたその勇姿を、トレーナーは生涯忘れないだろう。

その他にも諸々因縁はあったものの最終的にはメイセイオペラに軍配が上がった、と思うのはトレーナーの贔屓目だろうか?

昔の話に花を咲かせていると、トレーナーが来た時は高かった日がとうに暮れていた。

「長居をしてしまったようだね」

申し訳無さそうにトレーナーが言う。

話をしたら幾分落ち着いたのか、中央に殴り込みをかけかねない程の鬼気迫る雰囲気はもうすっかり鳴りを潜め普段の彼女の知るトレーナーのそれであった。

「まだいづでも来でくなんしぇね」

メイセイオペラがそう言うとトレーナーは落ち着いた様子で、うんと頷く。

再び彼女のトレーナーが詫び、夕飯を一緒に食べて帰っていった。

「………」

メイセイオペラは、眼帯をした方の眼をそっと撫でると再び縁側で今度は綺麗な月を見上げるのだった。

 

 




メイセイオペラってプ○ジェクトXにも出てたんですね。
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