マンハッタンカフェとのお話   作:不敬であるぞ……ウララちゃんは別だ

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念の為諸注意だけ

ウマ娘×担当トレーナー要素があります
全ては妄想です。多少現実との違いがあってもそれは妄想です。細かいところには目をつぶって感想を下さい。


マンハッタンカフェとのお話

 URAファイナルズのトロフィーを勝ち取り、カフェと「お友だち」の関係も見直し、彼女と俺の物語もひと段落した頃のお話。

 


 

 

「ト──ナ──さ──」

 

 誰かの声に呼ばれ、微睡みから引き寄せられる。……彼女のトレーナーになってから就寝中、「何か」に起こされることがままある。睡眠不足を解消をするために盛り塩や消臭剤を撒いたりしているのだが、正直効果が出ているかは疑問である。

 

 まあ無視し続ければ「何か」はいなくなるので、慣れた今ではそのまま二度寝と洒落込むか、アラームのうまぴょい伝説(Ver.マンハッタンカフェ)が鳴るのを待つのだが。

 

「起──いと、イタズラ……しちゃいますよ」

 

 この声はカフェ……? いや、合鍵を持っているトレーナー室ならともかく、寮の部屋に彼女がいるはずが無い。それに以前のたづなさんの件もある。慌てず騒がず落ち着いて、毅然とした態度を取ろう。

 

「……そう、ですか」

 

 諦めて帰ったか? そう思ったのだが、聞こえるのは布ズレの音。……布ズレの音? いつもは足音やら水音やら軋む音やら、「いかにも」という感じの音だがこのパターンは初めてだ。次は一体何が起こるのか、ちょっとワクワクする。

 

「お邪魔します」

 

 次いで起きたのはシーツが捲られ、誰かの温もりが腕に触れる……うん? 「お友だち」にしてもそれ以外にしても、この世の理の外にいるせいか大抵の場合感じるのは強い「感情」や「悪寒」だった。「温もり」を感じたことは無い。

 

「もしかして……カフェ?」

「んッ……おはようございます」

 

 闇夜のような黒髪に月の光を灯した金眼。目を開らけばそこには俺の愛バが! いや、待ってくれ。色々とツッコミを入れなければいけないところがある。

 

「どうやって部屋に?」

「鍵が開いていたので」

 

 そんな訳、と思ったが昨日寮に戻ったのは夜遅く。取材の申し込みやイベントの申請書類などを捌いて疲れていたので鍵を掛け忘れたのかもしれない。

 ……あるいは、自分には見えない「誰か」が開けたのかも。玄関の隅にもきっちりと盛り塩を置いているので、恐らく前者だろう。きっとそう。

 

「……まあそれは一旦置いて、なぜベットの中に?」

「トレーナーさんが起きなかったので」

 

 理由になっていないような。いや、確かにイタズラすると言われた気がしたが、こういうのって普通ラクガキとかじゃなかろうか。

 

「さっき……その、布ズレの音が聞こえたんだがまさかカフェお前……」

「ふふっ…………確認、してみます?」

 

 ……非常に陳腐な表現だが、それはまさに蠱惑の笑み。同時に高等部が出せるレベルじゃない色気を誇っている。その瞳を見ていると、自分の腕がまるで誘蛾灯に誘われる虫のように──

 

 いやいやいやいやいや、考え直せ俺。相手は高等部、未成年。手を出してしまえば同僚や学園生からの白い目は確実……ッ! えっちなのはいけないと思います! 

 

「バカな事を言ってないでベットから降りてくれ」

「……釣れない人ですね」

 

 するりと温もりが離れていけば、しっかりとシャツとズボンは着ていたようだ。だとすれば先程の音は上着を脱いだ音だろうから、本当にただのイタズラだったようだ。

 

「まあ……いいです。チャンスは……いくらでも」

 

 ……本当に、イタズラだよな? URAファイナルズ以降、気負わなくなった彼女は随分とはっちゃけているというか、遠慮しなくなったというか。もちろんそういった変化は歓迎なのだけども。

 

「それよりもトレーナーさん。早く準備を」

 

 準備──そういえば今日は久しぶりの休日、カフェと二人でショッピングへと行く約束をしていた。とはいえ……

 

「いくらなんでも早くないか?」

 

 時計を見れば短針は4の数字を指し示している。ショッピングモールのテナント開店時間は十時からだし、ショッピングモール自体も八時にならないと駐車場すら解放されない。着替えや移動時間を考えても五時間以上あるだろうに。

 

「……楽しみだったので」

 

 ……彼女は意外と子供っぽいところがあるらしい。普段のミステリアスな雰囲気と相まって……こうなんというか、グッと来るものがある。が、しかし。

 

「いやいや、まだ五時間以上もあるんだから自室に戻りなよ」

 

 例えどれだけ俺の愛バが可愛くてもそれはそれ。美浦寮生の無断外泊は──時間的にすごく微妙だが一応──禁止されているし、未成年の女の子が男性の部屋に入り浸りなどと週刊誌にでもタレコミされれば、それこそ色々と面倒なことは避けられない。

 

「いえ、部屋で待機した方が効率的です」

 

 そんな思惑を知ってか知らずか、うきうきの声色で久しぶりのお出かけがよほど楽しみなのだと伝えてくる。

 

「わかったわかった。部屋を好きに使ってもいいから、八時ぐらいまで待機していてくれ。どんなに早く行っても開店が早まる訳でもない」

「……わかりました。すみません……こんな朝早くに、押しかけてしまって」

 

 やめてくれカフェ。急にションボリするのは、俺に効く。やめてくれ。

 

「気にしなくてもいいよ。朝からカフェの元気な顔を見れて嬉しいから。ああ、俺はもう少し眠るから、好きに寛いで」

「……はい!」

 

 ……? なぜベットに腰掛けるのですかカフェさん

 

「カフェさん。なぜベットに戻ってくるのですか」

「……好きに使っていいと言われたので」

 

 いや言ったが。って、あーいけませんお客様! ベットに潜られるのは困りますお客様! 

 

「服がシワになるから……」

「ああ、なら脱げば解決ですね」

 

 辛うじて出した正論も正論で返されてしまう。モゾモゾとベットの中で服を脱ごうとしないで! そんなにトレーナーをメイクデビューさせたいのか! 

 

「わかった! 参ったから! 好きにしていいから脱ぐのだけはヤメテ!」

「ふふふっ……はい、わかりました。寝間着に着替えてくるので……覗いちゃダメ、ですよ?」

「はい……」

 

 ふぅと一息つくと、背後に冷たい気配がした。

 

『テヲ……ダシタラ……』

 

 ……もしも何かの間違いが起きてしまったら、俺は誰にどうされてしまうのか。

 

 それはともかく、可愛らしい猫がプリントされたパジャマで現れたカフェがベットへと潜って来た。ちゃっかりとマイ枕を持っている辺り、最初からここで眠るつもりだったのだろう。慣れない他人の温もりと吐息を感じながら、諦めて自分も微睡みのへと流されて行った。

 

「──おやすみなさい、トレーナーさん」

 

 とりあえず、近いうちに神社か寺で御札でも貰いに行くこう。自室ぐらいはプライバシーを守らないと、後ろから刺されてしまうかもしれない。




カフェとショッピングモールに行きたい……
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