刀使ノ巫女〜錬鉄の英雄の新たなる人生〜   作:橘闘牙

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 遅くなってすみませんでした。
 他のものも延々と遅れてしまっていて、大変申し訳無いです。
 正直に言うと自分、高校生なんです。
 そのため、もう最近は更に忙しくていろいろ大変なんです。
 私事ですが、そこのところご容赦ください。
 簡単な話の流れはもう数話分はできてるんですけど、そこからキャラのセリフを考えるのが、めんど…いえ、大変なんです。
 只の愚痴なので、スルーしてください。
 ストライクウィッチーズに関しては、今年中には後、一、二話は出せると思います。
 


第一話

 

 

 

 窓から差す日の光を浴びて、少年が目を覚ます。

 時計に目をやると、五、六歳の少年が起きるにはいささか早い時間を時計が示していた。一応セットしてあるアラームをOFFにした。

 カーテンを開け、窓を開けて外の風を浴びてから、着替えを持って洗面所へと移動した。そこで顔を洗ってから服を着替え、脱いだパジャマを洗濯かごに入れて、外へと行く。

 

 

「おはよう、士郎。今日も早いね!」

 

 

「おはよう、母さん」

 

 

 少年の名前は士郎。衛宮士郎の生まれ変わりである、衛藤 士郎(えとうしろう)

 

 

―――――――――――――――

 

 

 俺が生まれ変わって、早6年が経過した。

 自分がなぜ、生まれ変わったのかできる限り調べたが、分かっていない。けれど、凛との約束もあることだし、自分の命をできるだけ大事にできるように第2の人生(セカンド・ライフ)を楽しもうと思っている。

 衛藤家は、四人家族で、俺には妹がいる。名前は、衛藤可奈美という。

 そして、先程挨拶したのは俺の母親である衛藤みなと。可奈美の面倒を見て疲れていると思うが、そんな素振りは一切見せずにこうして俺に朝稽古をしてくれている。この稽古が始まったのは五歳の時からだ。

 

 

「おっ、士郎は相変わらず頑張り屋さんだ!えらい、えらい!」

 

 

「ちょっと母さん、恥ずかしいから」

 

 

「むっ、生意気だ!士郎はもう少し甘えてもいいんだよ」

 

 

 かつての衛宮士郎となる前の自分にもこんなひと時が確かに存在したのだろうが、私自身としては初めての経験になる。

 

 

「母さん、それよりももう時間だよ」

 

 

「いけない、可奈美を起こさなきゃ!士郎も準備してね」

 

 

「分かってるよ、母さんもしっかりしてよ」

 

 

「大丈夫、大丈夫。そんな心配しなくても流石にできるよ」

 

 

 そう言って、母さんは可奈美を起こしに寝室に向かって行った。自分は稽古でかいた汗を流しに風呂に向かった。

 風呂から上がると、台所へと向かった。

 

 

「おはよう、士郎。今日も手伝いに来てくれたのか?」

 

 

「おはよう、父さん。そうだよ。可奈美は母さんが起こしに行ったしね」

 

 

「そうか、じゃあテーブルを拭いてきていつも通りの場所にできた料理を並べていってくれ。」

 

 

「わかった。」

 

 

 この人物は俺と可奈美の父親である衛藤厳さん。五歳になってからは手伝いをできるようになった為、朝はこうしている。母さんは……家事ができないとは言わないが、なんと言えばいいか……その上、厳さんは剣を振っている姿の方が美奈都には似合っているという惚気が理由で仕事に出るまでの家事は引き受けていた。

 自分個人としては食事作り自体を行いたい思いではあるが、流石に年齢のためにストップされている。

 

 

「しかし、士郎は真面目だな。今日はお前が主役なんだから休んでてもいいんだぞ」

 

 

「大袈裟だな、……自分が好きでやってるんだから気にしなくて大丈夫だよ。」

 

 

「……ほんと、俺や美奈都からよくこんなしっかりとした子が生まれたもんだ〜」

 

 

 実の息子の前でそんなことを言うのはどうなんだという思いがわずかながら浮かぶが同時に納得してしまうに足る場面もいくつか見ているので…

 

[ガチャ]

 

 そんなことを考えながらも準備が落ち着いたタイミングで扉が開く。

 

 

「ふぁ~、ムニャムニャ。おはよ〜う。おにいちゃん、おとうさん。」

 

 

「あぁ、おはよう。可奈美」

 

 

「おはよう、お母さんはどうした?」

 

 

「う〜ん、おかあさんなら〜」

 

 

「おはよう!」

 

 

「いま〜きたよ」

 

 

 そんな様子に父さんと二人で笑みを浮かべながら、席へ可奈美を促した。

 

 

 

――――――――――――――――――

 

 

 あれから半日。小学校の入学式が終わってからは、お祝いとして外食した。美味しい店だった。

 帰ってからは元気が有り余っている可奈美と遊び、お風呂にいれるとやっと疲れたのかすぐに眠ってしまった。

 そして、全員が寝静まった頃、生まれ変わってから初めて魔術回路を確認する。

 

 

「――同調開始(トレース・オン)

 

 

 肉体損傷無し

 

 肉体年齢6歳

 

 魔術回路27本正常稼働。強化、投影、問題なく使用可能。

 

 新規回路108本を確認、休眠状態。

 

 魔術の使える範囲が大幅に増大。

 

 すべて遠き理想郷(アヴァロン)の存在を確認。魔力行使により稼働開始。

 

 鞘に魔力を流すことにより傷の修復が可能。

 

 

「なんでさ……前からある回路は、経験を引き継いでいるようだな。肉体的に完全には使えないが朗報だな。しかし、108も回路が増えるとはな…」

 

 

 率直に言って驚いた、というのが感想だ。魔術師の存在を確認できなかったため、魔術回路がないことも覚悟していたがどうやら杞憂だったようだ。

 それに加えて、師であった凛以上の魔術回路を授かったことに驚いた。(凛、メイン40本、サブ各30本、合計100本)

 

 

「そして、もう一つがこれか」

 

 

 そう言うと、俺の周りを淡い光が包み込んだ。

 ――この力が判明したのは本当に偶然だった。現実がまだ飲み込めないときに確認のために、霊体化をしようとした際、この現象を発見した。その時は、怪しまれないようにすぐに解除したが。

 

 

「感覚的には、霊体化に近いが完全な霊体というわけではないな。……言わば、半霊体化というべきものか。」

 

 

 この現象が生まれ変わりと同じレベルの謎だ。サーヴァントとしてならまだ、不完全な召喚ということで納得できる……だが、今は受肉している。

 考えるべきことは山ほど存在するが、ふぁ~、肉体に引っ張られているのか睡眠を求めている。成長期真っ只中だし、仕方ない。

 

 

「後のことは、明日だな…」

 

 

 そう言って、家の方へ足を向けた。

 

 翌日も、問題なく一日が過ぎた。そして、考えていく中で新規の回路については肉体がある程度成長するまでは開かないでいくつもりだ。

 

 

 

 

 

 そして、この世界に転生を果たしてから更に3年が経過した。

 朝稽古の中に剣術指導が追加されていた。前世では型に沿った剣術というものには深く触れてこなかったこともあって、とても新鮮だった。今の自分にはかつて欲しった剣の才があるようだ。かつての自分が努力の末に達した剣も更に洗練できると感じている。

 可奈美も母さんと二人でやっている朝稽古の様子を見るようになって、自分だけ仲間はずれみたいに感じたのか3歳になってから(1〜3ヶ月くらい)は「わたしもやる」と参加するようになった。まぁ、そのあと起きれないから自分に起こしてとお願いしてきたが。

 

 

 そんな日々が続いていけばと考えていたある日、母さんが突然入院した。父さんは最初心配ないと言っていたが、自分の中で大きな不安が渦巻いていた。だが、可奈美にはそんな心配をして欲しくなかったため、普段通りに振る舞った。どうか杞憂であってくれと…

 

 父さんがそんな心境を察したのか、数日後には見舞いに俺たちを伴って向かった。最終手段を使うことがなければと思いながら。

 

 ……その願いはある意味で裏切られた。

 

 

「お母さん、大丈夫」

 

 

「あぁ、大丈夫。可奈美こそ元気にしてた。」

 

 

「うん、お兄ちゃんといっしょにけいこがんばってたよ!」

 

 

「そう、士郎も可奈美の相手してくれてありがとうね」

 

 

「あぁ、妹の面倒を見るのは当たり前のことだよ……」

 

 

 その態度で察したのか、母さんは可奈美といくらか話したあとで父さんに可奈美を預けて二人になれる時間を用意してくれた。

 

 

「士郎、それで何かあたしに話すことがあるのかな?」

 

 

「……母さんは、もうそんなに長くないだろ」

 

 

「……はぁー、やっぱり士郎には分かっちゃうか」

 

 

「……それだけ、窶れていたらいや…似たような死を見たことがあるから」

 

 

「そっか、……やっぱり何か隠してたのか」

 

 

「…気づいていたのか」

 

 

「そりゃ、これでも母親ですから。士郎が夜中に部屋から出てなにかしてるのも知ってたよ。」

 

 

「それで原因に心当たりはあるのか?」

 

 

「あるよ、まぁ、昔やったことの代償かな。後悔はないけど」

 

 

「……正直、ただ病気が原因だったら治すすべはあった。だが、その姿を見ただけで自分に打てる手がないことを認識した……」

 

 

「そうなんだ、……そんなこと言うってことは秘密…話してくれるの?」

 

 

「できれば、このことは話すことが無ければいいと思っていた…だが、「ていっ!」な、何を」

 

 

「そんな、辛気臭い顔されてまで知りたい秘密なんてないよ。……私に気を使ってるなら気にしなくてもいいよ」

 

 

「……ふっ、母さんこそそんな寂しそうな顔して説得力ないよ。」

 

 

 かえって、気を使わせてしまったようだ。こっちの様子をしっかりと見ているのだと感じた。

 「(これが、母親か)」

 自分自身、かつてはいたであろうがその様子は一切覚えていないし、触れる機会も今世だけだった。改めて、母親の偉大さに気づかさられた。

 

 

 決心を新たに自身の過去について語り始めた。

 

 

▽ ▽ ▽ ▽ ▽

 

 

 

「…そっか、そんなことだったんだ。」

 

 

「……驚かないのか…」

 

 

「十分驚いてるよ。ただね、過去とかそんなことはどうでもいいの。今は私の自慢の息子であることに違いないからね!」

 

 

 もうすぐ死ぬっていうやつにどんな反応を期待してるだと笑っていた。

 

 

 

 そして、告白と会話から数ヶ月後に母さんは亡くなった。

 

 

▽ ▽ ▽ ▽ ▽

 

 

 その事実は、幼い可奈美にとっては大きすぎるものだった。俺に何度もお母さんはどうしたの?と尋ねてくるのだ。

 いつもはどこか抜けたような部分もある可奈美だが、妙に聡い部分も持っていた。

 だからだろう、そんな不安から自分に問いかけてきているのだというのが分かってしまった。

 

 それは、父さんにも言えることだった。母さんを亡くしたことで前よりも活力が落ちていた。

 

 衛藤家は活気を失ってしまっていた。

 

 母さんの葬式が終わってから、数ヶ月後にはいつも通りの生活に戻りつつあった。

 

 どちらともこれだけすぐ、持ち直したのもやはり母さんあってのものだろう。

 可奈美も悲しみながらも、生前の母さんの言葉に従って稽古に打ち込んでいた。

 

 

▽ ▽ ▽ ▽ ▽

 

 

「士郎、一つ頼みたいことがあるんだ。」

 

 

「……」

 

 

「……その前に一つ聞いていいかな?……士郎は他に秘密を話すつもりはあるの?」

 

 

「軽々しく話せることではない、だから、話さなければならない状況にならない限りは語るつもりはない。……過去のこと以外ならば、語る必要性がでてくるだろうがな…」

 

 

「そう、それなら、頼みごとは二つになるね。」

 

 

「それは…」

 

 

「一つは可奈美のことかな。あの子のことを見守ってあげて」

 

 

「自分の妹なんだ、当然見守っていくつもりだ…守ってほしいとでも言われるのかと思ってたよ」

 

 

「可奈美はそんなに弱くないからね。そんな心配はしてないよ。……それでもう一つは頼みというよりは士郎に一つ約束してほしいことがあるんだ。自分のことを大切にしてってことだね。」

 

 

「……」

 

 

「さっきのことで分かったけど、士郎は過去の夢を追い続けるんでしょ。勿論そのことを止めるつもりはないよ。……ただね、その中に自分のことを勘定に入れてほしいんだ。」

 

 

「確約はできない。…俺は目の前に助けを求める声を聞いたら止まれない…」

 

 

「気に留めておいてくれればそれだけでいいよ。……ただね、士郎が死んだり、傷つくと悲しむ人がいるっていうこと忘れないでね。」

 

 

▽ ▽ ▽ ▽ ▽

 

 

 病室をあとにする前にした最後の会話が頭をよぎる。

 母さんの言うとおり、可奈美は立ち直りつつある。俺が出てから母さんと可奈美が二人だけの時間があった。そのときに何かを言ったのかもしれない。

 

 

▽ ▽ ▽ ▽ ▽

 

 

「お兄ちゃん、早く稽古の続きしようよ!」

 

 

「あぁ、分かってるよ。もう少しで終わるから素振りして待っててくれ。」

 

 

「うん、分かった!早く来てね」

 

 

 母さんが亡くなってから半年が経過した。可奈美は、母さんことに一応の区切りをつけ、前を向いた。

 そして、自身も救われたことを自覚している。あのまま、悲しみの中に可奈美がいたのなら俺は自分自身を許すことはできなかっただろう。

 

 

「お兄ちゃん、はやく、はやく!」

 

 

「あぁ、今行く」

 

 

「(母さん、俺もできるだけ頑張るよ。)」新たなる決意を胸に可奈美の元へと足を向けた。

 

 

 

 

 

可奈美って朝に強い?弱い?(寝起き)

  • 強い
  • 弱い
  • 剣術大会のときのみ強い
  • どちらでもない

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