承太郎が炭治郎を継子にしてから数分後、承太郎の下にアヴドゥルが首下に包みを着けた状態でやって来た。
承太郎はアヴドゥルからその包みを受け取り、その場で開けると、そこにはタロットカードが一組入っていた。
承太郎は早速タロットカードをシャッフルし、炭治郎の前に差し出した。
「炭治郎、お前の
炭治郎は承太郎に言われた通りにカードを一枚抜く。そして全員がそのカードを見る。
「これは…、『太陽』…ですか?」
「そのようだな。それは『太陽』を暗示するカード、そして炭治郎の幽波紋の名が決まった。幽波紋名は《
「《太陽の戦士》…」
炭治郎は『太陽』のタロットカードをジッと見つめていた。
…
……
………
炭治郎の幽波紋名が決まってから数日後、炭治郎は善逸と伊之助の訓練を見ていた。
伊之助はともかく、善逸は以前とは違い、全力で訓練に勤しんでいた。
「炭治郎、二人の様子はどうだ?」
「あっ、師範」
そこに承太郎が様子を見にやって来た。
「今の所順調です。これなら次の段階に行けれそうです」
「そうか。それと、"これ"を胡蝶から預かった。『常中の訓練に使ってください』と言っていたぞ」
承太郎が持ってきた物、それは
「これは…、"
そう、瓢箪だった。
「こいつは只の瓢箪じゃないそうだ。特殊な加工が施されていて、通常の物より硬いんだそうだ。そして
承太郎が伝え聞いたことを炭治郎に説明すると、炭治郎はポカンとしていた。
「まあ想像はできないだろうな。おっ?丁度いい所に。カナヲ!」
承太郎は近くを歩いていたカナヲを呼び止めた。
「ジョジョにぃ、なに?」
カナヲは"トテトテ"と小走りで寄り、呼び止めた理由を聞く。
「悪いなカナヲ。実は胡蝶からこの瓢箪を受け取ってな、それでカナヲには
承太郎はカナヲに呼び止めた理由を説明すると、カナヲは『うん』と一回頷いて瓢箪を手に取った。
カナヲは鼻から大きく息を吸い、瓢箪に口をつけて息を一気に吹き込む。すると
バガッ!
「「!?!?!?」」
瞬く間に瓢箪が破裂した。しかも破裂した音が大きく響き、訓練中だった善逸と伊之助が驚いて承太郎たちの方に向かっていた。
「オイ何だ今の音は!?鬼の攻撃か!?」
「落ち着けよ伊之助!今は太陽が出てるから鬼は出てこないんだよ!炭治郎、さっきの音はなに?」
興奮する伊之助を宥めていた善逸が炭治郎に説明を求めた。
「驚かせてごめん。実は…」
「…っと、言う訳なんだ」
炭治郎が説明をすると、善逸は『なるほど…』と納得していたが、伊之助はまたもや興奮し出した。
「何だそりゃ!?俺もやってみてぇ!」
「慌てるなよ伊之助。ちゃんと伊之助の分もあるから」
炭治郎は苦笑いしながら伊之助に瓢箪を渡した。
すると伊之助はいつも被っている
「…おい、あいつの顔…」
「あはは…、やっぱり驚きますよね…」
「俺たちも最初あいつの顔見た時に驚きましたもん…」
承太郎は伊之助の素顔を見て驚き、炭治郎と善逸は苦笑いをしていた。
…
……
………
その後も伊之助は瓢箪を割ろうと試みるが、一向に割れる気配がしなかった。
「クソッ、全然割れねぇぞ!おい紋次郎、お前やってみろ!」
伊之助は自分が使っていた瓢箪を炭治郎に投げ渡した。
「おっと。う~ん、出来るかなぁ…?|
炭治郎は鼻から息を吸い込み、瓢箪に口をつけて息を吹き込んだ。
バガンッ!
すると一瞬の内に瓢箪が粉々に砕け散った。
「炭治郎…、凄い…」
カナヲは炭治郎がやったことに驚いていた。
余談ではあるが、炭治郎とカナヲはお互いに片思い中である。何故かと言うと、最終選別の時に炭治郎とカナヲは偶然ではあるが終始一緒に行動していたからだった。
その時に炭治郎はカナヲに
「人は心が原動力だから、心はどこまでも強くなれるよ」
と言ったのだ。その時に炭治郎はカナヲの手を掴んで話していたため、カナヲは炭治郎に恋心を抱くようになったのだ。
因みに禰豆子も炭治郎とカナヲの二人と一緒に行動していたのだが、先程の炭治郎の台詞を聞いた途端、頭を抱えてしまった。
と言うのも、炭治郎に片思いしているのはカナヲだけでは無く、雲取山の麓の村娘全員に加え、実の妹である禰豆子自身も炭治郎に片思いしているのである。(第9説《移動》の中の恥ずかしがり様はこれが原因である)
なので、禰豆子にとっては『恋敵が増えた』ことになり、心中穏やかでは無いのだった。
話を元に戻すが、炭治郎が瓢箪を破裂させた音を聞いたメンバーが続々と中庭に集まって来た。
「おいおい、何だよ今の音?」
「何かが破裂したような音だったが…?」
「一体何の音ですか?」
ポルナレフ、花京院、しのぶの他に、カナエ、ジョセフに玄弥、アオイになほ、すみ、きよ、竹雄に茂、花子、珠世に愈史郎が集まって来たのだった。
「みんな、騒がせてすまない。実は…」
「…と言った訳なんだ」
承太郎が説明をすると、集まったメンバーは納得した。
「でも、それだけであんな大きな音がしますか?」
「だけどあの大きな音がするのも納得よしのぶ?見てこれ、瓢箪の欠片が粉々になっているわ」
カナエが指差した所を見ると、瓢箪の欠片が幾つも転がっていた。だが、その欠片の大きさは大小様々だった。
「恐らく大きい欠片はカナヲが割った物、そして小さい欠片は炭治郎君が割った物…。違うかしら?」
カナエが炭治郎とカナヲに確認すると、二人は同時に頷いた。
「やっぱりね。炭治郎君、あなた既に常中を会得しているわね?」
「ええ。父さんから『疲れない呼吸の仕方』と言うのを教わりまして、それが『日の呼吸』であることも珠世さんから教わりました」
炭治郎は包み隠さず正直に話し、カナエは納得した。その後カナエは炭治郎に訓練中の手本を見せることを禁止させた。
…
……
………
それから一週間後に善逸が、その日から遅れて3日後に伊之助が常中を会得した。
そしてこの日は二人の常中会得を祝してご馳走を振る舞うために承太郎と炭治郎、そしてポルナレフとイギーの四名で食材の買い出しに市中へと出向いていた。
「おや空条さん、お久しぶりですね」
すると、以前出会った『テレンス・T・ダービー』が承太郎に声をかけてきた。
「あぁっ!?お前はDIOの館にいた…」
「おやポルナレフさんもおりましたか」
ポルナレフはテレンスがいることに驚き、テレンスはポルナレフがいることに初めて知った感じだった。
「テレンス、どうした?」
「ウホッ?」
そこにテレンスの兄の『ダニエル・J・ダービー』とオランウータンの『フォーエバー』が現れた。
「あぁ兄さんにフォーエバーか。いやなに、"知り合い"を見かけたのでね」
「んん?おや、これはこれは空条さんじゃありませんか」
「俺もいるぞ!」
「失礼、ポルナレフさんもおりましたか」
ダニエルも今ポルナレフに気づいた感じで挨拶をした。
「俺ってそんなに影が薄いか…?」
「あ…、あはは…」
ポルナレフはその場に踞り、地面に"の"の字を書き始めた。その光景を見た炭治郎は苦笑いを浮かべていた。
「それより、お前たちはさっきまで何処にいたんだ?」
「私たちは遊郭の方へ出向いていました」
承太郎はダニエルたちに質問をすると、ダニエルはあっさりと答えた。
「我々が行っているゲームで、借金を踏み倒した者たちがいましてね。取り立てが我々の所にも来てしまう始末なのです」
「そこで、負けたら遊郭で強制労働と称して"最後のゲーム"をしたのです」
「そしたら案の定、彼らはゲームに負けましたので、遊郭で借金の全額を支払ってもらい、支払った分無報酬で働くことになりました」
「なるほどな…、そして引き取ったその帰りに俺たちを見つけ、声をかけた訳…か」
承太郎の予測にダニエルたちは頷いた。
「ところで、皆さんはこれからどちらに?」
「俺の仲間が"とある訓練"を終了したのでな、その祝いにご馳走を振る舞おうと思って市井まで買い出しにな」
「なるほど…、…ふむ、フォーエバー、"2つ"だ」
「ウホッ!」
テレンスは承太郎に質問をし、承太郎がそれに答えると、ダニエルが何か考え込み、フォーエバーに指示を出す。フォーエバーは敬礼をすると、持っていた風呂敷を広げ、その中にあった箱を2つ、ダニエルに渡した。
「空条さん、もし良ければこちらをお受け取りください」
ダニエルが差し出したのは未開封のトランプの箱だった。
「……どういうつもりだ?」
承太郎は警戒心を露にすると
「別に他意はありません。これはちょっとした"お祝い"です、ひょっとしたら以前渡したトランプが好評ではないかと思いましてね」
意表を突いたダニエルの予感に承太郎は眼差しを鋭くした。
「……まあいい。こちらも遊ばせてもらっている身だ。ありがたく受け取っておこう」
実は承太郎は任務が無い日にはちょこちょこダニエルたちの下を訪れてはポーカーやババ抜き等で遊んでいたのだった。
因みに勝率は承太郎が9割を越えており、負けるのは三回に一回程度である。
話を戻して、承太郎はダニエルからトランプを二箱受け取り、羽織代わりにしている制服の上着のポケットに入れた。
「ありがとうございます。これからもご贔屓に」
ダニエルたちは承太郎たちから離れ、承太郎たちは買い出しを再開した。
善逸たちの好物は事前に聞いていたため、承太郎たちの買い出しはすんなりと終わった。そしてその夜、葵枝やアオイと言った料理が得意な人が食材を調理し、いつもより豪勢な料理が食卓を並んだ。
善逸と伊之助は我先にと料理に手を伸ばし、その旨さに感動していた。