ジョジョの奇妙な鬼殺の冒険   作:レイファルクス

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第12説《合同》

 

 

善逸と伊之助が全集中・常中を会得してから一週間が経過した時、アヴドゥルが承太郎の前に舞い降りた。

 

 

「承太郎、任務だ。"無限列車"と呼ばれる汽車で乗客、隊員合わせて四十名以上が行方不明となっている。そこで炎柱と共に調査せよとの仰せだ」

 

 

アヴドゥルは任務の詳細を承太郎に伝えると、承太郎は『了解した』とだけ言い、準備を整える。

 

 

「師範、任務ですか?」

 

 

そこに炭治郎がなほたちを連れた状態で現れた。

 

 

「ああ。"無限列車"と呼ばれる乗り物に乗っていた客たちが消えたらしいからな、もう一人の柱との合同任務となった」

 

 

「…あの、師範。もし良かったら俺も任務について行ってもいいですか?」

 

 

承太郎が任務の詳細を炭治郎に伝えると、炭治郎が同行したいと申し出た。

 

 

「……いいぞ。行きたいなら早く支度をしな」

 

 

「はい!」

 

 

承太郎は同行を許可し、炭治郎は急いで支度を整えるためにその場を去った。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

「うおおぉぉぉ~~っ、何だありゃ!?」

 

 

準備が整った承太郎と炭治郎は善逸と伊之助を連れて無限列車が停車している駅に着いていた。

 

 

尚、善逸と伊之助がついて来た理由は二人が炭治郎と話している時に炭治郎が任務のことを話してしまい、勝手について来たためである。

 

 

「嘴平、あれが人を乗せる乗り物、列車だ。アヴドゥル、炎柱は何処にいる?」

 

 

「仲間の鴉からの情報だと、既に列車に乗っているそうだ」

 

 

承太郎は列車を初めて見た伊之助を宥めながらアヴドゥルに杏寿郎が何処にいるのかを聞くと、アヴドゥルは仲間の鴉からの情報を伝えた。

 

 

「そうか、なら切符を「必要無いぞ」…何?」

 

 

「切符なら事前に用意しておいたぞ」

 

 

承太郎が切符を買いに行こうとすると、アヴドゥルが翼の中から切符を"五枚"取り出した。

 

 

「こういうこともあろうかと、事前に用意しておいたのだ」

 

 

アヴドゥルは承太郎に切符を渡し、承太郎は炭治郎たちにその切符を配った。

 

 

ジリリリリリリ……

 

 

「そろそろ列車が動く時間のようだな。急いで乗り込むぞ」

 

 

承太郎が切符を配り終えたと同時に発車のベルか鳴ったので、承太郎たちは急ぎ足で列車に乗り込んだ。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

「なあ炭治郎、今回の任務で一緒に行動する柱って、誰なんだ?」

 

 

「炎柱の煉獄杏寿郎さんだよ。かなり特徴的だから、一目見ればすぐ分かるよ」

 

 

無事列車に乗車した承太郎たちは、杏寿郎を探しに客車を移動していた。すると

 

 

「うまい!うまい!うまい!うまい!」

 

 

駅弁を食べながら『うまい!』を連呼している人を見つけた。

 

 

「……ねぇ炭治郎、まさかあの人が…」

 

 

「ああうん、炎柱の煉獄杏寿郎さんだよ」

 

 

「ただの食いしん坊じゃなくて?」

 

 

「…うん」

 

 

善逸は炭治郎に何度も確認をしたが、未だに信じられなかった。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

「見苦しい所を見せてすまなかった!」

 

 

「いえ別に気にしてませんから」モグモグ

 

 

「そうですよ」モグモグ

 

 

「ガッハッハッ!こりゃうめぇや!」ガツガツ

 

 

承太郎たちに気づいた杏寿郎は一旦箸を置き、承太郎たちを座らせた。そして自分が食べていたのと同じ『牛鍋弁当』を全員に配った。

 

 

「ところで、今回の任務は師範と煉獄さんとの共同とお聞きしたのですが?」

 

 

「うむ、数週間前にこの列車に乗っていた乗客が忽然と消えた。そして調査に向かった隊員も全員消息を断った。これは鬼、それも十二鬼月の仕業かもしれないとのことで、柱である俺が出向いたと言う訳だ」

 

 

「そして柱の仕事を教える名目で、空条青年にも来てもらったのだ」

 

 

杏寿郎が詳細を説明すると、炭治郎と善逸は納得していた。

 

 

「切符…、拝見…します」

 

 

そこに車掌が現れて、切符を拝見しようとした。

 

 

「車掌さん、こっちに俺たち全員分の切符がある。切り込みを頼む」

 

 

そこに承太郎が切符を"五枚"差し出した。車掌は承太郎から切符を受け取り、切り込みを入れた。

 

 

「拝見…しました…」

 

 

車掌は切り込みを入れた切符を承太郎に渡し、前の車両に移動した。

 

 

「……炭治郎、どう思う?」

 

 

「えっ?どうって…」

 

 

炭治郎は承太郎の質問の意味が分からず、困惑してしまった。

 

 

「車掌の目の下の(くま)だ。普通なら終着駅や途中の駅で交代して仮眠などを取るはずなんだが、あの車掌はまるで"何日も眠っていない"感じだった。もしかしたら、"何か"あるのかもな…」

 

 

承太郎の説明に炭治郎は固唾を飲んだ。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

『あれぇ?君たちは眠っていないのかいぃ?』

 

 

車掌が切符に切り込みを入れてから数十分後、突如何処からともなく声が聞こえたため、承太郎たちは臨戦体制を取った。

 

 

『おかしいなぁ?確かに君たちの切符に切り込みが入ったはずなのに?』

 

 

実はアヴドゥルが渡した切符は"偽物"であったのだ。

 

 

『まぁいいや。君たちがそこで寛いでいる間に、俺はこの列車と"融合"したんだ!』

 

 

『今やこの列車は俺の"血"であり"肉"であり"骨"となった。俺に乗客"二百人"余りを、おあずけさせることができるかな?』

 

 

謎の声はそれっきり聞こえなくなった。

 

 

「よもやよもや、寛いでいる間にそのような事態になっていようとは。柱として不甲斐なし!穴があったら入りたい!」

 

 

「煉獄、今は嘆いている暇は無いぞ。炭治郎!嘴平と一緒に"鬼の頚"を探せ!奴が鬼である以上、必ず何処かに"急所"はある!客車は俺と煉獄、我妻の三人で守る!」

 

 

杏寿郎は自分の不甲斐なさに嘆き、承太郎は杏寿郎を励ましながら炭治郎に指示を出す。炭治郎は頷きながら伊之助と共に客車の上に上がった。

 

 

「伊之助、頼む!」

 

 

「任せろ!『我流 (けだもの)の呼吸 (しち)ノ型 空間識覚(くうかんしきかく)』!」

 

 

伊之助は刀を客車の屋根に突き刺し、屈んだ状態で両手を広げた。すると

 

 

「!!見つけたぜ、コイツの急所!"一番前"だ!」

 

 

列車と融合した者の急所を見つけた。

 

 

伊之助は他の人よりも"感覚"が鋭敏であり、気配を探るのに長けているのだ。しかし服を着ている状態では、感覚が鈍り、型を使っても気配を探ることができないので、常に上半身裸の状態でいるのだ。

 

 

「一番前…、先頭車両か!炭治郎、今の話は聞こえていた!俺たちに構わず行け!」

 

 

「はいっ!」

 

 

承太郎は炭治郎に先に進むよう伝え、炭治郎は伊之助と共に客車の屋根を伝って先頭車両を目指した。

 

 

「空条青年!この列車は八両編成だ!俺は後方四両を守る!君たちは前方四両を頼む!」

 

 

「分かった。我妻、一両目を頼む。俺は二両目から四両目を担当する」

 

 

「分かりました。…空条さん、煉獄さん。ご武運を」

 

 

善逸は一足先に自分の担当する車両へと向かった。

 

 

「煉獄…、頼むぞ」

 

 

「ああ、任された!」

 

 

承太郎と杏寿郎は互いに頷き合い、承太郎は自分が担当する車両へと向かった。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

「くっ、こうも多いと全集中の呼吸が使えないのが堪えるな」

 

 

承太郎は三両目の中央で戦いながら愚痴を溢していた。すると

 

 

ギャアアァァァ~~~!!!

 

 

「うおっ!?」

 

 

突如悲鳴が聞こえ、客車が揺れだした。

 

 

「今の悲鳴…、炭治郎たちが急所を斬ったのか!しかし…、この揺れ…下手をすれば、脱線するぞ!」

 

 

承太郎は悲鳴と揺れの正体を勘ぐるが、揺れが酷く、真面(まとも)に立っているのがやっとだった。

 

 

しかし、考えていた"最悪の事態"が訪れてしまった。

 

 

ガタンッ

 

 

「っ?!、列車が脱線したか!?《星の白金(スタープラチナ)》!」

 

 

《オラァ!》

 

 

承太郎は《星の白金》を出し、まだ眠っている乗客を出来る限り抱え、窓から外に出た。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

「……ふぅ、なんとかなったか。やれやれだぜ…」

 

 

承太郎は脱線した列車を見てため息を一つ吐いた。

 

 

「おお空条青年!無事だったか!」

 

 

そこに杏寿郎が駆け寄って来た。

 

 

「なんとかな。そっちも無事なようだな」

 

 

「うむ!脱線する時に出来るだけ型を繰り出して衝撃を和らげたからな!俺は竈門少年の所へ向かう!残っている人の救助を頼んだ!」

 

 

杏寿郎はそれだけ言って先頭車両の方へ向かい、承太郎は車両に残った人の救助に向かった。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

「ふぅ…、これで全員か」

 

 

承太郎は自分が担当していた車両の乗客を全員、客車の外に連れ出した。

 

 

ドオオォォォン…

 

 

「!?、何だ!?」

 

 

すると遠くから"何か"が地面に着弾したかのような音と振動がした。

 

 

「発信源は…、向こう。先頭車両の方か」

 

 

承太郎は《星の白金》を通して炭治郎たちがいる方を見る。すると

 

 

「あれは…、不味い!」ダッ

 

 

承太郎は"あるもの"を見た瞬間、一目散に駆け出した。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

承太郎が駆け出す少し前、先頭車両から少し離れた所に炭治郎は仰向けの状態で寝転がっていた。

 

 

「全集中の常中が出来ているようだな!感心感心!」

 

 

そこに杏寿郎が顔を覗かせた。

 

 

「煉獄さん…」

 

 

「腹から出血してはいるが、"止血の呼吸"も行えてるようだな。全集中の呼吸を極めれば、何でも出来る訳では無いが、確実に昨日よりも強くなれる」

 

 

杏寿郎は炭治郎を褒めると、優しく頭を撫でた。

 

 

ドオオォォォン…

 

 

すると二人の近くで土埃が舞った。二人は何事かと思い、土埃が舞う方へ顔を向けると、そこには一体の鬼がいた。

 

 

その鬼の瞳には右目に"上弦"、左目に"弐"の文字があった。

 

 

「(あれは…、鬼?それも…上弦の弐…)」

 

 

炭治郎は突如現れた鬼を見ていると、その鬼は炭治郎に向けて拳を振りかざしていた。

 

 

『炎の呼吸 弐ノ型 昇り炎天』

 

 

しかし、その拳は炭治郎には届かなかった。何故なら、杏寿郎が抜刀しながら鬼の拳を腕ごと斬っていたからだった。

 

 

鬼はすかさず炭治郎たちから距離を置き、斬られた腕を再生させ

 

 

「いい刀だ」

 

 

腕に残った血を舐めた。

 

 

「(再生速度の速さ…、この圧迫感と凄まじい鬼気。これが上弦)何故手負いの者から狙うのか、理解出来ない」

 

 

杏寿郎は鬼から溢れ出る気迫に警戒しながら炭治郎を襲った理由を問い質す。

 

 

「話の邪魔になると思ったからだ。俺とお前の」

 

 

鬼はあっけらかんと答える。

 

 

「俺が君と何の話をする?初対面だが俺は既に君のことが嫌いだ」

 

 

杏寿郎は鬼と話はしないと突っぱねる。

 

 

「そうか。俺も弱い人間が大嫌いだ。弱者を見ると虫酸が走る」

 

 

「俺と君とは物事の価値基準が違うようだ」

 

 

「そうか、では素晴らしい提案をしよう。"お前も鬼にならないか"?」

 

 

鬼は杏寿郎に鬼になることを提案する。

 

 

「ならない」

 

 

しかし杏寿郎はそれを即座に断った。

 

 

「見れば解る、お前の強さ。柱だな?その闘気、練り上げられている。至高の領域に近い(・・・・・・・・)

 

 

「俺は炎柱、煉獄杏寿郎だ」

 

 

「俺は猗窩座(あかざ)。杏寿郎、なぜお前が至高の領域(・・・・・)に踏み入れないのか教えてやろう」

 

 

「"人間だから"だ、"老いるから"だ、"死ぬから"だ。鬼になろう杏寿郎、そうすれば百年でも二百年でも鍛練し続けられる、強くなれる」

 

 

猗窩座は尚も杏寿郎を勧誘する。

 

 

「老いることも死ぬことも、人間という儚い生き物の美しさだ。老いるからこそ死ぬからこそ、堪らなく愛おしく、尊いのだ」

 

 

「"強さ"というものは肉体にのみ使う言葉では無い」

 

 

だが杏寿郎は『人間とはどういうもの』なのかを語った。

 

 

「この少年は弱くない、侮辱するな。何度でも言おう、君と俺とでは価値基準が違う」

 

 

「俺は如何なる理由があろうとも、鬼にはならない」

 

 

杏寿郎は改めて猗窩座の勧誘を断った。

 

 

「そうか」

 

 

『術式展開 破壊殺・羅針』

 

 

すると猗窩座は足下に雪の結晶のようなものを出し、構えた。

 

 

「鬼にならないなら殺す」

 

 

『炎の呼吸 壱ノ型 不知火』

 

 

そして猗窩座と杏寿郎は同時に飛び、互いの距離の中央で衝突した。

 

 

「今まで殺してきた柱に炎はいなかったな、そして俺の誘いに頷く者もいなかった。なぜだろうな、同じ武の道を極める者として理解しかねる!選ばれた者しか鬼になれないというのに!」

 

 

「素晴らしき才能を持つ者が醜く衰えてゆく。俺はつらい、耐えられない。死んでくれ杏寿郎、若く強いまま」

 

 

『破壊殺・空式』

 

 

猗窩座は空中で虚空を殴ることで、その場の空気を飛ばす。

 

 

『炎の呼吸 肆ノ型 盛炎のうねり』

 

 

だが杏寿郎は打ち出された空気を全て斬り落とした。

 

 

「(虚空を拳で打つとこちらまで来る、一瞬にも満たない速度。このまま距離を取って戦われると、頚を斬るのは厄介だ。ならば近づくまで!)」

 

 

杏寿郎は猗窩座が着地する瞬間に一気に近づいた。

 

 

「この素晴らしい反応速度」

 

 

そして猗窩座は拳、杏寿郎は刀で打ち合う。

 

 

「この素晴らしい剣技も失われてしまうのだ杏寿郎、悲しくはないのか!!」

 

 

「誰もがそうだ、人間なら!!当然のことだ」

 

 

そこに承太郎が炭治郎の側に到着した。

 

 

「炭治郎、大丈夫か?」

 

 

「師範…、はい。腹を刺されましたが、止血の呼吸を使って出血を止めています」

 

 

「そうか、なら今は動かないことだ。動けば傷口が開いて致命傷になるぞ」

 

 

承太郎は炭治郎がしようとしていたことを見透かし、その場で待機させた。

 

 

『破壊殺・乱式!!!』

 

 

『炎の呼吸 伍ノ型 炎虎!!!』

 

 

猗窩座と杏寿郎の戦いは熾烈を極めたが、そこは鬼と人間。徐々に優劣が別れてきた。

 

 

杏寿郎の技の切れが衰えてきたのだ。それもそのはず、杏寿郎は自分だけに意識させるために全力で猗窩座の相手をしていたのだ。

 

 

いくら全集中の呼吸の常中をしていても、疲労だけはどうしようも無い。

 

 

杏寿郎は疲労のせいで猗窩座の技を捌き切れなくなっていたのだ。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

「生身を削る思いで戦ったとしても無駄なんだよ杏寿郎。お前が俺に喰らわせた素晴らしい斬撃も既に完治した」

 

 

「だがお前はどうだ?潰れた左目、砕けた肋骨(あばらぼね)、傷ついた内臓。もう取り返しがつかない。鬼であれば瞬きする間に治る、そんなもの鬼ならばかすり傷だ」

 

 

「どう足掻いても人間では鬼に勝てない」

 

 

「それはどうかな?」

 

 

そこに承太郎が杏寿郎の側に寄り添った。

 

 

「煉獄、ここからは俺が戦おう」

 

 

「空条青年…」

 

 

承太郎は杏寿郎に肩を貸し、炭治郎の側に杏寿郎を座らせた。

 

 

「貴様の闘気…、杏寿郎よりも練り上げられている。俺は猗窩座、お前の名は?」

 

 

「俺は空条承太郎、鬼殺隊の柱だ」

 

 

「承太郎、鬼にならないか?そうすればいくらでも強くなれるぞ?」

 

 

猗窩座は承太郎に鬼になることを提案する。

 

 

「断る。俺は鬼になる気は毛頭も無い」

 

 

だが承太郎もまた猗窩座の誘いを突っぱねた。

 

 

「…そうか。なら殺す」

 

 

猗窩座は破壊殺・羅針を展開し、承太郎に襲い掛かる。

 

 

《オラァ!》

 

 

「グハァッ!?」

 

 

しかし《星の白金》が猗窩座の顔を横から殴った。殴られた猗窩座はそのまま吹っ飛び、列車に体を強打させた。

 

 

「(なっ…、何だ今のは!?承太郎は殴る素振りすら見せなかった!だがいきなり誰かが横から俺の顔を殴りやがった!)」

 

 

猗窩座はズルズルと列車から滑り落ちながら状況を把握しようとしていた。

 

 

《オラァ!》

 

 

「グホッ!?」

 

 

だが目の前(猗窩座当人には見えていない)に《星の白金》が接近し、猗窩座の腹を殴った。

 

 

《オラオラオラオラオラオラオラオラ、オラオラオラオラオラ、オ~ラァ!オラオラオラオラオラ、オラオラオラオラオラ、オラオラオラオラオラ、オラァ!!》

 

 

そこからは承太郎、いや、《星の白金》の独壇場だった。

 

 

《星の白金》は自身が持つ最高速度のラッシュを猗窩座に浴びせた。当然猗窩座は抵抗できるはずも無く、殴られ続けられた。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

「ハァ…、ハァ…、ハァ…、グホッ」

 

 

《星の白金》のラッシュが終わった時、猗窩座は満身創痍の状態だった。

 

 

上弦の鬼は再生速度が速く、殴られたその時に再生するのだが、《星の白金》のスピードが再生速度よりも速かったため、再生が追い付いていなかったのだ。

 

 

「どうした?俺を殺すんじゃなかったのか?」

 

 

承太郎は猗窩座に近づきながらあからさまな挑発をする。

 

 

「クソッ!」

 

 

『破壊殺・滅式』

 

 

挑発に乗ってしまった猗窩座は承太郎に向けて拳を振るう。

 

 

《オラァ!》

 

 

しかし《星の白金》が迎撃し、猗窩座の拳が砕かれてしまった。

 

 

「グッ(何なんだコイツの強さは!?一撃一撃が異様に重い、まるで"時を止められて"いるかのような衝撃だ!)」

 

 

猗窩座は満身創痍の体を再生させながら承太郎の強さを憎んでいた。

 

 

すると

 

 

「!?(朝日…だと!?クッ、時間を掛け過ぎたか!)」

 

 

東からゆっくりと朝日が差し込んでいた。

 

 

「承太郎、勝負はお預けだ。次に会う時は必ず殺す!」

 

 

猗窩座はそう言って近くの森に逃げた。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

「師範、追わなくていいんですか?」

 

 

「今追うのは得策では無い。俺は怪我人を放っておくほど薄情な男では無いからな」

 

 

承太郎は猗窩座を追いかけようとはせず、その場に立っていた。

 

 

「さて、そろそろアヴドゥルが隠の者たちを連れてくる頃だから、俺たちはできる限りの応急措置をしておこうか」

 

 

承太郎は杏寿郎や乗客といった怪我人を手当てするために、移動を開始する。

 

 

そしてその数十分後にアヴドゥル先導の下、隠の者が到着し、杏寿郎を始めとした怪我人の手当てを始めるのだった。

 

 

 

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