ジョジョの奇妙な鬼殺の冒険   作:レイファルクス

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第16話

 

 

まきを(・・・)さん、大丈夫かしらね?」

 

 

「部屋に閉じ籠って出て来ないけど」

 

 

「具合が悪いって言ったきり病院にも行かないし。そろそろ女将さんに引きずり出されちゃうわよ」

 

 

「私今ご飯持って行ってあげたのよ、とりあえず部屋の前に置いてきたけど」

 

 

ここは伊之助が潜入している"荻本屋"。その廊下の角で伊之助は聞き耳を立てていた。

 

 

「("まきを"!宇随の嫁だ、やっと名前を聞けたぜ)」

 

 

伊之助は探していた天元の嫁の一人であるまきをの名前を聞き取った。

 

 

「(具合が悪い……、それだけで連絡が途切れるか?行ってみるか。さっきの女はこっちから来たな)」

 

 

伊之助はまきをの部屋を目指して歩き始めた。

 

 

「(暑い!脱ぎたいぜ脱ぎたいぜ!こんな着物(モン)着てたら感覚が鈍って仕方ねぇ!)」

 

 

『いいか伊之助、お前は店に入ったら一切"声を出すな"。男だってバレるからな。任務が無事終了したら、お前の好物を腹一杯食わせてやるからな』

 

 

伊之助は触覚が獣のように鋭く、鬼の気配などを察知できるのだが、それは"上半身が裸"の時のみである。

 

 

服を着ていると、持ち前の触覚が普段より衰えてしまうので、伊之助は普段から上半身裸になっているのだ。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

『さぁさ、答えてごらん。お前は誰に手紙を出していたの?何だったかお前の名前?ああそうだ、"まきを"だ、答えるんだよまきを!』

 

 

その頃、まきを当人は"何者"かに帯で捕まっていた。

 

 

「(情報を……、伝えなくては。他の二人とも連絡が取れなくなってる。何とか外へ…、早く…、あの人の所へ……。天元様……)」

 

 

まきをは今の状況を打破するための策を考えていた。

 

 

『また誰か来るわね。荻本屋はお節介の多いこと』

 

 

「ぐっ…」

 

 

"何者"は誰かが部屋に近づく気配を感じると、舌打ちしてまきをを帯で吊るした。

 

 

『騒いだらお前の臓物を捻り潰すからね』

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

その頃伊之助はまきをがいる部屋の近くまでたどり着いていた。

 

 

「(妙だな、妙な感じだ。今はまずい状況なのか?分からねぇ…)」

 

 

伊之助は廊下の壁に背を預け、まきをの部屋を覗いていた。

 

 

「(あの部屋…、まきをの部屋。ぬめっとした気持ち悪ィ感じはするが……、……)」ダッ

 

 

『!!』

 

 

伊之助は意を決してまきをの部屋に近づき、襖を開けた。

 

 

ヒョオッ

 

 

しかし、部屋にはまきをはおらず、部屋の中は布団がズタズタに裂かれ、壁には何かに斬られたような傷があり、窓も開いてないのに"風が吹いた"。

 

 

「(風…、窓も開いてないのに…。!)」

 

 

伊之助は窓が開いてないのに風が吹いたことに違和感を感じ、"あること"に気づいた。

 

 

「(天井裏!!やっぱり鬼だ!今は昼間だから上に逃げたな!)」

 

 

伊之助は部屋の外に置かれていた丼を掴むと

 

 

「おいコラ、バレてんぞ!!」

 

 

天井に向けて丼を投げた。

 

 

パギャッ

 

 

ドッ バタバタバタバタ ギシッ ギシッ ギシッ ギシッ ドンッ

 

 

投げた丼は天井に当たった瞬間に割れると、"何者"かが天井裏を駆け回り、上から降りた。

 

 

「逃がさねぇぞ!!」

 

 

鬼が逃げたと思った伊之助は音を頼りに追いかけた。

 

 

「(どこに行く!?どこに逃げる!?天井から壁を伝って移動するか?よし、その瞬間に壁をブン殴って引きずり出す!!)」

 

 

伊之助は持ち前の触覚で鬼が通るであろう壁を見据える。

 

 

「(ここだ!!)」

 

 

ヒョイッ「おおっ、可愛いのがいるじゃないか」

 

 

伊之助が壁を殴ろうと拳を振り上げた瞬間、側の部屋から男性が顔を覗かせた。その瞬間

 

 

ゴッ バギャッ

 

 

伊之助は壁を男性の"顔ごと"殴った。壁は男性の顔が緩衝材となったせいか、罅が入るだけに終わった。

 

 

「キャーッ!?」

 

 

「殴っちゃった!?」

 

 

「(クソッ、しくじった!下に逃げてる!)」

 

 

女性たちが騒ぐ中、伊之助は鬼が下に逃げてることを察知し、後を追いかける。

 

 

「(こっちか!こっちだ!…いやこっち、チクショウ気配を感じづらい!)」

 

 

伊之助は店の中を探し回るが

 

 

「見失ったァァ、クソッタレぇぇ!!邪魔が入ったせいだ…!」

 

 

鬼の気配を感じなくなり、歯ぎしりをした。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

「(何か俺、自分を見失ってた……。俺は宇随さんの嫁の雛鶴さんを探すんだったよ。三味線と琴の腕上げても意味無いんだよ)」

 

 

一方こちらは京極屋。その中を善逸は一人彷徨い歩いていた。

 

 

「(でもなぁ、どうしよ?ずっと聞き耳立てているけど、雛鶴さんの情報が無いな。二日前に死んだのって、店長の奥さんだったかな?そのせいでみんな暗いし、口が重いな…)」

 

 

善逸は持ち前の聴力で周囲の音を拾う。

 

 

『アレとってアレ!』

 

 

『もうおなかすいたわ』

 

 

『帯が無いのよ!』

 

 

『髪結いさん来た?』

 

 

『早くしなよ!』

 

 

『ひっく、ひっく、ぐすん』

 

 

「(ひっくひっくぐすん!?)一大事だ、女の子が泣いている」

 

 

女の子の泣き声を聞いた善逸は急いで声がした方を目指した。

 

 

歩くこと数分。善逸は声がする部屋を覗き込むと、荒れた部屋の中で、一人の少女が泣いていた。

 

 

「大丈夫?部屋、荒れているけど…、一緒に片付けようか?」

 

 

善逸は少女に優しく声を掛ける。

 

 

「…いいの?」

 

 

少女は顔を上げて善逸に質問をすると、善逸は頷いた。

 

 

「アンタ、人の部屋で何してんの?」

 

 

すると部屋の主がいつの間にか善逸の後ろに立っていた。

 

 

「申し訳ありません。歩いていたらこの部屋が荒れていることに気づきまして。それでこの子と一緒に片付けをしようとした次第でございます」

 

 

善逸は主の方を向き、平伏しながら事情を説明した。

 

 

「そうかい。なら早く片付けな!」

 

 

「はい!」

 

 

善逸と少女は直ぐ様動き、屏風や行灯、小物を瞬く間に片付けた。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

「終わりましてございます」

 

 

善逸と少女は平伏した状態で部屋の片付けを伝えた。

 

 

「ほう…?確かに、前よりも綺麗になってるね」

 

 

「ありがとうございます、私たちはこれで失礼致します」

 

 

善逸は少女の手を掴み、逃げるようにその場を去った。

 

 

「(あの餓鬼の身のこなし…、ただの女じゃ無いね。恐らくは男…)」

 

 

部屋の主は走り去った善逸を鋭い目線で見ていた。

 

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

一方善逸は自分が借りている部屋にいた。

 

 

「ありがとう、わっちだけじゃどうしようもなくて…」

 

 

「謝ることじゃないよ。困った時はお互い様だから」

 

 

少女は善逸に謝り、善逸はお礼を受け取っていた。

 

 

「"蕨姫"花魁は、怒らせると怖いから…」

 

 

「そうなんだ…(あの人、蕨姫って言うのか。けど、あの人が出していた音、あれは"鬼の音"だった。しかも他の鬼よりも禍々しい音。多分上弦の鬼だろうな)」

 

 

善逸は音で蕨姫の"正体"を見破っていた。

 

 

「ねぇ…、善子さん……」

 

 

「んっ?何?」

 

 

少女は善逸にしがみつき、上目遣いで善逸を見る。

 

 

「今日…、一緒に寝て欲しい……。駄目?」

 

 

「いいよ」

 

 

少女の添い寝のお願いを善逸は少女の頭を撫でながら承諾した。

 

 

それから少女は店が閉まるまで善逸と行動を共にし、約束通りその夜は善逸と一緒に寝たそうな……。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

「(今日も特に異常無し…か)」

 

 

時を戻してその日の夕方、天元はいつも通り屋根の上から軒並みを見下ろしていた。

 

 

「こんにちは。綺麗な夕焼けですね」

 

 

すると後ろから声がしたので振り向くと、そこにはしのぶがいた。

 

 

「おっ?どうした胡蝶。遊郭(こんな所)に来るなんて」

 

 

「どうしたもこうしたもありません。宇随さん、貴方炭治郎君を何処に売り飛ばしたのですか?」

 

 

天元はしのぶがいたことに驚き、来訪の理由を質問するが、しのぶは天元の質問に答えず、逆に天元に炭治郎は何処にいるのか質問をした。

 

 

「ンなこと聞いてどうすんだよ?まさか、連れ戻すんじゃねぇよな?」

 

 

「その通りですよ!私の"愛しの炭治郎君"を連れ戻しに来たんですよ!悪いですか?」

 

 

天元の質問返しに若干イラついたのか、しのぶは口調を荒げながら天元の質問に答えた。

 

 

「あ~、胡蝶。とりあえず言っとくが、遊郭(ここ)に来る前にお前の姉に相談したんだぜ?『女性隊員を貸して欲しい』って、でも同行できる隊員がいなかったんだよ。そこに炭治郎が自ら同行を申し出てくれたんだぜ?」

 

 

「でも、こちらに一言伝えても良かったのでは?」

 

 

「何でお前に一言言わなきゃいけないんだ?炭治郎はお前の継子じゃ無いんだろ?」

 

 

尚も食い下がるしのぶに天元は若干イラついていた。

 

 

「もし炭治郎君に悪い知恵がついてしまったらどうするんですか!?」

 

 

「いやそれは無いだろ」

 

 

「とにかく!炭治郎君は連れて帰ります!失礼します」

 

 

しのぶは天元の下を去ろうとする。

 

 

「いやちょっと待て。炭治郎がどの店にいるのか、知ってるのか?」

 

 

天元に言われ、しのぶは天元に向けて踵を返した。

 

 

「はぁ…、しょうがねぇな。明日、定時報告に一旦集まる。そこで聞いてみりゃいいじゃねぇか」

 

 

天元は明日集合することをしのぶに伝え、その場を去った。

 

 

 

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