ジョジョの奇妙な鬼殺の冒険   作:レイファルクス

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第19説

 

 

 

まきをside

 

 

昔はこんなんじゃなかったけどなぁ…。

 

 

死ぬのは嫌じゃなかった。そういう教育を受けてきたから、"忍"だから。

 

 

特にくノ一なんてのはどうしたって男の忍に力が劣るんだし、命を賭けるなんて、最低限の努力だった。

 

 

「自分の命のことだけ考えろ。他の何を置いてもまず俺の所へ戻れ。任務遂行より命。こんな生業で言ってることちぐはぐになるが問題ない、俺が許す」

 

 

「俺は派手にハッキリと命の順序を決めている。まずお前ら三人。次に堅気の人間たち。そして俺だ」

 

 

…?

 

 

「鬼殺隊である以上、当然のほほんと地味に生きてる一般人も守るが、派手にぶっちゃけると俺、お前らの命が大事。だから死ぬなよと地味に言ってんだ」

 

 

…そんなこと言っていいの?自分の命なんか優先してたら大した仕事できないけどいいの?

 

 

「いいんじゃない?天元様がそれでいいと言うなら。死ぬのが嫌だって、生きていたいと思うのだって、悪いことじゃないはずよ。そういう自分が嫌じゃなければそれでいいのよ、きっと」

 

 

まきをside end

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

天元はまきをと須磨の頭を軽く叩く。

 

 

「派手にやってたようだな。流石俺の女房だ」

 

 

天元に褒められたまきをは目に涙を浮かべ、須磨は泣きながら天元に抱きついた。

 

 

「オイィィィッ、蚯蚓帯共が穴から散って出ていったぞ!!」

 

 

だが伊之助がムードを壊してしまった。

 

 

「うるっせええ!!捕まってた奴ら皆助けたんだからいいだろうが!!まずは俺を崇め讃えろ、話はそれからだ!!」

 

 

ムードをブチ壊された天元は逆ギレし、伊之助に怒鳴り散らす。

 

 

「天元様、早く追わないと被害が拡大しますよ?」

 

 

「野郎共追うぞ!ついて来いさっさと!!」

 

 

しかしまきをが促すと、先程とは手のひらを返すように言ってることが真逆になった。

 

 

「でも…、ここからどうやって脱出するんですか?」

 

 

「あ~っ、それ、地味に考えてなかったわ…」

 

 

須磨がどうやって脱出するのかを質問すると、天元は頬を掻きながら呆けていた。

 

 

「ところで、お前はどうやってこの空洞に来たんだ?空洞(ここ)から見える穴は幼子くらいしか通れない狭さなのに…」

 

 

「この伊之助様に通れない道は無い!俺は全ての関節を外せる男、つまり頭さえ入れば、どこでも行ける!」ゴキゴキッ

 

 

伊之助は実際に腕の関節を外してみせた。

 

 

「「「(キモッ!!)」」」

 

 

それを見た天元たちは、気持ち悪がった。

 

 

「天元さーん、聞こえますか~?」

 

 

そこに天元が開けた穴から、善逸の声が響いた。

 

 

「善逸か!派手に響いてるぜ!」

 

 

「今から"よじ登れる物"を垂らしますので、それを使ってください!」

 

 

天元が返事をすると、穴から一本の"細い糸"が垂れてきた。

 

 

「馬鹿野郎!こんな糸一本でどうやって登るんだよ!?せめて縄を垂らせ縄を!!」

 

 

上から垂れてきたのが細い糸だったため、天元はブチ切れていた。

 

 

「あの…、天元様……」

 

 

「何だよ!?」

 

 

「糸が…、"太く"なっているんですが……」

 

 

「はぁっ?!そんなの派手にある訳…あるな」

 

 

まきをに言われ、天元が見たもの。それは先程まで細い糸だった物が、ロープのように"太くなっていた"。

 

 

そして糸だった物は段々太くなり、十秒もしない内に注連縄(しめなわ)と同じ太さになった。

 

 

「よしこれなら全員しがみついてよじ登れるぜ!」

 

 

ゴキゴキッ「なら俺様が先に登るぜ!猪突猛進!!」

 

 

天元がそう言うと、関節を戻した伊之助が我先にと縄を登った。そしてその後を追うように、天元たちが縄をよじ登っていった。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

「ふぃ~、助かったぜ善逸。しかし、あんな細い糸がなんで太くなったんだ?一体どんな絡繰を使ったんだ?」

 

 

縄をよじ登った天元は善逸にお礼を言うのと同時に糸が太くなった理由を質問する。

 

 

「それは彼、『フォーエバー』のお陰ですよ」

 

 

天元の質問に答えたのは善逸では無かった。

 

 

「アンタは確か…、京極屋に向かう途中で出会った……」

 

 

「テレンス・T・ダービーですよ」

 

 

そう、天元の質問に答えたのはテレンスだった。

 

 

「けど、何でお前さんがここに?」

 

 

「実は、我々はときと屋にいたのですが、我々の"知り合い"が訪ねて来ましてね。事情が事情だったために、協力したのですよ」

 

 

テレンスは何故ここにいたのかを説明する。

 

 

「それで、あの糸を太くしたのは…」

 

 

「彼、『フォーエバー』の幽波紋(スタンド)、タロットカードの8番、"力"の暗示を持つ幽波紋。《(ストレングス)》です」

 

 

「ウホッ!」

 

 

テレンスの横にいたフォーエバーがガッツポーズをする。

 

 

「彼が触れた物はその姿を大きくすることができます。まぁ彼は主に船にその力を使っていたようですが」

 

 

(※実際は船に"のみ"その能力を発揮させるのですが、この小説では上記のように改変しています)

 

 

「……まぁ、助けてくれてありがとよ」

 

 

「フフッ、どういたしまして」

 

 

天元のお礼にテレンスは頷いた。

 

 

「さあ、残りの人たちは我々が何とかしますから、貴方たちは先程の帯を追いかけてください」

 

 

「恩に着るぜ。よし猪頭に善逸!行くぞ!」

 

 

「「はい(おう)!!」」

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

「どけどけェ!!宇随様のお通りだ!!ワハハハ」ビュンッ

 

 

天元はものすごいスピードで屋根の上を走っていた。

 

 

「くそォ、速ェ!!」

 

 

伊之助と善逸は必死に天元に追い付こうとするが、距離を離されるだけだった。

 

 

「……んっ?伊之助、ちょっと待ってくれ」

 

 

「どうした悶逸!?早くしねぇと見失うぞ!?」

 

 

天元を追いかけていた善逸が伊之助を呼び止めた。

 

 

善逸は屋根の上から道に降りると、刀に手を添えながらゆっくりと"ある物"に近づいていた。

 

 

「何だぁ…?これ、あの蚯蚓帯じゃねぇか?」

 

 

伊之助も屋根の上から降りて善逸が近づいていた物を見る。それは確かにあの空洞から逃げた"墮姫の帯"だった。

 

 

「……端の方が崩壊し始めてる。何かあったのか?」

 

 

善逸は帯を注意深く観察していると、確かに帯の端が崩壊し始めていた。

 

 

「どうしたんだい?早くしないと天元様に置いていかれるよ?」

 

 

そこにまきをと須磨が近寄って来た。

 

 

「これ、あの蚯蚓帯じゃないですか?」

 

 

須磨は善逸たちの先にある物を見て、何なのかを悟った。

 

 

「確かに…。でも何でこんな所にあるんだい?」

 

 

まきをも蚯蚓帯を見て確信すると、何故ここにあるのか疑問に思った。

 

 

「とりあえず天元様を呼びましょう。天元様!!」

 

 

ズザザッ「なんだ?」

 

 

「「はやっ!?」」

 

 

須磨が天元の名を叫ぶと、遥か先に行っていた天元が一瞬の内に善逸たちの側に現れた。

 

 

「んっ?これ、俺たちが追っていた帯じゃねぇか。何でここに転がってんだ?しかも崩壊し始めてやがるし」ツンツン

 

 

天元は帯を刀でつつくが、帯はピクリともしなかった。

 

 

「炭治郎が鬼を倒したのか?」

 

 

「それが本当なら地味に凄ェけどな。とにかく、先を急ぐぞ」

 

 

天元たちは道を走り、炭治郎がいる所まで向かった。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

「どうなってんだ、こりゃ……」

 

 

天元たちが見た光景、それは女の鬼・墮姫と、腰がやたらと細いガリガリの男の鬼が膝立ちの状態でいたからだった。

 

 

しかも目は白目を向き、まるで生気を感じられなかった。

 

 

「おい炭治郎、一体何があった?」

 

 

「それは…、何と説明したらいいのか……」

 

 

天元は炭治郎に説明を求めるが、炭治郎もどう説明したらいいのかわからなかった。

 

 

「彼らは魂を抜かれているのですよ。今そこにあるのは魂が抜けた"脱け殻"です」

 

 

すると、炭治郎とは反対の位置にいた男性が説明をした。

 

 

「アンタは確か…、テレンスって奴の兄の…」

 

 

「ダニエル・J・ダービーです」

 

 

ダニエルは天元に一礼をした。

 

 

「"魂を抜かれた"って、どうやって…」

 

 

「それは私の幽波紋、『エジプト9英神』の一体である《オシリス神》の力です。私の幽波紋は『賭けに負けた相手の魂を抜き取る』ことができるのです」

 

 

ダニエルの説明に天元たちの思考は停止していた。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

時は遡ること数十分前、炭治郎と墮姫が対峙していた時になる。

 

 

「やれやれ、何かやたらと騒がしいと思えば…」

 

 

そこにダニエルがときと屋の扉から現れた。

 

 

「何だい、アンタ…?」

 

 

墮姫はダニエルを一睨みする。

 

 

「私はただの客ですよ。"賭け事を生業とする"が頭に付きます…がね。そこの見た目麗しいお嬢さん、どうですか?私と一つ、賭けでも」

 

 

ダニエルは墮姫を賭け事に誘う。

 

 

「馬鹿なこと言ってんじゃないわよ、アタシはそんなに暇じゃないんだよ。分かったらとっとと失せな」

 

 

しかし墮姫はダニエルの誘いを一蹴する。

 

 

「まあまあ、別に時間は取らせませんよ」

 

 

ダニエルはポケットから一枚のチップコインを取り出した。

 

 

「今から私が"コレ"を指で上に弾きます。そしてコレをどこかに隠します。貴女はコレをどこに隠したか言い当てる。簡単でしょ?」

 

 

「……フンッ、まあいいわ。やってあげましょう」

 

 

墮姫はダニエルの誘いに乗った。

 

 

「ありがとうございます。それと賭けるのはお金ではありません。賭けるのはお互いの魂、負けた者は体から魂を抜かれます。よろしいですね?」

 

 

「……いいわよ、"魂を賭けよう"じゃない」

 

 

墮姫は遂に"禁句"とも言える言葉を口にした。

 

 

「Good、ではいきます」

 

 

ピンッ

 

 

ダニエルはチップコインを指で弾き、落ちてきたと同時に隠した。

 

 

「さあ、先程の物はどこにあるでしょう?」

 

 

ダニエルは左右の手を握り、墮姫の前に突き出す。

 

 

「……右よ」

 

 

墮姫はダニエルの右手を指差した。ダニエルは指された右手を開くと、チップコインは"無かった"。

 

 

「残念、正解は左手です」

 

 

ダニエルは握っていた左手を開くと、そこにはチップコインがあった。

 

 

「では約束通り、貴女の魂をいただきます」

 

 

ダニエルがそう言うと、彼の後ろから"何か"が現れ、墮姫を掴み、上に持ち上げる。

 

 

しかし墮姫は宙に浮くことは無かった。何故なら、持ち上げたのは墮姫の"魂"だったからだった。魂を抜かれた墮姫の体は膝立ちの状態となった。

 

 

墮姫の魂を持ち上げた《オシリス神》は墮姫の魂をまるで餅のように捏ねたり、引っ張り、最後に魂を両手で挟んだ。

 

 

そして《オシリス神》の手から落ちてきたのは、目を閉じた墮姫の顔が掘られたチップコインだった。

 

 

「ふむ…、私のコレクションにするには、些か不細工ですね」

 

 

チップコインを拾ったダニエルはチップコインを一瞥すると、ポケットの中に仕舞った。

 

 

「オイィィィ、ちょっと待ちやがれぇぇ」

 

 

すると墮姫の体、正確には背中から"もう一体"の鬼が姿を現した。

 

 

「お前ェェ、俺の"妹"に、一体何をしたァァァ!」

 

 

墮姫の背中から現れた鬼『妓夫太郎(ぎゅうたろう)』はダニエルに今にでも襲い掛かりそうな雰囲気を醸し出していた。

 

 

「何をって…、貴方の妹さんは私と賭け事をして負けた。そして私は約束通り、彼女の魂をいただいた。それだけですよ」

 

 

ダニエルは墮姫にしたことをあっけらかんと話す。

 

 

「なら、取り立てるぜ。死ぬ時グルグル巡らせろ、俺の名は妓夫太郎だ」

 

 

妓夫太郎はいつの間にか手にしていた鎌を振り上げる。

 

 

「よろしいのですか?妹さんの魂が"戻って来なくても"」

 

 

「……何ィ?」

 

 

ダニエルの言葉に妓夫太郎は振り上げていた鎌を止めた。

 

 

「私が死んだら妹さんの魂は肉体に戻っては来ません。妹さんの魂を取り戻す方法はただ一つ、"私を賭け事で負かす"こと。これだけです」

 

 

ダニエルは指を一本立てて妓夫太郎に言う。

 

 

「なら、その"賭け事"をしようじゃないかァ。俺の"魂"を賭けて」

 

 

「Good、では決め事(ルール)を説明しましょう」

 

 

ダニエルはポケットの中に仕舞ったチップコインを取り出した。

 

 

「今から私が"墮姫の魂(コレ)"を指で上に弾きます。そしてコレをどこかに隠します。貴方はコレをどこに隠したか言い当てる。簡単でしょ?では、いきます」

 

 

ダニエルはチップコインを指で弾き、落ちてきたと同時にチップコインを隠した。

 

 

「……左だァ」

 

 

妓夫太郎はダニエルの左手を指差した。しかし、ダニエルが左手を開くと、チップコインは無かった。

 

 

「残念です。正解は私の"右のポケットの中"でした」

 

 

ダニエルはチップコインを取り出したポケットから"墮姫の魂"を取り出した。

 

 

「馬鹿な…っ!!」

 

 

妓夫太郎は目を見開いて驚きを隠せなかった。

 

 

「貴方が見ていたのはただの変哲も無い"コレ"です」

 

 

ダニエルは未だに握っていた右手を開くと、そこには先程弾いたチップコインが握られていた。

 

 

「私は一度も"妹さんの魂"とは言ってはいません。それに私は言いましたよ?『どこに隠したか言い当てる』…と」

 

 

ダニエルは確かに"どこに隠したか"と言っていた。"どの手に隠したか"では無く。

 

 

「賭け事は私の勝ちです。約束通り、貴方の魂をいただきます」

 

 

するとダニエルの後ろから《オシリス神》が現れ、妓夫太郎を掴んだ。

 

 

そして妓夫太郎の魂を持ち上げ、餅のように捏ねたり、引っ張り、最後に両手で挟んだ。

 

 

《オシリス神》が両手を開くと、そこからチップコインが一枚落ちてきた。そのチップコインには妓夫太郎の顔が掘られており、目を瞑っていた。

 

 

「ふむ…、これもまた、不細工ですね」

 

 

ダニエルは妓夫太郎の魂を一瞥すると、墮姫の魂と一緒にポケットの中に仕舞った。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

「……と、言うことなんですよ」

 

 

「んなことが地味にあり得るのかよ…」

 

 

天元は自分の頭を抱えてしまった。

 

 

「あの、あなたが使ったのは幽波紋ですか?」

 

 

「ほぉ…?君は幽波紋のことを知ってるのかい?」

 

 

炭治郎の質問にダニエルは目を細めた。

 

 

「知ってるも何も、俺も持ってますから」

 

 

炭治郎は実際に自分の幽波紋である《太陽の戦士(サン・ソルジャード)》をダニエルに見せる。しかし、幽波紋使いでは無い天元たちはその姿を視認することはできなかった。

 

 

「……確かに幽波紋のようだ。いやまさかこんな所で幽波紋使いに出会えるとは」

 

 

ダニエルは感傷深そうに呟いていた。

 

 

「やれやれ…、ようやく付近の避難誘導が終わったと思えば、まさかもう既に終わっているとはな」

 

 

「師範!」

 

 

そこに承太郎とイギーが現れ、炭治郎は承太郎の側に寄った。

 

 

「おや空条さん、遅かったですね」

 

 

「言っただろ、避難誘導がようやく終わったと。けど、加勢する必要は無かったようだな」

 

 

承太郎は魂が抜かれた墮姫と妓夫太郎の肉体を一瞥する。

 

 

「私の"賭け事"に付き合ってくれたので、魂を抜くことができました」

 

 

「協力感謝する。もし良かったら今度飯でも奢ろう」

 

 

「なら私とテレンスは定食屋の"日替わり定食"、フォーエバーにはバナナを」

 

 

「覚えておこう」

 

 

こうして、遊郭に潜む鬼は密かに討伐された。

 

 

 

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