ジョジョの奇妙な鬼殺の冒険   作:レイファルクス

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第28説

 

 

伊之助の母親『琴葉』が蝶屋敷に住み込んでから数日後、戦士の心の休息は終わりを告げる。

 

 

そう、『人喰い鬼の始祖』である『腐ったワカメ頭のクソ害虫』鬼舞辻無惨が産屋敷邸に現れたのだった。

 

 

「ようやく見つけたぞ、憎き産屋敷の住処(すみか)を。まさかこんな偏屈な所に屋敷を構えていたとはな…」

 

 

無惨は産屋敷邸の中庭を歩きながら愚痴っていた。そして耀哉がいるであろう部屋に近づいたその時

 

 

「おっと、(わり)ぃがここから先は通す訳にはいかねぇ」

 

 

ポルナレフが柱に寄りかかりながら無惨に制止の言葉を投げ掛けた。

 

 

「誰かと思えば…、産屋敷が雇った下働きの者か…。貴様の戯れ言をすんなりと聞く私では無い」

 

 

無惨はポルナレフの制止を聞かず、歩み寄る。すると、無惨の体目掛けて宝石(エメラルド)が襲い掛かった。

 

 

「ぐうっ!?」

 

 

「あ~あ、だから言っただろ?『ここから先は通す訳にはいかねぇ』って」

 

 

宝石を腹部に喰らった無惨は腹を押さえ踞り、ポルナレフは呆れながら再度忠告した。

 

 

「いま…、なにを……」

 

 

「如何だったかな?僕の『360度エメラルドスプラッシュ』の味は」

 

 

無惨がポルナレフに何をしたのか問い質そうとすると、無惨の右側にある木の後ろから花京院が現れた。

 

 

「貴方には見えないだろうが、今貴方の周りには僕の《幽波紋(スタンド)》が覆っているんですよ、細い紐状になってね。そして触れればそこから攻撃を仕掛ける、貴方は抜け出すことができますか?」

 

 

花京院は無惨に向かって不敵な笑みを溢す。

 

 

「ふん、ならば"ここから動かず"に貴様らを倒せばいいだけのこと」

 

 

黒血枳棘(こっけつききょく)

 

 

無惨は(おもむろ)に手を上げると、掌から"黒色の有刺鉄線"のような物を無数に伸ばす。しかしその殆んどが"斬り裂かれて"しまった。

 

 

「あんま物騒な(モン)を振り回そうとすんじゃねぇよ」

 

 

黒血枳棘を斬り裂いたのはポルナレフであり、彼の後ろには自身の《幽波紋》である《銀の戦車(シルバーチャリオッツ)》がおり、彼の右手には自身の《幽波紋》が持っているのと同じ"レイピア"が握られていた。

 

 

「ちぃっ!(こいつらの"すたんど"とか言うやつは一体何なんだ!?)」

 

 

無惨は幽波紋使いでは無いため、ポルナレフと花京院の《幽波紋》を視認することばできなかった。

 

 

「久しぶりだな、鬼舞辻無惨」

 

 

そこに承太郎を始めとした柱、炭治郎を始めとする有能なる隊員たちが続々と集結した。

 

 

「貴様の命運もここまでだ。大人しく地獄に落ちな」

 

 

承太郎は無惨を一瞥しながら親指で喉を斬るジェスチャーをする。

 

 

「ふっ、よもや私を追い詰めたつもりか?"鳴女(なきめ)"!」

 

 

ベベンッ

 

 

無惨が鼻で笑い、部下の名前を叫ぶと、承太郎たちの足下に障子が現れ、勝手に開いた。

 

 

そして承太郎たちは障子の向こう側に落とされてしまった。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

承太郎は今、鬼舞辻無惨の根城である『無限城(むげんじょう)』に落下中であった。しかも隣を見ると、炭治郎までもが同じように落下していた。

 

 

「炭治郎、このままでは床に叩きつけられて死ぬ!そこで《幽波紋》を使って手すり等に掴まるぞ!」

 

 

「はい!」

 

 

「《星の白金(スタープラチナ)》!」

 

 

《オラァ!》

 

 

「《太陽の剣士(サン・ソルジャード)》!」

 

 

《………》

 

 

ガシッ ガシッ

 

 

承太郎と炭治郎はそれぞれ自身の《幽波紋》を呼び出し、近くにあった手すりを掴み、落下を阻止した。そして二人は手すりをよじ登り、床に降り立った。

 

 

しかし、承太郎と炭治郎の目の前には鬼が大量にいた。

 

 

「師範、ここは俺に任せてください!『ヒノカミ神楽 日暈の龍・頭舞い』!」

 

 

炭治郎は直ぐ様抜刀し、流れるように鬼の頚を次々に斬った。

 

 

そして数分もしない内に目の前にいた大量の鬼を全滅させた。

 

 

「見事だな炭治郎、よくここまで上達した」

 

 

承太郎は炭治郎の頭を帽子越しに撫でた。撫でられた炭治郎はとても"ほわほわ"していた。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

『蛇の呼吸・伍ノ型 蜿蜿長蛇(えんえんちょうだ)

 

 

「甘露寺に近づくな塵共」

 

 

同じ頃、小芭内と蜜璃は承太郎たちと同じ様に大量の鬼に出会していたが、小芭内が鬼の頚を悉く斬っていた。

 

 

「(キャー、伊黒さん素敵!惚れ直しちゃう!)」

 

 

蜜璃は自分を守ってくれた小芭内に見惚れていた。

 

 

「甘露寺、怪我は?」

 

 

「無いです、大丈夫です!」

 

 

小芭内は蜜璃に怪我が無いか質問をすると、蜜璃は"無い"と答えた。

 

 

「そうか、良かった。…ここにいてはまた鬼に囲まれる、移動しよう。……ん」

 

 

小芭内は蜜璃に移動することを提案し、手を差し出す。

 

 

「……はい」ギュッ

 

 

蜜璃は差し出された手を握り、その場からの移動を始めた。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

また同じ頃、行冥と有一郎・無一郎兄弟の三人は無限城の中を移動しながら鬼を討伐していた。

 

 

「すごい量の鬼ですね」

 

 

「下弦程度の力を持たされて(・・・・・)いるようだな、これで私たちを消耗させるつもりか…」

 

 

「でも、この程度(・・・・)なら何匹来ても無駄だと思いますけど?」

 

 

『霞の呼吸・陸ノ型 月の霞消(かしょう)

 

 

無一郎は二人に襲い掛かろうとしている鬼を片っ端から倒していた。

 

 

無一郎(時透弟)、油断や慢心(まんしん)は時に致命的な失敗を生む切っ掛けになる。常に気を引き締めるんだ」

 

 

「そうだぞ?この前だって大根の皮を剥いている最中に危うく指を切りそうになったじゃないか、俺があれだけ"危ない"って言ってたのに…」

 

 

「お兄ちゃん、その話を今ここで暴露するのは止めてよ!!」

 

 

有一郎(時透兄)にも、緊張感を持ってほしいのだが…」

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

『水の呼吸・参ノ型 流流舞い』

 

 

『水の呼吸・漆ノ型 雫波紋突き』

 

 

『水の呼吸・捌ノ型 滝壺』

 

 

一方、義勇、真菰、錆兎の三人は協力して鬼を殲滅していた。

 

 

「次から次に湧いてくるな…」

 

 

「もしかして、各地にいた鬼を無限城(ここ)に集めていたから、ここ最近の鬼の被害が無かったってこと?」

 

 

「恐らくはな。しかし、こんなにも多く来られたら休むに休めんぞ…」

 

 

三人が話している最中にまたもや鬼が大群で押し寄せて来た。

 

 

「弱音を吐いている暇は無いな、義勇、真菰!やるぞ!」

 

 

「おう!」

 

 

「うん!」

 

 

三人は鬼の大群目掛けて走って行った。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

「兄ちゃん、大丈夫!?」バンッ バンッ

 

 

「玄弥ァ、無理はすんなよォ!」ザシュッ ザシュッ

 

 

実弥、玄弥の不死川兄弟は互いの背を合わせながら向かって来る鬼を倒していた。

 

 

「おい玄弥ァ、その南蛮銃の弾は後何個残っているんだァ?」

 

 

「後20個!この間里に発注をしたばかりだから、弾数が少ないんだ!」

 

 

「なら、後は刀だけで戦いなァ!弾はいざと言う時に残しときなァ!」

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

一方、しのぶ・カナヲ姉妹もまた、大量の鬼を殲滅させていた。

 

 

「炭治郎君とはぐれてしまいましたね…」

 

 

「炭治郎…、大丈夫かな…?」

 

 

「心配いりませんよカナヲ、"私たち"の炭治郎君がこの程度の鬼に遅れを取ることなんてあり得ません。それにきっと、空条さんも一緒にいることでしょうし」

 

 

「しのぶ姉さん…、はい!」

 

 

カナヲは鬼を倒しながら炭治郎のことを心配するが、しのぶが鬼を毒殺しながらカナヲを宥め、二人は鬼の殲滅に集中することにした。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

「……おい善逸」

 

 

「…分かってる。コイツは…」

 

 

「ヒイィィィッ」

 

 

一方、善逸と獪岳の目の前には、一体の"老人の鬼"がいた。だがその鬼は善逸たちを見た瞬間、脱兎の如く逃げ、柱の影に隠れてしまった。しかし"頭隠して尻隠さず"、当人は上手く隠れたつもりなんだろうが、踞った下半身は柱に隠れておらず、丸見えだった。

 

 

「「上手く隠れているつもりなんだろう」」

 

 

善逸と獪岳の声がぴったりハモった。

 

 

「獪岳、この鬼、俺が聞いた中では無惨の次に禍々しい音を出している。恐らくは上弦の鬼かもしれない」

 

 

「わかった。善逸、俺が先行するから、後を頼む」

 

 

『雷の呼吸・弐ノ型 稲魂(いなだま)

 

 

獪岳は柱に隠れている鬼"十二鬼月・上弦の参 半天狗"に向かって型を使い、半天狗の頚を"柱ごと"斬ったのだった。

 

 

「ヒイィィィッ、斬られた、頚を斬られたァァァ」

 

 

半天狗は自分の頚が斬られたことに驚くが、今度は善逸たちが驚くことになった。

 

 

なんと、別れた頚と胴体が"別の鬼"になったのだった。

 

 

「チィッ、コイツ"わざと"頚を斬らせて分離しやがった!善逸!」

 

 

「おう!」

 

 

『『雷の呼吸・壱ノ型 霹靂一閃』』

 

 

善逸と獪岳はそれぞれ壱ノ型を使用し、再び鬼の頚を斬った。

 

 

何故獪岳が霹靂一閃を使えるようになったのか?それは柱稽古の最中、行冥の修行場で善逸が獪岳に的確なアドバイスをしていたからだった。

 

 

獪岳は雷の呼吸の中で、"基本"とも言える壱ノ型だけ使えなかった。しかし善逸のアドバイスのお陰で、壱ノ型を見事習得することができたのだ。

 

 

半天狗から分離した鬼は頚を斬られた直後、また"別の鬼"に分離した。

 

 

手足が猛禽類の足、背中に猛禽類の翼を生やした『空喜(うろぎ)

 

 

錫杖を持ち、常に怒りを燻らせている『積怒(せきど)

 

 

行冥のように涙を絶え間無く流し、十文字槍を手にする『哀絶(あいぜつ)

 

 

天狗のような装飾品や扇ぐだけ突風を吹かす団扇を持つ『可楽(からく)

 

 

喜怒哀楽の名を持つ4体の鬼がその姿を現した。

 

 

「またコイツ、わざと頚を…」

 

 

「一体どうしたら…(…んっ、何だ?この4体の鬼の他に"もう一体"似たような音が聞こえる…)」

 

 

獪岳はわざと頚を斬らせたことに苛立ち、善逸はどうしようか考えていると、もう一体似たような音を持つ鬼がいることに気づいた。

 

 

「獪岳…、今気づいたことがある」

 

 

「……なんだ?」

 

 

「あの4体の鬼の他にもう一体、似た音を出している鬼がいる。もしかしたら、そいつが"本体"かもしれない」

 

 

「なに?それが本当だとすると…」

 

 

「そいつを倒せば、あの4体の鬼も倒せるかもしれない」

 

 

善逸は半天狗の打開策を獪岳に提案する。

 

 

「……試してみる価値は有りそうだな。善逸、あいつらの相手、頼めるか?」

 

 

「わかった」

 

 

「よし…、行くぞ!」

 

 

獪岳の合図によって、善逸と獪岳はそれぞれ別の方向へと向かった。

 

 

『雷の呼吸・壱ノ型 霹靂一閃・八連』

 

 

善逸は喜怒哀楽の鬼に霹靂一閃を八連続で使用し、頚を斬った。

 

 

しかし喜怒哀楽の鬼は辛うじて避けていたため、文字通り"首の皮一枚"繋がった状態となっていた。

 

 

その頃獪岳は善逸にこっそり教えてもらっていた場所に到着し、本体を探していた。そしてふと足下に視線を向けると、そこには"鼠程度の大きさ"の本体がいた。

 

 

「(ちっっっさっ!!)こいつが本体か!?」

 

 

『雷の呼吸・参ノ型 聚蚊成雷(しゅうぶんせいらい)

 

 

獪岳は本体の頚目掛けて型を使用するが、本体が小さいため、中々斬撃が当たらずにいた。

 

 

「ヒイィィィッ!」ビュンッ

 

 

半天狗の本体は襲われたことに恐怖し、もの凄いスピードで逃げた。

 

 

「逃がすか!『雷の呼吸・肆ノ型 遠雷(えんらい)』!」

 

 

獪岳は離れた間合いから素早く距離を縮め、再び頚を狙う。そして遂に獪岳の刀が半天狗本体の頚を捕らえ、食い込んだ。

 

 

「ギャアアァァァッ!!」

 

 

半天狗の本体は頚から走る痛みに思わず悲鳴を上げてしまう。

 

 

その悲鳴を聞いた喜怒哀楽の鬼たちは、本体の方へ向かおうとする。

 

 

「悪いが、ここから先は行かせねぇ」

 

 

しかし善逸が鬼の進行を拒むように霹靂一閃を使い、鬼を足止めする。

 

 

すると積怒が錫杖を手放し、両手を広げたと思った瞬間、空喜と可楽が積怒の両手に引き寄せられ、積怒に"吸収"されてしまった。

 

 

そして今度は哀絶に近寄り、哀絶の制止を無視して哀絶を吸収してしまった。

 

 

空喜、哀絶、可楽の三体を取り込んだ積怒の体は段々小さくなり、子供と変わらぬ大きさになり、背中に叩く面に"憎"と書かれた雷神と同じような太鼓を背負い、両手に牙を模したバチが握られた。

 

 

今ここに喜怒哀楽の鬼が合体した"憎しみを背負う鬼"『憎珀天(ぞうはくてん)』が誕生した。

 

 

『血鬼術 無間業樹(むけんごうじゅ)

 

 

『血鬼術 狂鳴雷殺(きょうめいらいさつ)

 

 

憎珀天は背中の太鼓を叩き、床から樹木の龍を造りだし、龍の口から超音波と雷を繰り出した。

 

 

『雷の呼吸・壱ノ型 霹靂一閃・八連』

 

 

しかし善逸は床や壁、柱などを巧みに利用し、縦横無尽に逃げ回った。

 

 

「獪岳、本体の頚はまだ斬れないのか!?」

 

 

「頚の途中で食い込んだまま動かなくなっちまったんだ!押しても引いても動かねぇ!」

 

 

善逸は憎珀天の攻撃から逃げながら獪岳にまだ頚が斬れないのか質問を投げ掛ける。獪岳からは"まだ"と返答が来た。

 

 

「くっ、仕方ない。獪岳!刀の峰の部分をこちらに向けるんだ!」

 

 

獪岳は善逸に言われた通り、刀の峰の部分を善逸がいる方へ向けた。

 

 

『雷の呼吸・壱ノ型 霹靂一閃・六連』

 

 

善逸は霹靂一閃を六回使用し、自分の刀の峰を獪岳の刀の峰にぶつけた。

 

 

すると善逸の威力が加わったお陰で獪岳の刀が更に食い込んだ。

 

 

「お前たちはああ、儂がああああ、可哀相(かわいそう)だとは、思わんのかァァァァア!!」

 

 

だが、半天狗の本体は急に大きくなり、獪岳の顔を掴もうとする。

 

 

「悪いが、お前を可哀相だとは思わない」

 

 

獪岳の顔が半天狗の手に握られそうになった時、善逸が押していた刀を返し、半天狗の腕を斬った。

 

 

「お前からは酷い音がする。喰った人間の数は百や二百じゃないだろう、貴様の理屈が誰にも通ると思うな!!」

 

 

「そうだその通りだ!やれ、善逸!!」

 

 

『雷の呼吸・"漆"ノ型 火雷神(ほのいかずちのかみ)

 

 

善逸は自ら新しく作りあげた"新しい型"で半天狗の"心臓"を斬った。

 

 

「っ!?おい善逸、一体何処を…。…えっ?」

 

 

獪岳は善逸が半天狗の頚を狙って斬ると思っていたのに、心臓を斬ったことに驚いていたが、"別の意味"で驚いた。

 

 

何故なら、"心臓を斬られた半天狗が崩壊している"からだった。

 

 

「こいつが大きくなった時に、心臓の音に混じって"別の音"がしたから、もしかしたらコイツも分身なのかなって思って、心臓を斬ったら、案の定だったよ」

 

 

どうやら善逸は音で大きくなった個体が隠れ蓑であることを見抜いたようだった。

 

 

「善逸…、お前やっぱスゲェや…」

 

 

獪岳は落ちた刀を拾って鞘に納刀しながら、善逸の耳の良さを実感していた。

 

 

そして後ろを振り返ると、憎珀天が手を善逸たちに伸ばしながら崩壊している所だった。

 

 

「……まずは一体、上弦の鬼を倒したな」

 

 

「あぁ。けど、まだ鬼はいる。(ふんどし)を絞め直さないとな」

 

 

善逸と獪岳は崩壊している鬼を見ながら更に気を引き締めていた。

 

 

 

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