ジョジョの奇妙な鬼殺の冒険   作:レイファルクス

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第29説

 

 

善逸、獪岳の"雷一派"が上弦の鬼を倒したのと同時刻、承太郎と炭治郎の二人は"とある鬼"と対峙していた。

 

 

「久しぶりだな、空条承太郎。お前とこうして再び会えるのを頚を長くして待っていたぞ」

 

 

承太郎たちの目の前に現れたのは、以前"無限列車"の時に出会った"十二鬼月・上弦の弐 猗窩座"だった。

 

 

「誰かと思えば、無限列車の時の鬼か」

 

 

「そうだ、改めて名乗ろう。俺の名は猗窩座、十二鬼月・上弦の弐だ」

 

 

猗窩座は改めて自己紹介をする。

 

 

手前(テメェ)の名前なんざどうでもいい。死にたくなけりゃ、そこを退きな」

 

 

承太郎は親指で自分の左側を指差し、退くよう言う。

 

 

「冗談、貴様のような"強者"を前に逃げるなど」

 

 

『術式展開 破壊殺・羅針』

 

 

だが猗窩座はそれを一蹴し、構えを取った。

 

 

「さぁ、俺とお前、どちらが強いか決着を着けよう!」

 

 

猗窩座は足に力を込め、床を踏み、承太郎に詰め寄ろうとした。

 

 

「グハァッ!?」

 

 

その時、猗窩座が突如後ろに"吹っ飛んだ"。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

時は猗窩座が吹っ飛んだ数秒前に遡る…。

 

 

承太郎は猗窩座と対峙していた時、既に自身の《幽波紋(スタンド)》である《星の白金(スタープラチナ)》を出していたのだ。

 

 

そして猗窩座が足に力を込めた瞬間、

 

 

x()s()m()a()l()l()()()()()()()()()()()()()()()()()/()x()s()m()a()l()l()

 

 

ドゥ~ン…、コッチ…、コッチ…コッチ…

 

 

《星の白金》の特殊能力を使い、"時間を止めた"のだった。

 

 

《オラオラオラオラオラオラ、オラオラオラオラオラ、オラオラオラオラオラ、オラオラオラオラオラ!》

 

 

《オ~ラァ!オラオラオラオラオラ!オラオラオラオラオラ、オラオラオラオラオラ、オラオラオラオラオラ!オラァ!》

 

 

そして猗窩座を文字通り"タコ殴り"にし、最後に《星の白金》に自分の日輪刀を渡し、猗窩座の頚を横一文字に斬った。

 

 

「10秒、"時は動き出す"」

 

 

「グハァッ!?」

 

 

そして止めていた時を動かした瞬間、猗窩座は吹っ飛ばされたのだった。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

「(ばっ…、馬鹿な!?奴は指一本たりとも動かしてはいないのに、俺の体をぶっ飛ばした挙げ句に頚を斬っていたなんて!?奴の動きには細心の注意を払っていたはずなのに…、奴は…俺の、予想の遥か上を…、行って…いる…のか……)」

 

 

猗窩座は斬られた頚を繋げようとしていても、腕は既に使い物にならなかったため、頚を繋げることは叶わず、崩壊してしまった。

 

 

「やれやれだぜ…」

 

 

崩壊する猗窩座の姿を見ていた承太郎は、ため息を一つ吐くと、被っていた帽子を被り直した。

 

 

「あの…、師範。あいつはどうして吹っ飛ばされたのでしょうか?」

 

 

今まで疑問に思っていた炭治郎が、思い切って承太郎に質問をする。

 

 

「奴が吹っ飛んだ理由…、それは俺が"時を止めた"からだ。俺の《幽波紋》、《星の白金》の能力(ちから)は"時を止める"能力。時を止めた空間では、"同じ能力"を持った者しか動くことはできん」

 

 

「そして時を止めた空間で起きた"衝撃"は、時を動かした瞬間に一斉に襲い掛かる」

 

 

承太郎の説明に炭治郎は身震いをした。

 

 

「だが、この能力には"欠点"がある。再び時を止めるためには"止めた時間の倍の時間"を過ごさなければならない」

 

 

「例を上げるなら、"5秒時を止めた場合、次に時間を止められるのは10秒後"と言う訳だ」

 

 

「???」

 

 

承太郎が幽波紋能力の欠点について説明をするが、炭治郎は理解が追い付かず、頭に『?』を浮かべていた。

 

 

「……ハァ、つまり"一度能力を使ったら、再び使うのに少し時間が掛かる"と思えばいい」

 

 

承太郎の2回目の説明で、ようやく炭治郎は理解した。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

承太郎が猗窩座との一方的虐殺(けっちゃく)を着けていた頃、別の部屋では未だに戦いが繰り広げられていた。

 

 

『月の呼吸・伍ノ型 月魄災渦(げっぱくさいか)

 

 

『月の呼吸・参ノ型 厭忌月(えんきつき)(つが)り』

 

 

『月の呼吸・陸ノ型 常夜孤月(とこよこげつ)無間(むけん)

 

 

技を繰り出しているのは"十二鬼月・上弦の壱 黒死牟(こくしぼう)"だった。

 

 

しかも彼は呼吸をする時、『ホオオオ』という音を出していた。

 

 

それもそのはず、彼が鬼になる前の名は『継国巌勝(つぎくにみちかつ)』。"始まりの剣士"と名高い『継国縁壱(つぎくによりいち)』の"実の兄"なのだ。

 

 

「くっそ!全集中の呼吸が使える鬼ってのは、つくづく厄介だぜ!」

 

 

「同感だな!」

 

 

黒死牟と戦っていたのは、時透兄弟に不死川兄弟、更にポルナレフに花京院の六名だった。

 

 

「ふむ…、六人の内、呼吸を……使えるのは、三人…か」

 

 

黒死牟は"透き通る世界"を使い、全集中の呼吸を使える者を見破っていた。

 

 

「全集中の呼吸が使えないからって、見くびるなよ?"波紋疾走(オーバードライブ)"!」

 

 

玄弥は波紋を使い、黒死牟に近寄る。そして黒死牟の"髪"を一部分だけ斬ったのだった。

 

 

何故玄弥の攻撃が黒死牟の髪だけを斬ったのか?それは玄弥の刀が黒死牟の頚を捉える寸前、黒死牟が"しゃかみ"、刀が結っていた髪房だけを斬ったのだった。

 

 

「くそっ、髪だけしか斬れなかった!」

 

 

「焦るな玄弥ァ!"急いては事を仕損じる"って言うからなァ、落ち着いて隙を見定めればいい!」

 

 

「……ごめん、兄ちゃん」

 

 

玄弥は黒死牟の髪だけを斬ったことに焦りを感じるが、それを実弥が落ち着かせた。

 

 

「しかしこれじゃ埒が開かねぇ。花京院、援護頼むぜ!」

 

 

「了解した!」

 

 

玄弥が下がったのを見計らったポルナレフは、花京院に援護を依頼し、レイピア型の日輪刀を持ち、黒死牟に向かって走り出した。

 

 

「無策で来る……か。なら、その頚…、斬り落として……やろう」

 

 

「そうはいくかよ!《銀の戦車(シルバーチャリオッツ)》!」

 

 

黒死牟がポルナレフの頚を斬ろうとしたその時、ポルナレフの《幽波紋》である《銀の戦車》が黒死牟の刀を"受け流した"。

 

 

「今だ!《法皇の緑(ハイエレファントグリーン)》!喰らえ《エメラルドスプラッシュ》!」

 

 

そして黒死牟の隙を突いた花京院が《法皇の緑》を出し、技を繰り出す。

 

 

だが、黒死牟は《エメラルドスプラッシュ》を"避けてしまった"のだ。

 

 

「なに!?《エメラルドスプラッシュ》を避けただと!?」

 

 

花京院は自分の技が避けられたことに驚きを隠せなかった。

 

 

「無駄な…こと。私には……"見えて……いる"…」

 

 

「"見えている"……だと?」

 

 

黒死牟の"見えている"発言に、ポルナレフは疑問を感じた。

 

 

「まさか…、《幽波紋》使い?!」

 

 

「んなバカな!?奴は《幽波紋》を顕現させていなかったそ!」

 

 

花京院は黒死牟が《幽波紋》使いではないかと勘ぐるが、ポルナレフはそれを否定した。

 

 

「そこの…宍色の髪の……男の言う…通り。私は《幽波紋》……使い…だ」

 

 

黒死牟は自らを《幽波紋》使いだと暴露すると、突如俯いた。

 

 

「フッフッフッ…、"久しぶり"だな。ジャン=ピエール・ポルナレフ!」

 

 

顔を上げた黒死牟は、雰囲気が変わり、ポルナレフに久しぶりと挨拶した。

 

 

「この感じ…、テメェまさか!"アヌビス神"か!?」

 

 

「その通り!俺様はかつてエジプトの地で貴様の体を乗っ取った『エジプト九英神』の一体、"アヌビス神"様だ!」

 

 

なんと黒死牟の雰囲気が変わった正体は、かつてエジプトの地で、ポルナレフの体を乗っ取り、最後は偶然と自らのミスによって倒された『エジプト九英神』の一体、刀に宿る《幽波紋》、"アヌビス神"だったのだ。

 

 

「なんでテメェが…」

 

 

「"ここにいるのか"って?正直ぶっちゃけちまえば、俺様もよくわからねぇんだわ」

 

 

「……は?」

 

 

「いや気づいた時には既に黒死牟の旦那の刀に宿っていてな?それで体を乗っ取っても主導権は変わらなかったし…」

 

 

アヌビス神の暴露にポルナレフは目が点になっていた。

 

 

「アヌビス神…よ……、そろそろお喋りは……終わり…だ」

 

 

「そうかい旦那?なら、俺様が持つ"記憶"で、奴らを細切れにしてやんな!」

 

 

「承知!」

 

 

『月の呼吸・捌ノ型 月龍輪尾(げつりゅうりんび)

 

 

『月の呼吸・玖ノ型 降り月・連面』

 

 

『月の呼吸・拾ノ型 穿面斬(せんめんざん)蘿月(らげつ)

 

 

『月の呼吸・拾肆ノ型 兇変(きょうへん)天満繊月(てんまんせんげつ)

 

 

主導権を戻されたアヌビス神は、刀身を変貌させ、黒死牟は型を次々に繰り出した。

 

 

「くそっ、野郎刀を変形させた途端、攻撃の頻度が増して来やがった!」

 

 

「どうするポルナレフ?!《幽波紋》が奴に見える今、僕たちの攻撃も見切られてしまうぞ!?」

 

 

ポルナレフと花京院は黒死牟の攻撃を避けながら打開策を考える。

 

 

「ンなこたぁ分かってるよ!(奴は俺の刀身を飛ばす攻撃(奥の手)を知ってるから使っても無駄に終わる。どうすれば…)」

 

 

ポルナレフは自分の奥の手である刀身を飛ばす攻撃を"知られて"いるため、使うことはできなかった。

 

 

ガキュン!

 

 

すると、玄弥が南蛮銃を構え、散弾を撃った。

 

 

しかし、散らばった銃弾は全て黒死牟に斬られてしまった。

 

 

「……ん?」

 

 

だが、黒死牟の刀を見てみると、散弾を斬った箇所が僅かではあるが、"欠けていた"のだ。

 

 

「玄弥、一体なにを…」

 

 

「《波紋疾走》の応用で弾に波紋を纏わせて撃ったんだ。ひょっとすれば隙を少しでも作れるかなって」

 

 

「でも、無駄骨に終わっちゃったけどね」

 

 

玄弥は頬をポリポリと掻き、落ち込んだ。

 

 

「いや、そうでもねェみてぇだ。玄弥が撃った弾を斬った奴の刀が欠けた、つまり波紋を加えた攻撃なら、有効打があるって訳だァ」

 

 

しかし実弥が先程起きたことを玄弥に話した。

 

 

「それじゃ、波紋が使える俺が…」

 

 

「あァ、"勝利の鍵"になるかもしれねェ」

 

 

実弥の話を聞いていた玄弥は、やる気を取り戻した。

 

 

「お前らァ!ここが正念場だァ!気合い入れて行くぞォ!」

 

 

「「「「「応!」」」」」

 

 

実弥の喝に全員が返事をした。

 

 

「無駄な……こと…、この刀は…我が血肉で作られた物…。刃が欠けても……元に戻る」

 

 

『そう言うこった!旦那の技と俺様の記憶があれば、鬼に金棒って訳だ!』

 

 

黒死牟は静かに、アヌビス神は意気揚々に話す。

 

 

「そんなもん、やってみなけりゃわからねぇだろ!《銀の戦車》!」

 

 

ポルナレフが《銀の戦車》を呼び出し、黒死牟に斬り掛かる。黒死牟は《銀の戦車》の攻撃を避けようとする。

 

 

「《エメラルドスプラッシュ》!」

 

 

しかし避けた先には既に花京院が技を繰り出していて、反応が遅れた黒死牟は花京院の攻撃を喰らってしまった。

 

 

「ぐうぅっ!?」

 

 

『ぬおっ!?』

 

 

しかもその攻撃は黒死牟とアヌビス神にはかなり効いたようだ。

 

 

「波紋を使えるのは彼"だけ"とは、思わないことだね」

 

 

そう、花京院もジョセフ指導の下、波紋を会得していたのだった。そして《エメラルドスプラッシュ》に波紋を加えて撃ったことで、黒死牟に予想以上のダメージを与えることができたのだ。

 

 

「まだ終わらねぇぜ?喰らえ、《銀の戦車》&波紋!」

 

 

ポルナレフもまた、花京院同様、ジョセフの指導により波紋を会得しており、《銀の戦車》のレイピアに波紋を流し、黒死牟に無数の切り傷を与えた。

 

 

「こいつはオマケだ、遠慮無く受け取れ!」

 

 

更に玄弥も波紋を加えた銃弾を撃ち、黒死牟にダメージを与えた。

 

 

「貴様ら…、図に乗るのも今の……内だ」

 

 

黒死牟は苛立ちを隠せない様子で、玄弥たちを6つの目で睨む。

 

 

「俺たちは最初から、図に乗ってなんかいないぜ?図に乗れば油断をする、その油断は敗北を招く恐れがあるからな」

 

 

ポルナレフは黒死牟の殺気をものともしない感じで言い放つ。

 

 

「お前らァ!一斉攻撃だァ!奴に攻撃する暇を与えるなァ!」

 

 

『風の呼吸・捌ノ型 初烈風斬(しょれつかざき)り』

 

 

『『霞の呼吸・漆ノ型 (おぼろ)』』

 

 

「《エメラルドスプラッシュ》!&波紋!」

 

 

実弥の合図で全員が一斉に攻撃を開始した。ポルナレフはレイピアに、玄弥は銃弾に波紋を加えた攻撃をし、黒死牟の体力は徐々に減っていった。

 

 

黒死牟もまた、反撃を試みようとするが、鬼殺隊の攻撃が多すぎるため、全てに対応することはできなかった。

 

 

そして…、

 

 

「これで…、止めだ!」

 

 

玄弥の波紋を加えた刀が、黒死牟の頚を斬ったのだった。

 

 

「まだだ…、まだ私は……終わらぬ!」

 

 

黒死牟はなんと斬られた頚を辛うじて繋ぎ止め、自身の姿を鬼と呼ぶに相応しい姿に変貌させた。

 

 

『おい旦那!その姿は…』

 

 

「五月蝿い黙れ!貴様は大人しく私に使われていればいいのだ!」

 

 

黒死牟はアヌビス神の言葉を遮り、玄弥たちに襲い掛かろうとする。

 

 

「グゥッ、ガアァ?!」

 

 

だが、黒死牟は動きを止めてしまった。

 

 

「なっ…、なんだ?」

 

 

「一体、どうしちまったんだ?」

 

 

花京院やポルナレフたちもまた、黒死牟の動きに疑問を感じ、動きを止めた。

 

 

「アヌビス…、貴様……!」

 

 

『悪いな旦那、旦那のこと、結構好きだったのに、残念だぜ…』

 

 

なんと黒死牟の動きを止めたのはアヌビス神だったのだ。

 

 

『お前ら!俺様が動きを止めている隙に旦那を倒せ!』

 

 

「なんだと!?一体なぜ!?」

 

 

『今の旦那は"生への執着"しか無い!俺様だって今の旦那に使われるのはまっぴら御免だ!』

 

 

『ポルナレフ!"今回"もお前たちの勝ちだ。だがなぁ、もし次があれば、絶対に負けねぇ!』

 

 

「……次があれば…な」

 

 

ポルナレフはレイピア型の日輪刀で黒死牟の頚を斬った。

 

 

『……あばよ』

 

 

頚を斬られた黒死牟は黙ったまま崩壊し、アヌビス神は別れの言葉を呟いた後、黒死牟の後を追うように消滅した。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

「………」

 

 

「ポルナレフ…」

 

 

黒死牟とアヌビス神が消滅した後、ポルナレフは黒死牟が着ていた服をじっと見つめ、花京院はそんなポルナレフに声をかけることしかできなかった。

 

 

アヌビス神(あいつ)もさ…、本当は嬉しかったんだろうな…」

 

 

「…えっ?」

 

 

不意に話し始めたポルナレフに、花京院は言葉を詰まらせた。

 

 

「一緒に戦える相棒がいて、嬉しかったんだろうな。本当なら意識を乗っ取ることもできただろうに…。今までは他人の体を乗っ取って戦っていたのに、自分を行使してくれる"仲間"がいたから…」

 

 

ポルナレフはアヌビス神に同情していた。

 

 

「ポルナレフ…」

 

 

「って俺っぽく無いな!…よしっ!惨めな俺はここでサヨナラだ!さぁ、残りの鬼を倒しに行くぞ!」

 

 

ポルナレフはスタスタと歩いて行った。が、その背中には哀愁が漂っている風に見えた。

 

 

 

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