「《
「《
《オラァ!》
《無駄ァ!》
鬼殺隊『波紋柱』空条承太郎と鬼の始祖・鬼舞辻無惨の体を乗っ取った『吸血鬼・DIO』の死闘は熾烈を極めていた。
《星の白金》が殴れば《世界》が防ぎ、《世界》が殴れば《星の白金》が防ぐと言った一進一退の攻防が繰り広げられていた。
「《世界》!"時よ止まれ"!」
DIOが時を止める。そして承太郎を殴ろうとすれば、
「甘いぜ、俺も"時を止めた空間"に入れることを忘れたか?!」
《オラァ!》
「ぐぅっ!?」
《星の白金》によって防がれ、時を動かざるを得なかった。
「やはり貴様は私の最大の天敵だ…、空条承太郎!」
「俺としては、二度とテメェの
そして二人は小細工無しの殴り合いを再開した。
…
……
………
「「ハァ…、ハァ…、ハァ…」」
夜明けまで残り三十分を切った頃、承太郎とDIOは互いに肩を上下に揺らしながら息をしていた。
承太郎の体は既にボロボロで、口からは血が流れており、服で見えないが身体中には殴られた痕があった。
DIOもまた、口から血を流しており、身体中殴られた痕があったが、無惨の体を乗っ取っているせいもあるのか、傷は全て癒えていた。
「フフフッ、
DIOは承太郎を見下しながら笑う。
「私の《
DIOは
「1秒経過…、さてどうやって止めを差そうか?」
DIOはどうやって承太郎をむごたらしく殺すのかを考える。
「……やはり先にあの者たちから殺して、精神を追い詰める方が理想的か、2秒経過…」
DIOは承太郎の横を通り過ぎ、炭治郎たちがいる所へと向かう。
「3秒経過…、…ふむ、殺すのは男"だけ"にしよう。女共は私の食糧にでもするか」
DIOは炭治郎に向けて手を伸ばす。
「4秒経過…、私の《世界》が時を止める限界は5秒…、それまでにコイツらを始末しないとな…」
DIOは右手を伸ばして手刀の形にし、鋭く尖った爪を炭治郎に向ける。
「貴様が死んで、承太郎が絶望する姿を見せるがいい!」
DIOは右手を大きく振りかぶる。だが…、
「なっ…、何だ…?うっ…、動けん…!」
DIOは右手を大きく振りかぶった状態で"止まってしまった"。
「やれやれ…、まぁこんなことだろうとは思っていたがな」
DIOは何故動けなくなったのか考えていると、後ろから声がした。
「くっ…、空条承太郎…!」
「いつぞやの時と同じになったな」
「まっ…、まさか時を…」
「そう、俺が時を止めた。"5秒の時"にな」
そう、DIOが動けなくなった理由は、承太郎がDIOの時を止める限界時間の時と同時に時を止めたからだった。
「テメェを殺すのに、1秒もいらねぇ」
《オラオラオラオラオラオラ、オラオラオラオラオラオラ、オ~ラァ!オラオラオラオラオラ、オラオラオラオラオラ、オラオラオラオラオラ、オラァ!》
承太郎は宣言した1秒の間に何十、何百、何千、何万もの拳をDIOに放った。
《オラオラオラオラオラオラァ、オラオラオラオラオラオラァ、オラオラオラオラオラァ、オラオラオラオラオラァ、オラオラオラオラオラァ、オラオラオラオラオラァ、オラオラオラオラオラァ、オラオラオラオラオラァ、オラオラオラオラオラァ、オラオラオラオラオラァ、オラオラオラオラオラァ、オラオラオラオラオラァ、オラオラオラオラオラァ、オラオラオラオラオラァ、オラオラオラオラオラァ、オ~ラァ!》
「1秒、時は動き出すぜ」
「グハァッ!?」
《星の白金》が最後にDIOの顎を下から打ち抜き、空高く殴り飛ばした後、承太郎は止めていた時間を動かした。
「あれっ!?奴がいない?!」
時が止まった空間での出来事を知らない炭治郎たちは、突如DIOがいなくなったことに驚いていた。
「承太郎、
花京院が承太郎に質問をすると、承太郎は指を空に向けて
「今奴は空中遊泳を楽しんでいる所さ」
と言った。
「空中遊泳…?あれっ?確か…、なるほど。承太郎、中々に悪いことするなぁ」
「俺は悪人には容赦しない主義なんでな」
ポルナレフは承太郎がしたことに苦笑を浮かべると、承太郎は笑みを溢した。
…
……
………
一方《星の白金》によって上空に殴り飛ばされたDIOは、傷を修復しながら落下するその時を待っていた。
だが、上空に昇ると言うことは、無惨にとって、そしてDIOにとっても、『最大の天敵』が迫ることを意味していた。
そう、地平線の彼方から"太陽"が昇り始めたのだった。
「くそっ、承太郎が狙っていたのは"これ"か!これでは幾ら時を止めても、地平線から太陽が昇るのを阻止できない!おのれぇぇぇ~、空条承太郎ォォォ!!」
DIOは太陽の光に全身を焼かれ、灰となって消えた。
…
……
………
「……DIOの気配が消えた。どうやら勝ったみたいだな」
承太郎の一言に、炭治郎たちは実感が持てていなかった。
「あの、なんで奴は時を止めなかったのでしょうか?」
しのぶが疑問に思ったことを承太郎にぶつける。
「DIOは時を止めたくても、止めれなかったんだ。空は昇れば昇る程、太陽が昇るのが早くなるからな」
「例え時を止めても、自分自身が上昇し続ける限り、太陽からは逃げられないのさ」
承太郎とポルナレフがしのぶの質問に答えるが、当のしのぶ本人はポカンとしていた。
…
……
………
無惨改めDIOを倒した2日後、この日は"最後の柱合会議"が開かれる日。
いつもの産屋敷邸の中庭には、
岩柱・悲鳴嶋行冥
音柱・宇随天元
水柱・鱗滝錆兎
風柱・不死川実弥
炎柱・煉獄杏寿郎
恋柱・甘露寺蜜璃
蛇柱・伊黒小芭内
蟲柱・胡蝶しのぶ
霞柱・時透有一郎
波紋柱・空条承太郎
と言った柱一同に、
竈門炭治郎
我妻善逸
嘴平伊之助
不死川玄弥
栗花落カナヲ
と言った柱と同等の実力を持つ隊員、
花京院典昭
ジャン=ピエール・ポルナレフ
イギーこと伊山砂子
と言った幽波紋使い、
ジョセフ・ジョースター
珠世
愈史郎
と言った鬼殺隊に大いに貢献した協力者や柱の身内が集っていた。
「「お館様のお成りです」」
凛とした声がした後、奥の座敷から一人の男性が現れた。
「おはようみんな、今日もいい天気だね。空は青い、晴れ晴れとした天気だ。まるで私たちの心を表しているようだ」
座敷から現れたのは鬼殺隊の長で九十七代目産屋敷家当主の耀哉だった。
彼の体を蝕んでいた"呪い"は無惨がいなくなったことで解呪されており、爛れていた顔や体は健康体のような張りや艶が戻っており、視力も戻っていた。
「お館様に置かれましても、ご壮健でなによりです。益々のご多幸を切にお祈り申し上げます」
「ありがとう承太郎。さてみんな、今まで本当にご苦労様。君たちのお陰で私たちの悲願は達成された。産屋敷一族を代表して、お礼を言うよ。本当にありがとう」
耀哉が柱たちの前で頭を下げると、後ろに控えていた奥さんや子供たちも頭を下げた。
「お館様、頭をお上げください!」
「そうです、我々が鬼殺隊として戦えたのは、お館様が我々を率いてくれたからです。寧ろ頭を下げるのは我々の方です!」
柱を代表してか、錆兎と実弥が申し立てた。
「……ありがとう。みんな、今日をもって鬼殺隊は解散となる。さしあたってはみんな一人一人に褒美を与えたい、欲しい物があるなら遠慮無く申し立ててほしい」
耀哉からの言葉に全員が絶句した。そして耀哉は一人一人、欲しい物を聞き入れた。
天元は派手な装飾品を幾つか
小芭内と蜜璃は一緒に暮らせる家
等々。メンバーの殆んどが褒美を断わったが、耀哉からの強い希望に根負けして日用品を幾つかお願いをした。
「みんなの望む物は必ず用意しよう。最後にもう一度言わせて欲しい、私たちに協力してくれて、本当にありがとう」
こうして、永きに渡る『鬼と鬼殺隊の戦い』に終止符が打たれたのだった。
…
……
………
鬼殺隊が解散した後、そのメンバーは様々な所にいた。
まず行冥は有一郎・無一郎兄弟と共に暮らしている。
杏寿郎は屋敷の道場を使って剣道教室を開き、子供たちに剣道を教えている。
小芭内、蜜璃の二人は昨年めでたく結婚し、順風満帆は新婚生活を満喫している。
しのぶは自身が持つ薬学を利用し、珠世に弟子入り。そして珠世と共に医師免許を取得、今は二人で
愈史郎とジョセフは珠世の助手として、今も働いている。
カナエ、アオイはしのぶがいる病院で看護師をしている。もちろんなほ、すみ、きよの三人も一緒だ。
錆兎、真菰、義勇の三人は、狭霧山で左近次と共に暮らしている。
天元は自分の忍術を後生に残すため、自分の子供たちに忍術を教えていた。
実弥は今は警察官となり、日々町の治安を守っている。
そして承太郎は一人、海が見える丘にいた。
承太郎は鬼殺隊解散後、独学で海洋生物に関しての論文を出し、それが広く世間に知れ渡り、今ではその業界に知らない者はいないと言われる程有名になっていた。
「承太郎、どうした?そんな所で黄昏てよ」
承太郎の後ろから現れたのはポルナレフだった。彼は鬼殺隊解散後、承太郎の助手の"一人"として、行動を共にしていた。
因みに"一人"と言うのは、承太郎の助手は"三人"おり、残りの二人は花京院とイギーである。
「いやなに、炭治郎たちは元気に暮らしているのかなっと思ってな…」
承太郎は笑いながら海を見つめていた。
炭治郎は承太郎の屋敷であった『波紋屋敷』の一角に炭焼き釜を作り、そこで炭を作っていた。
余談ではあるが、炭治郎の父親の炭十郎は鬼殺隊が解散した翌年に息を引き取った。そして哀しみに暮れていた炭治郎をカナヲとしのぶが懸命に励まし、炭治郎はカナヲとしのぶの二人と結婚した。
今波紋屋敷には炭治郎とカナヲ、しのぶの他には、禰豆子を含む竈門一家に善逸と伊之助が一緒に住んでいる。
善逸は以前遊郭で仲良くなった少女と偶然道端で再開し、あれよあれよと言う間に恋仲となっていた。
伊之助はよく近くの山へ探検に向かい、身体中傷だらけで帰ってくるので、しのぶたちからは叱られていた。
玄弥は実弥と一緒に暮らしており、近状報告などを書いた手紙が鴉によって送られて来ていた。
「心配いらねぇよ、なんせお前の継子だからな」
「ふっ、確かにな」
承太郎とポルナレフは並んで視界に広がる海を眺めていた…。
The End…