ジョジョの奇妙な鬼殺の冒険   作:レイファルクス

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第4説《衝撃》

 

 

最終選別が終了してから十五日が経過した。承太郎は蝶屋敷で既にロードワーク(習慣)となっているジョギングをしながら日々を過ごしていた。

 

 

「承太郎!!」

 

 

承太郎が中庭で木刀を素振りしていると、伊山砂子(いやまさこ)ことイギーが慌てた様子で訪れた。

 

 

「ん?よぅイギー。どうした?そんなに慌てて。確か岩柱の所で世話になってるって前にくれた手紙に書いてあったが…」

 

 

「慌てたくもなるよ!見てよこれ!」

 

 

イギーが承太郎の目の前に出したのは、女性用の鬼殺隊服だった。

 

 

「どうしたんだイギー?ん?それは女性用の鬼殺隊服じゃないか」

 

 

そこにアヴドゥルも空から舞い降りて来た。

 

 

「このままじゃ分かんないよね…、着替えてから見せるからそこで待っててよ!」

 

 

イギーは屋敷に上がり、部屋の奥へと向かう。承太郎とアヴドゥルは互いの顔を見ると、首を傾げた。

 

 

「空条さん、お茶を淹れましたので休憩なさってはいかがですか?アヴドゥルさんにはお水をお持ちしましたよ」

 

 

そこにしのぶがお茶を淹れた湯飲みと、水が入ったグラスをお盆に乗せてやって来た。承太郎は木刀を縁側に立て掛け、しのぶが持ってきた湯飲みとグラスを受け取り、グラスを縁側に置いてお茶を啜った。

 

 

「ほら承太郎!これ見てよ!」

 

 

そこに隊服に着替えたイギーが姿を見せると、承太郎は飲んでいたお茶を中庭に吹き出してしまった。

 

 

「この服、胸元が閉まらないし、スカートも短くて下着が見えそうなんだけど…」

 

 

イギーが渡された隊服は、スカートが短く、上着も胸元が開いている物だった。

 

 

イギーは同年代の子と比べると、身長はやや低めだが、胸は他の子よりも大きかった。

 

 

イギーは胸元をサラシで巻いて胸が動かないようにしていたが、流石に恥ずかしかったのか、腕で胸元を覆い隠した。

 

 

「えっと…、あなたは…?」

 

 

「あっ、俺は承太郎の仲間の伊山砂子って言います」

 

 

「なら伊山さん、今すぐそれを脱いでこの屋敷に来るときに着ていた服に着替えてくださいね」

 

 

イギーはしのぶに言われてそそくさと着替えに戻った。

 

 

「承太郎、大丈夫か?」

 

 

「あぁ問題無い。胡蝶すまない、折角の茶を無駄にしてしまって」

 

 

「構いませんよ。それに、元はと言えばあの服を渡した人が原因ですし」

 

 

承太郎は茶を吹いてしまったことをしのぶに謝り、しのぶは承太郎を許した。

 

 

「あの…、着替えましたけど…」

 

 

そこに隊服に着替える前に着ていた服を着ているイギーが姿を見せる。

 

 

「ならその服は私にくださいな?後で処分して新しいのを手配させますので」

 

 

イギーはしのぶに隊服を渡した。

 

 

「しのぶ様、刀鍛冶の方がお越しになられました」

 

 

そこにアオイが現れ、刀鍛冶の者が訪れたことを伝えた。

 

 

「こちらにお通ししてもらってください」

 

 

「分かりました」

 

 

しのぶはこちらに来てもらうようお願いし、アオイはそれを伝えに戻った。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

部屋で少し待っていると、アオイに連れられた火男(ひょっとこ)の面をした男性と、眼鏡を掛けた隠の者が現れた。

 

 

「お初にお目にかかる。私は鉄導寺(てつどうじ)、此度空条殿の刀を打たせてもらいました」

 

 

「私は隠の『隊服縫製(ほうせい)係』の前田と申します。空条殿の隊服をお持ちしました」

 

 

刀鍛冶の鉄導寺と隠の前田は自己紹介をする。

 

 

態々(わざわざ)ありがとうございます。空条は俺です、どうぞよろしくお願いいたします」

 

 

承太郎もまた自己紹介をし、頭を下げた。

 

 

「空条殿は全集中の呼吸を使えないとお聞きしましたので、刀は切れ味の他に強度を増した一品にしております。余程のことが無ければ折れないと思いますが…」

 

 

鉄導寺は布に包んだ刀を承太郎に差し出す。

 

 

「では私はこの隊服を…」

 

 

前田も布に包んだ隊服を承太郎に差し出す。

 

 

「…確かに受け取りました。では着替えてきますので…」

 

 

承太郎は刀と隊服を持って一時退室した。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

承太郎が着替えを終えて再び入室した時、言葉を失う光景が広がっていた。

 

 

それはアヴドゥルが自身の幽波紋(スタンド)である《魔術師の赤(マジシャンズ・レッド)》を出しており、中庭で前田が踞っている光景だった。

 

 

「……イギー、説明してくれ。これはどういう状況だ?」

 

 

「あっ、承太郎。えっと、承太郎が着替えに出た後なんだけど、あの人に服を渡したでしょ?それでどこから取り出したのか分からなかったんだけど、油が入っている瓶を取り出して、中庭に放り投げた服にかけたのよ。そしてマッチに火を点けようとしていたら…」

 

 

「私が火を出せることを思い出した胡蝶殿が、私にお願いして着火させたのだ。そして燃える服を見ながらあの者はあの状態となったと言う訳だ」

 

 

イギーとアヴドゥルは承太郎に説明をした。

 

 

「……やれやれだぜ」

 

 

承太郎は呆気に取られ、帽子を目深に被った。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

その後しのぶは前田にイギーの採寸に合わせた自分と同じ隊服を渡すことを約束させた。そして二人が蝶屋敷を去ったのと入れ違いにポルナレフと花京院が蝶屋敷へ訪れた。

 

 

「しかしイギーも災難だっな。支給された隊服が破廉恥な物で」

 

 

「笑い事じゃ無いんだぞポルナレフ。あれすっごく恥ずかしいんだから」

 

 

先程中庭で行われていたことを二人に話すと、ポルナレフは笑い、イギーが頬を膨らませる。

 

 

「あの前田と言う隠の男は女性隊員に何度もあのデザインの隊服を支給させていたらしくてな。それで付いた渾名が『ゲスメガネ』らしい」

 

 

「『ゲスメガネ』…、不名誉な渾名だね」

 

 

「まったくだ。おいポルナレフ、こんな渾名を付けられたく無かったら、女性関係には気を付けることだな」

 

 

承太郎がしのぶから聞いた前田の渾名を言うと、花京院は引き、アヴドゥルはポルナレフに注意を促す。

 

 

「おいアヴドゥル!冗談キツいぜまったく…」

 

 

「冗談でこんなことは言わん」

 

 

「まったくだ」

 

 

アヴドゥルの言葉に承太郎が同意すると、ポルナレフを除く全員が笑った。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

承太郎が隊服と刀を支給されてから数日後、承太郎は耀哉から呼び出しを受け、柱であるしのぶと共に産屋敷邸へ訪れた。

 

 

「呼び出してしまって申し訳無かったね、しのぶ、承太郎」

 

 

「いえ、お館様からのお呼び出しとあれば、即駆けつけます」

 

 

「それで、俺たちを呼んだ理由とは?」

 

 

しのぶと承太郎は挨拶もそこそこに、呼び出された理由を聞いた。

 

 

「実は二人には"ある場所"に赴いてほしい。そこには"元柱"が住んでいるんだが、体調が優れないらしくてね。"これ"を二人に届けてほしいんだ」

 

 

耀哉は懐から手紙を一通取り出す。

 

 

「それだけなら、鴉に届けさせればよろしいのでは?」

 

 

手紙の配達と言う任務に、しのぶは懸念の表情をする。

 

 

「確かに手紙"だけ"なら鴉にお願いすれば事足りるけれど、何か"嫌な予感"がしてね、頼めるかい?」

 

 

「お館様直々の勅命とあらば」

 

 

「頼まれよう」

 

 

承太郎は耀哉から手紙を受け取り、自分の懐に仕舞った。

 

 

「それじゃあ頼んだよ。場所は"雲取山(くもとりやま)"と言う山になる」

 

 

届け先を耀哉から聞いた二人は、一旦準備を整えるために蝶屋敷へと戻ることにした。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

「まさか空条さんの初任務が手紙の配達だなんて…」

 

 

「気にするな胡蝶、俺は気にしていない」

 

 

二人が蝶屋敷へ戻っていると

 

 

「あっ、承太郎!」

 

 

イギーが承太郎を見つけ、駆け寄って来た。

 

 

「ん?よぅイギー。おっ、どうやらちゃんとした隊服を支給されたようだな」

 

 

イギーはしのぶと同じ隊服を着用していた。

 

 

「えへへ~、どう?似合うかな」

 

 

イギーはその場でくるりと一回転する。

 

 

「あぁ、よく似合ってるぞ」

 

 

承太郎はイギーの頭を撫でながら誉めた。イギーは承太郎に頭を撫でられて、嬉しそうな表情をしていた。

 

 

「あっ、そうそう。今蝶屋敷にポルナレフと花京院が来ているんだけど、何か知ってる?」

 

 

「いや、知らんな。大方、蝶屋敷の女性を口説こうとしていて、花京院はそれに巻き込まれたって所だろう」

 

 

「そんなことしている暇があれば、一体でも多く鬼を倒してほしい所ですけどね…」

 

 

承太郎の考えに、しのぶは呆れていた。

 

 

「ん?よぅ承太郎、やっと戻って来たか」

 

 

「承太郎、お疲れ様」

 

 

すると蝶屋敷の門からポルナレフと花京院が姿を見せた。

 

 

「花京院、何か疲れているみたいだが、もしかして…」

 

 

「あぁ、ポルナレフのナンパの尻拭いさ…」

 

 

「…花京院、後日何か奢ろう」

 

 

「…ありがとう」

 

 

承太郎の考えは当たっていたらしく、やや疲れ気味の花京院を承太郎は労った。

 

 

「ところで承太郎、お前一体どこほっつき歩いてたんだよ?まさか、こんな朝っぱらからその子とデートかよ?」

 

 

「違ぇよ、お館様に呼ばれて今帰ってきた所だ。そして準備が整い次第、出立する」

 

 

しのぶとの行動を勘ぐるポルナレフだが、承太郎は直ぐ様否定し、一緒に行動していた理由を告げる。

 

 

「ねぇ承太郎、俺もついて行っていいかな?俺、未だに鴉から任務の指令が来て無いからさ」

 

 

イギーは承太郎に同行を申し出た。

 

 

「変ですね…、伊山さんは刀が既に届いてますから任務が来てもおかしくは無いのですが…」

 

 

しのぶは未だにイギーに任務が来て無いことを不審に思っていた。

 

 

「そのことなんだが…、実は彼女には既に任務が言い渡されているのだ」

 

 

しのぶの不審を拭ったのはアヴドゥルだった。

 

 

「指令が来ているのですか?では何故伊山さんは任務に行かれないのでしょうか?」

 

 

「彼女の鴉なのだが…、実は"方向音痴"なのだ。なので任務を伝えたくても、彼女の下にたどり着くことが出来ないのだ」

 

 

実はイギーの鴉は方向音痴で、本来ならイギーの下に向かっていたのだが、全く違う所に着いてしまっており、任務を伝えられていなかったのだった。

 

 

「それ、鴉としてどうなんだよ…」

 

 

アヴドゥルの説明を聞いたポルナレフは呆れていた。

 

 

「それじゃ、僕たちの鴉もあの時から姿が見えないのは…」

 

 

「恐らくではあるが、イギーの鴉を探しに向かったのだろう…」

 

 

「何か…、頭が痛くなってきました…」

 

 

花京院の予感に、しのぶは頭を抱えた。

 

 

「どうする?このまま屋敷で休んでいくか?任務は俺とアヴドゥル、イギーに花京院、それとポルナレフで行けるが…」

 

 

「…そうですね。申し訳ありませんが、休ませてもらってもよろしいですか?」

 

 

承太郎の提案にしのぶは申し訳無さそうに乗っかった。

 

 

「無理する必要は無ぇって。ささっ、早く横にならなくちゃ」

 

 

ポルナレフは素早い動きでしのぶを屋敷に誘導した。

 

 

「……花京院」

 

 

「分かってる。……ハァ」

 

 

承太郎の申し訳無さそうな視線を受けた花京院はポルナレフの後を追った。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

その後しのぶを部屋に送った花京院とポルナレフ、それとイギーを連れた承太郎はアヴドゥル先導の下、目的地である雲取山へと向かった。

 

 

「このメンバーで行動してると、あの時を思い出すぜ」

 

 

目的地へ向かう道中、ポルナレフが口を開いた。

 

 

「あの時って、エジプトの旅のこと?」

 

 

「そうだな。あの時は俺に花京院にイギー、アヴドゥルに承太郎、そしてジョースターさんの六人で旅をしていたからな。今と状況が似てると思ってな」

 

 

イギーがポルナレフに質問をし、ポルナレフはそれに答えた。

 

 

「フフッ、僕はエジプトに入ってすぐに敵の幽波紋(スタンド)にやられたから、そんなに旅に同行は出来なかったけどね」

 

 

花京院は当時のことを思い出し、笑っていた。

 

 

「あの時は大変だったぜ。俺とジョースターさんがギャンブルに負けて魂を抜かれたり、子供に戻されたり、俺が敵に操られたり…」

 

 

ポルナレフはエジプトでの戦いを振り返っていた。

 

 

「俺はDIOの館の門番をしていた鳥野郎と戦ったな」

 

 

イギーもエジプトでの戦い、『エジプト九英神の一体、ホルス神』を使う幽波紋使いの鳥『ペット・ショップ』のことを思い出していた。

 

 

「もしかして、片足を失ったのは…」

 

 

「そう、鳥野郎の幽波紋にやられたんだ。けど、何とかぶっ殺してやったさ」

 

 

イギーは意気揚々に話す。するとアヴドゥルが承太郎の肩に舞い降りた。

 

 

「みんな、到着したぞ。あの目の前の山が目的地の雲取山だ」

 

 

「……あの山のどこかに、手紙を届ける相手がいるって訳か…」

 

 

承太郎たちは雲取山を見上げていた。

 

 

「あの、すみません」

 

 

すると、後ろから声を掛けられ、承太郎たちは後ろを見る。そこには額に炎のような痣があり、市松模様の羽織を着ている少年がいた。

 

 

「その服…、鬼殺隊の服ですよね?もしかして、鬼殺隊の方ですか?」

 

 

「そうだ。俺たちはあの雲取山に住む元柱の人に会わなくてはならなくてな」

 

 

少年の質問に承太郎が答える。

 

 

「でしたらご案内しましょうか?多分その人は俺の父だと思いますので」

 

 

「おっ、そりゃ助かるぜ!そんなに高く無い山とは言え、捜索範囲が広いと家一軒見つけるのに時間が掛かるからな!」

 

 

少年が道案内を申し出たので、ポルナレフはそれに乗っかった。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

少年の案内の下、承太郎一行は山に建つ一軒の炭焼き小屋に到着した。

 

 

「んっ?なぁ、あの女性はお前の母親か?」

 

 

ポルナレフは家の前にいる一人の女性を指差す。

 

 

「あの人は『珠世(たまよ)』さんと言って、鬼なんですけど、人を喰わない良い人なんです。医学に精通していて、病に掛かった俺の父を住み込みで治療してくれているんです」

 

 

「なら、あちらの男性は?」

 

 

「彼は『愈史郎(ゆしろう)』さんと言って、珠世さんが薬で鬼にした人なんですが、珠世さんと同様に人を喰わず、血を飲むことで満腹になるそうです」

 

 

次に花京院が珠世の隣にいる男性を指差し、少年がそれに答えた。

 

 

「ならあの男性は?」

 

 

次にイギーが指差したのは、水が入った手桶を両手で運んでいるテンガロンハットを被った40代の男性だった。

 

 

「珠世さん、水はこれくらいで足りますかな?」

 

 

「十分です、ありがとうございます」

 

 

男性は手桶を珠世の側に置き、珠世は男性にお礼を言った。

 

 

「おい承太郎、あの男性は…」

 

 

「言うなアヴドゥル、俺も密かに思っている…」

 

 

アヴドゥルは承太郎の肩に止まり、声を(ひそ)めて質問をすると、承太郎は呆れながら帽子を目深に被った。

 

 

「珠世さん、愈史郎さん、"ジョースター"さん、ただ今戻りました!」

 

 

「んっ?おぉ炭治郎(たんじろう)じゃないか!お帰り」

 

 

「お帰りなさい炭治郎さん」

 

 

「お帰り炭治郎。んっ?お客人か?」

 

 

少年こと炭治郎が帰宅の挨拶をすると、三人が返事をし、愈史郎が承太郎たちに視線を向ける。

 

 

「はい。何でも父にお会いしたいそうで…」

 

 

炭治郎は承太郎たちのことを話す。

 

 

「そうですか。では今から炭十郎(たんじゅうろう)さんの検査をした後ご用件をお聞きするか尋ねましょう。愈史郎、ジョースターさん、すみませんが水を中に」

 

 

珠世はそう言って小屋の中に入っていった。

 

 

「よろしくお願いします!…と言うことですが?」

 

 

「構わない。もし会えなくても、渡せる物を渡すことが出来ればそれでいい」

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

それから、面会を許可された承太郎一行は、炭治郎の父、炭十郎と面会をした。

 

 

「このような格好で申し訳ありません。私が元柱の竈門(かまど)炭十郎です」

 

 

承太郎一行が会ったのは、炭治郎を大人にし、痩せた状態の姿に似た男性だった。そして炭十郎は布団を下半身に敷いて座っていた。

 

 

「お初にお目に掛かります。鬼殺隊・癸、空条承太郎です。こちらから鎹鴉のアヴドゥル、仲間の伊山砂子、花京院典明、ジャン=ピエール・ポルナレフです」

 

 

先に正座をした承太郎は自己紹介をし、承太郎に促された面々は正座をしながら頭を下げた。

 

 

「自己紹介、痛み入ります。それでご用件とは?」

 

 

「はい。お館様こと産屋敷耀哉殿から手紙を預かりましたので、それを届けに」

 

 

承太郎は懐に仕舞っていた手紙を炭十郎に差し出す。

 

 

「拝見します。………」

 

 

炭十郎は承太郎から受け取った手紙をその場で読み出す。

 

 

「……なるほど。空条さん、今日はもう遅い。もし良かったら我が家に泊まってはいかがですかな?」

 

 

手紙を読み終えた炭十郎は承太郎に宿泊の提案をする。

 

 

「(確かに麓の村に到着したのは夕方に近い時刻…、今から山を下りて宿を探すのは困難…)分かりました。お言葉に甘えさせて頂きます」

 

 

承太郎は炭十郎の提案を受け入れることにした。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

「すまないが、今日はここに泊まらせてもらうことになった。よろしく頼む」

 

 

承太郎は炭治郎に家に泊まることを伝えた。

 

 

「分かりました。よろしくお願いします。改めまして、竈門炭治郎です」

 

 

「空条承太郎だ。呼びづらいのであれば『ジョジョ』と呼んでくれ」

 

 

承太郎は炭治郎に手を差し出し、炭治郎は承太郎の手を掴み、握手をした。

 

 

「ジョジョって、ジョジョおじさんと同じですね」

 

 

「…何?」

 

 

「ジョジョおじさん、『ジョセフ・ジョースター』って言う名前なんですけど、俺の弟や妹を含むみんなは『ジョジョおじさん』って呼んでいるんです」

 

 

「……やれやれだぜ」

 

 

承太郎は炭治郎の手を握ったまま、呆れていた。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

その後承太郎一行は炭治郎に自己紹介をし、炭治郎は自分を含めた家族を紹介した。

 

 

そして炭治郎の母葵枝(きえ)の手作り料理を堪能した。

 

 

因みに食材は承太郎たちが山の麓の村に到着する前に立ち寄った村でしのぶから貰った金で買った物である。

 

 

そして風呂に入り、夜も遅い時間となった時、竈門一家は就寝した。だが、承太郎一行とジョセフ、珠世と愈史郎は起きていた。

 

 

元々鬼は"眠る"と言うことはしないので、珠世と愈史郎の二人は布団に入るも、体を横にするだけで、眠ることは無かった。

 

 

しかし承太郎、イギー、花京院、ポルナレフ、ジョセフは違った。なぜなら、日が落ちたと同時に邪悪な気配を感じていたからだった。

 

 

そして夜が深まるにつれ、その気配が強くなり、承太郎たちは警戒していたのだった。

 

 

そして承太郎たちの警戒心が最高潮に達したその時

 

 

トントンッ

 

 

『夜分遅くにすみません、少々よろしいでしょうか?』

 

 

誰かが戸をノックしたのだった。

 

 

承太郎は直ぐ様起き上がり、戸の前に立つ。

 

 

「どうかなさいましたか?」

 

 

『すみません、道を尋ねたいのですが…』

 

 

「分かりました。今戸を開けますので、少々お待ちください」

 

 

承太郎は花京院にハンドサインを送り、準備をする。そして準備が整ったと同時に戸を開けた。

 

 

「《法皇の緑(ハイエロファントグリーン)》!喰らえ!《エメラルド・スプラッシュ》!」

 

 

承太郎が戸を開けたと同時に花京院が自身の幽波紋を出し、先制攻撃をする。

 

 

「チィッ!」

 

 

しかし訪問者は後ろに飛んで《エメラルド・スプラッシュ》を回避した。

 

 

「馬鹿な!?《エメラルド・スプラッシュ》を避けるなんて!?」

 

 

通常、幽波紋及び幽波紋の攻撃は同じ"幽波紋使い"で無ければ攻撃は愚かその姿を見ることすら出来ない。

 

 

では何故訪問者は花京院の幽波紋の攻撃を避けることができたのか?その答えは、その者の"直感"によるものだった。

 

 

その者は戸を開けた瞬間に"何か"が自分に向かってくることを察知し、後ろに飛んだのだった。これが訪問者が《エメラルド・スプラッシュ》を避けた理由である。

 

 

「逃がさねぇぜ、《星の白金(スタープラチナ)》!」

 

 

《オラァ!》

 

 

承太郎は避けられるのを覚悟の上で《星の白金》を出した。

 

 

「グハァッ!?」

 

 

だが訪問者は《星の白金》のパンチを喰らってしまった。

 

 

「どうやら、僕の《エメラルド・スプラッシュ》を回避できたのは偶然のようですね」

 

 

花京院が承太郎の隣に並ぶと、殴り飛ばされた訪問者が立ち上がった。

 

 

「見えない衝撃…、そうか。貴様が"童磨"を殺した男か」

 

 

訪問者の口から『童磨』と言う言葉を聞いた承太郎は一歩前に出る。

 

 

「おい貴様、今"童磨"と言ったな?さては貴様、童磨の仲間だな?」

 

 

「"仲間"…?違うな。私は"鬼舞辻無惨(きぶつじむざん)"、全ての鬼の"神"たる存在だ」

 

 

何と訪問者の正体は鬼の始祖である無惨だったのだ。

 

 

「鬼舞辻…無惨…だと?」

 

 

「そうだ!私は"太陽を克服した鬼"を造るために鬼を増やしているのだ。そして童磨を含む"十二鬼月"は私の"手駒"なのだ!貴様は私の手駒を減らした!万死に値する!」

 

 

無惨は腕を鞭状に変化させ、横に振るった。

 

 

《オラァッ!》

 

 

しかし無惨の攻撃は《星の白金》によって防がれた。

 

 

「何のつもりでここに来たのかは知らねぇし知るつもりも無ぇ。だが、貴様だけはぶっ潰させてもらうぜ」

 

 

「やれるものなら、やってみろ!」

 

 

無惨は再び腕を振るおうとする。

 

 

「そうはさせん!《隠者の紫(ハーミットパープル)》!」

 

 

すると承太郎の後ろから"紫色の茨"が無惨に巻き付いた。承太郎たちが後ろを振り向くと、ジョセフが右腕を前に突き出しており、その腕から無惨を捕らえているのと同じ紫の茨が生えていた。

 

 

「そして喰らえ!《波紋疾走(オーバードライブ)》!」

 

 

ジョセフは茨を通して波紋を無惨に流し込む。

 

 

「グオオオォォォッ」

 

 

すると波紋を喰らった無惨が苦しみだした。

 

 

「儂の波紋は太陽と同等の力を持っておる。そのまま苦しんで死ぬがいい鬼舞辻無惨!」

 

 

ジョセフは更に波紋を無惨に流そうとする。

 

 

「図に、乗るなァァァ!!」

 

 

自身の身の危険を回避しようとした無惨が叫ぶと、無惨の体から"何か"が出た。

 

 

それは頭は"ボサボサの髪"に口の周りに"髭を剃った跡"が青々と残り、顎のホクロから"毛が一本"出ていた。

 

 

体は中肉中背、"アニメ化された自分の顔が幾つもプリントされているピンクの服"に同じく自分の顔がプリントされている腹巻きをしていた。

 

 

はっきり言って、『変なオッサン』だった。

 

 

「なっ…、何だ…?」

 

 

無惨の体から出てきた者を見た承太郎は思考が一瞬停止してしまった。

 

 

《何だチミはってか?そうです、わたすが"変なおじさん"です》

 

 

《あっ、変なおじさんだから変なおじさん♪》

 

 

《変なおじさんだから変なおじさん♪》

 

 

《変なおじさんだから変なおじさんっと》

 

 

変なオッサンは突如その場で踊りだした。承太郎たちは油断せずに攻撃のタイミングを伺う。

 

 

《えへへへへっ、だっふんだ!》ブォッ

 

 

踊り終わり、変な顔をした瞬間、無惨を中心に衝撃波が走った。

 

 

承太郎たちは吹き飛ばされまいと、足を踏ん張る。そして衝撃波が止むと、その場に無惨は"いなかった"。

 

 

「何だったんでしょうか?今のは…」

 

 

「もしや未知の幽波紋か?」

 

 

花京院とジョセフは無惨から現れた者について思考する。

 

 

「いや、奴は俺たちの幽波紋は見えては"いなかった"。それに、さっきの衝撃波も奴には当たってはいなかった。つまり、幽波紋では無い"何か"だったんだろう」

 

 

承太郎は先程の戦いでの出来事から一つの"仮説"を説いた。

 

 

「それはそうと、まさかジジイまでこの世界に来ていたとはな。しかも、俺たちが知っている姿よりも若返ってやがるな」

 

 

「なんじゃ承太郎、気づいとったんか。なら早く声を掛けんか」

 

 

ジョセフは承太郎に言い寄る。

 

 

「阿保なことを抜かすな、こっちはこっちで忙しいんだ、ジジイに構っている暇は無いんでね」

 

 

承太郎はジョセフから離れ、小屋に戻る。その後をジョセフと花京院は追い掛けた。

 

 

 

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