ジョジョの奇妙な鬼殺の冒険   作:レイファルクス

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第5説《恋心》

 

 

「ジジイ、幾つか聞きたいことがある」

 

 

竈門家に戻った承太郎、花京院、ジョセフの三人は、竈門一家を守っていたイギーとポルナレフの二人を連れて小屋の外に出た。

 

 

「皆まで言わなくても分かるわい。儂がこの世界にいる理由じゃろ?今から十年ほど前じゃったが、儂は前の世界で老衰で死んだのじゃが、気がついた時には何故か三十代の姿にまで若返っておって、いつの間にかこの世界(にほん)に来とったからなぁ」

 

 

「それからはこの世界を旅しておると、夜に人喰い鬼に遭遇してしまってのぉ。一か八か儂の幽波紋(スタンド)である《隠者の紫(ハーミットパープル)》の名を叫んだ所、本当に出おってのぉ、そしてもしかしたらと思い波紋を出そうとしたら、これもまた本当に出おって、何とか鬼を倒すことが出来たんじゃ」

 

 

「じゃが、その場面を珠世女史と愈史郎に見られてしまってのぉ。それで互いの事情を説明したら、利害が一致したので、共に行動していた訳なんじゃ」

 

 

ジョセフはこの世界での体験を話した。

 

 

「では、竈門家に世話になっていることに関しては?」

 

 

ジョセフが竈門家にいることに関して、花京院が質問をした。

 

 

「うむ、それは儂の幽波紋、隠者の紫が関係しておる。知っての通り儂の幽波紋、隠者の紫の能力は"念写"。じゃが一台三万円もするポラロイドカメラを叩き割らなければならん。だがこの世界ではポラロイドカメラはもちろん、普通のカメラなんぞ高価過ぎて壊すことすら出来ん」

 

 

「そこで以前敵の幽波紋使いに襲われた時、地面に念写したことを思い出してな。試しに紙に触れて念写を試みた所、炭十郎殿が写ってのぉ。それでその写真を見せながら此処に辿り着いた訳じゃ」

 

 

ジョセフは此処に辿り着いた経緯を話す。

 

 

「そしたら案の定、炭十郎さんが病に掛かっていて、住み込みで治療することになった…って訳か」

 

 

「その通り。流石儂の孫、承太郎じゃ」

 

 

「そこまで話されたら誰でも分かる」

 

 

ジョセフは承太郎を褒めるが、承太郎は余り嬉しそうでは無かった。

 

 

「しかし、あの時無惨と言う奴から出た"あれ"は一体何だったのでしょうか?」

 

 

「何だ?何かあったのか?」

 

 

花京院が無惨が出したものについて考えていると、それを見ていなかったポルナレフは花京院に質問をした。

 

 

「実は…」

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

花京院が先程の戦いで起きたことをポルナレフとイギーに話す。

 

 

「それって、幽波紋じゃねぇのか?」

 

 

「いや、ソイツが出てきた時、俺たちは呆気に取られたが、無惨は呆気に取られてはいなかった。つまり、無惨は"最後の切り札"として出したか、"出したこと自体気づかなかった"の二択になる」

 

 

承太郎が仮説を話すと、ポルナレフとイギーは考えてしまった。

 

 

「幽波紋じゃ無かったら、一体何だったんだ?」

 

 

「さぁな。とりあえず、当面の危機は去ったんだ。一先ず、中に戻って休むとするか」

 

 

承太郎は竈門家に向かって歩を進め、ジョセフたちはその後ろを追った。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

無惨襲撃から一夜明け、承太郎たちは布団に包まって寝ていると

 

 

「空条さん…、空条さん…」ユサユサ

 

 

「ん…、あぁ。禰豆子(ねずこ)か…」

 

 

炭治郎の妹で竈門家の長女の禰豆子が承太郎を揺さぶって起こした。

 

 

「もう朝食の準備は出来ていますので、何時でも食べれますよ」

 

 

禰豆子はそう言って、承太郎の側を離れた。

 

 

それから承太郎たちは朝食を食べ終えた後、炭十郎の所へ向かう。何故なら、炭十郎が承太郎たちを呼んでいると珠世から伝言があったからだった。

 

 

「竈門殿、空条承太郎以下三名、お呼びにより参上致しました」

 

 

「そんなに畏まらなくてもいいよ。楽にして」

 

 

頭を下げた承太郎に炭十郎が声を掛け、承太郎たちは頭を上げた。

 

 

「それで、僕たちを呼んだ理由とは?」

 

 

「うん、君たちに手紙の内容を教えようと思ってね」

 

 

「手紙の内容…、ですか?」

 

 

炭十郎が承太郎たちを呼んだ理由に、イギーが頭を傾げる。

 

 

「そうだよ。お館様は"先見の明(せんけんのめい)"と言う"予知能力"に近いお力を持っていらっしゃってね、時々、近い将来が分かるみたいなんだ。それでお館様は近い内に此処に無惨が現れることを知ったんだ」

 

 

「まさか…」

 

 

炭十郎の話を聞いた承太郎は一つの結論を導き出した。

 

 

「そのまさかだよ。君たちは私たちの護衛、無惨の討伐、若しくは撃退を手紙に書かれていたんだ」

 

 

「だから貴方は僕たちをこの家に泊めさせたのですね?」

 

 

花京院は昨日のことについて質問をする。

 

 

「そうだよ。君たちに黙っていたことは申し訳無いと思っている。けど案の定、お館様の読み通り、昨夜無惨が現れた。そして君たちは見事撃退してくれた。私の家族を守ってくれて、ありがとう」

 

 

炭十郎は布団に入ったままの状態で頭を下げた。

 

 

「おいおい、頭を下げる道理が何処にある?俺たちは"目の前に現れた敵を追い払った"、それだけさ。まっ、結果的にアンタの家族を守ることに繋がったんなら、それで良いじゃねぇか」

 

 

「…感謝する」

 

 

ポルナレフの言葉に炭十郎は一層感謝した。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

炭十郎との面会の後、承太郎一行は蝶屋敷へ戻る準備をしていた。

 

 

「おっ?承太郎、もう行くのか?」

 

 

そして準備が終わり外に出ると、ジョセフと炭治郎が目の前にいた。

 

 

「あぁ。そもそも長居するつもりは無かったんでね、そろそろお暇しようと思ってな。ジジイは炭治郎と一緒にいるみたいだが、何をしていたんだ?」

 

 

「うむ、儂は炭治郎に波紋を教えておったんじゃ。波紋は太陽と同じ力を持っておる。故に、全集中の呼吸に波紋が合わされば百人力と言う訳じゃ!頑張るんじゃぞ炭治郎!」

 

 

ジョセフは炭治郎に波紋を教えていたようだ。しかも彼の状態から見て、どうやら成果は上々のようだ。

 

 

「はい!」

 

 

「ふふっ、頑張れよ」

 

 

ジョセフに元気よく返事をした炭治郎の頭を承太郎は何度か撫でた後、竈門家を去った。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

「そうかい。やはり無惨が現れたか…」

 

 

此処は産屋敷邸。その中庭が一望できる所に耀哉と承太郎の鴉であるアヴドゥルがいた。

 

 

「はい。撃退はしましたが、いつまた鬼舞辻が戻ってくるか分かりません。ですが、有効打が見つかりましたので、次も追い払うことはできるかと」

 

 

アヴドゥルは一足先に耀哉に報告に行っていたため、承太郎たちに同行してはいなかったのだ。

 

 

「わざわざ報告ありがとう。引き続き、彼のこと、頼んだよ?」

 

 

「御意」

 

 

アヴドゥルは頭を下げた後、空へ飛んだ。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

承太郎たちが雲取山を去ってから二年の月日が流れた。

 

 

その間の出来事は、まず、しのぶが柱に就任してから数日後、承太郎たちが雲取山に向かっている最中、新たに柱が増えた。

 

 

その者とは、『時透有一郎(ときとうゆういちろう)』であり、柱名は『霞柱(かすみばしら)』である。更に彼の弟の『時透無一郎(むいちろう)』が彼の補佐に着くことになった。

 

 

有一郎が柱に就任してから一年後、アルビノ個体のアオダイショウを連れた左右が違う目の色(オッドアイ)の青年、『伊黒小芭内(いぐろおばない)』が蛇柱(へびばしら)に就任した。

 

 

そして伊山砂子(いやまさこ)ことイギーは漸く鴉からの指令を受け取り、鬼を討伐していた。ポルナレフや花京院もまた、鴉からの指令を受け取り、任務に勤しんでいた。

 

 

「オラオラオラオラ…、オラァッ!」

 

 

「グハァッ!?」

 

 

承太郎も順調に任務をこなし、今はとある山で鬼を討伐していると

 

 

「お疲れ様だな承太郎」

 

 

アヴドゥルが承太郎の肩に止まった。

 

 

「幽波紋を使っても良かったが、あれは対上弦用の切り札だからな」

 

 

承太郎は今まで戦って、崩壊している"十二鬼月・下弦の参"を見下ろしていた。

 

 

「それでアヴドゥル、次の任務か?」

 

 

「そうだ。だがこの任務は柱との合同で行うものとなる。よって近くにある"藤の花の家紋の家"で合流並びに休憩となる」

 

 

「やれやれ…、やっと休憩か。流石に任務が二日もぶっ通しだとキツくもなるぜ…」

 

 

そう、承太郎は任務を受けてから約二日、休憩も無しに鬼を討伐していたのだった。

 

 

幾ら体力が多いからと言っても、やはり人。体力にも限界があり、承太郎は疲労困憊となっていた。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

「承太郎、柱の到着には二日ほど掛かるらしい。それまではゆっくりできそうだ」

 

 

それから承太郎は藤の花の家紋の家に到着し、アヴドゥルは柱との連絡に向かった。そして合流する予定だった柱との連絡を終えたアヴドゥルは詳細を承太郎に報告していた。

 

 

「柱は一般隊員より多忙と聞いているからな。そればかりはしょうがない…か。なら、ゆっくりさせてもらうとするか」

 

 

承太郎はアヴドゥルから教えてもらったことを藤の花の家紋の家の者に伝え、のんびりすることにした。

 

 

それから二日後、体力が戻った承太郎の下に柱が到着した。

 

 

「空条承太郎だな?今回の任務に同行する水柱の『鱗滝錆兎(うろこだきさびと)』だ。そしてこっちは柱補佐の『鱗滝真菰(まこも)』と『冨岡義勇(とみおかぎゆう)』だ」

 

 

「紹介に預かった冨岡義勇だ」

 

 

「私は鱗滝真菰、よろしくね」

 

 

「空条承太郎だ。よろしくな」

 

 

四人は互いに挨拶代わりの握手をした。

 

 

「これから向かう場所はここから遠くてな、早くても三日は掛かる。準備はできているか?」

 

 

錆兎の質問に承太郎は頷いた。

 

 

「よし、それじゃ向かうぞ!」

 

 

錆兎の号令で承太郎たちは目的地へと向かった。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

承太郎たちが藤の花の家紋の家を出立してから三日後、承太郎一行は目的地である海沿いの寂れた村に到着した。

 

 

「調査によれば、夜、浜辺を歩いていると、村人の遺体が見つかったそうだ」

 

 

「確か、体がぐちゃぐちゃに溶けた状態で死んでいたんだよね?」

 

 

「あぁ。他にも、体が切り刻まれていて、体のあちこちに魚の鱗のような物が付着していたらしい」

 

 

錆兎たちは村を歩きながら報告された内容を口にしていたが、それを聞いた承太郎は一つの仮説を考えた。

 

 

「(あの幽波紋なら体を切り刻むことは可能だ。だが、体を溶かすことは無かったはず…。もしかしたら、あの時見なかった能力があるのか?)」

 

 

「空条、どうした?そんなに眉間に皺を寄せて」

 

 

承太郎を心配しての行動だったのか、義勇が顔を近づけて質問をした。

 

 

「……いや、何でもない」

 

 

承太郎は足早に歩き、錆兎たちを追い抜いた。そして承太郎は一人で浜辺を歩いていた。

 

 

「アヴドゥル、もしかしたら、幽波紋が関係しているかもしれん」

 

 

「私もそれを懸念していた。だが、心当たりがあっても、本当にそれなのか分からんぞ?」

 

 

承太郎は自分の肩に止まっているアヴドゥルと話していた。

 

 

「俺がまだ見ていない能力か、或いは…」

 

 

「鬼の喰い跡…か」

 

 

「いずれにせよ、夜になれば分かる」

 

 

承太郎は来た道を戻り、錆兎たちと合流した。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

そして時刻は夜となり、承太郎たちは浜辺を警戒しながら歩いていた。

 

 

「ん…?何あれ」

 

 

すると真菰が目の前にある"もの"に気づいた。

 

 

「これは…、"壺"?」

 

 

「何でこんな所に壺があるんだ?」

 

 

そう、真菰が見つけたのは一つの"壺"だった。しかし、その壺を見つけた"場所"が問題だった。

 

 

壺を見つけた場所…、それは"浜辺の砂浜"だった。しかも、横に倒れている状態では無く、口を真上に向けた直立の状態だったのだ。

 

 

普通なら怪しんで近づこうとはしない。そう、"普通"なら…。

 

 

タッタッタッ…

 

 

「おい、真菰?」

 

 

「少し様子を見るだけだから」

 

 

あろうことか、真菰が壺に近づいたのだ。すると…

 

 

パシャ…

 

 

海の方から水が跳ねる音がした。その瞬間

 

 

《オラァッ!》

 

 

ガシッ グイッ

 

 

「えっ?きゃあ!?」

 

 

真菰は突如、"何か"に引っ張られる感覚がして、引き戻された。真菰はバランスを崩し、砂浜に倒れそうになったが

 

 

ポスッ

 

 

「大丈夫だったか?」

 

 

「は…、はぃ。大丈夫で…」

 

 

承太郎の顔を間近で見た真菰は、頬を赤く染めた。

 

 

「おい、そこにいるのは分かっている。いい加減出てきたらどうだ?」

 

 

承太郎は壺を指差しながら言う。すると

 

 

「ヒョヒョッ、見破られるとは、私もまだまだですね」

 

 

壺がカタカタ揺れ、声が聞こえた。

 

 

「自己紹介を。私は十二鬼月の『上弦の"肆"・玉壺(ぎょっこ)』と申します。以後お見知りおきをば」

 

壺から現れたのは、人間の目に当たる所に口、口に当たる所と額に目、耳が魚の鰭、無数の小さい手を持った異形の鬼だった。

 

 

「テメェのことはどうでもいい。あの村の人を襲っていたのはお前か」

 

 

「いかにも。彼らは私の"美"というものを理解しなかった。なので私の食糧と"作品"になってもらいました」

 

 

「……気持ち悪っ

 

 

玉壺の言動に気持ち悪さを感じた真菰は、口を押さえた。

 

 

「おやおや、ここにも私の美を分からない輩がいますねぇ。なら、私の餌になってもらいましょうか」

 

 

「させるかっ!《星の白金(スタープラチナ)》!」

 

 

《オラァッ!》

 

 

パガッ

 

 

真菰を襲おうとした玉壺に承太郎が星の白金で攻撃を仕掛ける。だが、玉壺は素早く壺に身を隠し、星の白金の拳を避けた。そして星の白金の拳は玉壺の壺を割るだけに終わった。

 

 

すると、砂の中から新たな壺が現れる。

 

 

《オラァッ!》

 

 

パガッ

 

 

《オラァッ!》

 

 

パガッ

 

 

《オラァッ!》

 

 

パガッ

 

 

承太郎は星の白金で次々に壺を割っていった。だが、玉壺は何処にもいなかった。

 

 

「私の作品(つぼ)を次々に割るなんて…、あなたはどこまで美が分からないのですかねぇ…?でも、それもまたいい…」

 

 

すると承太郎の前に壺が現れ、そこから玉壺が現れた。

 

 

「テメェ…、"見えている"な?」

 

 

「えぇ…、"見えています"とも。なにせ、私…、いや"俺"もあなたと"同類"ですから」

 

 

玉壺の後ろから"何か"が現れた。

 

 

それは、全身を鱗で覆われ、肩や肘、膝には鼻のようなもの、背中には魚の背鰭のような物が付いている半魚人のような姿だった。

 

 

「テメェ…、その幽波紋は…!?」

 

 

「そう…、これが俺の幽波紋、《暗青の月(ダークブルームーン)》。思い出していただけましたかな?」

 

 

上弦の肆・玉壺の正体は、かつて承太郎が香港からシンガポールに向かう船で戦った幽波紋使いだった。

 

 

「あぁ。俺たちの他にもこの世界(せかい)に来ていた奴がいたとはな…」

 

 

「俺も驚いたよ。海の藻屑となったと思ったら、この世界で生きていたのだからな。そして俺は無惨様に出会い、鬼となった」

 

 

「空条承太郎、お前は俺に勝てるかな?鬼となりあの時よりも更に強くなった俺と暗青の月にな」

 

 

玉壺の言葉に暗青の月が構える。

 

 

「なら貴様に言っておこう。今貴様の目の前にいる男は、貴様のかつての雇い主を倒した男…だとな。《星の白金》!」

 

 

《オラァッ!》

 

 

承太郎は星の白金で攻撃を仕掛ける。玉壺もまた、暗青の月で攻撃をする。

 

 

しかし、力の差は歴然。暗青の月の攻撃は星の白金には効かなかった。

 

 

《オラオラオラオラオラオラオラオラ…オラァッ!》

 

 

それどころか、星の白金のラッシュを諸に喰らう始末だった。

 

 

「ほぅ…、あの時よりもスピードとパワーが増しているな。だが、暗青の月にはそんなのは効かんのだよ!」

 

 

すると、暗青の月がまるで何事も無かったかのように立ち上がった。

 

 

「鬼となった俺は疲れを知らず、傷も再生する。だが君はどうだ?時間が経てば経つほど疲れ、傷も増える。しかも直ぐには治らない。一体、どちらが有利なのかねぇ?」

 

 

玉壺は不敵に笑って、暗青の月は両腕から鱗を飛ばす。承太郎は真菰を庇うように覆い被さり、星の白金は腕をクロスして防御体制をとった。

 

 

暗青の月が飛ばした鱗は鋭利な刃物となり星の白金を傷付ける。それと同時に承太郎の体にも同じ傷が付く。

 

 

「どうしたどうしたぁ?守ってばかりじゃ、倒せるものも倒せんぞ!?」

 

 

玉壺は調子に乗って鱗を更に飛ばす。

 

 

「…いいぜ、だったら"とっておき"を見せてやるよ!《スタープラチナ・ザ・ワールド》!」

 

 

ドゥ~ン…コッチ…コッチ…コッチ…

 

 

承太郎は時間を止め、玉壺に近づいた。そして

 

 

《オラオラオラオラオラオラオラオラ、オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ、オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ…、オ~ラァッ!オラオラオラオラオラオラオラオラ、オラオラオラオラオラオラオラオラ、オラオラオラオラオラオラオラオラ、オラァッ!》

 

 

暗青の月を文字通り"タコ殴り"にした。そして再び真菰を守るように彼女の前に立つと

 

 

「3…、2…、1…。時は動き出すぜ」

 

 

「グハァッ!?」

 

 

時を動かした。時を止めた状態でダメージを受けた暗青の月は原型が分からないほどにひしゃげ、玉壺はそのダメージを十分過ぎるほど受けた。

 

 

「テメェの敗因はたった一つ…。"俺を怒らせた"。それだけだ。地獄で閻魔様に詫びて来な」

 

 

承太郎は暗青の月が飛ばした鱗が刺さったままの状態で刀を抜き、玉壺の頚を斬った。

 

 

「そ…、そんな…」

 

 

玉壺は承太郎に出会ったことを後悔しながら崩壊していった。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

「やれやれ…」

 

 

「おい空条、怪我は大丈夫なのか?」

 

 

ため息をつきながら帽子を被り直した承太郎に、義勇が心配しながら声を掛けた。

 

 

「あぁ。前はこれよりも酷い怪我を負ったことがあったからな」

 

 

承太郎は以前DIOに負わされた怪我のことを思い出していた。

 

 

「今よりも酷い怪我って…、一体どんな怪我だよ…」

 

 

「…聞きたいか?」

 

 

「「遠慮します…」」

 

 

承太郎の質問に錆兎と義勇は首を横に振った。すると、真菰が承太郎の服を掴んだ。

 

 

「ごめんなさい…、私のせいで貴方にこんな怪我を…」

 

 

「こんな怪我(もん)、唾をつけときゃ治る。それよりも、そっちこそ怪我は無かったか?」

 

 

「うん…、貴方のお陰で傷一つ無いよ。ありがとう」

 

 

承太郎は真菰の頭を撫で、「良かった良かった」と呟いた。

 

 

「さて、これで任務は完了だな。早く蝶屋敷に行って治療してもらわんとな」

 

 

「「いやその前に応急措置くらいしろよ!?」」

 

 

先に歩き出した承太郎を錆兎と義勇は慌てて追いかけた。

 

 

「(何だろう、この気持ち…。空条さんといると胸がドキドキ言ってる…)」

 

 

真菰はその場に立ったまま、自分の胸を押さえる。

 

 

「(名前を呼んでみたらどうなるんだろう…)承太郎…さん

 

 

真菰は試しに承太郎の名前を呟く。すると胸の鼓動が早くなった。

 

 

「(すごいドキドキ言ってる…。もしかして…)」

 

 

「お~い真菰!早く来いよ~!置いてくぞ~!」

 

 

「あっ、待って~!置いてかないで~!」

 

 

錆兎に呼ばれた真菰は思考の海から戻り、急いで錆兎たちと合流する。

 

 

彼女のこの気持ちが分かるのはまだ先のようだ…。

 

 

 

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