ジョジョの奇妙な鬼殺の冒険   作:レイファルクス

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第6説《事実》

 

 

海沿いの町で上弦の肆・玉壺を倒した承太郎は、町で応急措置を施した後、5日掛けて蝶屋敷に戻り、しのぶの治療を受けていた。

 

 

「まったく…、空条さんは自分のことを蔑ろにし過ぎです」

 

 

「すまないな。何せ相手が相手だったからな」

 

 

「程々にしないと、後で後悔しますよ?…っと、はいこれで終わりです」

 

 

しのぶは治療用の道具箱に使っていた道具を片付けた。

 

 

「感謝する。それと、しばらくは蝶屋敷(ここ)でのんびりする予定だ」

 

 

「すまない承太郎、緊急案件だ」

 

 

しのぶに今後の予定を伝えていた承太郎に、アヴドゥルが部屋の開いている窓から入り、用件を伝えた。

 

 

「やれやれ…、ゆっくり休む暇も無いのか」

 

 

「そうぼやくな。それにこれは蟲柱の胡蝶殿にも関係がある」

 

 

「私にも…ですか?」

 

 

アヴドゥルの言葉にしのぶは首を傾げる。

 

 

「うむ。承太郎の上弦の肆の討伐に伴い、お館様が緊急柱合会議を開かれることをお決めになられた。そこで承太郎と胡蝶殿に召集が言い渡されたのだ」

 

 

「なるほど…。了解しました、では日程が決まりましたらまたお知らせください」

 

 

しのぶはアヴドゥルの説明に納得し、道具箱を持って退室した。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

アヴドゥルが緊急柱合会議の知らせを伝えてから数日後、会議の日程が決まり、承太郎としのぶは産屋敷邸の中庭に到着していた。

 

 

なお、承太郎は隠の者に背負われて産屋敷邸に来ていた。隠の者たちは承太郎といった大きい体格の人を背負えるように、体中に重りを付けて活動し、筋力を増加させていたため、承太郎を運んでもへばることは無かった。

 

 

「ようお二人さん、今回も揃って到着か?」

 

 

会議までまだ時間があるというのに、中庭には既に天元がいた。

 

 

「相変わらずお早いですね」

 

 

「まっ、これでも"元忍"だからな」

 

 

しのぶの嫌みを知ってか知らずか、天元はケラケラと笑っていた。

 

 

「おっ?空条さんじゃないですか」

 

 

そこに水柱の錆兎が中庭に現れた。

 

 

「あら鱗滝さん、ご無沙汰してます」

 

 

「久しぶりだな鱗滝」

 

 

「ご無沙汰だな胡蝶、宇随さん」

 

 

錆兎はしのぶと天元の二人と挨拶を交わす。

 

 

「南無…、その声は鱗滝に胡蝶、宇随か」

 

 

「あっ、悲鳴嶼さん」

 

 

錆兎の後ろから行冥が現れた。

 

 

「んだァ?悲鳴嶼さんたち、もう来てんのかよォ」

 

 

更に実弥と有一郎が到着した。

 

 

「胡蝶、風柱の横にいる者は?」

 

 

「あぁ、空条さんは初めてでしたね。彼が新しく柱になった"霞柱"の時透有一郎君です」

 

 

「初めまして、時透有一郎です貴方の噂はかねがね聞いています」

 

 

「空条承太郎だ、よろしくな」

 

 

承太郎は有一郎と握手をした。

 

 

「あっ!皆さんもう集まってる!」

 

 

「よもやよもや、我々が最後のようだな」

 

 

「杏寿郎が『まだ時間があるから茶でも飲もう!』と言って茶屋に寄ったのが仇になったな」

 

 

そこに杏寿郎と蜜璃、小芭内が到着した。

 

 

「うん?お前、見ない顔だが、柱の新入りか?」

 

 

「あぁ、蛇柱の伊黒小芭内だ。そう言うアンタは誰だ?見た所鬼殺隊員のようだが、柱では無さそうだ。なぜ一般隊員がここにいる?」ネチネチ

 

 

小芭内は承太郎が会議の場にいることに関してネチネチと質問をする。

 

 

「伊黒さん、空条さんはお館様が直々にお呼びになられたのですよ?」

 

 

小芭内の質問にしのぶが答えた。

 

 

「そうか、ならお館様に粗相だけはしないようにな」

 

 

小芭内は承太郎にそれだけ言って離れた。

 

 

「やれやれだぜ…」

 

 

承太郎は被っている帽子を目深に被り直した。

 

 

「ごめんなさい空条さん。小芭内さんは普段はあんな態度は取らないので…」

 

 

そこに蜜璃が小芭内のフォローに入った。

 

 

「別に気にすることじゃ無い。見知らぬ人がいれば、誰しもがああなる」

 

 

承太郎は小芭内の言動を気にしてはいなかった。

 

 

「「お館様のお成りです」」

 

 

すると、耀哉の娘二人が耀哉が来たことを告げる。その声を聞いた柱一同は横一列に並び、平伏する。承太郎も柱の後ろに下がり、同じく平伏した。

 

 

「やぁみんな、おはよう。今日もいい天気だね、空は青いのかな?」

 

 

そして部屋の奥から耀哉が姿を現した。

 

 

「お館様に置かれましても御壮健で何よりです。益々の御多幸を切にお祈り申し上げます」

 

 

耀哉への挨拶を錆兎が述べる。

 

 

「ありがとう錆兎。さて、今回集まってもらったのは、この前の錆兎たちの任務についてなんだ」

 

 

耀哉は錆兎にお礼を言って、議題を話す。

 

 

「この前の任務に、十二鬼月、それも上弦が現れたんだ。そうだよね?」

 

 

「御意。対峙したのは上弦の肆、玉壺と言う異形の鬼でした。奴は血鬼術(けっきじゅつ)で生成したと思われる壺を移動しながら我らを翻弄しておりました。しかし、そこで『壺が勝手に割れる』と言う不可思議なことが起こりました」

 

 

実際には承太郎の幽波紋(スタンド)である星の白金(スタープラチナ)が殴り割ったのだが、幽波紋使いでは無い錆兎から見れば、壺が勝手に割れたとしか見えなかったのだ。

 

 

「その後姿を見せた上弦の肆は空条さんと何か話した後、自分の補佐の一人である真菰を庇ったと思った瞬間、突如空条さんの体の至るところに切り傷ができました。そして空条さんが何か叫んだ途端、上弦の肆の体がひしゃげ、抵抗できなくなった所を空条さんが頚を斬りました」

 

 

錆兎の報告が終わると、全員が承太郎を見る。

 

 

「承太郎、君は鬼殺隊に入る前に上弦の弐を、そして入隊してからは下弦の参と陸、今回の任務で上弦の肆を討伐した。これは素晴らしい戦果だよ、上弦の鬼は柱三人分の力があるのに、君はたった一人で、それも二体も討伐した」

 

 

「そこで君に何か褒美をあげたいんだ。何か欲しいものはあるかい?」

 

 

承太郎は褒美について考えると

 

 

「でしたら、占いで使用する『タロットカード』を一組、ご所望願います」

 

 

承太郎はタロットカードが欲しいと言った。

 

 

「『たろっとかーど』…かい?」

 

 

「はい。私の鴉であるアヴドゥルはタロットカードでの占いを得意としておりまして、それで彼にタロットカードでの占いの教えを…と思いまして」

 

 

「……分かった。取り寄せてみよう」

 

 

「ありがとうございます」

 

 

耀哉は承太郎の願いを聞き入れた。

 

 

「それと承太郎、君に幾つか質問があるんだが、いいかい?」

 

 

「何なりと」

 

 

「君は"全集中の呼吸"が使えない。にも関わらず鬼を、それも十二鬼月を倒している。君の力の源は何だい?」

 

 

耀哉の質問…、それは承太郎の力についてだった。

 

 

「……私には"とある異能"がございます。その名は《幽波紋》。己の魂に宿る力が具現化したもの…とでも言いましょうか」

 

 

「"すたんど"…ですか?」

 

 

「あぁ、俗に"超能力"とも呼べるものだ。《幽波紋(コレ)》は普通の人間や鬼には見えない。見ることができるのは幽波紋(スタンド)使いだけだ」

 

 

しのぶの疑問に承太郎は答える。

 

 

「"己の魂の力の具現化"ねェ…、ンなもんが存在するのかァ?」

 

 

承太郎の説明を聞いていた実弥はまったく信じてはいなかった。

 

 

「なら論より証拠、今から見せよう。胡蝶、その場に立ってくれ。それと、何があっても暴れるなよ?」

 

 

承太郎に言われ、しのぶは疑問を抱いたまま立ち上がる。そして承太郎は星の白金を出し、星の白金はしのぶを横抱きにさせる。

 

 

「きゃあっ!?」

 

 

しのぶは突然の浮遊感に驚き、悲鳴を上げる。だが暴れることは無かった。何故なら、星の白金がしのぶをしっかりと支えているのも理由の一つだが、承太郎がしのぶに言った『何があっても暴れるな』と言う言葉が大半の理由だった。

 

 

そして星の白金はしのぶを横抱きにしたまま承太郎の側まで戻り、承太郎が腕を差し出すと、星の白金はしのぶを承太郎の腕に収め、そのまま承太郎の中に消えていった。

 

 

「何が起きたのかな?」

 

 

「はい、空条様が蟲柱様を立たせた後、蟲柱様が突如、横抱きの姿勢で宙に浮きました」

 

 

「そしてそのまま宙を移動し、空条様の腕の中に収まりました」

 

 

呪いのせいで視覚を失った耀哉は両隣にいる娘に状況を説明させた。

 

 

「今胡蝶を横抱きにし、俺の所まで運んだのが俺の幽波紋だ」

 

 

承太郎はしのぶをゆっくり降ろしながら言う。しかし、他の柱たちは未だに信じてはいなかった。

 

 

「ならこれならどうだ?俺が最初にこの屋敷に来た時、残暑も無かったのに、やけに暑かったのを覚えているか?」

 

 

承太郎が言った言葉に、その場にいた柱は頷いた。

 

 

「確かに!あの時は残暑が戻ってきたのかと思ったくらいだ!」

 

 

「何か急に暑くなったよな、派手に記憶に残っているぜ」

 

 

「その暑さが、幽波紋によって生み出された…と言ったら?」

 

 

『何だって!?』

 

 

承太郎の言葉にその場にいた柱が驚いた。

 

 

「俺の鴉であるアヴドゥルは炎や熱を操る幽波紋を持っている。炎は幽波紋の能力ゆえに見えなかったが、熱まではどうしようも無かった」

 

 

「そんなことが可能なんですか?」

 

 

「幽波紋の中には物を媒体として発動するものもある。例えるなら、"船"や"車"といった乗り物とか…な」

 

 

承太郎の言葉に、柱全員が言葉を失った。

 

 

「もし、その"すたんど"使いが鬼になったとしたら…」

 

 

「一般隊員は愚か、柱でさえも勝ち目は無い。幽波紋使いでは無い限り…な」

 

 

「……承太郎、その"すたんど"使いになるには、どうしたらいい?」

 

 

「…何?」

 

 

耀哉の質問に承太郎は思わず聞き返してしまった。

 

 

「"すたんど"使いになるには、どうしたらいいのかと、質問したのだが?」

 

 

「………幽波紋使いには三つの種類がある」

 

 

耀哉はもう一度承太郎に質問し、承太郎は暫く考え込み、観念したかの様に話し始めた。

 

 

「まず一つ目が"先天的発現(せんてんてきはつげん)"。これは生まれながらにして幽波紋を持つ者を指します。次に"後天的発現(こうてんてきはつげん)"。これは"スタンドの矢"と呼ばれる物によって幽波紋を持った者を指します」

 

 

「なら、その矢を手に入れ、使用すれば……」

 

 

「お勧めはしないな」

 

 

天元の言葉に承太郎が待ったを掛けた。

 

 

「その矢に刺された者は、まるで毒を射たれたかのような苦痛を味わう。そしてその苦痛に耐えきれば晴れて幽波紋使いになれる。だが、耐えきれなければ、そのまま死ぬ」

 

 

「そんな…」

 

 

承太郎の説明にしのぶは顔を青ざめた。

 

 

「幽波紋はそちらに例えるなら、全集中の呼吸と同じだ。適正が有るか無いかで優劣が決まる」

 

 

「耳が痛い話だね。分かった、"すたんど"のことは一旦忘れよう」

 

 

「その代わりと言っては何だが、もう一つ、鬼に有効な手段がある」

 

 

承太郎はついでと言わんばかりに話をする。

 

 

「その有効打は"波紋"と言って、全集中の呼吸に上乗せすれば、全集中の呼吸の適正が無くても鬼を倒せる」

 

 

「それは本当なのか!?」

 

 

承太郎の説明に実弥が食い付いた。

 

 

「あぁ。"波紋"は別名"波紋呼吸法"と言って、訓練すれば誰でも身に付けることができる。今俺が知っている波紋使いは二人、ジョセフ・ジョースターと竈門炭治郎の二人だ」

 

 

承太郎が炭治郎の名を出した瞬間、柱にざわめきが走った。

 

 

「おい、竈門っていやぁ…」

 

 

「あぁ。"元日柱(ひばしら)"の竈門炭十郎様と同じ名字だ。まさか、竈門様のご子息か?」

 

 

「承太郎、その"じょせふ"と言う人の居場所は、分かるかい?」

 

 

「分かりかねます。なにせ、最後に会ったのは二年前でしたから」

 

 

耀哉の質問に承太郎は首を横に振りながら答えた。

 

 

「……まぁ、炭治郎に聞けば分かるかもしれないね。ありがとう、承太郎」

 

 

耀哉は承太郎にお礼を言う。

 

 

「あの、空条さん」

 

 

そこにしのぶが承太郎を指で突っつきながら声を掛ける。

 

 

「先程の"すたんど"使いの種類を"三つの種類"と言いましたが、説明をされたのは二つ。残りの一つは何ですか?」

 

 

「そう言えば言って無かったな。最後の三つ目は"先天的"、"後天的"、そのどちらでも無いものだ」

 

 

「これは主に血縁者の一人が幽波紋使いになると、意図的に他の血縁者も幽波紋使いになる。俺が実際にそうだったようにな」

 

 

そう、承太郎は自分の先祖である『ジョナサン・ジョースター』の体を乗っ取ったDIOが幽波紋使いになったことを切っ掛けに、自分の祖父である『ジョセフ・ジョースター』と共に幽波紋使いになったのだ。

 

 

「なるほど…」

 

 

しのぶは納得したように頷いた。

 

 

「さて、承太郎への疑問も無くなったことだし、そろそろ会議を終わりにしようか」

 

 

『御意』

 

 

耀哉は立ち上がり、部屋の奥へと向かった。柱たちはその姿が見えなくなるまで見送った。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

緊急柱合会議が終わってから数日後、承太郎はカナエとしのぶを連れて街中にいた。いや、正確には二人に承太郎が"付き合わされて"いるのだった。

 

 

「ごめんなさい空条さん、折角の休みだったのに…」

 

 

「気にするな。たまにはこういった気分転換も悪くはない」

 

 

カナエとしのぶは蝶屋敷で使う薬や包帯などを買うために街に来ており、承太郎はその付き添いだったのだ。

 

 

すると、大通りの一角に何やら人だかりができていた。

 

 

「何かしらあの人だかり?」

 

 

「後ろに何かいますね」

 

 

人だかりの後ろにプラカードを持った大型の猿、『オランウータン』がいた。

 

 

「ウホッ、ウホッッッ!!!?」

 

 

プラカードを持ったオランウータンは承太郎たち三人、厳密には承太郎を見て驚愕した。

 

 

「どうしたのかしら?あのお猿さん、何か急に震え出しましたけど…」

 

 

「何か、空条さんを見た瞬間に震え出しましたよね?もしかして、お知り合いですか?」

 

 

承太郎は二人の質問を無視してオランウータンの下へ向かった。

 

 

「おいエテ公、お前一体何してんだ?」

 

 

承太郎はオランウータンを一瞥しながら質問をするが、オランウータンは震えるだけで鳴かなかった。

 

 

「"フォーエバー"、どうしたんだ?」

 

 

すると人だかりの中から、額から鼻先に掛けて刺青をしている男性が現れた。

 

 

「テメェは、"テレンス・T・ダービー"!」

 

 

「えっ?うげっ、空条承太郎!?」

 

 

承太郎に声を掛けられたテレンスは、承太郎の顔を見た瞬間、表情を歪めた。

 

 

「ほぅ…?『うげっ』とは随分なご挨拶だな?」

 

 

「えっ?いや~、あはは…」

 

 

承太郎の威圧感にテレンスは乾いた笑いしかできなかった。

 

 

「まさかテメェ、魂を賭けたゲームをしてるんじゃねぇよな?」

 

 

「失礼な!ゲームはゲームだが、魂を賭けてはいない!その証拠に、あれを見ろ!」

 

 

テレンスが指差したのは、一つの看板だった。そこには

 

 

『挑戦者求む!参加費銭三枚、勝てば銭五十枚』

 

 

と書かれていた。更にテーブルが一つ、椅子が二つあり、そこにディーラーの格好をした男性と挑戦者か向かい合って座っていた。

 

 

「ほぅ…?確かに魂を賭けるゲームでは無さそうだ」

 

 

「今やってるのは"ババ抜き"です。衆人環視もいますから、イカサマができませんからね」

 

 

「んっ?おや、誰かと思えば、空条承太郎さんじゃありませんか」

 

 

ディーラーの格好をした男性、『ダニエル・J・ダービー』は承太郎に気付き、声を掛ける。

 

 

「どうですか?貴方も一勝負、もうすぐ終わりますから。……はい、これで私の勝利です」

 

 

ダニエルは挑戦者の手札二枚の内、一枚を取り、テーブルの真ん中に捨てる。

 

 

「だぁ~!また負けた~!」

 

 

挑戦者の手札の残りの一枚、ジョーカーが残り、挑戦者の負けが確定した。

 

 

「またの挑戦をお待ちしております。では、空条さん、如何なさいますか?」

 

 

「いいだろう、受けてたとう」

 

 

承太郎はテーブルに銭三枚を置いて椅子に座る。

 

 

Good(グッド)、では今からカードをシャッフルします」

 

 

ダニエルはカードを一纏めにし、ショットガン・シャッフルをする。

 

 

「カットはなさいますか?」

 

 

ダニエルは承太郎にカードの束を渡し、承太郎は差し出されたカードを数枚の束に分け、再び一つの束にする。

 

 

ダニエルは承太郎からカードを受け取り、一枚ずつ承太郎と自分に配り始めた。

 

 

「空条君、勝てるかしら…」

 

 

その様子をカナエとしのぶは固唾を飲んで見守っていた。

 

 

「さて、カードを配り終えましたので、ペアを捨てましょう」

 

 

二人は手札にあるペアを次々とテーブルの真ん中に捨てる。

 

 

「……どうやら、テメェにジョーカーがあるみてぇだな」

 

 

ダニエルの手札は承太郎の手札に比べて一枚多かった。

 

 

「確かに私の手札にジョーカーはあります。ですが、ジョーカー(これ)が私の下に残るのか、貴方の下に行くのか、それは神のみぞ知る…ってね。では、まず最初は私から引かせていただきます」

 

 

ダニエルは承太郎の手札の内の一枚を取り、揃ったペアを捨てる。

 

 

「では、どうぞ」

 

 

承太郎はダニエルの手札の内の一枚を取り、揃ったペアを捨てる。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

「ふむ、どうやら次で決着が着くかもしれませんね」

 

 

ダニエルがペアを捨てると、承太郎の手札は一枚、ダニエルの手札は二枚となった。

 

 

「では、どうぞ」

 

 

ダニエルは手札を前に出し、承太郎はカードを手に取る。

 

 

「……俺の勝ちだ」

 

 

承太郎が引いたカードは…、ジョーカー"では無かった"。

 

 

「おやおや、私の負けのようですね。いやお見事です」

 

 

ダニエルが負けを認め、拍手をする。すると見物人が次々に拍手を承太郎に贈った。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

「空条君、流石だったわね!」

 

 

「私、あんな手に汗握る戦いを見るのは初めてでした!」

 

 

カナエとしのぶが興奮気味に承太郎に話す。

 

 

「別に、あれくらいは普通だ。それに、やり方さえ覚えれば子供でもできる」

 

 

承太郎はぶっきらぼうに言う。

 

 

「けど、本当に"それ"だけで良かったの?」

 

 

カナエが言った"それ"とは、真新しいトランプだった。

 

 

「『金はいらないからカードをくれ』なんて言うからびっくりしましたよ」

 

 

「別に金に困っている訳じゃ無いからな。それに…」

 

 

「それに…、何ですか?」

 

 

トランプ(こっち)をもらった方が後でみんなと遊べるからな」

 

 

承太郎は手に入れたトランプを見せながら笑った。

 

 

 

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