承太郎たち鬼狩り一行は十二鬼月・下弦の伍である累を丁重に弔った後、山に残っている鬼を全て討伐した。
その二日後、半年に一度の柱合会議の席に承太郎と炭治郎が出席することになった。
「あの、何で俺みたいな一番下の階級の者が柱だけしか参加できない会議に出るのでしょうか?」
「恐らくは竈門君が使う"もう一つの呼吸"について…ではないでしょうか?」
炭治郎の疑問にしのぶが以前緊急柱合会議の時に話しに出た"波紋"についてではないかと答えた。
「それって"波紋"のことでしょうか?」
「多分な。お前はジジイから波紋を教わっていたからな、それで今ジジイが何処にいるのか聞きたいんだろう」
承太郎たちが話していると、会議が行われる中庭に到着した。
「よう胡蝶たち。おっ?そいつが例の波紋を使う隊士か?」
中庭には既に殆んどの柱が集まっており、その中の一人である天元が話しかけた。
「宇随さん、はい、彼が例の隊士の竈門炭治郎君です」
「初めまして、階級・癸の竈門炭治郎です。よろしくお願いします」
炭治郎は頭を深々と下げた。
「おう。俺は音柱の宇随天元様だ、よろしくな」
「そう言えば自己紹介がまだだったな。俺は水柱の鱗滝錆兎だ」
「南無…、私は岩柱の悲鳴嶼行冥。…なるほど、強い力を感じる…」
「僕は霞柱の時透有一郎、よろしく」
「私は恋柱の甘露寺蜜璃、よろしくね」
「フンッ、蛇柱の伊黒小芭内だ。おいお前、蜜璃に馴れ馴れしくするなよ?」
「俺は炎柱の煉獄杏寿郎だ!よろしく頼む!」
「風柱の不死川実弥だァ」
天元を筆頭に各々自己紹介をした。
「「お館様のお成りです」」
柱たちの自己紹介が終わったその時、少女の声うが響き、主の来訪を告げた。
「炭治郎、俺たちは柱の後ろに下がって平伏するぞ」
「わ、分かりました」
既に柱たちは横一列に並んでおり、承太郎と炭治郎はその後ろに下がった。
「おはようみんな、今日もいい天気だね。空は青いのかな?顔ぶれが変わらずに半年に一度の柱合会議を迎えられたこと、嬉しく思うよ」
そして部屋の奥から屋敷の主である耀哉が娘に連れられて姿を現した。
「お館様におかれましても御壮健で何よりです。益々の御多幸を切にお祈り申し上げます」
「ありがとう、実弥」
耀哉への挨拶を実弥がすると、耀哉は実弥にお礼を言った。
「(私が言いたかった、お館様へのご挨拶…)」
柱の挨拶は早い者勝ちであり、言いそびれた蜜璃は残念そうにしていた。
「さてまずは、那田蜘蛛山の任務についてだけど、しのぶ、錆兎。ご苦労様」
「勿体無いお言葉」
「あれしきのこと、苦ではありません」
「その那田蜘蛛山にいた十二鬼月は人を"喰わなかった"んだったよね?」
「御意。当人の話によれば、無惨に無理矢理鬼にさせられ、両親と共にあの山に移り住んだとか」
「食人衝動はあったそうですが、人の血を飲むだけに留め、肉は喰わなかったそうです」
錆兎としのぶは累についての概要を伝えた。
「ありがとう。しかし悲しいね、鬼になりたくない人が鬼になってしまうのは。みんな、これからはより一層悪鬼滅殺を心掛けるようにね?」
『御意』
耀哉の一声に柱全員が返事をした。
「それじゃこの話はこれでおしまい。次に…、炭治郎はいるかい?」
「は、はいっ!」
耀哉に呼ばれた炭治郎は柱たちの前に出て平伏した。
「お初に御目にかかります。階級・癸、竈門炭治郎です。お館様のことは父よりお聞きしております」
「ありがとう。早速だけど、炭治郎は波紋と言うものを会得しているそうだね?」
「はい。父の主治医と一緒にいる方から教わりました」
「その人は今、何処にいるか分かるかい?」
「今は雲取山にある俺の家で暮らしていますが?」
炭治郎は耀哉の質問に答えると、柱(特に実弥)の目の色が変わった。
「炭治郎、その人をこちらに呼ぶことはできるかい?」
「……申し訳ございません。それは難しいと思います」
炭治郎の返答に耀哉の目が少し鋭くなった。
「その人は父の主治医の護衛をしておりまして、そう簡単に来れるとは思いませんので…」
炭治郎が返答の理由を述べると、柱の一部の者が落胆していた。
「……なら、その主治医の人と一緒なら問題はありませんか?」
そこにしのぶが挙手をして意見を言った。
「…どう言うことだい、しのぶ?」
「主治医の方が来てくだされば、その護衛の方も一緒に来てくださると思いましたので」
しのぶの意見に柱や耀哉は『なるほど…』と納得した。
「どうかな?炭治郎」
「俺の家族と一緒であれば、あるいは…」
「うん、もちろん炭治郎の家族も一緒に来てもらうつもりだよ」
炭治郎の懸念を振り払うかのように耀哉が提案をする。
「……分かりました。父に相談してみます」
炭治郎は一旦父の炭十郎に相談することにした。
「ありがとう炭治郎。それじゃ炭治郎の護衛だけど…、誰か希望がある子はいるかい?」
耀哉が柱たちに質問をすると、なんと柱全員が手を上げた。
「因みになんですが…、父の主治医は"鬼"ですが…」
炭治郎が主治医のことを言うと、殆んどの柱の上がっていた手が下がった。残っていたのはしのぶと錆兎、実弥の三人だった。
「どうなったのかな?」
「最初は柱の皆様が挙手されておりましたが、竈門様が主治医のことをつたえると、殆んどの方々が手を下げました」
「未だ手を上げていらっしゃるのは、蟲柱様、水柱様、風柱様の三名です」
目が見えない耀哉に、娘二人が状況を説明する。
「それじゃ護衛はしのぶに錆兎に実弥だね。よろしく「少々お待ちください」…なんだい、しのぶ?」
耀哉が三人に炭治郎の護衛を頼もうとした時に、しのぶが待ったを掛けた。
「私たちよりも、空条さんたちが適任ではないかと思います。その理由としては、空条さんたちは一度竈門君の家に行ったことがあり、竈門家の方々とは顔見知りであるからです」
しのぶは承太郎たちを推薦した理由を述べる。そして耀哉は顎に手を当てると
「……確かに。余り知らない人が言うよりも、知ってる人の方が納得しやすい…。分かった、しのぶの案を採用しよう。錆兎に実弥もそれでいいかい?」
「「御意」」
耀哉はしのぶの案を採用し錆兎と実弥は納得した。
「ありがとうございます」
「他には誰か意見はあるかい?」
「恐れながら風柱・不死川実弥が具申致します」
耀哉が他の柱に意見があるか聞くと、実弥が申し出た。
「実弥、言ってごらん?」
「御意。護衛の一人に、俺の弟である
「……理由を聞いても?」
「玄弥を護衛の一人に加われば、道中で波紋を教わることができると思いまして」
実弥が言った理由は至極まともな内容だった。
「出来るだけ善処をしよう。それでいいかい?炭治郎」
「はい」
耀哉は実弥の提案を炭治郎に確認させると、炭治郎からは了承の返答がきた。
「それじゃこの話もこれでおしまい。最後に…、承太郎はいるかい?」
「ここに」
耀哉は承太郎がいるか確認すると、承太郎は声を上げながら炭治郎の隣に移動した。
「承太郎、君の戦績は素晴らしいものだ。君をこのまま一般隊員にしておくのは非常に勿体無い。そこで承太郎を新しい柱に任命したい。どうかな?」
「……お言葉ですが、俺の階級は乙なのですが?」
「承太郎、君の階級はこの前の任務で甲に昇格したんだよ。それに君は十二鬼月を今いる柱の誰よりも多く倒している。それも柱三人分の力を持っている上弦の鬼を二体も倒しているんだ、それに柱全員からの推薦なんだ」
承太郎は柱になる条件の一つ『階級が甲である』ことを言うと、耀哉は承太郎の階級が既に上がっていることを伝えた。しかもしのぶや錆兎を含む柱全員からの推薦だったのだ。
承太郎は自分の指を顎に添え、少しの間考えると
「……了解しました。柱の件、謹んでお受け致します」
柱に就任することを決めた。
「ありがとう承太郎。柱の名は『
「御意、より一層悪鬼滅殺を胸に励みます」
《今ここに新たな柱が誕生した!その名は空条承太郎、己の魂のエネルギーが具現化した存在、『
《彼の幽波紋の名は『