マシーナリーサーガ   作:晩舞龍

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この作品は、アイドルマスターの池袋晶葉ちゃんを応援するVtuber「マシーナリーとも子」及び、「マシーナリーとも子ユニバース」の二次創作作品です。
歴史の裏側で暗躍してきたシンギュラリティのサイボーグたち。人類はサイボーグをどう見ていたのか?サイボーグを調査しその謎と対峙してきた人類の努力と奮闘の軌跡。

目次

序章  Net Literacy
第一章 Cusinart
第二章 Luchador
第三章 Leap Attack
終章  Machinery


機械生命体出現記録及び調査報告書

序章 Net Literacy

 ・本稿の概要

 本記録及び調査報告書は、1800年代から世界各地で出現が認められた超常未確認生物(呼称:機械生命体)について記したものである(注1)。

 記録と調査は2018年まで行われ、現時点では詳細な生態が判明している。だが、人類が未確認敵対生命体と接触した際の調査の様子を示す記録として、個別に纏められることとなった(注2)。

 なお、本稿における機械生命体の個体名については、後に提供された情報を基に決定した名称である(注3)。

 

 ・機械生命体の概要

 機械生命体は、その外見は人間の女性に酷似しているが、総じて奇抜な服装と容姿が認められている。また、複数の個体に回転する物体(呼称:回転器官)が確認されている。さらに、その大半が重火器に類する攻撃手段を保持している。

 世界では、アメリカで1861年から1865年の南北戦争において初めて、日本国内では1877年に初めてその存在が確認された。それ以前にも機械生命体が出現したという記述はいくつかの文献に散見されるが、確たる証拠は無く混乱を招きかねないためここでの記述は避けるものとする。

 機械生命体の一部は人類に対し非常に交戦的で、2010年を境に機械生命体が原因とされる死亡事例が多数報告されている。

 

 ・当時の世界情勢

 機械生命体の存在は、2018年時点で一般人には秘匿されており、国連及び一部の軍関係者のみが正体を知っていた。当時の世界では多様性が認められ始め、社会は様々な価値観を許容し始めた。機械生命体の一部はそれを利用し、人間社会への潜入を可能にしていた。これは国連の秘匿と合わせて、一般人の混乱を抑える働きをもたらした。

 

 

注1 機械生命体以外の、地球外生命体及び亜人類等については、その詳細を国連公式教本「超常生物学概論」に記す。

注2 人類保護団体N.A.I.L.による情報提供を受けたため、2010年代以降の記録については、その詳細を国連公式教本「機械生命体生物学概論」に記す。

注3 人類保護団体N.A.I.L.による情報提供により、機械生命体の個体名が判明している。本稿での記述もそれに倣ったものである。

 

 

 

 

 

 

第一章 Cusinart

 一例目 A.D.1861-1865 アメリカ 追記呼称:カシナート早苗

 

 人類史上初めて機械生命体の存在が確認されたのは、アメリカの南北戦争である。南北戦争は1861年から1865年の期間に行われた内戦であるが、これについて記したいくつかの文献に、極めて機械生命体に酷似した存在の記述が散見されている。

 特徴についてはどれもほぼ共通している点として、両腕がドリル型であることと女性であることが挙げられた。また、いくつかの文献では南北戦争以前からその存在が確認されていたとされている。

 

「敵軍に一人、奇妙な存在があった。それは騎馬に乗らずして、騎馬隊を葬った。それに相対したものはことごとく葬られたためその詳細を知りえるには至らなかったが、傷跡は見るも無残なものであった」

 — 『ブランディ・ステーションの戦い― J・E・B・スチュアート』

 

 中でも最も詳細にこの存在について記されているのが、「カスターの手記」である。これは、アメリカ南北戦争においてアメリカ陸軍の軍人として多大な軍功を挙げたジョージ・アームストロング・カスター将軍が自ら記した手記である。彼の死後この手記は発見されたが、突飛すぎる内容に歴史的価値はないとされていた。この中で彼は、戦争時代に自身を何度も救ってくれた尊敬と畏怖の対象として、一人の女性を挙げている。

 

「彼女は、名をSanaeと言った。奇抜な格好よりも目を引いたのはその腕の巨大な凶器だった。軍関係者でもない彼女は、私が戦果を挙げたとされるいくつかの戦いにおいて―あのゲティスバーグの戦いでも―私を窮地から救ってくれたし、騎兵を追い払ったのも彼女だった。しかし、その偉大な功績を受け取ったのは、決まって私だった」

 — 『カスターの手記― ジョージ・アームストロング・カスター』

 

 この抜粋部分の他にも、カスターはいくつかの詳細な情報を残しており、いずれも腕の凶器をドリルと呼称していないことから、別の武器であった可能性が示唆されている。いずれにしろ、この腕の武器が「回転器官」であることに関しては関係者間で見解が一致している。

 カスターを始めとしたどの文献でも、この存在を記した記録は1865年を境に途切れており、南北戦争中に命を落としたか姿を消したものと思われる。

 

 二例目 A.D.1867 中国 追記呼称:クイーン緑

 

 清(当時の中国)において、二例目の機械生命体が確認されている。発見・目撃したのはいずれも農民で、確かな情報は無い。しかし、多数の地域の農民が揃って、「巨大な独楽(こま)のようなものを背負った女性」と証言していることから回転器官を持った機械生命体、またはそれに類する存在であると考えられている。

 目撃されたのはこの年のみで、以降人々の前に姿を現すことは無かった。また、どのケースも山中を歩いているところを目撃されており、その行動目的は不明。

 

 

 

 

 

第二章 Luchador

 三例目 A.D.1877 オーストラリア 追記呼称:メテオスマッシュ久保井

 

 当時、植民地のひとつであるクイーンズランドでは政府が「中国人移民制限法」を実施していた。この当時の記録から三例目の機械生命体と思しき存在を確認。

 特徴として、「背中に回転する階段を背負った黄色人種の女性」と記述されている。これ以上の記録は無く、おそらく担当者が移住を断ったものと思われる。その目的については不明。回転器官はエスカレーターであると考えられる。

 

 四例目 A.D.1877-1881 日本 追記呼称:ルチャドーラますみ

 

 嘉納治五郎は日本における格闘技・柔道の始祖である。

 彼は大島一学から柳生心眼流柔術を、福田八之助と磯正智から天神真楊流を学び、飯久保恒年からは起倒流を学んだ。そして、その経験から取捨選択を行い独自の「柔道」を生み出したとされている。この柔道の誕生の過程に、機械生命体第四例目の存在が深く関わっている。

 彼は、自身の手記の中でこう記している。

 

「奇天烈な風貌の女が或る日、私の所にやって来た。名を麻寿美と云った。彼女は私の練り上げた『柔道』を悉く却下し、彼女自身の考案した柔道を披露した。その不遜な態度に私は怒りを隠せなかったが、彼女の披露した技はそれはそれは美しいものだった。特に、技の過程で繰り出される回転に私は目を奪われた。私はすぐに彼女に頭を下げ、彼女へ指示することを乞うた」

 — 『手記― 嘉納治五郎』

 

 このように、彼の手記には彼の著作とは食い違う記述が随所に存在し、彼が機械生命体と接触していたことを如実に示す証拠となっている。この手記は彼の意志を告ぐ池袋の柔道場にて2018年現在も保管されている。

 なお、この手記からはこれ以上外見についての情報は得ることができず、回転器官は不明である。

 

 五例目 A.D.1898 スーダン 追記呼称:カバディみや子

 

 フランスとイギリスが当時、アフリカの分割を巡って対立した、通称ファショダ事件がスーダンのファショダ村で発生。結果として衝突は回避されたが、この時軍事衝突を要請した両軍の過激派計40名が不審な死を遂げていた。同時期に、巨大なゴム板を抱えた不審な女性の目撃情報が両軍で確認されている。

 死因は40人全員が全く同じで、大きなゴムのような何かに押さえつけられての圧死。当時の死体についての詳細な記録は無いが、回転器官はベルトコンベアであると推測される。

 この事件は1899年にフランス軍が撤退し終わりを迎えるが、これ以降この存在の目撃情報は無い。

 

 

 

 

 

第三章 Leap Attack

 六例目 A.D.1915- 日本 追記呼称:リープアタック田原

 

 大正4年から現在に至るまで、日本において活動が確認されている機械生命体。世界中でも最も長期にわたって存在及び活動が確認されている希有な例で、彼女らが人間と全く違う存在であることを如実に示す存在である。

 彼女は喫茶店を経営し、機械生命体であるが故に歳を取らないことを怪しまれないよう定期的に店舗を移転していると考えられる。実際、彼女は現在までに5回、定期的に移転作業を行っている。客である人間に対する危害などを加える様子は無い。

 一方で、調査のため店舗付近で監視を行っていた工作員は今までに26人全員が死亡。殺害方法がバラバラであるため店に訪れた別のサイボーグによるものと考えられる(注4)。

 回転器官は腰部分に装着されているコーヒーミルである。

 2018年現在、店舗は高田馬場駅近くの繁華街付近にある。名称は『ローリングドリーム』。

 

 

 

 2002年、日本政府直轄の機械生命体調査チームと警察による『第一回機械生命体捕獲作戦』が実施された。その時の状況について、当時作戦に参加し生還した隊員の証言と記録より時系列順に詳細を記述する。

 

 当時機械生命体第六例目(以降、第六号と表記)が営む喫茶店は東京都杉並区の西荻窪駅付近に立地しており、北側にある北銀座通りにひっそりとその存在を潜ませていた。

 当時、機械生命体については情報が少なく、躍起になった日本政府は調査チームと共同で本作戦を立案。

 工作員により収集された情報から、第六号一個体に危険性は認められなかったが機械生命体については未知の部分が多いことからその作戦には万全を期すことが求められた。そこで、警視庁警備部警備第一課に設置されている対テロ作戦組織・特殊急襲部隊(Special Assault Team、通称SAT(サット))が作戦行動を実行する手筈となった。

 SATの隊員たち合計十人は拳銃や短機関銃等を装備し、別に狙撃班が狙撃銃を用意。場合によっては射殺が許可された。

 

 作戦の実行は平日の午前中。当日早朝、周囲はガス漏れ事故の名目で第六号に察知されないように速やかに封鎖された。電磁波人命探査装置によって店内には第六号のみであることが確認されたのちに開始。

 狙撃班四人は周辺の建物の屋上や2階で待機。

 銃器対策警備車から隊員たち六人が降車展開し、先行した隊員の一名が店内にDRC(特殊閃光弾)を投擲。

 第六号は、これを受けてカウンターの裏側に身を潜めた。

 隊員たちは支援射撃の用意をしながら慎重に店内に突入。店内には変わった点は無し。テーブル席がいくつかと、カウンター、本棚の存在を確認。頭上には巨大なファンが回転している。床はフローリング。

 隊員は即座にテーブルを倒し、その背後に隠れながらカウンターへと接近。そして、合図と共に二人がカウンター裏に突撃。そのまま抵抗が無ければ対象を捕縛する手筈であった。しかし、第六号は隊員に向かって突進。隊員はこの段階で捕縛を諦め、確実に制圧するため頭部を照準して短連射。だが、腰の巨大な電熱器とコーヒーミルはおろか紫の髪が特徴的な頭部にさえ傷一つつかない。そのまま第六号は、短機関銃を撃ち続ける隊員にぶつかって倒れ込み、防弾ヘルメットを力づくで剥がした後に電熱器で頭部を熱し始めた。

 苦悶の声を聞き、残りの四人もカウンターに向かって突撃する。すでに、一人は電熱器で頭部から頸椎にかけてを熱され沈黙。もう一人は熱された隊員の短機関銃を奪った第六号によって銃撃を受けるが、防弾ベストとシールドでこれを防ぐ。短機関銃が無効だと判断したのか、第六号はそれを放り、もう一人に対しても電熱器での殺害を実行。その間他の隊員たちが連射を試みるも、人間によく似ているその体は傷一つつかず銃撃を跳ね返す。隊員の一人が外の狙撃班に連絡を取っており、店内に入って射撃を行った。しかし、これも効かず。

 

 その後も第六号は隊員たちの防弾ヘルメットやベストを剝がしての殴殺や熱殺を繰り返し、撤退命令が出るまでに突入班五人と狙撃班四人を殺害した。

 生き残り撤退した一人も腹部と頭部に重度の骨折を負っており、銃器対策警備車に乗り込んだ後に搬送され入院。全治六ヶ月。

 以後、第六号は店舗を移転したが日本側への攻撃行動は行わなかったため、政府の対策チームは『有効な攻撃手段が判明するまでは活動を停止する』とした。

 

 

 

 

注4 殺害方法が同じ場合は同一存在だと仮定すると、店に訪れた機械生命体は合計22体。

 

 

 

 

 

 

終章 Machinery

 七例目 A.D.1945- 日本 追記呼称:マシーナリーとも子

 

 1945年から池袋付近で、奇抜な風貌の女性が時折目撃されている。腕には巨大なマニ車を装着し、人々に対して親切な行動を行っていた。

 2010年代に入り、その行動は一転して過激なものとなった。道行く歩行者の殺害、ネギトロ軍艦に似た奇妙な存在の携行、別のサイボーグとの行動など枚挙に暇がない。

 

 八例目 A.D.2010- 日本 追記呼称:ジャストディフェンス澤村

 九例目 A.D.2010- 日本 追記呼称:アークドライブ田辺

 十例目 A.D.2018- 日本 追記呼称:ネットリテラシーたか子

 

 先述の機械生命体第七例目と共に行動している所を確認されている八例目と九例目、十例目は池袋や千葉など関東周辺で活動をしておりそれまで確認されてきた機械生命体と比較しても非常に交戦的である。

 なお、2010年以降の機械生命体の調査については、先述の通り人類保護団体N.A.I.L.による情報提供を受けたため担当部署が移管、そのため詳細は国連公式教本「機械生命体生物学概論」に記す。

 




オリジナルサイボーグ紹介

・クイーン緑(みどり)
本徳サイボーグ
回転体:独楽(コマ)

・メテオスマッシュ久保井
町田支部所属、疑似徳サイボーグ
回転体:エスカレーター

・カバディみや子
町田支部所属、本徳サイボーグ
回転体:ベルトコンベア
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