マシーナリーサーガ   作:晩舞龍

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この作品は、アイドルマスターの池袋晶葉ちゃんを応援するVtuber「マシーナリーとも子」及び、「マシーナリーとも子ユニバース」の二次創作作品です。 テーマは「マシーナリーとも子EX 〜徳人間のバイト研修〜」に名称だけ登場したエジプトのシャーマンです。


ロード・シャーマン

 私は今、エジプトのベニ・スーフという都市にやってきている。ここは2046年の現在でも亜人やサイボーグによる進行を逃れており、私が今まで訪れてきた他の国に比べて人類の数が多い印象を感じた。

 私がここに来たのには理由があった。私は、先日友人を亡くしたのだ。

 それまではたまに会って会話を交わしたり、たまに仕事で一緒になる程度の間柄だった。しかし、彼女がいなくなって初めて、私はひどい喪失感を抱いたのだ。それ以来仕事も手に付かず、上司に暇をもらうことになった。

 なぜそれほどまでに友を求めるのか、自分で自分が分からなかった。

 せめて、もう一度会って会話できれば、その答えが分かるかもしれない……そう考えた私は、あることを調べ始めた。

 

 シャーマニズム。超自然の存在や霊を召喚、憑依させ対話を行うという概念であり、実際にそういった行為を行うものをシャーマンと呼ぶ。

 私は一縷の望みにかけ、彼らのもとを訪ねることにした。イタコ、ユタ、トゥスクル……しかし、私の望みに叶うものは日本にはいなかった。

 幸い時間はあった。私は、その足を海外まで伸ばした。

 タンキー。チャネラー。呪術師。エクソシスト。しかし、無理だった。

 

 そんな折、私は一つの噂を聞いた。エジプトに優秀なシャーマンがいる、と。確かに、古代にはエジプトでもシャーマン的役割を果たす存在が確認されている。しかし、現代に……

 私は半信半疑で、だが他に当てはなく、こうして遠路はるばるベニ・スーフまでやって来たのだ。

 

 周りの人間たちの中で私の格好は明らかに浮いており、不本意だが帽子を被って俯いた。背中に背負っているものにも布を掛ける。人々が行きかう通りを外れ、薄暗い路地に入り込む。

 噂のシャーマンがいるという場所は、裏路地の中でもかなり入り組んだ場所で、表の通りの活気は聞こえてこない。不気味に静まり返り、人通りも少ないその中でひとり、静かに昼食の準備をする男がいた。

 その男はスーツを着用しており、エジプトの街並みの中で異様な雰囲気を醸し出していた。まあ、私が言えたことではないが。

 さらに目を引いたのは特徴的なサングラスだ。カラフルレンズというのだろうか、レンズの部分が虹色に輝く。

 今まで私が会ってきたシャーマンたちは、もっと宗教色が強く、民族的衣装を身につけている者がほとんどだった。それこそ、古代エジプトの人間そのままのような者が出てくるのを想像していた。

 それが、なんだコイツは。何もかもがシャーマンとは程遠い。勘違いか、と辺りをもう一度見渡すがそれらしい人間はいない。すると、その男はジェスチャーで彼の向かいに座るよう促してきた。

 

 男はこれから昼食を取るところらしく、見た目に似合った少し洒落たメニューを路地の汚いテーブルの上に並べていた。

「君の分はない。すまんね」

 そう言って彼は、食事の前の祈りを捧げる。

「……汝バリツと共に、おっと」

 その言葉に私は思わず目を見開く。すぐさま立ち上がり、彼と距離を取る。

 一方、彼は両手を上げてこちらに弁解してきた。

「すまんすまん! 昔のクセが抜けなくてなあ。今はもうシャーロキアンじゃない、安心してくれ」

 私は慎重にテーブルに戻る。

 彼は名刺を差し出してきた。そこには、「ハーフィズ 職業:シャーマン」と書かれていた。

「うさんくさい……」

 私は正直にそう零した。

「まあ待てよ。確かに俺は怪しい。でも、こんな怪しいやつに頼みに来るほど、アンタも困ってんだろ。話だけでも聞いてけよ」

 そうまくし立てられてはしょうがない。私はもう一度椅子に腰かけ、彼の話に付き合うことにした。

 

「俺は生まれが伝統的なシャーマンの家系でな。俺の名前も、番人って意味が込められてる。あの世とこの世の番人ってわけだ。でも、もうとっくに落ちこぼれのシャーマンを継いでもなんもいいことねえって思ってた。だから家出した」

「ずいぶんとまあ……」

「俺がイギリスに行って、シャーロキアンになって……でも、やっぱり向いてなかった。というか、向いてることを思い知らされたよ」

「えっと、それはどういうことで……?」

「俺はシャーロキアンには、特別向いてるわけではなかった。ホームズと格闘技が好きな、ただの英国かぶれヤロウのホームジストだったんだよ。そんでな、それだけなら良かったんだけどよ……」

 彼が訪れた英国の河川。路地裏。人気の少ないところ。そこかしこに、それは漂っていたというのだ。

「見えちまったんだよ、人魂ってやつ。それも、大量によ」

 ロンドンと言えば、切り裂きジャックのような不気味な話が多い。やはり、そう言うところによって来るものなのだろうか。

「それで、シャーマンに?」

「……俺は筋が良かったみたいでな。もう親父は他界してたんだが、俺は独学でもできるようになったんだよ」

「では、貴方は出来るのですね。本当に」

 そう言いながら、私はまだ疑いの目を向けている。今までのシャーマンたちは誰一人として、私の望みを叶えてはくれなかった。だから殺した。

「おいおい、そんな殺気のこもった目で睨むのはよしてくれ。そんじゃ、ここに呼び出したい人間……じゃないよな、サイボーグ? の名前を書いてくれ。あと、アンタの名前もな」

 そう言って男はメモを寄越す。

「気づいていましたか」

「背中に背負った物騒な武器、隠しきれてないぜ」

 

 私は鬱陶しくなってきた帽子を外し、メモに友人の名前を書き入れた。

 

 クラッシュトリガー生天目

 

 そして、自分の名前を。

 

 フィニッシュヒム諸岡

 

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