◆登場人物紹介◆
フィニッシュヒム諸岡/疑似徳サイボーグ
武器はレールガン、回転体は納豆。
ワニツバメの東京襲撃によって仲間と友人である生天目を失う。生天目に再び会うため降霊術に救いを求めてエジプトへ。
エジプトのシャーマン(クラッシュトリガー生天目)/バリツシャーマン
カラフルなサングラスにスーツの男という、奇抜なシャーマン。その正体は、ワニツバメとの戦いで死亡したサイボーグが、降霊術によって意識のみ復活し、シャーマンの体を乗っ取り現世に蘇ったもの。
精神はサイボーグであるが肉体は人間であるため、徳の供給を必要としない。
グラインドグリッド古賀(サドナー)/疑似徳サイボーグゴースト
日本の疑似徳サイボーグ・グラインドグリッド古賀に、解き放たれたゴーストの一体・サドナーが憑依。
レヴェリーソード蓮覚寺/疑似徳サイボーグ
ロシアに滞在していた疑似徳サイボーグ。他のサイボーグの武器のメンテナンスを行う一方で、刃物を集めている。ゴーストに妖刀を乗っ取られ、全ての武器を奪われてしまう。
妖刀集合体(アンガイル)/ブレードゴースト
レヴェリーソード蓮覚寺の妖刀に解き放たれたゴーストの一体・アンガイルが憑依。彼女の武器で刃物の体を構成した。
ドラゴニュート(プレイジア)/ドラゴニュートゴースト
アメリカのドラゴニュートに、解き放たれたゴーストの一体・プレイジアが憑依。
◆ ◆
解き放たれた三体のゴーストを封印するため、エジプトからロシア方面へ向かった諸岡と生天目。ふたりがイランに到着した時、そこでカザフスタン方面から飛来する怪物を発見した。
「あれは……刀の集合体!?」
「間違いない、あれは新しい体を手に入れたゴーストだ」
全身が刀で構成された人型の存在が、都市の上空を飛翔。生天目はすかさず降霊術で、ゴーストのスピリット本体に攻撃を与える。
「落ちろ!」
衝撃を受けた敵が地面へと高度を下げ、露天に落下。
土煙が舞い上がり、近くにいた人類たちが逃げていく。
その内の数人は、体を分断されてしまったまま数歩走り、無残な死体を晒す。
「俺の怒りを……死によって静めてもらおう、シャーマンよ」
怒りの思念を音として周囲に発散しながら、刀の怪物が露店の残骸から姿を現す。全身に付いた返り血はすぐに全身の刀身に吸収されていく。
「妖刀を身体として手に入れたのか……こいつは厄介だぞ」
「生天目、私はどうすれば!?」
「私が封印を試みるけど、確実に抵抗される。私を守りながら、奴の注意をそらして欲しい。できる?」
「やってみる」
言うが早いか、諸岡は生天目を背に駆けだす。
生天目は現在、ゴーストに対抗できる唯一の手段であると同時に、脆い人間の体だ。
諸岡が素早く徳納豆による網を飛ばす。
足止めのために放たれたそれを、ゴーストは刀で両断。続けて放たれたそれも切り伏せながら、妖力による飛行で諸岡との距離を詰める。
「貴様に俺の怒りは受け止められん!」
力任せに振り下ろされる刃を諸岡はかわすが、地面には鋭い切れ込みが走る。
諸岡はすかさず至近距離からのレールガン発射。ゴーストの体の表面を破壊する。
「まだ終わらんぞ!」
壊れた刀と刀の合間から、別の刀が出現し、全身が再成される。
「やはり体を壊すのは無駄なようですね……」
そう零しながら、遠距離から射撃をするが、これは見切られてかわされてしまう。
「貴様の攻撃は見切ったぞ。そして狙いもな」
距離を詰めようとする諸岡をステップでかわし、距離を置くゴースト。次の瞬間、ゴーストの体から一本の刀が発射される。
「ぐっ!!」
それは一直線に生天目の元へ向かい、右腕を抉った。
「生天目!」
「悪い、しくじった」
血を流し後方に下がる生天目。それを守るよう位置取りする諸岡だが、好機と判断したゴーストは諸岡を飛び越えるように飛翔する。
「シャーマンよ! 貴様の命、貰った!」
首元めがけて飛び切り鋭い刀が飛ぶ。
「生天目、いま私が!」
諸岡が網を放つが、刃の妖力はそれを貫く。
「まずい!」
その時、刃と刃がぶつかり合う音が響いた。
「なんだ……!?」
生天目めがけて放たれた刀は弾かれ、遠方へと飛んでいく。
そして、生天目の眼前に現れたのは、小ぶりな刀を持ったサイボーグだった。
「見たところ人間のようだが……サイボーグのような気がして守ってしまった」
肩にはナイフケース、肘には砥石。
メンテナンス担当の疑似徳サイボーグ・レヴェリーソード蓮覚寺だ!
諸岡がすかさず網を放ち、不意を突かれたゴーストの動きが止まる。
「蓮覚寺さん! 訳あっていま、その人間に生天目の精神が入り込んでいます! そして、生天目の力なしではあいつを倒せません!」
「よくわからんが分かった。ちょうどアイツには借りがあったんだ」
そう言うと蓮覚寺は手に持った幻の守り刀・今剣を構えた。
諸岡は蓮覚寺が普段、大量に保持している刀剣が無くなっていることに気づく。
「行きましょう蓮覚寺さん、生天目の準備が整うまで奴を引き付けるんです」
「オッケー!」
二機のサイボーグが左右から挟撃を仕掛ける。全身が刀のゴーストは、双方向に刀剣を射出するが、サイボーグの体には軽傷だ。妖力でパワーを上げるも、各々の武器によって叩き落される。諸岡が網をばらまき、動きを封じたところに蓮覚寺が突貫。
幻の刀の力によって、妖力を吸い上げながら無数の剣を叩き折っていく。
「どらぁぁぁぁ!!!」
蓮覚寺から奪った武器も底をつき始め、ゴーストの射出する武器の中にはついにゼスターグレーターやフォークが混じり始める。その隙を突いて、蓮覚寺は刀剣の塊の中心部分に刀を突き立てる。
「ぐ、保てん! 体が! 武器が!」
刀剣が霧散。中心の妖刀があらわとなった。
「今だ!」
「分かってる! これで、どうだァ!!」
その瞬間を逃さず、生天目がゴーストのスピリットを押さえつける。
二機のサイボーグによる猛攻でエネルギーを消耗したゴースト。先ほどまで放っていた怒りの感情すらも押さえつけられたまま、妖刀から引きはがされ、瓶状の封具に吸い込まれた。
「これで、二体。あと二体だ」
レヴェリーソード蓮覚寺は生天目の今の状況について、深くは聞いてこなかった。それよりも、自分の集めていた刀剣に夢中だった。自分で叩き折った刀剣のかけらを集めた後、二人の元を去っていった。どうやら、クラフトワークささみに頼んで修復してもらうつもりのようだ。
「それで、ゴーストはあと二体残っていることになっていますけど……」
生天目の肉体の治療を終え、次の目的地への準備を進める諸岡。
生天目は怪我した腕をさすりながら応える。
「うん。次の行き先は日本だ。この肉体はそっちから大きな力を感じている」
「次は怪物じゃないといいんですけど」
シャーマンの肉体の力を頼りに、諸岡と生天目は再びゴースト封印に向かうのだった。