マシーナリーサーガ   作:晩舞龍

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飛来した四体目にして最後のゴーストは、ドラゴニュートの体を操る強敵。生天目と諸岡は心と体を一つにし、最終決戦に挑む。


ロード・シャーマン6

 ◆登場人物紹介◆

 フィニッシュヒム諸岡/疑似徳サイボーグ

 武器はレールガン、回転体は納豆。

 ワニツバメの東京襲撃によって仲間と友人である生天目を失う。生天目に再び会うため降霊術に救いを求めてエジプトへ。

 

 エジプトのシャーマン(クラッシュトリガー生天目)/バリツシャーマン

 カラフルなサングラスにスーツの男という、奇抜なシャーマン。その正体は、ワニツバメとの戦いで死亡したサイボーグが、降霊術によって意識のみ復活し、シャーマンの体を乗っ取り現世に蘇ったもの。

 精神はサイボーグであるが肉体は人間であるため、徳の供給を必要としない。

 

 ドラゴニュート(プレイジア)/ドラゴニュートゴースト

 アメリカのドラゴニュートに、解き放たれたゴーストの一体・プレイジアが憑依。

 ◆ ◆

 

(まずいッ……!!)

 気付いた時には、生天目の憑依するシャーマンの体は敵によって引き裂かれていた。

「生天目っ!」

 諸岡が両手にスレーブユニットを武器として構え、生天目を切り裂いた敵に飛び掛かる。

 敵は一瞥し、翼で諸岡を弾き飛ばす。

 吹っ飛んだ諸岡の意識が瞬間、振動する。

 ――聞こえる? ――

(何……? 今のは)

 敵と距離を置きながら、諸岡は冷静に状況を確認する。

 滑走路の付近には人類はいない。ただシャーマンの体が倒れているのみだ。

 敵は、上野の竜人のような姿をしている。翼や爪、鱗。西洋における竜人と同種の存在・ドラゴニュートにゴーストが憑依したのだろう。

 そして、諸岡の意識に介入してくるものがいる。

 ――聞こえる? 諸岡――

 直接、意識が諸岡の思考に入り込んでくる。しかし、嫌悪感は感じなかった。

(もしかして……生天目ですか?)

 ――そう。さっき奴にやられたとき――

 

 生天目はドラゴニュートゴーストに切り刻まれる瞬間、瞬時に自身のスピリットをシャーマンの死にゆく体から諸岡に移したのだ。

 

 諸岡はドラゴニュートゴーストの様子を窺いながら、自身の中に入った生天目のスピリットと対話する。

 ――こうして、二つの意識を同時に稼働させることもサイボーグなら可能みたいだ。とりあえず今は、協力してあいつを封印しよう――

(分かった。封具はシャーマンの体に?)

 ――ああ、敵の隙を見て回収してくれ――

 

 ドラゴニュートゴーストもこちらを窺っている。お互いの間に緊張が走る。

 おもむろに敵が口を開く。

「目的のシャーマンは殺させてもらったけど……お前の中からまだ嫌なニオイがする。悪いけどそいつも始末させてもらうよ」

 そう言うと敵の体から衝撃波が放たれ始めた。

「竜人特有の覇気……!」

 諸岡は徳納豆のネットでバリアを張り、衝撃をしのぐ。

「やるねえ。その徳を生成する能力は厄介だ」

 敵は翼による飛行で高速接近し、鋭い爪でバリアを切り裂く。瞬間、諸岡の体が衝撃波の渦に晒される。

「ぐっ……」

 横目でシャーマンの死体の位置を把握し、同時にスレーブユニットの箸を発射して敵をかく乱。

「ちぃ、邪魔だ!」

 敵がドラゴンブレスでスレーブユニットを打ち落としている間に、諸岡は駆け出しシャーマンの死体から封具を回収。

「よし!」

 意識が生天目に切り替わる。

「あとは私に任せて」

 尻尾で飛び交う箸を蹴散らしたドラゴニュートゴーストが、こちらの変化に気づく。

「スピリットが切り替わった!? 厄介な!」

 抵抗しようとした敵をスレーブユニットが牽制する。

 その隙に生天目は瓶状の封具を手に、鮮やかな手つきでドラゴニュートからゴーストを切り離す。

 そしてすぐさま封印! ここに、四種のゴーストすべてが活動停止と相成った。

 

 しかし、生天目の精神にも限界が近づいてきた。

(やはり、一つの体に二つの精神がアクティブなまま長く共存することは不可能のようだ)

(そんな……悲しいです、生天目さん)

(じき私のスピリットは霧散してしまうだろう、だが安心してほしい! 私は消えるわけではない)

 そう、今回の事件のようにシャーマンやそれに近しい能力者の手によって、彼女は復活しうるのだ。

(分かりました。私がいずれ、生天目さんを復活させます! だから……それまで待っていてください)

(ああ、頼んだよ、諸岡……)

 諸岡は体が少し軽くなったように感じた。そしてそれ以降、生天目の声が聞こえてくることは無かった……

 

 

 数日後。

 無事にグラインドグリッド古賀は職場に復帰し、諸岡も自らの持ち場である出向先へ戻った。ゴーストが封印された封具は、ゆずきの協力によってシンギュラリティ本部で厳重に保管されるらしい。

 

 諸岡は出向先での仕事をこなしながら、人類の持つ不思議な能力……超能力について調べ始めていた。

 今までシャーマニズムに絞って調査していたが、別の角度からアプローチすることで失われたサイボーグたちの魂……スピリットを取り戻せるかもしれないのだ。

「やってやる! 私は徳の高い、シンギュラリティのサイボーグなのだから!」

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