マシーナリーサーガ   作:晩舞龍

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タイムマシンを巡り、時と星が振動する。

この作品は、アイドルマスターの池袋晶葉ちゃんを応援するVtuber「マシーナリーとも子」及び、「マシーナリーとも子ユニバース」の二次創作作品です。


宇宙怪獣の星

 西暦2045年

 

 巨大なタワーの内部にある、広大な研究施設。その中では、多くの技師たちが革命的な新技術の開発に取り組んでいた。

「よし、できた!」

 そんななか、技師のカイはついにタイムマシンの完成に成功した。

 

 その歓喜の声に反応し、周りの技師も集まってくる。

「ホントに上手くいくのか?」

「理論的には正しそうだ」

「だが、星のエネルギーを吸い上げて大丈夫なのか?」

 

 星の内部のエネルギーを直接利用したこの画期的なタイムマシンは、その後学会で議論され、理論的に正しいとの結論に至った。

 しかし、時間遡行によってどんな問題が発生するのかについては議論が続けられ、完成したタイムマシンは動かぬまま数か月が過ぎた。

 

 

 

 西暦2045年・シンギュラリティ

「たか子、新しいミッションだ。早急に対応してほしい」

 たか子は、同じく本徳サイボーグのドゥームズデイクロックゆずきが寄越してきた書類を見る。

 そこには、星一つ吹き飛ばせる大規模破壊兵器の詳細が記されていた。

「たか子は宇宙怪獣といったらどんなものを思い浮かべる?」

 会話のキャッチボールを無視した突飛な質問に、しかしたか子は冷静に答える。

「そうね、ビルと同等かそれ以上の生物。シンギュラリティも何度か対応したことがある」

「普通はそうだろう。では、星のごとく大きな宇宙怪獣はどうだろう」

「それは……見たことは無いけど、いないとは言い切れないわね」

「その通り。そしてそれが今回の目的だ」

 そういうとゆずきは巨大な腕からサブアームを取り出し、モニターに接続。

 ゆずきのコンピューターの映像が映し出される。

 

 そこに表示されたのは、丸々太ったハリセンボンによく似た魚。

 おかしいところが二点。魚にも関わらず、岩石のごとき鱗で覆われている。

 もう一点、その魚は宇宙空間に浮かんでいる。

 

「これが宇宙怪獣?」

「そうだ。大きさは月と同等。同盟を組んでいる宇宙人の情報によると、この怪獣はイクテュスと言って恒星ペテルギウスの付近を回遊しているそうだ。さらに」

「さらに、何?」

 もったいぶるように話すゆずきを急かし、たか子は続きを促す。

「うむ。この怪獣の体表には、ヒューマノイドタイプの宇宙人が生息し、文明を築いている!」

 

「それは興味深い内容だけど……私の任務と何の関係が?」

「うむ。実は、この星に住む宇宙人……便宜的にイクテュス人としよう。彼らがタイムマシンを発明したようだ。それだけなら良いのだが、これが怪獣イクテュスの体と接続されているようで、我々シンギュラリティのタイムマシンと呼応しているのだ」

「それって、つまり……」

「そう。お察しのとおり……このままだと怪獣イクテュスは、地球に仲間がいると誤解し、こちらに向かってくる!」

 惑星クラスの怪獣に激突されては、この星だけでなく周囲の星も危険だ。

「では、私のミッションは」

「うん。たか子には、正しいシンギュラリティの運行のためこの怪獣イクテュスを爆破してきてほしい。そこでこの資料の破壊兵器が役立つ」

 そこには、アーリオオーリオ杏奈が開発した惑星破壊兵器のデータが。

「なるほど、それで"星一つ吹き飛ばせる"ね……」

「怪獣の速度は遅い。だが、懸念事項は迅速に排除したい。なるべく早くに頼むよ」

 

 

 

 西暦2045年(イクテュス歴10305年)

 カイがタイムマシンを完成させたその日から、星の軌道が変化し始めた。有史以来初めてだ。この星は、やってくるスペースデブリを食べるため首を伸ばす以外の行動はしてこなかった。

「やっぱり、直接エネルギーを吸い上げたから怒ってるのかな……」

 カイはそのエネルギーとの接続口で原因の調査を行っていた。これはカイの働くタワーの地下深くにあり、妖しい光を放っていた。

 

 数日に及ぶ調査の結果、タイムマシンと星が接続されたことによって電波を発信していることが分かった。受信先は辺境の惑星・地球。

「これはいったい……?」

 

 次の瞬間、カイの働くタワーが音を上げて崩れ始めた。

「な、何だ!?」

 建物上部から、両腕チェーンソーの女が腕をドリルのように回転させて突進してくる。

 エリアの障壁は容易く破られ、カイのいる接続口に瞬時に到達。

「待て、何者だ……やめろ!」

 さらに、タイムマシンの接続ケーブルを引きちぎり、星の内部に入っていく。

 

 カイはタイムマシンのもとにやってきていた。そこでは、接続されている星の様子についてもモニタリングされている。先ほどケーブルはちぎられたためワイヤレスに切り替えているが、その状態は深刻だった。

 爆撃のような者を受け、星の核が損傷。生体反応は急激に低下していた。

「おのれ……地球の生命体!」

 他の惑星との交流を持たない、というより巨大怪獣に恐れて誰もやってこない……

 そんな星にやってくる理由のある存在は、電波を観測した地球以外に有り得ない。

 チェーンソー女の目的は分からないが、現在この星は死にかけている。滅ぼされたこの星を救う方法は……

 

「過去だ! 過去に戻るしかない!」

 カイは瞬時にタイムマシンに乗り込み、セットされていた年代である2040年に飛んだ。

「この星の滅亡の危機を救う……そのために、地球を滅ぼす!」

 

 

 

 西暦2040年(イクテュス歴10300年)

 一人過去にやって来たカイは、人々に未来の出来事を伝えた。地球からの攻撃、星の滅亡。多くの物的証拠が、突飛な話に信ぴょう性を持たせ、結果として多くのイクテュス人が地球への脅威を認識した。

 カイは技師としての知識と技術を総動員し、新たに巨大なタイムマシンを作成。イクテュス星3000の兵団が2018年の地球に派遣された。カイ自信をリーダーとして。

 

 

 西暦2018年

 地球に潜伏したイクテュス人は、徳エネルギーを用いてデータ化。リーダーのカイを中心に歴史の改ざんを目論むも、マシーナリーとも子と接触。バーチャルYoutuber彩愁カイとして活動していたカイが死亡。

 

 西暦2018年12月

 残されたイクテュス兵が地球破壊計画を実行。地球は破壊される。

 しかし、マシーナリーとも子とネットリテラシーたか子により、データ復旧サービスで地球は元に戻った。

 

 時空警察のアーヴィンはこの事態を監視していた。

「これ以上イクテュス兵を野放しにするのは時空の運行に影響が出ますね……」

 時間の正しい運行を守るため、彼女は2018年に跳躍。地球の破壊を企むイクトゥス兵3000体を尽く消滅させた。そのあと、カイの作った巨大タイムマシンも破壊した。

 次に2040年に飛び、カイが残したタイムマシンに関する技術も焼却。これにより、2045年以前に惑星イクテュスが地球に侵攻してくる可能性は潰えた。

 時空警察からすれば、2045年の地球が既に観測されている。つまり、2040年時点で宇宙怪獣が進行する事態や2018年の地球の破壊はイレギュラーな事態・宇宙のバグであるため、対処を行った。なお、バグであるため不確定な状態が続き、監視が難しかったことが2040年でのタイムマシン作成や一度目の地球の破壊を許した。もちろん、そういった事態を想定してデータ復旧サービスが存在するのである。

 

 時空警察によって、今回も時間の運行は正しく守られた。しかし、依然として時空連続体の乱れは続いている。次はどの時代、どの時空、どの次元から刺客がやってくるか分からない。しかし、時空警察がある限りその企みは打倒されるだろう……




[解説]
 この物語は、マシーナリーとも子ユニバースの世界観のなかで疑問点が残っているが、もう説明されることはないであろう部分を独自解釈しようというものです。
 実は前作もそうで、前作「星と発明家」では、
・エピノス人の誕生の経緯
・なぜ重力操作能力を持っているのか
・なぜ有機生命体を憎むのか
・なぜデータ復旧サービス職員と同じ姿なのか
・なぜ機械生命体なのに家族が存在するのか
 などを、独自設定の「時空警察」も取り入れつつある程度整合性のある説明を可能にできたと考えています。

 今作では、イクトゥス人にスポットをあてて、
・イクトゥス星がたか子に滅ぼされた理由
・タイムマシンを持っているのにシンギュラリティとタイムパラドクスの競合が起きない理由
・(マシーナリーとも子ZERO(完))で倒されていない3000のイクテュス人はなぜその後現れないのか
・(マシーナリーとも子第50話/復活特別編)でなぜ地球は爆破され、なぜその後もう一度爆破されることはなかったのか
 この辺を、独自設定の「時空警察」(超便利)とくっつけてなんとかした次第です。
 エピノス人は昔はヒューマノイドだったり、イクトゥス人が怪獣の星に住んでいるといったふうに(もちろんこれらはオリジナルの設定です)、本編の出番の少ないキャラは解釈の幅が広くていいですね。
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