正義の味方を目指していた少年   作:斬る斬るティー

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第2話:幸せの崩壊

 

 

 ~中学一年~

 

 

 

 

「なあなあ諸刃!これやるよ!誕プレ」

「おう!あんがとな 零」

 

黒髪で前髪に白いメッシュが入り左目が黒で右目が金眼のオッドアイが特徴の此奴は『門谷 (れい)』俺の幼馴染みである。そして今日は俺の誕生日で此奴は誕プレをくれたが・・・。

 

「って何で誕プレが砥石なんだよ!」

「お前よく使うじゃん」

「まあね!仕事でね!!」

「衛宮君!私もあげる」

「これもどうぞ」

「ありがとお前ら」

 

 クラスの皆からの誕プレを貰い衛宮はご満悦になっていた。

 

「今度包丁の研ぎを無料でやってやるよ親に言っときな」

「「やったー」」

「なあ今日学校終わってたら空いてる?」

「悪いな、早く帰ってきてと言われてるから無理」

「女か!?」

「マジか衛宮!?」

「衛宮君彼女いたの!?」

「いや親だよ」

「親かい!」

「家族仲ホント良いよなお前家」

「はは」

 

 それからも衛宮は友達と共にわいわい楽しい時間を過ごし、放課後になると急いで家に変える。

 

「衛宮の奴本当に家族が好きだな」

「だね~」

「私達も帰ろ~」

「・・・」ニヤリ

「門谷君?」

「な~んにも」

 

 

 

 ☆

 

 

 

「何であんなに人が?」

 

 家の近くに着いた衛宮は何故が沢山の人や警察が居るのに疑問を持つも家に向かう。胸をざわつきが支配しながら。

 

「すみません。通してください!・・・!」

 

なんで、なんで家からこんなに血のにおいがするんだよ!

 

「はぁ?」

 

 血の匂いがするのは気のせいだと思いながら人混みを掛けて見えたのは自分の家に警察が出入りしている光景だった。

 

「君!ここは立ち入り禁止だよ!」

「ここは俺ん家です!ここの鍛冶屋『カグヅチ』の衛宮夫婦の息子、衛宮諸刃です!」

「!?君が」

「だから通して!」

 

 家に入ろうにも警察が衛宮を止め、家に入れずにいた。

 

「――邪魔を!するなぁぁあああ!!!!」

 

 それにイラつき衛宮は腕を思いっきり振るい押さえる警察を吹き飛ばすと走り出し家の中、正確には一階にある鍛冶屋『カグヅチ』に入るとそこに広がっていた光景は悲惨な物だった。

 

「あ、ああ」

 

 母親は体中傷だらけで、胸に穴が空いており、心臓が潰されていた。

 

「ああああ」

 

 父親は片腕を切り落とされ腹に大きい穴を開けられ何より頭は潰されなくなっていた。

 

あぁぁぁぁああああぁぁぁあああああああああああああ!!!!!!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 事件から三日後に両親の葬式がされたが衛宮は全て上の空で、葬式が終わると次の日からは学校に行かずにズッと犯人に繋がる証拠を集め昼夜訪わず犯人を捜し回っていた。

 

「ん?」

 

 そして丁度一週間が過ぎたある日、大通りで騒ぎ超えがするのが聞こえそちらの方に足を進める。

 

「・・・・・・・・は?」

 

 騒ぎになってる所に行くとそこにはプロヒーロー十数人を斬り殺し、血にまみれた刀を持った獣のような耳と尻尾の生えた大男が立っていた。だが――

 

「あ・・・れは」

 

 衛宮が見て一番驚いたのは大男が持っていた刀の方だった。

 

っ!?あの刀、あの刃文、あの刃の反り、あの鍔、あの柄、あの鞘・・・家の守り刀、伝家の宝刀・・・・・・夜桜夜一!?そうか、ようやくようやく。

 

「見つけた!」

 

 そう叫ぶと衛宮は男の進路場まで走り男の進路を塞ぐ。

 

「あ?誰だお前?」

「一週間前、鍛冶屋『カグヅチ』を襲ったのはお前だな?」

「?そうだが・・・あ~お前あそこの息子か。いや~いい仕事だったぜ」

「そうかよクソヴィランがぁ! 殺してやる!」

「いきが良いな。ならお前もそこら辺にくたばっている雑魚共同様に死ね!」

 

 大男は正しく獣のような動きで衛宮に接近して刀を振り下ろす。が、衛宮は最小限の動きだけで全部紙一重で躱していく。

 

「クソなんで当たんねえんだ!」

「・・・いい加減にウザイ」

 

――ガシ!

 

「は?」

 

 衛宮は振り下ろされた刀の刀身を鷲掴みをして攻撃を止める。

 

「何驚いてる?もしかして知らないのか?人体は刃を当てただけではそう簡単には切れない。刃を当てて押すか引くかしないと切れないよ?(人に寄るけど)」

 

 簡単に言っているが、衛宮は刃が手に当たった瞬間に同じ勢いで下に下げ徐々に勢いを止め刀を受け止めたのだ。

 無論その後は、掴んでいる時に刃と峰の両方に力を入れて掴んでいるのではなく、側面に力を入れて掴んでいるのだ。

 

「はは、まじかよ」

「これは返して貰う・・・ぞ!」

 

 少し突き放してから勢いよく引き寄せて思いっきり大男の顔面をぶん殴る。だが狼男は殴られた勢いを使いバク転の要領で後ろに大きく下がる。

 

「痛え~。はは、化け物かよお前」

 

 衛宮は取り返した刀を殴り飛ばした時に一緒に取り返した鞘に収める。

 

「でもいいや、こっちが俺の本当の戦い方だしな!」

「・・・!?」

 

なんだ此奴!?いきなり体が変わった!?そうか、此奴の個性は【狼男】か。だから人間の姿の時は獣の様な耳と尻尾が有る獣人、そしてこの半人半狼の姿が此奴の本当の姿か。

 

「いくぞクソガキ」

 

 大男改め、狼男は両手を地面に着け走り出す。

 

「!?・・・速いな」

「いい顔だな!お前も彼奴らと同じように楽しませろよ!!」

 

 そして衛宮に近づいた狼男は刃物並みに鋭くなった爪を容赦なく衛宮に振り下ろす。

 

「きゃあ!」

「あの子死んだんじゃないか!?」

「土煙が邪魔で見えない!」

「んなこと言ってる場合か!?誰かヒーローか警察呼べ!」

「無理だろ!?あのヴィランに10人は殺されたんだぞ!!」

「おい!?見えてきたぞ!」

「は?・・・マジかあれ」

 

 煙が晴れ、目に入ってきた光景に驚かない者は居なかった。衛宮の服は破け後ろのコンクリには5本の斬撃の様な跡が残っていたが、衛宮自身は狼男の攻撃を片手で受け止めて無傷だった。

 

「・・・」ゴクン

 

 狼男は唾を飲み込み、冷や汗を流す。この時に感じたのは驚愕だった。いつもはこの一撃でプロヒーローすら簡単に殺せたのにそれを目の前の男は片手で止めたのだ。これがオールマイトとかトップヒーローならまだ分かるが、目の前の男はただの学生、しかも中坊なのだ。

 

「はは、あのバカ力の男もこれは受け止めきれずクタバッタってのに」

「そう、お前・・・もう・・・・・・死ねよ

「ッ!」

 

 殴る。衛宮はただただ狼男の顔面に向けて固く握った拳をぶつける。

 

「グッハ!」

 

 衛宮の筋肉密度は普通の人の2.5倍有る。その上いつも体を鍛え、いつも母の仕事を手伝い鉄を打つこともしていた。それにより更に鍛えられ強くなった衛宮から放たれるパンチの威力は異形型とはいえ痛いでは済まない。狼男は衛宮のそのとてつもない威力のパンチを顔面にモロにくらい、耐えられない衝撃で大きく後ろに吹き飛ばされる。

 

「あ、あっああ。(は?んだこの威力?今の俺は異形型だぞ?それをこうも簡単に吹き飛ばすとか。あのガキ一体。)・・・ヤバ!?」

 

 何かに気づき狼男はその場を急いで退くと衛宮の追撃の攻撃がさっきまで居た場所に入る。

 

「ッチ・・・殺し損ねたか」

 

狼なだけに野生の勘か?だが関係無い。警察やヒーローが来て邪魔される前に此奴は絶対に。

 

「――殺す!」

「おいおいぃ、これが学生の放つ殺気かよ(これは無事に逃がしてはくれなさそうだな。誰かを人質にして逃げるか・・・これならあんな仕事受けるんじゃなかった。割に合わねぇ)」

「考え事とか良い度胸だな」

「しまった!?」

 

 狼男は一瞬だけ衛宮から意識を外した瞬間に懐入られ、飛後ろ蹴りを喰らう。

 

「がっは!」

 

 衛宮の見た目からは考えれない強力な蹴りを食らった狼男はガードレールを突き破り歩道にまで吹き飛び歩道橋にぶつかる。

 

「きゃあ!・・・え?」

「衛宮君!?」

「な、何してんだよ衛宮!!」

「・・・」

「おま・・・えら」

 

 名を呼んだのは衛宮のクラスメイトの学友達だった。それに気づいた狼男は不適な笑みを浮かべると隣に居た衛宮の学友の女子を人質にする。

 

「きゃあ。な、なに!?」

「お前は普通には逃がしてくれなさそうだから此奴を人質にさして貰う!来たら此奴を殺す」

「・・・え」

 

 女子の首元に爪を突きつける。だが、衛宮はそんな事は気にせずに歩いて近づいていく。

 

「お、おい!聞いていたのか!?」

「・・・だから・・・・・・なんだってんだ

「え?」

「俺はお前を殺せればそれで良い」

「・・・はは、イカレてやがる」

「う、嘘よね衛宮君」

「ほらぁ殺ってみろよ。ほら速く!・・・まあ

「嬢ちゃん、恨むんだったらあの男を恨め!」

「させんがな!」

 

 衛宮は学友を殺そうと自分から目を離した一瞬に持っていた石ころを指弾で狼男に撃つ。

 

「があ!んだこれ!?」

「指弾だよ」

 

 指弾とは、指で弾(小石やコイン等)を勢いよく弾き飛ばし、対象にぶつける技である。やり方はいくつかあるが、衛宮がやったのは親指と人差し指で弾を握り込み、親指の力で弾を飛ばす一般的なやり方だ。

 

「クソっが!?」

「はい、捕まえた」

「!」

「じゃあ死のうか?」

 

 指弾で片目をやられ隙を見せた瞬間に女性は逃げる。それを確認した衛宮は一気に距離を詰め狼男の首を鷲掴みにするとそのまま持ち上げると勢いよく地面に叩き付ける。

 

「は、あっははははは!!」

 

 地面に叩き付けられた狼男はその一撃でほぼ意識を失いかけているがそんな事を気にせず衛宮は最初に狼男がヒーローと戦ってボロボロになっていた場所に投げ飛ばす。

 それと同時に衛宮も走り地面に落下した狼男を殴る。それから馬乗りにしてそのままただただ笑いながら何度も何度も殴り続ける。たとえ狼男が気絶しようと。

 

「あははははは!!死ね死ねシネ!殺す殺すコロス!・・・・・・あ?んだこれ?ってうお!?」

 

 突如として衛宮は腕に白い布のような者が絡みつく。その白い布の先を見るとクタクタな黒い服を着て自身の腕に絡みついた白い布をマフラーの様にして黄色いゴーグルで目元を隠した男が居た。

 

(今の状況は正直やばいな。ここに来るまでにも氷の騎士の様な化け物が邪魔してプロヒーローも警察もなかなか来れず、しかも来てみれば最初に報告に有ったヴィランを少年が殺そうとしてるし。とりあえず止めないとな!)

「邪魔を!すんじゃねぇぇぇぇええええ!!!

 

 腕に絡みついた布で勢いよく引っ張られたせいで狼男から引き剥がされ落ち着くどころか邪魔された事にイラつき、勢いよく引っ張り邪魔したプロヒーローを上空に放り出す。そして緩くなった布から腕を引き抜き狼男をまた殴る為に駆け出す。

 

(抹消を使っていたのにこの力、これじゃあまるでオールマイトさん並)

「死ね!クソヴィランが!!」

「ッ!?マズイ!?」

 

 衛宮は最後に本気で殺す一撃のパンチを放つ。

 

――ガシ!

 

「は?」

 

 だがその一撃は狼男に決らず割って入った者に止められた。

 

「邪魔するな・・・零!!」

 

 割って入って衛宮の攻撃を止めたのは衛宮の幼馴染みの門谷零だった。

 

「いってて。そこまでだ諸刃!!」

「退け邪魔だ」

「退かない」

「退け!」

「退かない!」

「退けぇ!!」

「退かないつってんだろ!!」

「!」

 

 門谷は衛宮に殺気をぶつけられようと怯むことはなく衛宮を睨み付ける。

 

「ック。何故だぁ、何故庇う!?そいつはヴィランだ!俺の父さんと母さんを殺したヴィランだ!!それだけじゃない!沢山の人を殺した!この場で死んでるヒーロー達もそいつに殺された!」

「そうだな!!此奴はヴィランだ!ヴィランなんざ全員死んでも良いかもな」

「なら何故庇う!そいつは死んでも良い人間だぁ!!死ななきゃいけない人間だぁ!」

「何故かだって?そんなんも分からないのか?」

「はあ?」

「テメエ!今のその面を親父さんとお袋さんに見せられんのかよっ!!」

 

――ドン!!

 

「ガハ!」

「見ろ!!」

 

 衛宮の腹を思いっきり蹴り、蹴ったと同時に門谷はスマホをカメラモードにして衛宮に見せる。

 

「――!」

 

 カメラに写る自分の顔を見た衛宮は目を開き驚く。顔は狼男の返り血が付き、口元は口角を上げ笑っていた。それは復讐を果たせる嬉しさに笑っていたのだ。

 

「だ、だが」

「なあ諸刃。お前が復讐してお前のご両親は喜ぶか?復讐した後にそんな顔を見せられるか?」

「・・・う、うう」

「復讐はこれで終わりにしようぜ、な?これからは前を見て行こうぜ?親父さんとお袋さんに胸張って会えるようにさ!な?」

「お、俺は、まだ戻れるか?」

「ああ。今回はやり過ぎたがまだ人を殺してない。一線を越えてない。まだやり直せる」

「あ、あああ!」

 

 その言葉に衛宮は我慢していた物をはきだすかのように泣き出す。門谷も分かっていたから衛宮を抱き寄せ胸を貸す。

 

「お前、葬式の時泣いてなかったもんな。溜め込んだもん全部吐き出しちまいな。俺なんかで良ければさ、胸ぐらい貸すよ」

「ご、めん」

「気にすんな。俺達幼馴染みの親友だろ?」

「・・・うん」

 

 

 こうして今回の事件の幕は下りた。

 

 

 

 連続惨殺ヴィラン「ウルフルン」が今日起こした事件被害。

 

 

 軽症者:25人

 

 重傷者:18人

 

 死者 :12人(半分以上はプロヒーロー)

 

 ウルフルンの状態:瀕死の重傷。

 

 

 

 

 

 

 

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