正義の味方を目指していた少年   作:斬る斬るティー

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第4話:入試試験

 

 

今日は雄英の入学試験当日。俺は雄英の門の前に立っている。てかさあ。

 

「雄英の門でかくね?」

 

そう、雄英の門は凄くデカイ。まあ異形型の人とかを考えてるんだけど。

 

 そう思いながらも門を潜り、進むと衛宮の目線の先にはモサモサした綠の髪の緑谷を見つけ近寄る。

 

「おーいって危ない!」

「わわっ・・・‥‥え?」

「転けたら縁起悪いからな。」

「あ、ありがとって君は!?」

「久しぶり、緑谷」

「あの、大丈夫ですか?」

「!」

 

 緑谷が転けそうになったのを心配して声を掛けに来てくれたのは茶髪のショートボブが特徴の女の子だった。

 

「あのー」

「は、はい! 大丈夫です!」

(うわー超裏声)

 

 上がってしまって変な声を出した緑谷に衛宮は若干苦笑いをして、三人は軽く自己紹介をしてから試験の説明室に向かう。

 

 

 ☆

 

 

「リスナー諸君!今日は俺のライブにようこそー!エヴィバディセイヘイ!」

 

 実技試験の概要を説明する為に設けられた教室内に爆音と言っても過言ではない音量の声が響き渡る。だがその声に、一人以外に目に見えて反応する人はいなかった。

 

「こいつはシヴィー。それじゃあ!今から実技試験の説明を始めるぞ!!」

 

 実技試験内容は、市街地を模した演習場で行われる10分間の試験。そこで配置された仮想敵ヴィランボッロトを各々なりの方法で行動不能にしていくというもの。

 アイテムの持ち込みは申請した物だけ。そして当然のことながら、アンチヒーロー行為は一発退場。

 

「四種目のヴィランは0P!そいつは言わばお邪魔虫!!スーパーマリオブラザーズのドッスンみたいなもんさ!各会場に一体所狭しと大暴れしている『ギミック』よ!!」

 

 そしてなぜかプリントに四種類描かれていたことの説明もされ、最後にマイクは試験者達の顔を見渡して締めくくる。

 

「かの英雄ナポレオン・ボナパルトは言った!!『真の英雄とは人生の不幸を乗り越えていく者』と!!そして我が校の校訓!

 

 

 Plus Ultra(更に、向こうへ)!!  

 

 

 それでは皆良い受難を!!」

 

 

 ☆

 

 

 

 それからバス移動をして着いた実技試験会場は本当に市街地マルマル1個分を作ったのかと思える程の大きさだった。

 

「すげ」

 

 まだ門しか見えていなかったが、衛宮は思わず心の声が漏れてしまうほどの物だった。

 

 

 

「スタート!!」

 

 突如として開始の言葉が告げられる。

 それに対して多くの生徒は驚き硬直して動けずにいたが、衛宮はモードアーチャーになり颯爽と駆け出し仮想ヴィランの破壊に挑む。

 

投影錬成・(トレース・)開始(オン)!」

 

 干将・莫耶を投影して二体の1Pの間を走り抜け、擦れ違いざまに勢いよく腕を振り斬付け壊す。

 

「ふっ!」

 

 そして左右に居た別の二体の仮想敵に干将・莫耶を投げ破壊する。

 そこから間髪入れず、弓と3本の矢を投影して構えると正面の離れた位置に居る仮想敵に放ち、纏めて三体を打ち抜き壊す。するとその三体は爆発して近くに居た仮想敵を巻き込んだ。

 

「よし・・・凄いなあの子」

 

 衛宮の目線の先には腰まで伸びた黒い髪が特徴の女の子だった。

 その子もまた、衛宮同様に開始宣言と共に走り出していた。

 

 最初に離れた所にいた仮想敵に向け腕を振るうと緑色の魔法陣が現れ突風が吹き抜けると仮想敵は木っ端微塵となった。そこまでは衛宮は風か空気関係の個性だと思っていたが次に、女の子は接近して来た仮想敵に触れると次は赤色の魔法陣が現れ、温度が上がっていったのか仮想敵は真っ赤になり熔解する。それに驚いて思わず女の子をガン見してしまう。

 

「私なにか変ですか?」

「え?」

「さっきから此方見ていましたので。格好が変ですか?(この人の方が変な格好・・・?)」

「いや、ごめん。余りにも凄い個性だから」

「あ、ありがと。でも貴方も凄いよ」

 

 女の子がそう言うと、衛宮は干将・莫耶を投影して女の子は両手から青い魔法陣が現れるとそこから氷が形成され氷剣を作る。

 

「「・・・っ!」」

 

 そして二人はお互いにかけ出すと武器を振りかぶり相手の後ろに居た仮想敵を破壊する。

 

「それでは。受験頑張って下さい」

「貴方も」

 

 そのまま二人は進行方向に駆け出し、ヴィランポイント獲得に向かう。

 

 そんな二人の姿を他の受験生達は未だに動かずに見ていた。

 

「ヘイヘイ! どうした! 本番に合図なんかねぇぞ! 既に三人は動いてるぞ!」

 

 そんなときにまた全会場にプレゼントマイクの声が響き渡り、生徒達は我に返り試験場に駆け込む。だが衛宮とあの女の子の居た会場の人達は自分たちの判断が完全に遅れていたことを身をもって痛感する。

 

 

 ☆

 

 

「トレース・オン!」

 

 走りながら大量に剣を投影して指を鳴らすと剣は飛んでいき近くにいた仮想敵を次々と貫いたり回転して切り裂いたりと破壊しいた。

 

「おーらよっと」

 

 正面にいた仮想敵を擦れ違いざまに壊すと会場の中で1番高いビルの側面を駆け上る。

 

「おー良い眺め。みんな頑張ってるねー。」

 

 一番高いビルの為に仮想敵と戦ってる者を見るが、殆どはの人は仮想敵を探しているだけだった。理由は衛宮とあの女の子が殆どを壊し回っているせいだった。

 そんな事をつゆ知らず、衛宮は弓と矢を投影すると残っている仮想敵を狙い撃つ。

 

「きゃあ!・・・え?」

「な、なんだ!?」

「ロボが勝手に壊れた?」

「こ、こっちもだ!」

「嘘だろ。なんだよこれ・・・」

 

 いきなり近くで仮想敵が壊れたことに驚く受験生達。

 衛宮はほぼ毎日弓の鍛練を怠らずしていて、今は本物のエミヤより一キロ長い五キロまでなら正確に狙撃できるようになっている。

 

「さて、既に60機位は壊したかな? よっと」

 

 弓を消すとまた、干将・莫耶を投影して歩くかのように五十メートル以上はあろうビルから飛び降りる。

 そこから落下の途中で干将・莫耶に魔力を込めてオーバーエッジ形態にして両方を後ろに回しまるで鳥の羽の様にする。

 

「な、なにあれ!?」

 

 太陽をバックに降りて(落ちて)くる衛宮の姿を見て殆どは動きを止め見入ってしまう。そして衛宮はエミヤのかっこいいポーズをして着地と同時に干将・莫耶を振るい、周囲に居た仮想敵をガラクタに変える。

 

「ふう。 次に‥‥‥‥っ!」

 

 次の仮想敵を破壊しようと思うと同時に地震が起き、自分たちを被う大きな陰が生まれる。

 

「な、なにあれ!?」

「逃げろー!」

 

 突如現れた巨大ロボ。出現と同時に周りのビルを壊し受験生達に向かい動き出す。しかもロボが現れた所からは新しい仮想敵が軍隊ありかの如く現れ、受験生達に襲い掛かる。

 それを見た受験生達は我先にと逃げ出す。そして衛宮は

 

「なにあれスゲー! かっけー!!」

 

 麦わら海賊の如く、目をキラキラさせて見つめていた。

 

「何言ってんだよ!お前も逃げろよ!」

「なんで逃げんの?」

「は? もういい!」

 

 声を掛けた男は衛宮の返答を聞いて何故か怒りその場を逃げる。

 その姿を不思議に思いながら衛宮は首を傾げて見つめ、出てきた0Pヴィランをどうしようかと悩む。

 

「流石に鶴翼三連では無理だよなー。あの下の仮想敵もどうにかしないと。・・・・っ! 」

 

 目線の先に瓦礫に挟まれた子を助けようとしているあの黒髪女子を見つける。しかもその二人の頭上に瓦礫が落ちてきてるのも目に入り、衛宮は思わず駆け出す。

 

「うおおおお! ま、間に合えええええ!!」

「「!?」」

 

 干将・莫耶をその場で捨て、足に力を溜めて本気で走る。

 流石は英霊の力と言ったところか、二十メートルは離れている距離を一瞬で詰め、なんとか瓦礫から抜け出た子とそれを助けた黒髪女子を抱きかかえ、降って来た瓦礫の下を滑るように通過し助けだす。

 

「あっぶねえええ!!」

「瓦礫、落ちてきてたんだ」

「こ、この試験死ぬの?!」

 

 落ちてきた瓦礫に驚く二人を見て衛宮は大きな怪我をしてないことに安堵する。

 そんな衛宮を見て魔法のみたいなモノを使っていた黒紙女子が声を掛ける。

 

「助けてくれてありがと」

「あ、ありがとう御座います!」

「いいよ。それよりアレを全部壊すか」

「そ、そんな事出来るの?」

「出来る出来ないじゃ無い。やるかやらないかだ」

「「!」」

「まあ見とけ」

 

 そう言うと衛宮は道路の中心に行き迫り来るポイントヴィランに右腕を向け、呪文を口ずさむ。

 

「――投影錬成・(トレース・)開始(オン)

 

 ――憑依経験、共感終了。

 

 ――工程完了(ロールアウト)全投影、待機(バレット クリア)

 

 ――停止解凍(フリーズアウト)全投影(ソードバレル)連続層写(フルオープン)!!!」

 

 

 本来のエミヤには出来なかった、いくつもの宝具を同時に投影してカタチ作り出来たものから仮想敵に向け打ち出す。次の瞬間には最前列にいた仮想敵がガラクタへと成り代わる。

 そしてその衛宮の姿に近くで見ていた二人も逃げ出していた受験生達も動きを止め衛宮を見る。

 

 連続層写しながら弓と1本の剣を投影し矢に変え、弓にあてがい大きく引く。すると、矢からはまばゆいほどひ輝く。

 

 投影された剣は若き日の騎士王が引き抜いた王を選定する剣。

 

勝利すべし黄金の剣(カリバーン)!!」

 

 放たれたカリバーンはP仮想敵は無論、巨大な0p敵も飲み込み、大爆破を起こし太陽の光さえも暗く思わせるほどに輝き天に届かんばかりに光の柱を立てる。

 その光景は衛宮の居た会場の人達は勿論全員見ていた。そればかりは他の会場の人達もその光景を目にし唖然としていた。それは別の所で見ていた教師陣も全員開いた口が塞がらない様子だった。

 

「す、すご・‥‥」

 

 魔法みたいなモノを使っていた女の子が呟く。それから数秒後にまばゆい光が収まり巨大ロボの場所が見えるようになる。その現れた場所を見てまたも絶句する。

 仮想敵は勿論、既にガラクタにされた仮想敵も0P敵も跡形もなく、無くなっていたのだから。

 

「アレを全部壊したの?」

「こ、こんなの人の域を越えてる」

「は、はは‥‥」

「あーこう言う奴がヒーローに成るのか」

「所詮僕の個性じゃヒーローに成るのは夢物語か・・・」

「化けもんじゃねぇか」

 

 衛宮のした事を見ていた人達は全員次々に絶望し暗い顔をしてヒーローに成る夢を諦めるかのような事を口にする。そして実技試験が終了の合図がなされ此度の雄英実技試験は終了する。

 

「もう終わりか。 ねぇ君、足大丈夫?」

「え」

 

 アーチャーモードを解除して振り返り瓦礫に挟まれていた子にそう聞いて近づく。 

 その子も衛宮の行いに驚き放心していたがなんとか頭を回しジャージの裾をまくり怪我した足を見る。

 

「あちゃー」

 

 足を見ると紫色に変色して血を流していた。女の子は痛みを感じなかったのか、自分の怪我した足を見て驚く。

 それを見て衛宮は怪我の所に手を向けて何かを呟くと、患部は淡く光りあっという間に怪我が完治する。

 

「な!?何したの!?」

「治療魔術。俺の個性の一部だよ」

「すごいっしゅ」

「じゃっ。俺は他の人の治療に行くね」

 

 

 

 

 

 

 衛宮は本来のエミヤが出来ない、または不得意な事が出来る。

 神造兵器の投影から始まり、同時にいくつもの投影を行ない射出した全投影連続射出、そして治癒魔術。今回はしていなかったが強化魔術も出来る

 

 本来エミヤは出来ないが彼は衛宮であってエミヤではない。

 彼を転生させたのは本物の女神だ。そして使う能力も女神がエミヤ達をベースに一から作り上げたモノ。ただ側だけ似ているだけの別種と言って良い代物、故にエミヤに出来ない事が出来るのだ。

 

 その為に、彼は衛宮であってエミヤでは無い。

 

 

 

 

 だが、いずれ彼がたどる運命(フェイト)は――。

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