とある一室で雄英の教師陣は試験で上位の成績を残した人達の話し合いをしていた。
「合格結果出ました」
大きなモニターには上位22名の獲得したポイントが多い順に名前とポイントが表示される。
「緑谷出久、敵ポイント0で11位とわね」
「アレに立ち向かったのは過去にもいたけど…ブッ飛ばしちゃったのは久しく見てないね」
「思わずYEAH!って言っちゃったからなー」
「しかし自身の衝撃で甚大な負傷…まるで発現したての幼児だ」
「妙なやつだよ。あそこ以外は典型的な不合格者だった」
「細けぇことはいんだよ!俺はあいつ気に入ったよ!!」
「対照的に爆豪勝己は救助ポイント無しで4位とは・・・」
「『1P』『2P』は標的を捕捉し近寄ってくる。後半他が鈍っていく中派手な個性で寄せ付け迎撃し続けた。タフネスの賜物だ」
「ですがやはり今年は例年に比べ上位三人が異常でしたね」
教師陣が見る上位三人の獲得したヴィランポイント、救助ポイントは桁が違った。
そしてモニターが変わり、最初に映し出されるのは、胸元まで伸びた灰髪にイヌ科の様な耳に尻尾と両手拳から出し入れ自由な2本の刃が特徴の女の子だった。
「3位、
「獣の様な俊敏な動きに察知力。しかも手から2本、足の先から1本の鉄すら豆腐のように切り裂く刃物を出す、ですか・・・」
「しかし、0Pが現れたときに落ちた瓦礫の下敷きになったときは肝を冷やしましたね」
「えぇ、でも何事もなかったかのように出てくると瞬時に0Pを破壊したわね。(にしてもあの獣耳と尻尾カワイイわね)」
次に映し出されるのは、腰まで伸びた黒髪に銀目が特徴の衛宮と同じ会場に居た女の子。
「2位、
「近距離・中距離に対応。しかも切り裂いたり溶かしたり様々」
「地面の土やコンクリートを変えて槍の様にもしてましたね」
「なんでも有りって感じね」
「何でも有りなら彼じゃないですか?」
そして最後は勿論、衛宮諸刃だ。
「1位、衛宮諸刃、個性は『投影錬成』。敵ポイント198P、救助ポイント79P。合計277P。雄英史上最高得点です」
「近距離・中距離・遠距離、その全てで戦えるオールラウンダータイプ」
「戦闘技術は勿論判断能力も申し分なし」
「序盤は双険での接近戦、中盤は弓による遠距離戦、そして最後は作り出した剣を飛ばしての中距離戦」
「しかも最後のアレは‥‥‥」
投影連続射出をして最後にカリバーンを放った衛宮の姿の映像が流れる。が、余りの光量に画面は真っ白になり教員は皆余りの目映さに目を瞑る。
『・・・』
流れた映像に部屋の中を沈黙が支配する。
「・・・相澤君。彼の担当をお願い出来るかい?」
「はい。衛宮諸刃、緑谷出久、爆豪勝己は俺が見ます。錬奇いのり、逢神ローラはブラド、お願い出来るか?」
「ああ」
「決まりだね! それじゃあ次は5位の――」
そしてまだまだ成績の評価とクラス分けは続く。
☆
雄英高校の入試から一週間たった今衛宮は未だに贔屓にしてくれる顧客の相手をしていた。
「悪かったな、えっちゃん。のこぎり刃の研ぎなんて面倒いの頼んで」
「はは、気にせんでくださいよ、おやっさん」
「そういえば雄英受けたんだって?スゲぇじゃねぇえか!」
「いえいえ」
「えっちゃんの個性はスゲーかんなー。ぜってぇー受かるぞ!」
「だと良いですね」
「なーに謙遜してんだよ!」
バシバシ背中を叩かれ「いたいっすよー」と言って楽しく話すが相手が携帯を見て何かあると思ったのか話を切り上げる。
「ありゃりゃ。仕事行かねぇと」
「いや今仕事中でしょ! てか親方がサボってどうする!」
「あっはは!こりゃ耳が痛い! まあアイツらも俺が居なくてもかなり出来る様になったしな。息子にもう後を任しても良いと思ってるころだしよぉ」
「嘘つけ」
「ありゃ、ばれた?」
「そう思ってるお人が、のこぎり、のみ、カンナ、鉈、その他諸々の研ぎとメンテを頼むかよぉい」
「あはは! 流石わえっちゃんだ! よぉお分ったな」
「俺がチビの頃からの付き合いスからね! てか行かなくて良いんすか?」
「おう、じゃあそろそろ行ってくるわ!」
「ウィー。いい歳なんだからぎっくり腰にはお気を付けてー」
「うるさいわい!」
あははと笑いながら見送るとまだ昼前だが、その日はもう店を閉めてご飯を作ろうかと思うと出て行ったおやっさんがひょっこり顔を出す。
「えっちゃん、また改築や増築、小屋を新築するときは声を掛けろよ!」
「おうよ!」
元気な返事を効くと今度こそおやっさんは仕事に向かい、衛宮は店を閉めて部屋に向かう。
「・・・」
「お久しぶりです。衛宮さん」
「なんで女神様が居るんですか?」
「簡単に言いますと色々と説明の為に来ました」
「あ、そうですか。 とりあえずお茶出しますね」
「お願いします」
☆
「それでお話とはなんですか?」
「まずは貴方の能力です」
「?」
「最初の頃は疑問に思うこともあったんじゃないでしょうか?」
そう言われ能力を考えて首を傾げる衛宮。そして小さかったときに神造兵器を投影出来たりエミヤアサシン、オルタになれたことの疑問を思い出す。
「・・・あ、そうだ! なんでエミヤアサシンやオルタとかにも成れるんですか?後なんか能力もちょいちょい違うし・・・」
「先ず一つ目、あの時言われたエミヤがアーチャー、アサシン、オルタ、そのどれを言ってるのか分らなかったんです。それにエミヤに似ているのも沢山合ったのでとりあえず最初の、アーチャー、アサシン、オルタの三つをベースにしたんです」
「そうですか」
「次に、私も調べたんですが本来のエミヤが出来ない事が出来るのは、その方が楽しめると思ったからです。設定をミスったとかじゃ無いですよ」
「・・・は、はは」
予想していなかった答えに思わず顔が引きずるが、それでも直ぐに何時もの表情に戻る。
それを見て女神はポンと手を叩き、笑顔を見せて口を開く。
「次はこちらから、能力の詳細の説明をしますね」
「お願いします!」
「一つ目、貴方はいままで色々と魔術を使ってきていましたが、なぜ魔力が枯渇しないのか気になったことはありませんか?」
「あります」
「理由は貴方の生命を魔力に変換しているからです」
「はぁ。・・・はあ!?」
「あ、安心して下さい。変換した魔力は前世の本来生きるはずだった時間です」
「?」
「貴方は前世では本来は百十数年生きる予定でしたが、人を庇って死んで、21で無くなったのでその分の余った九十数年分の寿命を魔力に変換して今世の貴方に入れたんです」
「なるほど」
「だから、魔力が減ったように全然感じないんです。分りやすく例えると、モン○トのスタミナ満タン状態でスタ○ナ○ンを使った感じです」
「わっかリ安い例えー。てか前世のゲーム!」
「二つ目、投影錬成に関してです。干将・莫耶や能力の籠もって無い物でしたら同時にいくらでも投影錬成出来ますが、能力の籠もってる同一の物を2個投影したら・・・」
「し、したら?」
「死にます」
「・・・まじで」
「はい。本気と書いてマジと読むぐらいにマジです」
「Oh~」
「まあ、抜け道は有ります」
「抜け道?」
「はい。 約束された勝利の剣はアルトリアとプロトタイプのアーサーが使ってますが、二つとも在り方は同じですが姿形は違いますし使い手も違うので投影出来ます」
「なるほど」
「ですので、気を付けて下さいね」
「もっと早く知りたかった~」
「三つ目、転生者についてです」
「はい?転生者って俺だけじゃ無いんですか?」
「違います。他にも沢山いますよ」
「女神様がやったんですか?」
「いえ、他の神達です。勝手にしやがってアイツら チッ!」
「最後のほうなんと?」
「コホン。ですので転生者には気を付けて下さい」
「何故ですか?」
「転生者の全員が全員普通って訳ではありません。悪用する輩も出るからです。ですので気を付けて下さい」
「分りました」
「四つ目」
そこで一旦話を区切ると女神は頭を下げる。
「ごめんなさい」
「め、女神様!?」
「本当はこの世界の貴方のご両親はモット永い生きする予定だったんです」
「え?あ、気にしないで下さい。あれは女神様の所為ではないので」
「ですが・・・」
「はいはい!終わりです!! もう過ぎたことですから」
「わかりました」
「よし」
女神と目が合うと衛宮は嬉しそうに微笑み、お茶を新しいのに入れ替える。そこでふと気になったことを聞く。
「そういえば女神様、質問良いですか?」
「はい」
「俺って両親がいないのに普通に暮らせてるの何か知ってますか?」
「ああ、それは私がいじったからです」
「なんですと!」
「貴方のご両親は一人っ子で、両親も他界。戸籍上、貴方は天涯孤独でしたのでそれでは楽に生きられないと思ったので少し介入して手を加えました。」
「そうでしたか」
「それに、鍛冶屋『カグヅチ』を完全、とは言えなくても続けられる方が貴方は嬉しいかと思ったので」
「 !・・・女神様!」
母がしていた刃物作りは出来なくても研ぎの仕事が出来るのは衛宮にとっては唯一の救いで確かに嬉しい事だった為に、それを聞いた咄嗟に女神の手を両手で握る。
「ふぁ// あ、え、どうし、ました//」
「本っ当にありがとう御座います!」
「よ、喜んで頂けたなら良かったです」
女神は顔を赤くして恥ずかしがりながらも笑みを見せる。
そこから直ぐに表情を戻して、口を開く。
「さて、私からのお話は此所までです。何か聞きたいことは有りますか?」
「あ、一つ」
「なんですか?」
女神の返答を聞くと衛宮は右腕を伸ばし魔術を行使する。使ったのは投影魔術では無く強化魔術だった。
「なんで俺って強化魔術や治癒魔術が使えるんですか?」
そう、衛宮は二年ほど前、時期的に両親の仇を潰した頃から使えるようになっていたのだ。
そして強化魔術を使ったのを見て女神は「言い忘れてました」と言って説明を始める。
「英霊エミヤの力を使って貴方は既に魔術師になってるのは分りますね?」
「はい」
「そして貴方のその体は生まれつき強化と治癒の魔術が得意みたいでした。
本当は最初の頃に手を加えようと思いましたが、時が立てば使えるのが分ったので手は加えてません」
「なるほど」
答えに納得した衛宮を見て次に女神は人差し指を立てる。
「けど、一つ忠告です。この世界では他人を治す治癒は珍しいので使うのには気を付けて下さいね」
「あ、はい」
「特にアナタの治癒魔術はどうやら他人を治すと貴方の体に負担が掛かるみたいなので。下手すると他人を治して貴方が死ぬかも知れません。
なので他人を治すのは、軽傷の人までにして下さい。いいですね?!」
「はい」
「神との約束ですよ」
人差し指を立ててウインクする女神に「一応善処します」と答える。
その答えに女神は一瞬だけ寂しい表情を浮かべるが直ぐに元の表情に戻して更に質問があるかとう。
「いえ。特にはないですね」
「そうですか。では、私はこの辺でお暇いたしますね」
「え」
「どうかしましたか?」
「折角ですし、何か食べていきませんか?昼ご飯を食べようと思っていたので」
「うーん」
「ダメですかね?」
「いえ、折角のお誘いなので、ご馳走になりますね」
「はい!」
☆
「ご飯美味しかったです」
「お口にあって良かった」
「それではお邪魔しました」
「お気を付けて」
「はい。 あ、そうだった」
「?」
帰ろうと立ち上がった女神は何かを思い出したように衛宮に振り返る。それに対して衛宮は首を傾げて立ち上がった女神を見上げる。
「雄英、受かってましたよ」
「・・・は?」
「これどうぞ」
そう言って差し出されたのは白い封筒だった。しかも差出人は雄英高校と書かれていた。
「主席合格でした。良かったですね!」
「はい、良かったですけど、なんで女神様が持ってるの?」
「・・・てへぺろ☆」
一瞬天井を見た後にすぐに、頭の横に斜めに人差し指を立てて、ウインクをして姿を消す。
女神が消えた後も女神が可愛かったと思って少し放心する。が、直ぐに我に戻り食器をかたづける。
空高くにフードを被った人物が見下ろす形で衛宮の家を見下ろしていた。
「やはり、彼方でしたか」
フードの人物の後ろに女神が現れフードの人物を睨み声をかける。
「おいおい、敵意を隠せよ。 女神様」
「変な視線を感じたから来てみれば。・・・貴方の目的はなんですか!」
「今回は只の干渉者さ」
「巫山戯てる?」
「様に見えるか?」
「クッ! 貴方、あの子の両親が殺されるの知ってて見て見ぬ振りをしたでしょ」
「だとしたら?どうでも良い奴らが死のうがどうでもいい。」
「なんなんですか貴方は」
「俺はただ、アイツの
「そうですか」
「じゃ、俺は用事があるからバイバイ、輪廻を司る女神、リンネティカ」
ははは、と愉快そうに笑いフードの人物は消える。
「ホント、分け分らない。只の概念のくせに」
苦い顔をした後に出掛ける衛宮を見つけ嬉しそうな顔を見せると彼女もまたそこから消える。