「課題が悪いん「天罰じゃーーーー!!」yes my god!!」
ピシャーン!!ズガーーーーン!!!
そこには雷に打ち抜かれ黒焦げの
冗談はここまででお久しぶりです、砂利道です。では早速弁明を…前回の更新以降テストでは最悪の点数を取るわ評定に赤がつくわ課題がでるわ合宿で死にかけるは親不知手術だわで多忙で凡百な生活を送っていました。さらに読み專に戻っていました。先輩方はすごいですね、どんどん読み込んでしまいます。
まぁそんなことがありました。途切れ途切れに書いたので「あれ?ここおかしくね?」というとこがあったら遠慮なく言ってください。
俺とバラキの実質の死刑宣告から二日、模擬戦当日。
「…という事で江藤中佐の相手をお願いします。間違いなく俺達じゃ相手にならないんで」
「うん、まぁそうだよね。でも相手をするのは良いけど順番までは分からないぞ?」
「まぁそこは裏ワザで…」
俺は自分の耳を指差し良い笑顔をした。
「…君そんな事するような子だったっけ?」
「…こうでもしなきゃ精神的にきついです」
いきなり指揮権任せられて、陸軍さんの得意な事や苦手な事、醇子の訓練に自身の特訓。頭も体も結構きている。それにバラキから聞いているがあいつもかなり容赦なくやったらしい。
「それであの三人はどうしたんだい?」
「あー…ギリギリまで休ませてます。だいぶ根詰めたので」
「それで大丈夫なのかい?作戦とかは?」
「一応昨日のうちに伝えてあります。聞いてるかは微妙ですが…」
美緒、醇子、徹子の三人はこの二日間でボロボロになるまで俺とバラキにしごかれていたおかげで現在熟睡中である。少しでも回復しなければ勝ち目も無くなるので休めるときに休ませている。たかが模擬戦でここまで頑張るのかと疑問に思い醇子に聞いたのだが
「置いて行かれたくない」
と言い俺のしごきに最後まで耐えていた。こいつ思った以上に頑固だったんだなと認識を改めたほどだ。ただそのおかげか形勢逆転の技術を成功率七割にまで高めていた。醇子は自分は何もできないと思っているらしいが魔力制御に粘り強さはあの二人より優れている。何も恥じるところは無い。この戦いで自信をつけてくれればいいのだが…
「健人君、そろそろ起こした方が良いんじゃないか?」
「あっそうですね。起こしてきます」
俺は死んだように寝ている三人を起こしに行った。
「おい、起きろ。後三十分だぞ」
「うーん…」
「あと十分…」
「まだ大丈夫…」
三人は同じベッドで言葉は違うものの同じことを言った。厳しくし過ぎたか?と思いもしたが勝つためには必要だったと割り切った。
「早く起きなきゃ直前に同じメニューやらせるぞ」
「「「おはようございます良い朝ですね!」」」
勢いよく起きだした。だいぶトラウマになったらしい。
ーお前どんなことしたんだよ…
『お主こそどうすればこんなになるのやら…』
どうやら互いに加減をしなかったらしい。三人共、ごめん。
「ほら、起きたなら体ほぐして来いよ。あそこまでやっといて負けるなんて御免だぞ」
「わ、分かった」
徹子が二人を引っ張って行く。
「あ、醇子は待って」
醇子は眠そうな目を擦りながら残った。
「どうしたの?」
「今回教えたあれの事だけど一回しか使うなよ」
「え?なんで?普通に使えるようにはなったよ?」
「今回は完全に俺のミスなんだけど体に疲労が残ってる状態で連発すると後々響くんだよあれ…」
「…そんなものを教えてたの?」
「だ、だから言ったじゃん。俺のミスだって…」
醇子の非難めいた視線がグサグサと刺さる。
「でもそうすると私勝てないよ…」
一転して落胆した顔になる。
「それは大丈夫。勝てる方法を教えてやるよ」
「ほ、ホント?でもなんでそんなに作戦が出てくるの?」
「バラキの記憶だよ。一部共有してるんだ」
「そ、そんなことできるんだ…」
「ああ、あいつの知識は本当に役に立つよ」
『そうじゃそうじゃもっと褒めい』
「わ!いたんですか?」
『うむ、全部聞いておったぞ』
「感覚閉じときゃよかった…じゃあ美緒達の所行って最終確認でもしてきてくれよ」
『そうじゃな、では行って来よう』
バラキは実体化(小鬼バージョン:命名醇子)して外に向かって行った。
「さて話を戻すぞ」
「あ、うん」
それから俺は醇子に十五分ほど二日かけて教えた技術の使い所を教えた。醇子も真剣に聞いてくれた。後は醇子の気持ち次第だ。
俺と醇子が滑走路に出ると
「ん?ああ、来たか。章香準備は良い?」
「みんな大丈夫かい?」
「「はい!」」
「もちろんだ!」
「いつでも」
俺達はそれぞれの返事で返した。やる気に満ちている。
「お前達も良いな?」
「もちろんです!」
穴吹さん以外は頷き肯定を示していた。
「それじゃ早速一番手行こうか」
『改めてルール説明をしようかのう。この模擬戦は一対一の対戦を一人一回、計五回の対戦をして勝ち星が多い方が勝ちじゃ。対戦者は吹き流しを着用。ペイント銃、刀どちらも使用可能。勝敗は体もしくはストライカーに被弾、吹き流しを切られるかで決まる事になっておる。シールドは刀での攻撃にのみ使用許可となっているの』
「丁寧な説明ありがたいがいきなりどうした?」
『なんとなくじゃ』
閑話休題?
「一番は私だよ」
「あら、章香なの?これは楽できそうにないわね」
「それじゃあ敏子が…」
「ええ、一番よ」
半ば予想(盗聴?)していたがいきなりの現扶桑最強クラスの二人の戦いとなった。
「い、いきなりこの戦い?」
「私達のが霞んじゃわない?」
フジさんとヒガシさんがそんな感想を漏らす。どうやらあっちは奇跡的にこういう組み合わせになったと思っているようだ。
ーこれは思った以上にやりやすくなるかもな…
俺は内心ほくそ笑んだ。
ー徹底的に相性の悪い奴をぶつけてやれる。
『お前さん意地悪いの』
「お前には言われたかねぇ」
「え、なに?どうしたの」
思わず声を出してしまった。醇子に驚かれたじゃねぇか。
『修業が足らんの』
ーうるせぇ、始まるぞ
北郷さんと江藤中佐が所定の位置についた。北郷さんは本気なのか二刀で構えている。江藤中佐はペイント銃一丁のみ、差は歴然な気がする。しかし北郷さんは少しも油断できないという感じで緊張している。
「それでは行きます…模擬戦開始!!」
フジさんが合図をする。先に動いたのは江藤中佐だった。銃を撃ちながら北郷さんに接近する。弾丸はシールドでは防いではいけない。北郷さんは距離を取ろうと動き出す。それを江藤中佐が追尾する。初心者でも行うような戦闘風景。しかしそこには今の俺達には辿り着けない、そう錯覚するほどの熟練された動きがある。隊長格の二人の戦いは少しも目が離せなかった。そして戦況が動いた。北郷さんがもう少しで追いつかれるというところで高等技術“左捻りこみ”を使ったのだ。前の模擬戦では美緒が偶然が重なってできた技術を北郷さんは軽々とこなす。江藤中佐の背後を取った。そして二刀が吹き流しを……断ち切らなかった。
「なっ…」
俺は思わず声を上げた。江藤中佐は北郷さんの二刀を
「あんなたくさんのシールドを同時に…」
「どうよ、これが江藤中佐の実力よ!」
穴吹さんが自分の事のように胸を張る。
「健人君、あなたもシールドに関しては天才的だと思います」
フジさんが話しかけてきた。それでも俺は目を離さなかった。
「それでも私は江藤中佐が扶桑一のシールドの使い手だと思っています」
確かにこれは扶桑一だろう。シールドの形を変えるのは“シールドは円盤状”という固定観念を早いうちに取り除けば比較的簡単にできる。だが複数のシールドを実戦で使える強度で展開するのは非常に難しい。俺も一度だけ出来ないかとやってみたが紙よりも脆い物になってしまった。バラキ自身も四枚が限度と言っていた。だが今見た限り江藤中佐は左右に三枚ずつ展開していた。計六枚、尋常ではない。バラキも俺の中で珍しく絶句していた。しかし北郷さんは怯んではいなかった。江藤中佐の周りを飛びながら止まることなく二刀を振るっている。江藤中佐もすべて防いでいるがどこか焦っているように見える。この場合焦るのは北郷さんではないのか?周りも気付いてはいるようだがなぜかは分かっていないようだ。
『いやはやさすがじゃのう北郷の』
「どういうことだ?」
『お主ら気付いておらんのか?』
俺達は全員頷いた。
『北郷のはな、捻りこみ以降一度も江藤のの射線に入っておらん』
「な!?」
俺は江藤中佐が持っている銃を見た。北郷さんに銃口を向けようとしているが合う前に既に別の位置にいて振るっている。江藤中佐のシールド技術と北郷さんの二刀捌きに気を取られていた。
ーこれが扶桑最強の戦い…
「やった!先生が勝った!」
美緒と醇子は跳んで喜び、徹子も満面の笑みを浮かべていた。
「あーあ、やっぱり負けちゃったか~」
「私も危なかったよ、あと三十秒遅かったら私が動けなくなってたよ」
「そう?それじゃ私の戦いも捨てたもんじゃ無かったわね」
そう言うと二人は互いの健闘を称え握手をした。
「さて、それじゃ早速二番手行こうか」
「うわ~この後やりづらいわね…」
出てきたのは加藤武子少尉だ。そして我が海軍からは…
「わ、私です!」
美緒が二番手として出る。フジさんからすればリベンジマッチと言ったところか。
「あれ、美緒ちゃんなんだ。なら手加減無しでやれるわね」
「お、お手柔らかに…」
いきなり尻すごみになるなよ…
「おらー!美緒絶対勝てよー!」
「徹子無闇にプレッシャーかけるなよ」
ほれ見ろ、硬くなってんじゃねぇか。
「だ、大丈夫落ち着いてやれば勝てるはずでももし負けちゃったらどうしよう加藤少尉ってすごい強いし前のはたまたま勝てただけだし…」
一人で戦うのに加え前の試合が凄すぎて完全に委縮しちまってんな。するとバラキが美緒に近づいて行った。
『ほれ、落ち着かんか。深呼吸せい』
「え、あ、はい」
すーはーすーはーと深呼吸をしている。落ち着いてきたようだ。
「ありがとうございます、落ち着きました」
『この二日間でやった事は嘘つかん。自信を持っていけい』
「…はい!」
さすが年長者、少し話しただけで美緒の緊張を解いたようだ。
「…さすがだな」
『昔新米も同じように緊張したりしておったからの、こういったことには馴れておる』
「なるほどね」
バラキと話していると二人が飛び去って行った。飛行も安定してるし大丈夫だろう。
「では模擬戦二回戦開始!」
江藤中佐が合図をする。二人の装備は互いに銃一丁のみ。普通に考えれば美緒が圧倒的に不利だ。でもバラキや徹子の顔に不安は無い。
「よろしくお願いします」
「うん、よろしくね。前回はあなたにしてやられたし今回は負けないわ」
「私だって負けません!」
この二日間頑張ったんだ、負けたくない!下から模擬戦開始の合図が聞こえた。私は先制を取る為に一気近づいた。加藤少尉は冷静に距離を取っていた。やっぱりそう簡単には近づけなかった。
嘘でしょ!?今のは私の今できる最小の旋回だった。それをこの子は、私より圧倒的に飛行時間の少ないこの子は私以上の旋回をやってのけた!しかもそれによるGの影響をまったく受けてないように見える。
「くっ!」
私は振り切る為にもう一度旋回をした。しかし結果的に追いつかれてしまった。ペイント弾が飛んでくる。私は避けるので精一杯になっていた。このままじゃまずい。どうやってるのかは分からないがこの子の空戦技術は既に同等と考えても良いだろう。なら咄嗟に対する対応はどうなのか?私は後ろを向かず銃を後ろに連射した。
「うわ!」
ーやっぱりまだ慣れては無いようね。だったら今!
私は決して高くない成功率のツバメ返しに勝負を賭けた。奇しくも同じシチュエーションだ。立場は逆になっているけど。体が不安定に揺れる。それをなんとか整える、…成功した。美緒ちゃんの顔が見えた。驚愕だ。
ー前の私もこんな顔してたのかなぁ…
そんなことを思いながら私の放った弾丸はストライカーに黄色い花を咲かせた。
「あらら…負けちゃったか」
「でも美緒ちゃん凄かったです!」
醇子は興奮している。確かに俺でさえ驚いた。たった二日で力の流し方をあそこまで制御できるとは思はなかった。
ーお前すごいな…
『美緒のや徹子の努力の成果じゃよ』
謙虚なのか出しゃばりなのかよく分からん。どうでもいいことを考えていると美緒たちが降りてきた。
「よくやったんじゃないか?」
「でも折角先生が一勝したのに追いつかれちゃったよ…」
「でも私の勝ちより坂本の負けの方が意義があると思うよ。それに今のを見て私は嬉しいんだ」
「え?」
「君は本当に成長している、かつて魔女になることを拒んでいた君がここまで強くなってくれたことが私はたまらなく嬉しいよ」
北郷さんはそう優しく笑うと美緒を抱き寄せた。美緒は悔しかったのか泣き始めてしまった。
「やれやれ、泣き虫なのは変わらないな」
醇子も徹子も優しく見ていた。
「安心しろ美緒。次は俺が行くから」
「健人絶対勝てよ!」
「当たり前だ」
「頑張ってね!」
「おう」
俺はストライカーを装備しに行った。個人的にもチーム的でも負けるつもりはさらさらない。それにこういう機会じゃないと試せないこともある。今回の相手はそれには打って付けだ。
「お、私の相手は健人君か」
「あ、ヒガシさん。はい、よろしくお願いします」
「まぁ手加減しないけどね」
「当然ですよ、じゃないと訓練にならないです」
「ほ~う…ならお望み道理私の神業ショットを見せてあげよう!」
互いに軽口を言い合いながら俺達は空へと飛んで行った。
「健人君大丈夫かなぁ…」
「何言ってんだよ美緒、あいつが負ける訳ないだろ!」
「でも加東少尉って基地の中で一番狙撃が上手なんだよ?それに健人君と相性悪いんじゃ…」
確かに健人は銃がまともに扱えないのでいつも使っている血染一本で戦いに行っている。銃と刀では刀が分が悪いだろう。…やべ、俺まで不安になってきちまった。
「大丈夫だよ美緒ちゃん」
醇子が妙に自信ありげに言ってきた。
「どうして言い切れるんだよ?」
「あのね、健人君私の特訓と一緒に自分の訓練もしてたんだ。凄かったよー、銃弾を避けたり切ったりしてたんだ」
「「「……は?」」」
聞いていた先生すら間抜け面をしてしまっていた。
俺はヒガシさんと上昇していた。今日の風は良い音だ。これならやれる気がする。俺は所定の位置につき目を閉じた。今からやる事はものすごく神経をすり減らすからだ。今のうちに集中力を高めておかなければ。
「両者位置に着いたな」
無線から江藤中佐の声が聞こえる。だがそれもどこか遠い。ただ俺は始まりを待つだけだ。
「それでは模擬戦三回戦…開始!」
俺は合図とともに空を駆けた。
ー速い!彼が超高速で移動できるのは知っていたがさっきまで集中していたせいかより速く感じる。だけど直線機動だ、私なら打ちぬける!
私は健人君に三発のペイント弾を放った。弾の速度と健人君の速度の相対速度は音速を軽く超える、視認してからでは間に合わない。勝った。そう思った。
「えっ!?」
突然視界から健人君が消えたのだ。当たると思っていた地点でペイント弾は虚しく空を切る。
ーど、どこに…っ!?
下から嫌な気配がした。慌てて大きく回避する。
「ちぃ!」
健人君が刀を振り切りながら通り過ぎて行った。一体どうやってそこまで移動したのか…
正面から三回発射音がした。ヒガシさんが撃ってきたのだろう。俺は目で確認する前に体勢を変えずに下に無理やり音速で移動した。やった事は単純なのだ。いつもの音速移動を動いてる方向にではなく動こうとした方向と逆向きに音の砲弾を飛ばし、その反動で移動した。言葉にすれば簡単だが実際は突然の負荷に骨が折れたり、ストライカーが破損する可能性大なのだ。俺の人間離れした頑丈さとバラキに教えてもらった力を流す技術を会得したからこそ可能な芸当だ。ただ俺はともかくストライカーにはやはり強い負荷が掛かったようだ。あと二~三回と言ったところか。これは短期決戦だな、俺は急上昇をし血染を振り抜くが避けられてしまった。
「ちぃ!」
つい舌打ちしてしまった。
ーしょうがない、神経をさらにすり減らすが…
俺は距離を取り真正面から突っ込んでいく。ヒガシさんは強制音速移動を警戒してか意識を全方位に向けているようだ。つまりいつもより散漫している。これなら出来るだろう。弾をばら撒いてきた。
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
俺は自分に当たる分だけの弾を切り裂きながら、あるいは弾きながら突っ込んでいく。
「うそでしょぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!?」
ヒガシさんはあまりの非常識に一瞬固まってしまっていた。俺はその隙にすれ違いざまに吹き流しを切らせてもらった。俺の勝ちだ。
「おかえり健人君!」
「おう、ただいま」
模擬戦が終わり戻ってくると醇子が笑顔で迎えてくれた。しかし妙に周りが静かだなと思う。すると徹子が口を開いた。
「健人…常識外れも大概にしろよ…」
「え?弾切りのことか?あれなら練習すれば誰でも出来ると思うぞ?」
「「「「「「「「いやいや、無理だから」」」」」」」」
おおぅ、全否定されたぜ。というか醇子はすぐ近くで見てたから出来ると思うけどなぁ…
「私絶対できないからね」
…サトリかお前は。
『そういえば昔居たの、何度も読まれたから腹立って殴って黙らせたわい』
乱暴だなおい!というかさっきから思っていたが…
「章香、何であなたは否定をしなかったのかしら?」
「え?だってやった事あるし」
「ここにもいたよ常識外れ…」
なるほど、俺より先にやった事があるから驚かなかった訳か。あと穴吹さんが落ち込んでいた。刀に関しては最強と言っていただけあって自分に出来ない芸当にショックを受けているのだろう。
「と、とにかくこれで
「うわ、重いなぁ…」
黒江さんが気分重く言った。…黒江さん?
「あれ、穴吹さんじゃ…」
「うん?あぁそうだったんだけど智子がね“大将は私がやる”って直前に言い出してね、しょうがないから変わったのよ。てか何で知ってんの?」
これはまずい。醇子には黒江さんとの戦い方しか言ってなかったし何より…
「おい健人ぉ!どういうことだよ!」
こうなる。
「いや、俺も予想外だったんだよ!」
「醇子今すぐ交換しろ!」
「だ、駄目だよ!もう変更はダメって言ってたし」
「あっちはしてんじゃねぇか!」
「始まる直前に交換してたんだよ」
「若、諦めなさい」
「先生まで…」
そんな悲痛な顔するなよ、黒江さんに失礼だろ。
俺は穴吹の奴を見返すためにこの模擬戦を始めたのに戦えないなら意味無いじゃないか…
「直前で変えやがって…」
恨みがましく俺は穴吹を見た。するとあっちも気付いたようだ。口がパクパクと動いている。ストライカーは起動してあるので声は聞こえない。
「なんであんたは最後じゃないのよ!だとよ」
「うお!健人!ってなんじゃそりゃあっちのせいだろうが!」
「後で直接言ってやれよ」
「そうしてやる!」
ーともかく今は目の前の敵だ。健人の言ってた穴吹対策の“兆発作戦”は使えなくなったが美緒と同じように俺も力流しを身に着けたんだ、勝てるはずだ!
俺は上昇した。先に黒江は来ていたようだ。
「いやー、ごめんね。智子の奴が勝手に変えちゃって」
「ホントだよ、あんた達からもきつく言っといてくれ」
「了解了解」
黒江は苦笑しながらも了承した。これで少しは懲りるだろ。
「それでは両者準備はいいか!?」
「「はい!」」
「それでは四回戦開始!」
さーて徹子はどうかな?バラキが言うには美緒と同等までは使えるようになってると言っていたけども伝えた情報は穴吹さんだけだからな、事前情報は無し。その状態でどこまでいけるか…
「健人君、徹子ちゃん勝てると思う?」
「どうだろうな…事前に穴吹さんの情報は伝えたけど黒江さんの事は何も伝えてないからなぁ…」
「じゃあ危ない?」
「まぁそうだな、後はバラキの教えがどこまで通用するかだな。ただでさえ黒江さん状況判断とか諸々あの五人の中じゃ高い方だから」
「え?そうなの?」
「前に模擬戦でやっただろ?実際にやりあうとわかるけど動きづらくなるんだよ。あの時は意表をついて勝てたけど多分既に徹子も美緒と同じことできるってばれてるだろな」
「それじゃあ…」
「正直徹子じゃ荷が重い」
-ウソだろ!?何でもう俺の動きに適応できてんだよ!
「ほらほらどうした?美緒ちゃんみたいに後ろを取るんじゃなかったのかい?」
「うるせー、今すぐやってやる!」
とは言ったものの黒江の奴はこっちが動こうとした先にいるから次の動きに繋げられない。しかもあっちは刀、ギリギリまで接近してくる。そうなると最小化移動による間が少なくなる。あっちのチャンスも減るがそれ以上にこっちが厳しくなってしまう。
「追い付いた!」
「しまっ!?」
咄嗟にシールドで防ぎ、力流しで体勢を崩そうとする。だが
「それは何となく分かってた!」
黒江は流されたままに意表を突かれた様子なく体を反転、引き金を絞り追うが間に合わず俺は吹き流しを切られた。
「終始もて遊ばれたね」
「うっ…」
「まぁ今回は不運と順番が悪かったな、それが良ければ勝てたかもな」
「畜生…」
徹子は唇を噛み震えていた。自分から始めておいて負けたのが余程悔しいらしい。
「醇子」
「な、なに?」
「次、絶対に勝ってくれよ」
俺は少なからず驚いた。今まで発破をかける口調で同じような事を言うのは多々あったが今のように懇願するように言ったのは初めてだった。
「…頑張る!」
「それじゃあ第五回戦模擬戦開始!」
私はその場から動かなかった。健人君は私は言葉での挑発は向いてないから行動での挑発をしろと言ったからだ。それに私はあの人達中でもっとも空戦技術が拙いから無理に動くと例えアレを成功させても姿勢を崩して失敗するのが目に見えている。
「あんたどういうつもり?動かないって勝負捨ててんの?」
「いえ、違います」
「じゃあなによ」
「……」
「このっ、いい加減にしなさい!」
徹子ちゃんの行った通りだ。いや、健人君なのかな?とにかく穴吹少尉は痺れをすぐに切らした。全速力で向かってきた。私もそれに合わせて前に進む。穴吹少尉の装備は刀一本、健人君が行った通りだ。|だから使える≪・・・・・・≫。この二日間頑張ったことが。
「あなたが私に空戦で負けるわけ無いでしょ!」
確かに手も足も出ないだろう。だけど冷静さを欠いて且つ私がなにも出来ないと思っているなら、いや、実際なにも出来ないけど…じゃなくて!そう思っているなら今だけは勝てるかもしれない!健人君も模擬戦の前に言ってくれたんだ。
"醇子は決して弱くはない、この二日間頑張ったんだ。自信を持て!"
「はあああぁぁぁぁぁぁぁ!!」
私は今までで一番大きな声を出した。刀が迫る。すれ違うほんの一瞬、私は穴吹少尉との間に|半球状のシールドを展開した≪・・・・・・・・・・・・・≫。
「なっ!?」
穴吹少尉の刀が予期せぬ方向に流され大きく体勢を崩す。その一瞬に全てを賭け今までで一度も構えなかったペイント銃の引き金を引いた。弾はスローモーションのように近づき、その背中に勝利の大輪の花が咲かせた。
俺は醇子の思いきりの良さに目を見張った。この短い戦闘でも最後の一瞬まで銃を構えず相手を挑発し続けるのは醇子には出来るとは思わなかった。と言うか教えてない。俺が教えたのは挑発を続ければ勝手に相手が突っ込んでくる。そこでカウンターを決めろという事だけだ。あんな胆力のいる事俺でも保ち続ける事出来ない。
『なんともまぁ危ない賭けを…』
「まったくだな…バラキは出来るか?」
『正直気が狂わん限り無理じゃ、戦いを知ってるから尚更な…』
あんなこと実戦では絶対使えない。
-そのことを厳しく言っておかなきゃな…まぁ今はいいか。
視線の先では美緒と徹子に揉みくちゃにされている醇子だ。その顔は今までで一番の笑顔で輝いていた。
次回こそは必ず早めに書きます…