隻腕の鬼と魔女   作:砂利道

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さぁて始まりました鬼魔女!待ち通しかった?待ち通しかった?

健⚫茨「……」

おや?どうしたのさ?ほら、テンションあげてこうぜ!

健「その前に言うことがあるんじゃないか?」

…ナンノコトカナ?

健⚫茨「…………」(無言の圧力)

すいませんでした、許して下さい!

健⚫茨「だが断る!」

なん…だと!?

健「という訳で頼む」

醇「うん、分かった」

え?ちょっと待ってそれ冗談にならないから真面目に謝るからお願いそれだけはーーーーーーー!!




茨『自業自得じゃが……南無』


希望の輝き、終結

前回の襲撃から部隊を増強し、見張りを強化したが戦果は芳しくなく戦力のみが削られている毎日が続いていた。爆撃機型怪異アホウドリは未だにその猛威を振るっている。

 

 

 

 

 

 

 

 「こいつ…!今度という今度こそ墜ちろぉ!!」

 

徹子は額から血を流しながらも必死にアホウドリに食いついて行く。20mm機関銃がアホウドリの装甲を削るがそれも微々たるもの、更にはその場で即座に再生をしてしまう。

 

「そんなのありかよ!?20mmだぞ!?」

 

アホウドリは何事も無かったかのように佇み、前方下にいた醇子に攻撃を加える。

 

「醇子!」

 

「え?きゃあ!」

 

しかし砲撃は空を切る。

 

「大丈夫か?」

 

「あ、うん…ありがとう…」

 

健人が間一髪で醇子を助ける。醇子は突然の事で少し呆け、すぐに顔を赤く染める。

 

「健人!奴が!」

 

「分かってる!醇子、気を付けろよ」

 

「うん、健人君もね」

 

健人は醇子を降ろし固有魔法による加速をする。約二秒で急接近する。

 

「貫爪で行く!」

 

『承知!』

 

健人はシールドを展開、形状を変化させる。

 

「くたばれ!貫爪!」

 

一つの巨大な弾丸になり突進する。しかしアホウドリは突如斜め上、鋭角に軌道変更をする。貫爪の弱点は急な方向転換が出来ないのだ。なのでいつも直線上の敵が気付いていない、もしくは遅い敵にしか使えないのだ。今回は早いが直線の移動しか出来ないと思い実行したのだがどうやら高い機動性も兼ね備えてるようだ。健人はその急な軌道について行けずアホウドリの尾翼の一部を削っただけに留まった。

 

「くそ!そんな機動力もあんのかよ!」

 

「上の連中は何やってんだ!」

 

「ごめんなさい!こっちも相手が多くて手一杯なの!」

 

健人たちの上空では同じ隊の仲間がアホウドリの引き連れてきた大量の小型の怪異を相手どっていた。何時もなら既に救援に来れていたのだが今回はこっちの隊員が少なく手が回っていないのが現状だ。

 

「だめだ、逃げられた…」

 

遥か遠くにアホウドリが見える。健人なら追いつけなくもないが攻撃に回せる魔力が無くなってしまうので結局意味がない。

 

「醇ちゃん!?無事だったかい?」

 

「はい、健人君が間一髪で助けてくれました」

 

「そうか、よかった…そういえば健人君は?」

 

「え?そういえばどこに…」

 

「まさか健人の奴追いかけて…」

 

『大丈夫じゃよ』

 

「「「「うわ!」」」」

 

四人の目の前にいきなりバラキが姿をあらわす。ただし宙に浮きながら。

 

「浮いて…ええ!?」

 

『醇子や、落ち着け。実体化ではなく霊体化してるだけじゃよ』

 

「そ、そうですか…」

 

北郷もさすがに言葉を詰まらす。

 

「それで健人君は…」

 

『あそこじゃ』

 

バラキは上空を指差す。そこにはアホウドリが向かった方向を睨みつけている健人がいた。その顔は険しい。

 

「健人君…」

 

『大丈夫じゃよ』

 

「え?」

 

『怒りに燃えておるが自分を見失ってはおらん。確固たる意志がある、折れる事は無い』

 

「そうですか…」

 

醇子は安心する。

 

「とにかく戻ろうか、また対策を練らなければならないからね」

 

北郷達は自分たちが駐留する基地に戻って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あれから数日戦況は未だに厳しいままだった。ブイルが陥落し、補給も途絶えがちだ。

 

「どうすればいいんだよ…くそ!」

 

俺は現状の遣る瀬無さに腹立っていた。俺の結界は細かな動きは分かるようになるが有効範囲は電探よりかなり小さい。実際にその場の空域に行かなければならない。

 

『慌てても何にもならんぞ』

 

「分かってるけど…」

 

『今はゆっくり休め、いつでも全力で戦えるようにの』

 

バラキの言い分は分かる、今はそれが最善だろう。それでも焦る心は変えられない。

 

「健人くーん?」

 

「醇子か…ここだよ!」

 

どうやら醇子が探しに来たようだった。正直今でも顔は微妙に合わせづらい。あそこまでの醜態は過去現在未来あれだけだと信じたい。

 

「あ、いた!」

 

「どうしたんだ?」

 

「うん、美緒ちゃん見なかった?」

 

「美緒?いや、見てないけど…またか?」

 

「うん、多分…」

 

美緒はあれから毎日魔眼を駆使し哨戒をしていた。俺の結界とは違い遠くまで見渡せるので自分がちゃんとやれば被害は抑えられると思っているのだろう。事実その通りだが今は限度が過ぎているのだ。このままでは確実に体を壊す。

 

「分かった、探すよ」

 

「ごめんね、ありがとう」

 

そう言って醇子はほほ笑む。鼓動が跳ね上がる。慌てて顔を逸らす。

 

『青いのぅ』

 

ーうるせぇ!さっさとやるぞ!

 

『分かっておるよ』

 

魔法力を解放し結界を張る。…違う、ここじゃ無い。どこだ?……いた。

 

「見つけたぞ、こっちだ」

 

「あ、うん!」

 

俺と醇子は美緒が無理してるであろう方に向かって歩く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 私が、私がやらなきゃ。私の力で皆が守れるなら私が壊れても構わない。だから…!

 

「坂本!何をしている!」

 

「先生…」

 

「何度言えば分かるんだ!一人でこんな事をしても君が体を壊すだけだ!」

 

「私は自分の力で皆を守りたいんです!その為だったら壊れても構いません!!」

 

私の力は皆を助けられるのに私が使いこなせないから犠牲が増えるんだ、だったら使いこなせるようにならなきゃならない…

 

「バカ言うなよ、美緒」

 

「え?」

 

声のした方を振り返るとそこには健人君と醇子がいた。

 

「たとえ今守れたとしても体を壊してそれっきりだったら何の意味も無いだろ」

 

「でも…」

 

「でももだってもねぇよ。徹子と同じこと言わすなよ。強くなれ、だが焦るな。俺がバラキから度々言われてる事だ」

 

『健人はすぐに焦るからのぅ』

 

「うるせぇ、自覚してるから言うな」

 

健人君も焦ることがあるようだ、そうには見えないけど…

 

「美緒ちゃん…」

 

醇子が私の目を覗きこむ。

 

「私はまだ美緒ちゃんと飛びたいよ、だから自分がどうなろうがとか考えないでよ…」

 

その顔は悲しそうに見えた。

 

「醇子の言うとおりだぞ」

 

「健人君もだよ」

 

「おおぅ、こっちにも飛び火…」

 

そんな二人のやり取りに少し顔が綻ぶ。やはり二人はお似合いだ。だがそんな時警報が鳴り響く。

 

「先生!」

 

「若!何があった!」

 

「アホウドリがこっちに来てる!前の基地で迎撃して手負いだって」

 

「分かった、今すぐ哨戒中のウィッチも呼び戻して、全員でるよ!」

 

「わ、私も…」

 

「そんな体で何言ってんだ、少し休んでろ」

 

私はこの時健人君の言った意味を身に染みて感じた。焦り過ぎて肝心な時に何もできない、私一人おいて行かれた。そんな感情で心が満たされてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「どうやら一時的に速力が落ちているだけのようだね」

 

「充分ありがたいですよ、でも…」

 

「そうなんだ、決定打が未だに見付からない」

 

「…バラキ、何か分からないか?」

 

『確かに儂の時代にもあのような輩はいたが人は皆封じるか追い返すしかなかったの』

 

「だよな…」

 

「でも今ここで倒すべきだよ」

 

「そうだそうだ!追い返すなんて生温い事言うなよな、あいつはここで落とす!」

 

「…当然だ!決定打が無いからって何もしない訳ないだろ!何もなきゃ力で叩き潰してやるさ!」

 

そう言って健人は魔法力を今まで以上に振り絞る。

 

「全員意気は良いようだね、行くよ、総員突撃!!」

 

「「「「「はい!!」」」」」

 

手負いのアホウドリ、取り巻きの何十もの怪異。こちらはおよそ三十の魔女、正直に言えば厳しい以外の言葉は無いだろう。しかし誰一人諦めるものはいない。自分たちは戦える、それが戦う理由だ。そして今ここにいない者も諦めてはいなかった。

 

「…嫌だ、置いてかれるのは嫌だ」

 

それは彼女が心から願うこと。

 

「私も戦えるんだ」

 

それは彼女の決意。

 

「今飛ぶことが出来なくても」

 

それは今まで逃げていた自分を抜け出し覚悟を決めた戦士。

 

「私に出来ることがあるんだ!!」

 

その覚悟は彼女の殻を打ち砕く。

 

「だからお願い、私にその力を見せて!!!」

 

右目が輝く、それは全てを見通し敵を討ち滅ぼし仲間を救う希望の光だ。

 

「そうか…あれが…」

 

少女…美緒は駆ける。大事な人たちに自分が視た物を伝えるために。

 

 

 

 

 

 

 

 

 まずい、このままじゃ今までと同じになってしまう。おそらく後二分もすれば完全回復してしまう、そうなれば更に被害が拡大してしまう。

 

(…なして…さい……つたえ……ならな…んです)

 

ーなんだ、混線?でもこの声…

 

「健人君、この通信って…」

 

「醇子も聞こえたのか?」

 

「うん、と言うより全員に聞こえたみたい」

 

周りを見渡すと全員戦いながらもインカムに耳を傾けているのが分かる。その時はっきりと聞こえた。

 

(お願いします!行かせてください!伝えなきゃならないんです、奴の先端に核があるって!)

 

「!!…美緒の奴、やったんだな」

 

『そうじゃの、ついにな…』

 

「まったく何を言い出すのかと思えば…」

 

そう言いながらも北郷さんの顔は笑っている。

 

「でも賭けてみるのも悪くないだろ」

 

「行きましょう!」

 

徹子は不敵に、醇子も力強く笑う。

 

「行くぞ!」

 

「「「了解!!」」」

 

俺は“穿牙”でアホウドリの両翼に大穴を開ける、醇子と徹子がその隙に先端に銃撃を集中させる。…見えた、赤く輝く結晶、美緒の言う核なのだろう。

 

「これで、終わりだ!」

 

北郷さんが二刀のもとに核を切り裂く。アホウドリはほんの一瞬停止して爆散した。ここにアホウドリとの争いは終結した。沢山の犠牲と1つの希望を残して。

 

 




ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいすいませんでしたすいませんでしたすいませんでしたすいませんでしたすいませんでしたすいませんでしたすいませんでしたすいませんでした………



健「醇子殺りすぎだ!?」

醇「ご、ごめんなさい…」

茨『恐ろしや…』
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