「おねーちゃーん、遅刻するよー?」
「…うーん」
また夜更かしでもしていたのだろう、だらけきった返事が部屋の中から聞こえてくる。
「雪穂、先に食べてなさい」「はーい」
シワひとつない新品の制服を汚さないよう、ゆっくりとトーストを口に運ぶ。
そこに先程とは打って変わり、お姉ちゃんが慌ただしく階段を降りてくる。
「やばい!海未ちゃんに怒られちゃう!」
「私がなんですか?ほ・の・か?」
「?!う、海未ちゃん…おはよ〜」
「全く、このような大事な日に寝坊するなんて…」
迎えに来ていた海未さんに叱られるお姉ちゃん
いつも通りの光景にホッとしたことで、自分が緊張していることに気付く。
「じゃあ雪穂、また後でねー!」
準備のため、お姉ちゃんたちは早めに学校に行かないといけないらしい。
あのお姉ちゃんが学校行事の準備…みんなに迷惑をかけまくっているのが目に浮かぶなぁなどと妹として反省しているうちに、玄関から元気な声が聞こえてくる。
「ゆーきーほー、おはよー!」
「ありさ、おはよ」
声の主は絢瀬亜里沙、私の親友です。
なんというか、こんな普通な私が友達というのはおこがましく感じるくらいの超絶美少女で、なんとあの絢瀬絵里さんの妹でもあります。
ちなみに…
「私は高坂雪穂、今日から高校1年生!」
「雪穂、誰に話しかけてるの…?」
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「「わぁ…!」」
学校前の大きな階段を上がると、まるで私たちの新たな生活を祝うかのように、満開の桜並木が両手を広げて出迎える。
「雪穂、いこ!」
「うん!」
先程までの緊張はどこへやら、これから訪れる未来に期待を膨らませている自分がいる。
「あ、雪穂ちゃんとありさちゃん!」
振り向くと、大きく手を振りながら見知った顔が近づいてくる。
「おはよー!…あ、おはようございます、ことり先輩」
「ことりさん、おはようございます!」
「えへへ、2人に先輩って呼ばれるとなんだか照れちゃうね」
かわいい、ことりちゃんがかわいい。
ことりちゃんに案内され、私たちは体育館へと向かった。
・・・以上とさせていただきます。続きまして・・・
「長いね…」
「そうだね…」
退屈な時間が流れていく。
意識が薄れゆく中、急に眠気が覚めるような言葉が聞こえてきた。
「続きまして、生徒会長挨拶」
「はい!!!!!」
ざわつく会場をよそに壇上へと上がる姿は非常に凛々しく、
その場にいる者全ての視線を独り占めにする。
「皆さん、こんにちは。本校の生徒会長を勤めさせていただいております、高坂穂乃果です」
…普通だ。
まさかあのお姉ちゃんが、こんなにちゃんとした人に見えるなんて…
でも、なんであんなにキョロキョロしてるんだろう
その時、なぜか壇上の姉と目が合う。
「あ、ゆきほー!」
なんでこっちに手振ってるの?!
ああ、みんなが私のこと見て笑ってる…
式が終わるまで、顔の火照りが収まることはなかった。
・・・
「お姉ちゃんのばか!!!」
「ご、ごめん…嬉しくってつい、ね?」
ひとしきり説教を終えると、横で苦笑いしていた亜里沙が口を開く
「そういえば、さっきアイドル研究部に興味がある人は屋上集合って言ってたけど、穂乃果さんはここにいて大丈夫なの?」
「しまった、忘れてた!」
式の時のしっかりした人はどこへ行ってしまったのか。
いつものポンコツなお姉ちゃんと一緒に屋上へと向かう。
「人集まってるかなぁ」
「μ'sの8人に憧れて来てくれる人はたくさんいると思うよ」
「雪穂が冷たい〜」
ガチャ
「みんなごめん、遅くなっ…」
「 「 「えぇぇぇぇ ! ! !」 」 」