幻の超戦艦級   作:裕二

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奥に見えるもの

ーーシナノ ブリッジ内

 

「はぁ....」

 

「お疲れさま」

 

現在シナノと401は先程の戦闘海域からあまり離れていないところで海底に固定中だ

 

リンクしていたことにより少し痛みが残っているが少しすれば収まる

 

「群像さんはあと3日はこの海域に固定したいって言ってたよ」

 

「了解。少しだけ、眠らせてくれ...」

 

俺は体重を椅子に預けて眠りに落ちた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーー君、どうしたんだい?

 

ーーいい食べっぷりだ。見ているだけで嬉しくなるよ

 

ーー気にしなくていい。君はもう家族なのだから

 

ーー振り返ってはいけないよ?いつも前を向いて歩けばなにかしら見えてくるさ

 

ーー紹介するよ。彼女が....「零次!!」

 

俺はシナノの声により目を覚ました。彼女が俺を呼んだ声は切羽詰まったものだった

 

「どうした?」

 

「401が狙われた。しかも無誘導弾の魚雷。でも401はエンジンを完全に切ってて、正直私でも探知は不可能な状態だった。ってことは」

 

「群像の戦術思考を読んだ敵って事だろうな」

 

俺は顎に手を当てて思考を巡らせた。今回の敵は今までの敵とは根本的に異なる気がする

 

そもそも人間の戦術思考をここまで完璧に理解することはメンタルモデルには不可能な気がする

 

そして俺はある一つの可能性に当たった

 

「まさか....ムサシ、千早翔像は本当にあの艦隊を作る気なのか...?」

 

だとしたら...満身創痍の401は勝てないかもしれない

 

「シナノ!俺たちも401を援護するぞ!!潜水したままじゃ不利だから一旦急速浮上を!」

 

「了解!!」

 

401と敵艦が向かい合っている隙にシナノを浮上させる。幸いなことにこちらはまだ気がつかれていない。ステルスすればバレずに浮上できる!

 

「音響魚雷作動!ソナー....回復!」

 

「401と通信は...今は取らない方がいいか」

 

とりあえず浮上することを考えるべきだ

そうすれば活路が生まれる

 

と思っていたが...

 

「10時の方向、タナトニウム反応!こっちを狙ってる!!」

 

「撃ち落として12から9時の方向にクライン・フィールド展開!」

 

侵食魚雷が爆発した余波で船にも衝撃が来るがクライン・フィールドにより致命的なダメージは受けてない

 

「もう一隻いたか...。ステルス解除、この海域を全域で監視する。そのデータは401にもリアルタイムで送ってくれ」

 

「..,...わかった」

 

この船の全力ならこの海域くらいなら海の底まで探知できるはずだ。それを401に送れば勝ち目くらいは見えてくると思う

 

それよりもこっちだ。どこの誰かは知らないけど、先ずは敵の船を見てみないことにはわからない

 

「機関全力、エネルギー100%で起動開始。レーダー起動、データ、リアルタイム送信完了」

 

これでよし。群像、上手くやってくれよ....

 

「浮上まで後10秒。......!敵艦特定、敵は山城....」

 

「山城!?」

 

思わず声が大きくなってしまった。あいつは前に落としたはずなのに、もう復活したのか

 

俺が驚くと同時に船が大きく揺れた。やっと浮上できた

 

そして、シナノはありえないとつぶやき愕然としていた

 

「あれは、山城じゃない。あんな改造して動かせるのは....」

 

「何があったんだ!映像回してくれ!」

 

シナノは俺の言葉に頷きもせず、ただ指を動かした

 

そして、モニターに出て来たのは

 

「んな....。なんだあれは」

 

それは、俺が前に撃沈した山城ではなかった。

 

主砲、副砲をこれでもかと積んでいる。こちらを狙っているだけでも30門はあるぞ

 

「あれだけ積んだらコアの演算足りるのか?」

 

シナノの方を見てみると彼女は山城を睨みつけていた。いや、その奥にあるなにかを睨んでいたのかもしれない

 

「足りない。そもそもあの山城にはメンタルモデルもいない。それに、今はただの傀儡だよ」

 

向こうの砲門にエネルギーが充填され始めたを感知した

 

「右に避けてフルファイア一回!」

 

「......」

 

シナノはやはり俺の言葉に傾きもせず船を動かす

 

「シナノ!!!」

 

だめだ。何かに取り憑かれたような目で山城を睨んでいる

 

一体何があったんだよ...

 

席を立つ。そして俺は彼女に近付いて

 

 

 

 

 

パシッ!!!!

 

彼女の頬を叩いた

 

「え....?」

 

「言い訳は後で聞く。何があったかも今は聞かない。聞くのは一つだけだ。この船を沈めたいのか?」

 

彼女は俺の言葉に顔を下に向けて、ただ一言ごめんと漏らした

 

「やるぞ、山城をもう一度落として401を援護しに行く」

 

「わかった...」

 

彼女は頭を振って山城を見つめた。しかしその目は単純に相手を計るものに変わっていた

 

「クライン・フィールドの強度計測「の必要はないよ」なんでだ?」

 

「おそらく山城は遠隔操作されてる。そしてそんなことできるのはただ一人だよ。超戦艦ヤマト、ただ一人」

 

同時にモニターに強度データが表示された。カタログスペックと同じかはわからないけれど参考にはなるはずだ

 

「よし。主砲、侵食弾頭装填!出し惜しみはなしだ!短期決戦でけりをつけるぞ!フルファイアー!!」

 

シナノの全砲門から侵食弾頭が打ち出され、さらに少ないがミサイル発射管からも侵食弾頭兵器が撃ち出された。計約60発もの砲弾が山城を狙う。その内およそ40発は落とされ、残った内10発は避けられたが、最後の10発は当たった

 

それにより山城は轟沈。海の底に沈んで行った

 

「あっけないな...。一体何がしたかったんだ?」

 

もっと反撃らしい反撃が来るかと思いきやそんなことはなかった。簡単に落とせてしまってなにか拍子抜けだ

 

「やっぱり....。あなたはなにがしたいの?ヤマト...」

 

「シナノ、次は401の援護だ。対潜弾を401の周りにばらまけ!」

 

「わかった」

 

海面に浮上していた401を救出した俺たちはそのまま群像たちの拠点である硫黄島へと向かった

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