幻の超戦艦級   作:裕二

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人に出来て 霧に出来ないこと

ーーー硫黄島 シナノ内部

 

「すぅ....」

 

耳元から気持ちよさそうな寝息が聞こえる。そこまで人間の機能を真似出来るなんて、初めて会った時は思いもしなかったな

 

体を伸ばしてからベットを出る。もちろん隣に居る大切な人を起こさないように、こっそりと

 

「いつもありがとう」

 

普段じゃ恥ずかしくって言えない言葉を口にする。誰も見てない筈なのに背中がむず痒くなる。そのまま部屋を出て、群像達と今後どう動くかを話し合うために会議室へ向かう

 

「そろそろ補給と情報収集をしなきゃいけないか....」

 

前回あいつら(・・・・)と合流したのは半年前、量子通信である程度の情報交換は出来るが補給は合流するしかない

 

俺達がナノマテリアルと侵食弾頭兵器を補給する方法は限られている。一つはとある場所の拠点にて補給する。ただ拠点は動かないので自ら赴くしかない。いや、当たり前だけどさ。もう一つは協力関係にある仲間達に持ってきてもらうこと。とある理由で霧から離れている、離れざるを得なかったやつらが数隻存在している。霧の艦艇と登録されていない以上メンタルモデルを持っていない艦艇と出会えば即戦闘、それを避けるには隠れながら過ごすしかない。だから、そういうやつらで集まってお互いを助け合っているのだ。先に挙げた拠点もみんなで共有している。普段は世界を回って情報収集を行っている。みんな単艦でもそれなりの性能だから心配はない

 

そうこう考えている内に甲板に出た。辺りを見渡すと、隣には401が。その向こうにはなぜかいたタカオが鎮座している。それらの甲板上ではチビイオナとチビタカオとでも呼べばいいのか、イオナとタカオをそのまま小さくした、手のひらサイズとまではいかないが、肩に乗る程度の大きさの存在?がせっせとモップがけ、雑巾がけをしていた。なんか微笑ましい光景だったので少し見ていたら、チビイオナ同士がぶつかり合った。そして、お互いに自分のデコをさすりながら頭を下げる。そしてそのまま掃除再開していった

 

「ん?......ふむ」

 

もしかすると、うん。いいアイデアが浮かんだな、ちょっとみんなに相談してみようか

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーー硫黄島内会議室

 

今回はお互いにどう動くか、ということの相談なので俺と群像、イオナと彼らに協力しているヒュウガのメンタルモデルの4人のみの会議だ。ヒュウガとはもう挨拶はすませてある

 

「さて、俺達と401は振動弾頭を届けるためにアメリカのサンディエゴ地下ドックに向かおうと思う。そっちはどうする?」

 

前のモニターに401の航路予定図が表示される。そこに一つ疑問が生じた

 

「霧の航路閉鎖艦隊が開いてる地点があるのか?.....間違い無く意図的で、怪しいな」

 

「だが、これを利用する手しかない。ガチンコでやり合うには戦力が足りないからな」

 

そこに俺達が行けば少しは変わるか?....焼け石に水か。向こうにはキチガイ性能の艦隊旗艦装備もある。数種類、しかも大まかにしか知らないけれどそれだけ見ても性能がぶっ飛んでる。最大出力を出せるならともかくこっちは制限付きだ。無謀だろうな

 

「俺達は一旦南に下ってソロモン諸島に向かおうと思う。オーストラリア方面はアメリカ方面に比べて艦艇が少ないから楽に抜けられると思う」

 

「ん?ソロモン諸島にはなにもなかったと思うけれど。良ければ理由を伺っても?」

 

ヒュウガが聞いてくる。その疑問は尤もだし、こちらとしても答えたいがまだその時じゃない。こちらの戦力をばらすのはまだ早い。それありきの対応をされても困るしな

 

「俺達の拠点がある。そこでナノマテリアルと侵食弾頭兵器の補給、あとは改修を行いたいんだ。それが終わり次第そっちに合流出来ると思う」

 

これは半分嘘だ。拠点はそっち方向にはなく、アメリカと日本の間に位置するとある島にある。それ以外は本当だがな

 

「で、この改修計画についてちょっと相談なんだが...」

 

俺がそう言うと、みんなが怪訝な顔をして

 

「俺達に相談?」

 

「私は潜水艦だぞ」

 

「大戦艦の知識が超戦艦の助けになるとは思わないけれど....」

 

「ああ、大丈夫。これ超戦艦かどうか関係ないから。問題の改修内容の前にイオナ、質問いいか?」

 

映像出力装置に俺が持ってきていた記憶媒体を接続して、モニターに内容を出す準備をしながら問いかける

 

「なんだ?」

 

「さっき401の甲板上にいたお前を小さくした感じのやつら。あれ、メンタルモデル?」

 

「簡単な思考しかできないがな。一応メンタルモデルだぞ。私が常に動かしてるわけじゃない」

 

よし、第一段階はクリア。現実味を帯びてきたぞ

 

「OK。んじゃ、問題の改修内容について。テーマは、艦載機のクライン・フィールド実装だ」

 

「「っ!!!」」

 

メンタルモデル組二人の驚愕が伝わってくる。モニターに表示されるのは艦載機の基本性能と性質

 

「とりあえず、無理とかそういうのは置いてくれ。ここからは霧としての、機械としての感覚ではなく人として、メンタルモデルとしての感覚で答えてくれ」

 

俺はレーザーポインターを使いモニター画面を指しながら話を進める

 

「まずは艦載機について前提の確認だ。霧が艦載機を廃止した理由は大海戦の時に人類に対して有効で無かったということが第一に上げられる。当時クライン・フィールドを搭載していなかった艦載機は対空射撃、主にVT信管で容易に落とされた。ここまではいいな?」

 

みんなが頷いたのを確認してから次に進める

 

「次にメリットの確認。WWⅡ時と同じだが、単純にアウトレンジ攻撃が出来る。索敵範囲外にも目を出せるというのが強みだな。航空機の発展に伴い艦隊戦の定石が変わったことからもわかるが、アウトレンジから強力な攻撃を行えるのは一方的なアドバンテージに繋がる。出来れば手にしたいところだ」

 

「今まではどうやって運用していたんだ?」

 

群像から質問が出る

 

「気合い。手動で動かして全部避けてた」

 

こういうことを想像してない霧の艦艇はVT信管じゃなくてレーザーによる迎撃だったからまだ避けることが出来た。けれども最近はVT信管を実装する船も多くて落とされることもしばしばある。そのためにクライン・フィールドが実装できればこの先も運用できる

 

「じゃあ次にクライン・フィールドの確認。クライン・フィールドを発生させるには二つの要素が必要だ。強制波動装甲と演算装置」

 

「補足。もうわかってるだろうけれど、リアルタイムで演算する対象が変わる上情報量は膨大。だから現状だと我々が所有するユニオンコアぐらいの演算力は必要よ」

 

ヒュウガによる補足。そう、それが最大のネックだったんだ

 

「その通り。だから、コアの演算力を使えるようにすれば良かったんだ」

 

「言ってることが見えないのだけれど...」

 

そして次のスライドに進めた時、誰かが息を呑む音が聞こえた

 

「チビイオナ、そのシステムを流用させてもらう」

 

 

 

 

 

霧に出来ることは多い。俺達人類に出来ないことを平然とやってのける。けれども侮るなかれ、俺達には積み重ねてきた歴史がある。それすなわち応用力。足りないものを補うために、日常の何気ない不満を満たすために作られた物を応用し、兵器に変えてきた。だから、俺達もそれを習う。人類に出来て霧に出来ないことだってあってもいいとは思わないか?




次回は説明回後半かな?

主人公はぼっちグループを作っているようです。ぼっち達とはいったい誰なのか....
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