遠吠えは遥か彼方に   作:劇鼠らてこ

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一、演習編
1.泡羅止頬伏筈兎修道.


 おめでとう、君には魔法の才能があるよ、と。お医者さんは言った。一般家庭で一般両親と一般妹のいる私に魔法の素質があるのだと。故に家族のために、お国のために、魔法少女と呼ばれる職に就けと。泣いて喜びましたとも、家族が。それはもう。だってエリートもエリートだ。お給金もさることながら、家族の待遇もUPするときたものだから、それはもうお祭り騒ぎ。

 けれど勿論、学寮に入らなきゃいけないからと、涙のお別れもした。まだまだ一緒に居たかったと。次に会えるのは五年後ね、と。あれよあれよのままに全てが決まって、私は魔法少女達の通う学園に転入することになりました。

 

 となれば必要になってくるのは自己紹介。申し遅れました、梓・ライラック。ライラック家が次女にして【即死】の魔法に目覚めし魔法少女。一般中学校から魔法少女学園の中等部にこの度転入いたしましては、前世が男なだけの一般魔法少女でございます。

 

 

 無理があーる。

 

 

えはか彼

 

 

「ライラック! 何を呆けている! ここは戦場だぞ!」

「呆けているというか、諦めているというか。ここはひとつ撤退など如何でしょうか?」

「ふざけるのは学園内だけでにしろ──退路はない。ここを守り切らなければ、我々に待ち受けるのは死のみだ!」

「だから諦めてるんだけどなぁ」

 

 スコープを覗く。 

 2-4倍のスコープは、しっかりとソレ──ムラサキで、ヌルテカしていて、ウネウネと動く触手を無数に持つ化け物を捉えている。

 遠隔魔法の得意な魔法少女たちが光線だの光弾だのを飛ばしているけれど、あんまり効いている様子はない。魔法が効かないのだから、当然とばかりに銃火器も効かない。むしろマズルフラッシュで自らの位置を悟らせる結果になりかねないので出来れば使いたくない所存。

 近接魔法を得意とする魔法少女たちは、しかしそのほぼすべてが取り込まれてしまっている。一度あの気持ち悪い色で全身を弄られ、体力を消耗させられた後にぱっくんちょ。魔法少女のエネルギー源である魔力を吸いだされながら、当然の様に息が出来ないため窒息寸前。衰弱寸前。

 

「ライラック!」

「とは言いますがねぇ、指揮官さん。アレSS級じゃないですか。私C級ですよ。格下も格下。これならアイツの情報細かに記録して本部に持ち帰った方がまだ実のある、」

「仲間を見捨てる等、あり得ない!」

「……ですかい」

 

 魔力煙草を咥える。

 点火の必要ないこの煙草は、魔力回復のポーションに使う薬草が練り込まれているため、気持ち程度の魔力回復効果が見込み得る。ホントに気持ち程度だけど。ただし恐ろしく不味い。

 

「きゃ、ぁぁあああ!?」

「アイツ、こっちまで──グゥ!?」

 

 ありゃりゃのりゃ。

 指揮官殿と問答をしている間に、魔法少女達から魔力を吸い上げて成長した紫触手君が、更なる攻撃手段を得てしまったらしい。先ほどまでは近づいてくる近接魔法少女をはたいて墜とすだけ、絡みついて取り込むだけだったところを、今やズガーンズガーンと触手を伸ばしての遠距離攻撃。

 相当煩わしかったのだろう、光線や光弾を撃っていた遠隔魔法少女までもが触手に連れられて、お約束通り身体を弄られてアレヨアレヨと取り込まれていく。あ~れ~。

 

「この状況でも撤退は?」

「無しだ!」

「さいで」

 

 なら──仕方がない。

 退けないというのなら、お相手しましょう。R18っぽい触手──あるいは格上の化け物よ。

 

 込めるのは一発の弾丸。俺の魔法を込めたその弾丸は、付与効果として【即死】を持つ。

 退かば死だと、指揮官殿は言った。

 あるいはアレらが──取り込まれた子達を救う手段があったのだとしても、退いてはならぬと仰った。

 

 ならば使おう。仕方がない。俺は悪くない。

 悪く思うなと、恨んでくれるなと──触手の化け物を照準に収める。

 

「ライラック!」

「今更遅い」

 

 死の気配でも悟ったか、完全に茂みに隠れ切っていた俺に伸びてくる触手。あァ、好都合だ。

 その触手とて、お前の一部なんだから──近づけば当てやすくなる。

 

 

 軽い音が響く。サイレンサーの役割をするパーツは、本来のソレより効果が高い。

 放たれるは銃弾。弾丸。螺旋状を描いて飛ぶソレが、俺に向かう触手に触れて──その勢い、一切衰える事無く進み続ける。

 瞬く間に触手は力を失った。あっという間に弾丸は化け物の本体に届き──その体を即死させる。

 

 即死させたのだ。

 

 ──取り込まれた魔法少女ごと。

 

「……完了」

「よくやった、ライラック」

 

 俺に目覚めた、芽生えた魔法は【即死】。

 効果は対象を【即死】させる──ただそれだけ。

 化け物の苗床になった魔法少女だって、化け物の一部なのだから、当然に。

 

 

 

 ここなりしはエデン。魔法少女育成学園エデン。

 国を狙い、迫り、侵略せんとする化け物たちを撃滅する、生体兵器の育成学園である。

 

 

 

 

 

 ベランダでパラソル開いて倒したチェアに寝転がり、足を組んで煙草を吸って、アイマスクとイヤホンで外部刺激をシャットアウト。喉が渇けばトロピカルジュースを飲んで、あァさ南国。いや南国じゃないんだけど、いやさバカンスバカンス。

 ここエデンは結構な高空にある。守るべき国の上空。襲われたらすぐに急行できるように、あるいは近づく兆候があれば文字通り飛んでいけるように。

 

 昨夜の作戦で出た死者は総勢22名。ま、軍人なんだ、死にもする。殺したのが俺という事を除けば、そう珍しい話でもない。取り込まれた奴らが悪いんだ、俺は悪くない。

 

「あ! ここにいましたの、梓さん!」

 

 聞こえないフリ聞こえないフリ。疲れて寝ているフリ。実際疲れてるし。実際微睡にあったし。イヤホンしてるし。

 

「梓さん。……梓さん? もう、寝てますの? ……寝ているのなら、襲ってしまいますわよ?」

「少しは節操を持ったらどうだお嬢様」

「あ、やっぱり起きていましたのね!」

 

 見事に引っかかってしまった。

 仕方なく頭に被せた本とアイマスクを取る。魔煙草は匂いもつかないのが素晴らしい。燃えないし。

 んでまぁ、本当に仕方なく安眠セットを取りますれば、陽光と共に現れるは金髪ロールのお嬢様。SS級、なんて高等なランクにいらっしゃるこのお嬢様は、C級の俺に何故かご執心なのだ。

 さてここで魔法少女のランクについての説明とかこのお嬢様との出会いの話とか、そういう面倒な説明はしないのでなんとなくで察してほしい。ヒントを出すなら、彼女は俺の魔法を知っている、ということくらいか。

 

「もう授業が始まりますのよ。だというのに、こんなところで何をしていましたの?」

「何をしていたか、という質問については容易に答えられよう。昨日死んだお仲間を追悼していたのさ。ああ死んじゃったね、可哀想だね、ってな」

「その方々も既に教室にいますので、わざわざ追悼する必要はないと思いますが……」

「……そうかい。そりゃそうだな、いやお嬢様、提案があるんだ。私は動きたくないので椅子ごと持って行ってはくれないだろうか?」

「間違って投げ落としてもいいのなら」

「いいよー」

「……はぁ」

 

 まぁ、実を言うとそうなのだ。

 ネクロマンシーかクローン技術か、ここエデンでは死と終わりが同等ではない。時間は多少かかるものの、化け物との戦いで死したとしても蘇る事が出来る──故にみんな、あんな無策に突っ込むんですねぇ。俺の罪悪感とか一切気にせず突っ込んでパタパタ死んでいくものだから、いや困って困って仕方がない。

 ちなみにこの蘇生が叶うのは魔法少女限定だ。エデンの下で震えて怯える一般市民には一個の命しかない。だから死んでも守れってのはまァ本当。撤退なんか以ての外、ってのも理解できる。異端は俺の方なんだろうなぁ、なんて自覚もある。

 

 だけどさぁ。

 生き返るからってさぁ。

 

 今の今まで──ついさっきまで世間話や雑談をしていた仲間を躊躇なく殺せ、ってのはさぁ。

 無理でしょ、普通に。

 

「なァお嬢様。ふわふわすんだけど、もしかして真面目に持ち上げてたりする?」

「そうでもしないと動かないでしょう、アナタ。そんなだから昇級に至らないのですのよ?」

「いやさ、C級で十分なお給金なんだって。ランク上げる必要性がみつからねぇのよ」

「SSS級になることは全魔法少女の夢ですの! 必要性とかそういうことじゃないですわ」

「あらそう? じゃ頑張ってよあと一つじゃん」

「貴女も頑張りますの!!」

 

 近接魔法少女は基本怪力だ。身体強化の面に魔力リソースを割いているから、俺の乗ったデッキチェアごと持ち上げて運ぶ、なんてのも難なく行える。逆に遠隔魔法少女は肉体はからっきしだけど、視力だの聴力だのといった五感に優れる……だったっけな。近接でも五感に優れてるヤツいるから一概には言えないんだけど。

 俺はアレよ。C級らしく、どっちもダメ。だから銃とスコープなんてもんを使ってんだ。本来は魔法の素質に目覚めなかった軍隊が使うモンだってのにな。

 

「……まだ、気まずいですの?」

「そりゃァなぁ。自分が殺した相手とご対面、なんてのは無理だろうよ。フツーは。ここに来るまでは。でも二度も三度もあったらまぁ慣れるよ」

「慣れた顔をしていませんが」

「顔見えんのかぃ?」

「いいえ。でも、そんな気がしたので」

 

 魔法少女の命は軽い。

 死んでもいい、なんて保険があるんだ、そりゃ軽くもなる。軽くもなるだろうけど、軽すぎるというか。

 死に際する痛みはあるはずなんだ。昨日のだって、息が出来なくて苦しいだとか、体力を限界まで奪われて苦しいだとか。触手の締め付けで骨が折れるまでに至った子もいただろう。喉に入り込んだソレに不快感の度を越えた子もいただろう。触手の突きを腹に食らって、痛かった子もいるんだろう。

 それをまるで、無かったことであるかのように。

 昨日は大変だったねー、なんて。

 

 いやァ、こえェのよオジサンはさ。あ、俺前世男ね。43歳。今おにゃのこだけど。

 

「……本当に優しいですのね、梓さんは」

「本当に優しい奴が同級生に椅子ごと運べ、なんて頼むかよ」

「私の知っている本当に優しい方は頼みますわ」

「そォかい。そいつァ最低だな」

 

 くすぐってぇっつーの?

 このお嬢様だけじゃない、他の娘たちも純朴も純朴でさぁ、俺が殺した奴でさえ、俺の感性を優しいだのなんだの言ってくるのよ。ショージキ堪ったもんじゃないよね。生き返るからって死んでもいい、なんてのを受け入れられない、ってのが、どうして優しいに繋がんだよ。こえぇよ。

 

「さ、着きましたわ。デッキチェアごと入りますか?」

「遠慮しておくよ。先公からぶっ飛ばされそうだ」

「賢明ですわね」

 

 よっこいしょ、なんてのは言葉に出さず、デッキチェアを降りる。

 俺には使えない亜空間ポケットっつーのにデッキチェアをしまっていくお嬢様を尻目に、教室へイン。おやまぁ注目の的。だよね。だって俺とお嬢様以外全員席に就いているもの。

 

「1分の遅刻だ、ライラック」

「あァすんません。ちょいと道に迷ったお婆さんを助けてまして」

「エデンでお婆さんとなると、学園長になるが、確認をとっても?」

「ああいえ、道に迷った鳩を助けてまして」

「そうか。……アールレイデ、連行ご苦労だった。そちらへの咎めはないので安心しろ」

「つーと私にはあるんですかい?」

「魔法少女たるもの時間は厳守だ、莫迦者。罰として午後の森の掃除は単身で行ってもらうぞ」

「ワォ鬼畜教師。午後の森つったらA級危険域じゃないですか。私C級ですよ~?」

「だから罰になる。一度死んで、頭を冷やしてこい」

 

 ……いやァ、そりゃ勘弁願いたい。

 生き返らせられるから、蘇らせられるからって、死を罰に使うのは倫理としてどーなんよ、って話。道徳の授業とかないんですかね。あるけどね。命の尊さは一般市民に向けてのみだよね。

 

 ちなみに俺はまだ一度も死んでいない。怖いじゃないか。死んで、生き返って、その次の俺とやらは、果たして俺なのか、っつーやつ。いや前世の俺が死んでも俺だったから俺は俺なのかもしれないけどさぁ。オレオ! オレオレオレオ!

 

 とりあえず席に就く。廊下からすぐの席。所謂主人公席の真反対。お嬢様も席に就いて、さぁ授業の開始。

 魔法の扱い方、魔力運用の効率化、禁則事項に罰則事項。化け物の生態調査等々などなどetc.

 何が言いたいかって、ツマンネーのだ。教本に全部書いてあるし。死にたくないから全部読んだし。じゃあなんのための授業なのかって、読んでない奴と読んだとしても勘違いしてる奴のための確認作業なんだろうけど、俺はもうページ番号と行数聞かれて一言一句間違わずに言えるので優等生として処理してくださりませんかね。

 

「ライラック」

「へい」

「魔法少女にとって一番大切なコトは、なんだ」

「そりゃ自分の命ですわ。誰が何と言おうと」

 

 笑いが起きる。クスクスという馬鹿にしたものじゃなく、梓さんまたふざけてる~、みたいな。ふざけてないのよお嬢ちゃんたち。大真面目なのよお嬢ちゃんたち。

 

「なれば、ライラック」

「ほい」

「一般市民の命と魔法少女の命──この際であれば、お前の家族とお前の命でも良い。どちらが大切だ。言ってみろ」

 

 ひでー問題だしやがる。

 まだ俺中学生だぜ? 中等部だぜ? そんな倫理の問題ふっかけてくんじゃねぇよ鬼教師。

 

 つっても答えは決まってる。

 んなのとっくに決まってる。

 

「──どちらも助けます。それで十分では?」

「そういう大言壮語はSS級にでも上がってから言えC級」

「イエスマム」

 

 そりゃ俺にだってありますよ、使命感っつーか。

 大切な家族を守りたい、って意思くらいは。ただ自己を犠牲にしてまで、じゃないだけで。

 

 同じ天秤にないんですよそれは。問いが間違ってんだYO。

 

「──だが」

「ん?」

「それでいい、ライラック。貴様の粗暴な口調とは裏腹の、どこまでも深い優しさは──そのままであれ。私達が正道を外れたとしても、貴様だけはその慈悲深き心のまま、私達を掬い上げてくれ。それでいい」

「えぇ……重っ」

 

 皆が皆、揃ってうんうんと頷く。

 慈悲深い。優しい。やめてやめて、おじさん褒められるの慣れてないの。つか褒められることでもねーからやめてやめて。

 

「つまり一生C級でいろってことですかいね」

「授業は真面目に受けろ、莫迦者」

「はーい」

 

 俺がC級に居続けている理由。

 んなの簡単に、魔力が少ないのと──内申点が、クソ程低いからである。

 

 魔法少女のランクに内申点とかあるのおかしくね? おかしいよね?

 

 

えはか彼

 

 

 さて、言われた通りの森──午後の森。

 これ別に放課後の森、とかいう意味じゃなくて、年がら年中、ひねもすひねもすその森の周りだけ午後……夕暮れ時だから、午後の森、って名前。実際空は赤暗く、生い茂る木々の葉がそれさえも隠して、いやは真っ暗な森の様相を成す。

 そこの掃除とは、お察しの通り湧いて出てくる化け物共のお掃除だ。A級危険域午後の森。つまりA級以上じゃないと入っちゃだめですよ、ってェ所に放り込まれた単身C級可哀想俺。泣いちゃうぜ。

 いっぺん死んで来い、というのは冗談じゃないのだ。恐怖に溺れ、苦痛に苦しみ、そして死んで──もう授業をさぼらんように、遅れないように反省しろと。恐怖政治だよね。怖い怖い。

 

「で、だよ」

「なんですの?」

「なんでついてきてんのか、っつー問いかけは面倒だからしないけどさ。いいの? SS級が手伝ったとあらば、私への罰になんねーじゃん」

「あら、梓さんにマトモに罰を受けるつもりがあったとは、驚きですわね」

「いやァんなつもりは欠片もねーんだけどよ。他人への罰を勝手に肩代わりしちまったら、なんか言われんじゃねーの? ヤだぜ、私。私に付き合わせたせいでお嬢まで罰受ける、なんてのは」

「ご安心を。そも、私がもっと早く運べば梓さんも遅刻はしなかったのです。なればこの罰は私のものでもあると言えるでしょう」

「言えねーと思うけど」

 

 魔煙草を取り出し、その箱の側面に擦り付ける。マッチ箱みたいなもんだ。コレで魔煙草は起動する。

 あー、苦い。不味い。けど匂いが結構好きなんだよな。

 

「なら、もっと尤もらしい理由を述べましょうか?」

「あァいーよいーよ。何言っても引かねえのはわかってるし」

「意中の相手と放課後デートをしたい……それ以外に理由はありませんのよ?」

「言わなくていーつったろぅに」

 

 いやまァ、マージでありがたいことに、なんだろうね。

 俺ァこの金髪ロールなお嬢様に、好かれている、らしいんだわ。明確な何かがあったとかじゃない、いつの間にか好かれてて割合辟易してるんだが、色々差し置いても見てくれがいい。あと性格も良い。声もカワイイ。なんだ、優良物件じゃないか。

 魔法の素質があるのが女性だけ、っつーこともあって、この世界に同性愛を忌避するような文化は無い。というかパートナーがいた方が連携やら何やらが上がるのでカップリングは推奨されていたりいなかったり。こんだけ述べた命の軽い世界であるくせに、相方やられたらちゃんと激昂して強くなるんだからまぁ難しいオトシゴロだよなぁ。

 

「そろそろ始めるか。とっとと終わらせて帰ってゲームでもしよう」

「ちなみに何割くださいますの?」

「十割……つーと先公が気付きそうだから、七割くらいで頼むわ。C級らしく三割はちゃんと片付けておくからよ」

「ええ、了解しましたわ」

 

 直後──お嬢様の姿が掻き消える。

 近接特化SS級お嬢様。神速にして最鋭。気付かれない程早く近づいて、斬る。ただそれだけ。こわーいこわーいお嬢様なのだ。

 

「んじゃまぁ、私もぼちぼち、ってな」

 

 取り出したるは拳銃。例によって【即死】の弾丸の込められたピストルで、午後の森へと入っていく。

 ──あァ、そうそう。

 

「変身バンクはお預けだ。何故って、常に変身してるからなァ、エデンの魔法少女は」

 

 真っ黒のスライムにソレを撃ち込みながら。

 俺もお掃除を始めたのだった。

 


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