いつぞやの海洋に面した廃墟群。
懐かしいってほどでもないが、苦い思い出の詰まったそこに俺達はいた。
「こっから、真っ直ぐスか」
「ええ、そう。ここから真っ直ぐに二日海を渡ると、ディミトラの牙城である人工島・クルメーナに着くの。特に急ぎの任務ではないから慎重に行くわ。途中で休憩地点を作るから、実際にクルメーナに辿り着くのは三日後か四日後になるでしょうね」
「休憩地点をつくる?」
「……その、私が短期間のみ保つ足場を形成する、ので、その」
「この子の魔法はそういった悪環境での基地作りにおいて無類の強さを発揮するのよ」
「へェ。そりゃ楽しみスね」
俺達、といっても。
冷静メイド以外は初対面。
遠征組調査班オーレイア隊の皆々様方と俺と冷静メイドの即席部隊で、ディミトラの所へ向かう。
突撃班は攻撃特化な面々だったが、調査班の魔法少女はサポート向きの魔法少女が多く、明確なアタッカーは二人だけなのだそうで。
つまりまァ、できるだけ穏便に、って奴な。
「ライラック様はその魔法の特性上、出来得る限りの温存をしていただかなければならないため、私が運ばせていただきます」
「わかりました。それでは出発します。みんな、準備はいいかしら?」
頷く面々。
遠征のはじまりはじまり、である。
ぴょーん、ぴょーんと。
結構な高さを跳ねる移動方は、飛行魔法のそれではない。身体強化の一部、脚力強化で行っているのだろうけれど、おかしな点が一つ。
何って、ここが海上であるという点だ。
「海を、足場にしてる……?」
「いいえ。着水の瞬間に魔法を用いることで、極僅かな時間だけ保つ足場を形成しております。私が跳躍し、身体が上昇した後すぐに崩壊するものですが、後に戻ることを考えなければ海上を走行する事も可能です」
「なンだ、海を固めてるとかなのか?」
「いいえ。私の魔法は【侵食】。自己を世界に浸し、変質させる魔法です」
「……じゃァ、なンだ。その極僅かな時間形成される足場ってのァ」
「私でございます。無論、全身を形成するような無駄はしておりません。手のみ。指のみ。それさえあれば問題はありませんので」
いんやさ、怖いっつかグロいっつか、ホラーな魔法だ。
あるいは分身もできるってことか? そりゃ普通にやべェんだが。どうなるんだ、その形成された方の意思とか。考えるとゾっとすンな。
「この私も、最初の私であるかどうかは怪しいですね」
「……」
「冗談です」
「怖いって」
冷静に無表情でンなこと言うんじゃねェよ。こえーよ。
……ま、正直どォなんだろォなって感じはあるけどな。俺ァまだ疑ってるぜ。魔法少女の蘇生……そいつァよ、クローン技術とかそういうのなんじゃねェかってトコ。
わかんねェよな、他人からじゃ。ソイツが元のソイツかどうか、なんざ。死に際して途切れた意識を、記憶を、どうやって持ち帰ってンのか……なんて。
怖い話だ。
「ローグンさん、周辺域にシャーク種の形成地点があります。お気を付けを」
「ありがとうございます」
冷静メイドの滞空時間に、ふわふわとコッチに寄って情報提供してくれたのは、俺が虹色ロングとあだ名をつけた唯・グランセって魔法少女。なんとD級の魔法少女であり、俺と同様亜空間ポケットも飛行魔法も使えない。一応分類は遠隔だが殺傷能力も殲滅力も持たないマジのD級らしい。
じゃあなンで飛べてんだってトコは、同じくオーレイア隊のフィニキア・各務っつー……なんだ、ザ・委員長みてェな奴の魔法のおかげ。
魔法名【引力】。つってもまァ惑星だのなんだののソレってよりか、見えねェ触れねェ紐がくっついてる感じに近い。一度に付けられる数には限りがあるものの、一度くっつけたら本人の意思がない限り離すことのできないって特性で、だから拘束にも持って来いなんだと。
そんな魔法なんで、俺達よりもずゥっと高ェとこを委員長は飛んでて、D級の虹色ロングともう一人いるB級の魔法少女を引っ張りながら飛んでる。維持には魔力がかからなねェエコ仕様らしく、遠征向きな魔法だって自慢された。羨ましかねェけど確かに便利そうではあるよな。
今俺達は、オーレイア隊が少し先を行って、その後をついていくって形で進んでいる。
だから、あんまり話す機会が無いのがちょいとな。おじさんコミュニケーションあらかじめ取っておいた方が連携とかよくなるんじゃないかって思っちゃうタイプだから、ちィっとでも話しときたい所。
……が、一応紐を出すの自体には魔力がかかるって話の委員長に、俺も吊り下げてくれ~、なんてのはまた厚かましいというか図々しいというか。初対面でンなお願いは難しいというか。
「──冷静メイド、次の着地はちょいと右方にしろ」
「はい」
こうなってくるとやることないんでまァ、俺ァ索敵をすることにした。
姫抱きにされてるンで海面が見えねェのがネックだが、だからこそ強化してない状態での知覚を訓練するのにもってこいだ。
殺意も、な。
俺の指示通り、ちょいと右の方に着地……着水? した冷静メイドの横合い。さっきまでの進行ルートだったら踏んでいたはずの地点を、灰色の巨体が飲み込んだ。
サメだ。クソでけェサメ。そいつがトビウオよろしく……いやマンボウか? なんでもいいが、垂直方向に大ジャンプをかましたんだ。確実に食いつく気だったンだろう、これまたでっけェ口を、歯を、金属同士がぶつかったみてェな音出しながら閉じて、海ン中に戻ってった。
「囲まれていますね」
「みてェだな。いけるか?」
「問題ありません」
見える見える、サメの尾びれ。海中にいンのは数えられねェが、一瞬見えた限りじゃ二十はいる。姫抱きだと顔の向きがきちーのよ。いやさ俵抱きにしてくれってワケじゃねェけどさ。
海ン中にいる化け物ってな、地上のソレより基本巨大だ。前世基準の魚介類をそのまま何十倍にもしたのが棲んでる。クラーケン然り、このサメ然り。あとァ文献で読んだだけだが、イルカやクジラみてーなのもいるんだとか。クジラの化け物は一つの島よりも大きいとか書かれてたんだが流石にどォだろなって思ってる。誇張じゃね? って。
それはおいといて。
「無理そォなら、私が殺すが」
「問題はありません。あれらは形成地点で湧いた種ですので、縄張り外に出てしまえば追ってはきません」
「なるほど。んじゃアレは?」
アレ、と。
抱えられたままに指を差すは──サメの尾びれの中にある、一際でっけェ黒いナニカ。
円形のそれァサメがいることも気にせず、一直線にこっちに向かってきてる。サメ避けのために冷静メイドが身を振れば、その円も追従する。
確実に俺達を狙ってきているナニカ。
「……自然形成のタートル種ですか」
「あれ亀かよ」
「私の走行速度では追いつかれますね。ですが、問題はありません。ライラック様は何もしないでください」
「あァよ、予定外のことされるとむしろやりづれェって事だろ?」
「肯定します」
否定してくれてもいいんだぜ。
なンて冗談はいいとして。
冷静メイドは、俺を抱く姿勢を少しばかり変えた。姫抱きから──片腕で、強く抱きしめる感じに。
……いやさ、あんまりに自然だったから戸惑いすら覚えなかったけど、情熱的……じゃねェや、ああいや、一応戦闘中にこんな事考えンのはアレなんだが、少しばかりキュンときちまったね、これァ。
お嬢たちと違って、冷静メイドは結構な美人さんというか、年のころ26か27か、そンくらいの見た目をしてる。それでいて声も落ち着きあって、雰囲気も落ち着いてて。そいでそんな情熱的に抱き寄せられたら、なァ。
罪悪感覚えちまうような少女ってワケでもねェから、おじさん普通に恥ずかしいよ。っとァ俺がこういうことしたいんだけどな、二次性徴も起きる前に魔法少女になっちまったんで、俺の身長も容姿も永劫このままと来た。
……恋愛、ねェ。
子を成せない魔法少女は、だからこそフォーマルな恋愛ができるんだって力説してるクラスメイトがいたが、まァ、おじさんには縁遠い……こと、でもないのか。
お嬢があンだけ好意寄せてくれてンのは無視できねェよなァ。ただまァ、答えを出すにしろ、全部終わってからさな。全部っつーのがどこまで全部かはわからねェけど、ヤなコト全部終わって……俺っつー奴の事を、知ってもらってさ。
あるいは俺がおじさんだってことをバラして。
それでも尚、っつーなら俺も揺らぐかもしれねェけど、ま、無理だろ。フツーに嫌われそうだ。エデンは女の子達しかいないからこそ、みてェなトコあるしな。
「終わりました」
「ちなみに何をしたのか聞いても?」
「姉謹製の【劇毒】ポーションを用いました。周辺域のシャーク種含め、ここら一帯の魔物は死滅したかと」
「環境問題になりそォなことしてんなァ」
「この海は国領ではありませんので問題ありません」
あると思うけどなァ。
……罪なきおさかなさん達も死んだって事だろ。南無。あ、いねェか。いたら全部化け物に食われちまってるか。
「かがめ!」
「!」
ぐんと空中で前屈姿勢になる冷静メイド。
その頭のあった場所を突き抜ける水。水の、糸。
「高圧水流──鉄砲魚か!? こんな沖合で!?」
「新種ですね。自然形成の類だと思われます」
「避けられるか?」
「問題ありません。攻撃方法さえわかれば、対処可能です。問題は」
「アンタの姉の【劇毒】ポーションを逃れてきた、ってトコか」
「はい。通常の生物・魔物であれば凡そ三時間は痛みにのたうち回り、呼吸も食事もできずに死んでいく代物なのですが……毒に耐性があるようですね」
毒物や病魔に耐性を持つ化け物、ってな結構いる。
なんでかってーと、化け物側にもそォいうの使ってくるのが結構いるからだ。太腿忍者が言ってたよォに、魔力や念動力を操る化け物ってな高位のもの。それ以下はじゃあどォやって生存競争を生き抜いてんのかってーと、そーやって耐性つけたり逆に毒物を身体に含んだりして、短期間での目まぐるしい進化を繰り返している……んだと。
迷宮の主の言っていた種としての堆積っつー奴だ。ランダム湧きであっても、湧きポの化け物であっても、種として形成された以上は存続を目指す。つっても化け物には基本寿命らしい寿命が無くて、殺されない限りは生き続けるから、進化が目まぐるしいのはこういう生存競争の厳しい環境にある化け物だけ。
それこそアシッドスライムだのマッドワームだのはそこまで特異な進化を遂げていない。常に天敵がいる、みてェな環境にいねェからな、あいつらは。
んで、今俺達を狙ってきた鉄砲魚っぽい化け物。
遠隔で獲物を仕留めるだけに飽き足らず、毒物にまで耐性をもっている、と。逆に言えば近くに毒を持つ化け物がいる証左だし、遠隔を使わなければならない……空を飛ぶ化け物がいるって事でもある。
化け物の事情なんざ興味ねェとは迷宮の主に言いはしたが、尖り前髪との訓練やブラックホールの手帳の情報から初見の相手を少しでも減らそォと思って図書館でそーいう研究書物を読み漁ってきたんだ。嫌うにも殺すにも、相手を知っとかなきゃ無理だ、ってのは身に染みてるしな。
一応前世の教養も補助になって、そォいう化け物の生態連鎖、みてェなのは一通り理解した。学園ではこれから先で教える内容だったらしィんだが、俺に関しちゃ四の五の言ってらんねェんで勘弁だ。授業自体全然受けれてねェしな。
「仕方がありませんね」
「策があンのか?」
「策と言えるほどのものではありません。海を【侵食】し、私を半分ほど形成いたします。あの魔物含め、周辺域の魔物全てが集まる事が予想されますので、着水の10秒後に起爆するポーションを体内に仕込み、一網打尽にいたします」
「……」
淡々と、そんなことを言う。
誰に許可を取るわけでもない。説明はした、とばかりに、着水し──その足元に、ソレが形成されていくのが見えた。
ソレ。
まず──髪が出来て、頭が出来て、肩が出来て腕が出来て胸が出来て──。
それ以上は流石に見ちゃ不味ィと思って目を瞑った。まさか服無しで形成されるとは思わねェだろうよ。
だが、目ェ瞑ってもわかる。鼻がそれを捉える。
血の匂い。
「大丈夫、なのか」
「問題ありません。【侵食】は侵食したものを自己に変質させる魔法です。ここに形成した私は元は海であり、私自身に欠損はありません」
「……それァよ、何にでも使えンのか。たとえば──化け物とか」
「可能です」
コイツ、B級だったよな?
いや、そうか。確かに殲滅力もなければ殺傷能力もない魔法だ。殺傷ではないだけでこえー魔法であることに変わりはないが、少なくともEDENの等級区分ってな殲滅力と殺傷能力がどれほど高いか、で決まる。コイツとその姉は完全に鬼教官殿に付き従う部下ってこともあって、あるいは突撃班に見られるような工夫しての殺傷能力、ってのを見せる事はあまりないんだろう。
あるいは単純に昇級試験受けてねェかのどっちかだ。後者の可能性も十二分にある。
「血は、お嫌いですか」
「ん……ま、好きじゃねェよ」
「申し訳ございませんでした。以後気を付けます」
あァ。
俺が目を閉じたのが、血を見たくねェからだって思ったのか。ま、それもあるか。だって100%グロいもんな、ソレ。魔法で作ったとはいえ……女性の上半身が、化け物共に啄まれていくトコ、なんて。
見たかねェ。見るべきじゃないと思ったのはそういう意味でも正解だったな。
「冷静メイド。あっちのお前って……あァ、いや。聞かないでおく。こえーから」
「賢明な判断です。その答えを私は有していますが──決して、気分の良いものではございませんので」
「それ答えじゃねェか」
「冗談です」
……どこまで、っつか何が冗談だったんだよ。こえーよ。
「先を急ぎます。少しばかり離れてしまいました」
「あァよ。ま、あちらさんもちょいと進行速度遅らせてくれてるみてェだけどな」
「それも踏まえて、急いで追いつきます」
さっき言ってた──自分が最初の自分じゃねェかも、っての。
あながち、本当だったりしてな。
なんて。
やめとこやめとこ。怖い話はあんま好きじゃねェんだ。特にサイコホラーは、対処のしようがねェからさ。
海のど真ん中。
そこに──球体の、シャボン玉みてェなのがあった。
「あら、追いついたのね。大丈夫でしたか、ローグンさん」
「問題はありません。これは、突入しても大丈夫でしょうか?」
「今開くわ。知子」
「……はい」
さっきのおどおどしてた子が、オーレイア隊長……銀バングルに言われて前に出る。彼女が両手の甲をこちらに向けて、ゆっくりと離すような仕草をすると──シャボン玉の上部が、むにゅーん、って感じに開いた。
なんだこれ。
冷静メイドと俺がそこに入ると、またむにゅーんと閉じる。
なんだこれー!
「ふふ、興味津々、といった顔ね。粗暴な口調には面食らったけれど、可愛い所もあるじゃない。知子、説明してあげ……ても、いいかしら?」
「お、お願い、します」
多分説明してあげて、と言おうとしたのだろうけど、おどおどしてた子……眼鏡をかけたその子があんまりにも遠慮しますって顔してるんで、銀バングルが前に出た。
銀バングルも高飛車令嬢って印象だったのに、なんつーか面倒見のいい姐さんって感じなんだな、って。
「この子の魔法【排析】は、こうして一定の空間を押しのける事ができるのよ。その上、押しのけた空間の周辺域を探査することもできる。どう? 調査班として、とても素晴らしい魔法だと思わないかしら?」
「おォ、おー。すっげェ、なんぞ感触が良い……これめっちゃいいな!」
「……想像していた喜び方とは違うけれど、良かったわね、褒められたわ、知子」
「う、うん。……嬉しい」
降り立った感触は、猫だの犬だのの小動物に近い。シャボン玉みてェなつるっとした見た目なのに、ふにふにしてる。アレだ、隣のナンタラの猫のナンタラ。アレだ。
すげェ。すげェ気持ちいい。感触良過ぎてやべェ。ここで眠りてェ。これ俺の部屋のベッドに欲しい。
「しかも海の中まで見えると……最高か?」
「う、嬉しい、です」
「いやもっと誇っていいよ光眼鏡! すげェよこれ!」
「わ、ひっ!?」
ぴゃっと銀バングルの後ろに隠れる光眼鏡。
……やべー、おじさん何やってんだ。子供怖がらせるとかダメだろ。
「あァすまねェ、怖がらせちまったな。そんなつもりはなかったんだ。なんぞ、感動しちまってよ」
「ひ……光、眼鏡?」
「あそっちか。あだ名だよあだ名。お前さんの」
ダメだね、セーブセーブ。自省自省。
……でもマジでこれ欲しい。めちゃくちゃ気持ちいい。
「周辺域に大型魔物の陰はありませんね。小型のものはいますが、【排析】を貫けるほどの力を持つものはいないでしょう」
「お疲れ様、フィニキア。ケトゥアンも警戒を解いていいわよ」
「……」
何かをしていた委員長と一切言葉を発そうとしない魔法少女がこちらにくる。虹色ロングは……寝てるな。やっぱ寝るよな、この材質。
「小休憩にしましょう。ローグンさんも、魔法を使ったでしょう? 遠征はまだまだ長いわ。しっかりと魔力回復に努めること」
「お気遣いいただきありがとうございます」
「そして、貴女はこっち」
こっち、と言われた時には、抱きかかえられていた。
銀バングルは身長がかなり高い。加えてモデルみてェなグラマラスボディで、ええ、おじさんちょっと、ね。
少女少女してた学園とは一切違う、突撃班の宝の塚みてェな雰囲気とも違う……こう、なんだ。
冷静メイド含めて、大人の女性、が沢山いる空間と言うのは……色々毒すぎる。あんまりスキンシップしないでほしい。色々出てきちゃうから。おじさんが頑張って隠してるおじさん要素が出てきちゃうから。
「さ、親睦を深めましょう。行きに四日、滞在がどれくらいかかるかはわからないけれど、二日か三日はかかるでしょう。そして帰りに四日。つまり、十日近い時間を私達は一緒に過ごすの。それなら、初めの内にお互いを知っていおいた方が何かと役に立つわ」
「そりゃァ完璧に同意なんだがよ、銀バングル。ちょいと離してくれねェかな」
「ダーメ。聞けば貴女、13歳で、魔法少女になってから数か月なんでしょう? ならここにいるみんなはお姉さんよ。貴女は末っ子として、大人しくお姉さんに抱きしめられなさい」
あー。こーいう人かー。
高飛車令嬢でも面倒見のいい姐さんでもない。
そういう系かァ。
「みんなもそれでいいわね?」
頷く面々。無口な奴まで頷いてるからもうダメだねこれァ。
逃れられねェや。どの道このシャボン玉光眼鏡が操作しねェと開かなそうだし。逃げたとして海のど真ん中だし。
嵌められたな、これァ。