感無量というか何というか。来週は劇場版だそうで、楽しみですね。
そう言えば十連でゴールドシチーとシンボリルドルフが当たりました。命の危機……!!
雄英生活二日目。
ヒーロー養成を主軸にした雄英高校だが、ヒーロー科も午前中は一般的な必修科目を学ぶ。
様々なヒーローが教鞭を執るということもあり、どういう授業が行われるのか、生徒たちの期待値は高かった。
しかし、彼らの思いは直ぐに覆される。
「おらエヴィバディヘンズアップ盛り上がれーー!!」
この必修科目の授業、とても普通なのだ。
流石に英語や現代文などの授業で戦闘なんて望んではいなかったが、午前中は何処の学校とも何ら変わりがなかったのは些か拍子抜けしたのは事実だ。
(個人的には普通の授業で良かったのだが)
泥花はノートに黒板の内容を書き写しながら思った。
何せ、入試における泥花の筆記試験の成績は上の下といったところで、レベルの高いヒーロー科に在籍するともなれば、相当の努力が必要だからである。
午前の必修科目が滞りなく終われば、昼休みの時間だ。
生徒たちは持参した弁当か、学食を利用するかの二択から選ぶことになっている。
施設に暮らしている泥花には、弁当を作ってくれる人がいない。詳しく言えば施設の食堂を担当する中年の婦人グループがいるにはいるのだが、ただでさえ施設に勤める職員と孤児たちの食事を用意するのに加えて、自分の弁当まで用意していて貰うのを躊躇したからだ。
幸いにも、施設……というよりは後見人の馬渕庭から小遣いは貰っているので、泥花は学食に足を運ぶことにした。
……
雄英高校の学食は、クックヒーローのランチラッシュが作る一流の料理を安価で食べれることもあって、かなりの賑わいを見せていた。
「白米に落ち着くよね、最終的に!!」
アジフライの定食を注文した泥花に、ランチラッシュは親指を立ててそう言った。
メニューを載せたトレーを受け取った泥花だったが、あまりの混雑ぶりに座れる場所が中々見つからず、席を探す羽目になった。
「ここ、座っていもいいか?」
漸く空いているスペースを見つけた泥花は、先に座っていた生徒に話しかける。
「ああ……」
紫色の髪と目の隈が特徴的な生徒は、泥花を一瞥すると手元の定食に意識を戻した。
彼の向かいに座った泥花も、早速食べ始める。
「っ、美味いな」
揚げたてのアジフライは歯応えもよく、味噌汁は出汁と味噌が程好く調和していて、白米は一粒一粒がしっかりしている。ランチラッシュが白米を推す理由がわかった気がした。
添え物のお新香ですら絶品で、あらゆるものに抜かりがなく、口にする度に自然と口が綻ぶ。
「……あんた、ヒーロー科だろ?」
対面の席に座る生徒が、気怠げに問いかけてきた。
彼の視線の先は、泥花の肩にある金色のボタンに向いていた。ヒーロー科とそれ以外は制服の肩のボタンの数や襟のラインの本数などで区別されている。
恐らく、彼はそれで判断したのだろう。
「ああ。だが、それがどうかしたのか?」
「……いや、聞いてみただけだ」
それっきり、彼は一言も発さずに無言で箸を進めた。泥花は不思議に思いながらも、目の前の生徒と同じように黙々とアジフライ定食を口に運んでいった。
……
午後も必修科目を受ける普通科とは異なり、ヒーロー科の午後は少し特殊だ。
授業名はヒーロー基礎学。クラスの皆が最期待している授業でもある。
「わーたーしーがー!! 普通にドアから来た!!!」
教卓側のドアをガラリと開けて、オールマイトが姿を現した。
泥花からすれば入試結果を通知の際にプロジェクター越しに見たぐらいで、実際に生の姿を見るのは初めてだった。
「オールマイトだ!! 凄ぇや、本当に先生やってるんだな!!」
「シルバーエイジのコスチュームだ……!! 画風が違いすぎて鳥肌が……!!」
やはりオールマイト直々に教鞭を執る授業ということもあって、クラス中が興奮に包まれた。
オールマイトの説明によると、“ヒーロー基礎学”とはヒーローの素地をつくる為に様々な訓練を行う課目であるらしく、他の必修科目と比べて単位数も多いらしい。
「早速だが今日はコレ!! 戦闘訓練!!!」
オールマイトが手に見せたカードには、大きく『BATTLE』の文字が記されていた。
「そしてそいつに伴って……こちら!」
オールマイトがスイッチを押すと、教室左側の壁が動き出し、番号のつけられたケースが出てくる。
入学前に送ってもらった『個性届』と『要望』に沿ってあつらえた、──
“戦闘服”という言葉に、クラス中が一斉に沸き立つ。
世の中で活躍するヒーローたちにとって、戦闘服は自分の個性を活かし、それでいて自分をアピールするための仕事着であると同時に大事な身分証明書でもある。
誰もが幼い頃に自分のヒーロー姿を描いたものだし、それは泥花も同じだった。
戦闘服に着替えるため、ケースを抱えて他の女子とともに更衣室に移動した。
……
「ケロ、泥花ちゃん、凄い戦闘服ね」
「わあ、ほんま厳つい格好!」
更衣室で着替ている途中、蛙吹と麗日にそう言われた泥花は、据え置きの大きな鏡でマスク越しに自分の姿を見た。
用意された戦闘服は、泥花の要望通りに全身を防弾・防刃性能に長けた強化繊維の防護服と特殊装甲で覆った、白を基調としたモノトーンの鎧のような格好になっていた。
頭部は防塵性の高いフィルターとゴーグルがついたマスクとフードで構成されており、各部にはスーツの中の温度を調節するための小型のエアコンが用意されている。
片手には近接戦に対応するための武骨なスレッジハンマーを用意しており、端から見れば何処かの兵士のようにも見えた。
何よりも特徴的なのは、中入っている泥花よりも巨体に見えることだ。
「うん? ああ、これはブーツを厚底にして、隙間は個性を使って補っている」
「そういうことやなくて、何というか、以外というか」
「?」
「ケロ、お茶子ちゃん、泥花ちゃんのスタイルが良いから、もっと身体にフィットするタイプだと思ったのね」
「そういうタイプは、その……少し恥ずかしい」
「いや初心か!」
雑談を交わしながら、教室でオールマイトが指定していたグラウンドβに向かう。
其処は市街を模してビルなどがところ狭しと造られており、入試試験の際に使われた演習場と同じだった。
「おいおいマジか岩繰お前ぇ!?」
男子と合流するなり、非難の色が混じった怒声が上がった。
視線を向けると、クラスで一番背の低い峰田が、泥花を責めるように見ていた。
「……私が何かしたか?」
「お前、何だその格好! 折角の岩繰っぱいを隠して、もっと素肌とライン晒せよォ!? ほら、そこの八百万を見習っ──」
最後まで言い切る前に、峰田をピンク色の鞭のようなものが吹っ飛ばした。
鞭の延びてきた元に視線を向けると、それは蛙吹の舌だった。
「セクハラよ峰田ちゃん」
少しして、やや遅れて緑谷が到着したところで、オールマイトが皆に声をかける。
「いいじゃないか皆、カッコいいぜ!!」
そう言って、オールマイトは今回の訓練について説明を始めた。
彼曰く、市街地演習よりも二歩先に踏み込んだ屋内での対人戦闘訓練だという。
「ヴィラン退治は主に屋外で行われるが、統計で言えば屋内の方が、凶悪ヴィラン出現率は高いんだ」
テレビなどで特集されるようなヒーローの活躍は、派手に個性を使った屋外での戦いが多く取り上げられる。
それは視聴率を稼ぐ目的では正しいが、それはヒーローの活躍の全てを映しているわけではないということだ。
「監禁・軟禁・裏商売……このヒーロー飽和社会、真に賢しいヴィランは
訓練の形式はヒーロー組とヴィラン組に分かれて、二対二の屋内戦を行うという。
基礎訓練もない時点での、生徒の基礎を知るためのものでもあるという。
「勝敗のシステムはどうなります?」
「ブッ飛ばしてもいいんスか」
「分かれるとは、どのような分かれ方をすればよろしいですか」
「このマント、ヤバくない?」
「んんん~~~聖徳太子ィィ!!!」
一度にきた大量の質問に悶絶するオールマイト。
彼は気を取り直して、懐からカンペを取り出して説明を始める。
彼の説明によると、ヴィランがアジトに核兵器を隠していて、ヒーローはそれを処理しようとしているという、実にアメリカンな状況設定だ。
ルールとしては、
・ヒーローは制限時間内にヴィランを捕まえるか、核兵器を回収すること。
・ヴィランは制限時間まで核兵器を守るか、ヒーローを捕まえること。
・コンビと対戦相手はくじで決める。
この三つだそうだ。
「俺たち21人ですけど、一人あぶれませんか?」
「いい質問だ! そこで、くじであぶれた子を除いた全員でもう一回くじを引いてもらう」
そう言う彼の手には、もう一つのくじが入った箱があった。
曰く、この中から当たりを引いた三人で対戦をすることになるらしい。
泥花はくじを引いた。其処には、Kの一文字があった。
ぐるりと回りを見るが、同じKの文字が入った番号は無かった。
どうやらあぶれたのは自分だったようだ。
※泥花のヒーローコスチュームについて
まんまゲーム中のあれ。
材質だとか機能だとかは詳しくわからないので捏造気味です。
あのケーブルというかチューブというか、あれってなんなんでしょうね。
オリ主加えてA組21人で書くと、この戦闘訓練のチーム分けが一番難しくなりやすい気がする。
因みに、泥花はこういう屋内戦が割りと苦手だったりします。土がないもんね。
ん? おや、そこにコンクリートの破片が……。