大分待たせてしまって申し訳ない。
これには深いわけがありまして……、ええ、狭間の地で王になる為に死につつ、友人に薦められたゲームが面白すぎてハマってしまい、第一世界を救ったばかりです。
「shadowbringers」は名曲、はっきりわかんだね。
あ、tiamatで黒渦団コスor帝国兵コスの褐色メスッテがいたら私です。宜しくね。
戦闘訓練の最初の一戦は、緑谷と麗日のAチームがヒーロー側、爆豪と飯田のDチームがヴィラン側だった。
序盤はビルに侵入した緑谷たちを単独で動いた爆豪が奇襲し、緑谷が爆豪を引き付けて麗日が“核兵器”の確保に向かった。
その後、個性を使わずに体術のみで立ち向かう緑谷と爆豪の戦いは苛烈を極め、遂には爆豪が爆破の個性を使ってビルが半壊しかける程の破壊力の攻撃を行い、オールマイトの警告を受ける事態になった。
それでも爆豪は爆破の個性と体術で緑谷を一方的に追い詰めるが、しかし、最終的には緑谷と麗日がそれぞれの個性を活かした連携プレーによって“核兵器”を確保したことで、初戦はヒーローチームの勝利で幕を閉じた。
そして、モニタールームには個性を使った反動で保健室に運ばれた緑谷を除いた全員が集まり、一連の戦いの講評をする運びになった。
「まあつっても、今戦のベストは飯田少年だけどな!!」
オールマイトの評価に飯田は驚いた様子だった。
他の生徒も勝った側の緑谷と麗日のどちらかがMVPではないのかと疑問に思っていた。
「何故だろうな~~~? わかる人!!?」
オールマイトが問いかけると、八百万が挙手をして答える。
彼女は先ず、私怨丸出しで独断で行動した挙げ句、大規模破壊攻撃を行った爆豪と、彼と同じように大規模破壊攻撃を行った緑谷。そして中盤の気の緩みと最後に乱暴な攻撃を行った麗日のミスを指摘した。
そして、だからこそ冷静かつ的確に動き、ちゃんと“核兵器”という想定を守って行動をしたことが飯田が評価される理由だと説明した。
八百万の述べた講評に、オールマイトは親指を立てて肯定した。
「常に下学上達! 一意専心に励まねばトップヒーローになどなれませんので!」
当然とばかりに八百万は胸を張っていたが、泥花の目には、オールマイトが言いたいことを全部言われた人の顔をしているように見えた。
……
続く第二戦は、爆豪と緑谷によって破壊されたビルから場所を移して行われた。
半身を氷で覆ったコスチュームの轟と両腕に二本ずつ触手を生やした障子がヒーローチームになり、太い尻尾の生えした柔道着の尾白と透明ゆえにブーツと手袋以外に何も身に付けていない葉隠がヴィランチームとなった。
開幕、障子が触手の先端に耳を複製し、尾白と葉隠の位置を偵察したのも束の間、轟がビルを一瞬で丸ごと凍結させ、尾白と葉隠が行動不能になり決着した。
地下のモニタールームすら伝わってくる寒さに、泥花は自分のヒーロースーツに備え付けられた温度調節機能に感謝した。
「ず、ずるいぞ岩繰……」
比較的薄着の上鳴や切島が訴えてくるが、そういうコスチュームをリクエストをしたのは自分だろうに、と泥花は思った。
その後も、それぞれが個性を活かして戦い抜き、漸く泥花の番が来た。
「さあ、保健室の緑谷少年を除いた全員でくじを引いてもらうよ!」
オールマイトが緑谷の分を抜き、改めてくじが引かれる。
その結果、プラグのような耳たぶが印象的な耳郎が泥花とともにヒーローチームとなり、障子と逆立てた赤髪が特徴的な切島がヴィランチームとなった。
「映像越しで多分知ってると思うけど念のために言っておく。ウチの個性は『イヤホンジャック』。耳のプラグを壁とかに刺して音を探知したりとか色々できる」
そう言いながら、耳郎は自分の耳のプラグを指し示す。
「……私の個性は『泥岩操作』という。平たく言えば土や岩を自由に操れる」
試しとばかりに、泥花は足元の土を操作して小さなゴーレムを作ってみせた。
「それで、作戦はどうするの?」
「先ずは耳郎が大まかな位置を示してくれればいい。そうしたら私と友人たちが正面から陽動を兼ねるから、その隙に“核兵器”を確保してほしい」
「だったら、障子と切島のどっちかは拘束した方がいいんじゃないの?」
「確かに、恐らく障子は“核兵器”の側でレーダー役に徹している可能性が高い。そうなると、拘束しやすいのは前に出てくる筈の切島になるな。それでいこう」
切島の個性は『硬化』という。文字通り、自身の肉体を硬化させる単純かつ強力な個性だ。
純粋な防御力は元より攻撃面でも有用だが、一瞬で周囲を凍らせる轟のように、複数の相手を一度に倒すことはできない。
その点、泥花は最大で五体のゴーレムによる数的有利を確保できる。自分も掌サイズのゴーレムを使って偵察を行えはするが、今回は耳郎に任せて、自分は戦闘に専念することにした。
「では、行くか」
事前に五体のゴーレムを作り上げ、ビルに入る。
列は前に三体のゴーレムを配置して四番目に泥花自身が入り、五番目に耳郎。その後ろを二体のゴーレムが不意打ちを警戒しつつ、耳郎の護衛を努める。
耳郎が壁にプラグを打ち込み、切島と障子の位置を把握していく。
暫く進むと、“核”が置いてある部屋より手前の廊下で、切島が待ち構えていた。
「悪いが、ここは通さねぇぞ!」
個性により全身を硬化させた切島が構える。
廊下は横に狭く、二人が横並びになって通れる程度しかない。
泥花のゴーレムは身長が二メートル程もあり、横幅も異形型を除いた平均より大きい。
ゴーレムにとって身動きのし辛い狭い廊下は、成る程数の有利という泥花のアドバンテージを潰すにはいい判断だ。
「耳郎、内部の間取りは把握しているか?」
「え、う、うん」
「そうか、なら──」
そう言うと、泥花は手にしていたスレッジハンマーを振りかぶり、横の壁を殴り割った。
音を立てて崩れたコンクリートの外壁の向こうは、家具が数点置かれただけの部屋のひとつだ。
「其処から索敵で“核”のある部屋まで最短距離で行け。道は後ろの友人二人が作る」
「岩繰はどうすんの?」
「切島を足止めする。場合によっては捕縛し次第、そちらの援護もするつもりだ」
ゴーレムたちの前に出てスレッジハンマーを構え、切島に意識を集中させる。
「岩繰、頼んだよ!」
ゴーレム二体を連れて核に向かった耳郎の声を聞きながら、泥花は切島に語り掛けた。
「……それで、数的には此方が有利だが、大人しく降参してくれるか?」
「全ッ然! 俺は負ける気しねぇぜ!」
切島が両腕を硬化させて構える。
それを見て、泥花は両手のハンマーを握る力を強めた。
……
先ず先手を打ったのは、切島だった。
「先手必勝──!」
泥花に向かって突撃し、硬化させた腕で殴り付けるが、泥花はそれをハンマーの面で受けた。
「お前の個性『硬化』は防御力に優れるが、突破力と制圧力に欠ける。特に、私と友人たち相手にはな」
スレッジハンマーは泥花の出した要望の通り、兎に角頑丈さに重きを置いている。
それこそ、耐久テスト『オールマイトに殴られても大丈夫なレベル』などと書いたものだから、一部の変態の技術者魂に火をつけたらしく、まだヒーローの卵にすぎない泥花に持たせるには充分以上の代物が仕上がったのだが、それを本人は知る由もない。
「降参した方がいいと思うが──」
「それ言われて諦めちゃ、漢じゃねぇだろ!」
「……まあ、そう言うだろうな」
泥花が振りかぶったハンマーで横合いに殴り付けるが、切島は殴られた部位を硬化させて耐える。
「効ッ…かねぇ!」
無論、直接的なダメージはないが、発生する衝撃は内部にダメージを伝える。それを直感的に理解した切島は、守勢から攻勢に策を切り替え、硬化させた両腕で休みなくラッシュを仕掛けた。
「沃土よ、巌よ、盾となれ」
泥花がラッシュを捌いて後ろに下がり、それと同時にゴーレムの内の一体が交代するように前に出る。
「このまま、何もっ、させねぇ!」
切島の猛攻は表面を削りこそすれど、ゴーレムは全く動じない。お返しとばかりにカウンターで正面から殴りかるのだが、硬化した切島には全く効果がない。
「相性悪いなコレ、泥仕合もいいトコだろ」
モニターの向こうの瀬呂が言った。
彼の言うとおり、切島の個性は防御力の高さを活かしたタイマンが強みだ。そしてそれは、泥花のような数の有利を作れる個性とはすこぶる相性が悪い。
「どうにかしてゴーレムを突破しねェと、ジリ貧だぜ」
眉をひそめて砂藤が言う。
彼の個性も単純な肉体強化のそれであり、泥花との相性が悪いことに気づいたからだ。
(岩繰のゴーレムは動きが遅い。ここは障子に加勢して耳郎を捕まえるか?)
切島は頭の中で一瞬考え付くが、しかしすぐにその考えを振り払った。
(いいや、個性把握テストで出した腕がデカいゴーレムといい、恐らくデカさも形も自由に出来るハズ)
もしうごきの早いゴーレムで追いかけられでもしたら、逆に挟み撃ちになるのは此方側だ。
「──なら、正面から倒すしか無ぇ!」
よりラッシュの猛攻に勢いをつける。
動きの遅いゴーレムに比べれば、早さのアドバンテージは切島にある。
何度も何度も殴るうち、次第にゴーレムの身体に罅が入っていき、遂にはゴーレムの胴体が砕けた。
「砕けた…!」
「回数によるダメージの蓄積、この点では切島君が上回ったか!」
そのまま泥花に速攻をかけるべく前に出る切島。
残る二体のゴーレムも、動きの遅さを突いて一体の股下を潜り抜け、残る一体も同じ要領で突破する。
硬化した拳の連打をハンマーで捌く泥花だが、其処は徒手空拳と得物持ちの差が表れ、手数に勝る切島に軍配が上がった。
「らァッ!」
「っ……!」
切島の渾身のストレートが 泥花のボディに刺さる。
「決まった……!?」
「うわっ……、エゲツネェな今の」
モニタールームの面々も切島の逆転勝ちを想起すると同時、泥花を心配するが、
「……掛かった」
泥花が切島の腕を掴んだ。
「土よ、捕らえる牢となれ」
泥花が言葉を紡ぐと同時、切島の後ろのゴーレムの形が崩れ、歪な五指の手の形になって切島に覆い被さった。
「何だコレ、動けねえ……!?」
巨大な手はそのまま硬化し、切島を捕らえる。
「最近遊んでいるゲームでこういう敵がいたから、応用してみたんだ。まだ人の形から離れきれていないが、こういうこともできる」
「クソッ……」
そのまま泥花は拘束の上から切島に捕獲テープを巻き付け、そのまま耳郎の加勢に向かった。
……
「すまない、遅れた」
「岩繰!」
障子は核兵器とともに最上階の一室で待ち構えていた。
意外なことに、先行していた耳郎とゴーレムを相手にして尚、障子は複製腕を活かして核兵器を守りきっていた。
「……岩繰が来たということは、切島は負けたのか」
「ああ、これで此方はゴーレムと併せて四対一だが、どうする?」
「無茶かも知れないが、やれるだけ抵抗させてもらう」
二対の触手の内、一対の先端から腕を生やし、もう一対から耳を生やす。
索敵などのサポートに限らず、複数の拳を活かした格闘戦も出来るのが障子の強みだ。
「ふッ……!」
泥花がハンマーを振るう。
それを障子は避けるが、そこに二体のゴーレムが襲いかかる。
「最優先すべきは耳郎の牽制……!」
障子にとって、最も危惧すべきなのは動きの遅いゴーレムや泥花ではなく、耳郎に核兵器を確保されることだ。
そのために一対の触手使って耳を複製し、耳郎を索敵することに専念させる。
「くっ……!」
しかし、やはりそれでも対応できる数には限りがある。
耳郎が核に触れないように牽制しながら、泥花とゴーレム二体を捌く……複製腕の個性で以てしても、消耗する体力と集中力にはやがて限界が訪れる。
「そこっ!」
耳郎に気を意識を向けた隙を、泥花のスレッジハンマーが捉えた。
「……降参だ」
複製腕ごと両手を上げて降参を宣言する。
こうして、泥花たちヒーローチームの勝利で戦闘訓練は幕を下ろした。
戦闘訓練(オリジナルパート)が難産でした。
現を抜かしすぎだろとお思いでしょうが正にその通りです。
ガンダムの新作アニメが発表されて花譜ちゃんの高校卒業に感極まる私……!
次はなるべく早く投稿できるように頑張りますのでお願いします。