泥岩少女のヒーローアカデミア   作:中澤織部

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超スーパーウルトラお待たせしました。
遅筆を通り越してアカン気がする私です。
言い訳をさせてもらうと、アーマードコアの新作の発表とその他もろもろ、そしてアーマードコアの新作!

いや許してくださいおねg(ry


岩繰泥花と委員長決め、そして雌伏し蠢く者

戦闘訓練の翌日、登校中の泥花が校門の手前まで来たとき、一人の生徒に呼び止められた。

視線を向けると、其処には二日めのの学食で相席した紫髪の男子生徒が立っていた。

 

「お前は……、えぇと、確か普通科の……」

 

「心操だ。心操人使」

 

「そうか、心操か……うん、覚えた。……ところで、心操は何故私を呼び止めたんだ?」

 

「それはその、──ほら彼処、マスコミがいるだろ」

 

少し言い淀んだ彼が指し示す方を見ると、校門の前で機材を揃えたマスコミが、登校中の生徒を次々に捕まえては質問攻めにする光景が見えた。

 

「オールマイトが教師になったって、ニュースでも話題になってただろ? それに昨日、一年のヒーロー科がオールマイトの授業を受けたって噂があったからさ。あんたヒーロー科だったよな」

 

「むぅ……それは、確かに」

 

たまたま見かけた此方を気遣ってのことだろうか。それは泥花にとって、とても有り難かった。

基本的に泥花は大人しい。というよりも、あまり自発的に騒いだりしない性格だ。

それこそ、テレビのインタビューなどでマトモに受け答えできる自信がないくらいにである。

ヒーローの卵としてそれはどうなんだ、と泥花も自身でそう思いもするが。

 

「タルラなら、それでも整然としていられたのだろうが」

 

泥花は大学とともに施設を卒業した、皆の姉のような立場だった女性を思い浮かべる。

確か大学卒業後は同志とともに起業すると言っていような、と考えるが、残念ながら彼女は此処にはいない。

面倒だな、と思っていると、校門に出てきた相澤がマスコミに対応しているのが見えた。

 

「相澤先生か」

 

「あれ先生なのか? 入学式にはいなかった気るけど、もしかしてあんたの担任か?」

 

「ああ、あの人が止めている内に行こう」

 

そう言って、泥花と心操の二人は急いで相澤の横会釈しながら通りすぎる。直後、背後で壁が競り上がる。

それが記者たちから「雄英バリアー」と呼ばれる防犯・防衛用の設備であることを、泥花が知ることになるのは後々のことであった。

 

 

……

 

 

心操と途中で別れ、教室の席に泥花が着いて少しあと、相澤がHRの時間にやって来た。

彼からは開口一番、昨日の戦闘訓練のVTRと成績を見たことと、それから爆豪や緑谷などの何名かに対して注意をした。

特に、訓練にも関わらず個人の私情を優先したことと、保険医のリカバリーガールの存在に甘えた自傷前提の戦い方には特に苦言が呈された。

 

「さてHRの本題だ。急で悪いが今日は君らに……」

 

また抜き打ちの臨時テストか? と身構えるA組。

 

「──学級委員長を決めてもらう」

 

「学校っぽいのきた───!!」

 

至極普通の内容に安堵のため息が出るのと同時に、こぞって立候補しようと手を挙げる。

 

「委員長!! やりたいですソレ俺!!」

 

「ウチもやりたいス」

 

「オイラのマニュフェストは女子全員膝上30cm!!」

 

同じ雄英高校でも普通科などだと雑務の扱いで希望者が出ないように思えるが、ヒーロー科では皆を導くトップヒーローの素地を鍛えられる手前、希望者が多いのだ。

 

(とはいえ、私はあまりやる気が起きないのだが)

 

皆よくやろうと思えるな、というのが正直な感想だ。

泥花は、あまり大勢を仕切ったり導くなどというのはあまり得意な類いではない。こういうのは適材適所にすべきだと考えているし、やりたい人がいるならそれで良いと考えている。他に人がいないなら、その時は自分がやろうというのが彼女の考えである。

 

「静粛にしたまえ!!」

 

飯田が声を上げる。

 

「多を牽引する責任重大な仕事だぞ。やりたい者がやれるものではないだろう!」

 

飯田の説得に泥花は内心で頷いて同意する。

何事にも向き不向きというものがある。戦闘に向いた個性のヒーローが、無理にレスキューで手柄を上げようとして思いもよらない事故を起こすこともある。責任力の足りない若手ヒーローが無茶をして大怪我を負うこともりとよくあることだという。

 

「周囲からの信頼があってこそ務まる聖務、民主主義に則り真のリーダーを皆で決めると言うのなら……ここは投票で決めるべき議案!!」

 

「そびえ立ってんじゃねーか! なぜ発案した!?」

 

良いことを言った飯田ではあるが、勢いよく挙手された右手のせいで台無しである。

 

「日も浅いのに信頼もクソもないわ飯田ちゃん」

 

「そんなん皆自分に入れらぁ!」

 

「だからこそここで複数票を取った者こそが、真にふさわしい人間ということにならないか!?」

 

皆の反論に飯田はそう力説する。

飯田は相澤に確認をとるが、

 

「時間内に決めりゃ何でも良いよ」

 

と、彼は寝袋に収まったまま任せることにしたらしい。

 

(さて、どうしたものか)

 

配られた投票用紙を前に、泥花は考える。

順当に考えていけば、皆が皆、揃って自分に票を入れるのはわかる。

 

(となると、私の票が決め手になるか……)

 

ただやりたいだけの者より、そのやる気に相応しい者に任せる。

泥花は視線だけで教室の全体を見回すと、投票用紙に自分ではない名前を記入した。

 

 

……

 

 

「僕、三票ーーーー!?」

 

投票の結果、他よりも多くの票を獲得した緑谷が委員長に、次いで八百万が副委員長に決まった。

 

「い、一票だと……!? だ、誰かが入れていくれたというのか……!」

 

「自分は他にいれましたのね……」

 

「お前もやりたがってたのに……何がしたいんだ飯田」

 

震えながら悔しいのか嬉しいのか判りづらい表情で感極まる飯田に皆が突っ込みを入れる。

 

「まあ、緑谷もなんだかんだアツイしな!」

 

「八百万は講評の時のがかっこよかったし」

 

(ああまで力説して自分に入れなかったのか、飯田は)

 

泥花は投票の無かった名前とを比べて、飯田が緑谷か八百万に入れたのであろうということを察した。

 

「しかし、一体誰が……?」

 

飯田がクラスをキョロキョロと見回している内に、チャイムが鳴った。

 

 

……

 

 

昼休みの時間、昨日と同じように食堂で、泥花は心操と同じテーブルにいた。人が混み合っている状況で、多少は見知っている相手と同席した方がいいと考えた結果だった。

メニューは担々麺と餃子のセット、太麺が花椒の効いたスープをよく絡めていて、餃子も絶妙な焼き加減で大変美味だ。一方で、向かい合っている心操の方は唐揚げ定食を頼んでいた。

ゴロゴロとサイズのあるカラリと揚がった唐揚げがこれでもかと皿に乗せられている。

多少は顔見知りとはいえ、気心が知れている仲という訳でもないため、黙々と箸を進める。

麺を平らげ、最後の餃子に箸をつけようとしたタイミングで、心操が話しかけてきた。

 

「……ヒーロー科なら、やっぱ強い個性なのか?」

 

「ん?」

 

「あぁ、いやアンタはヒーロー科だろ。だったら個性もヒーローらしい派手で強いやつなのかってさ」

 

「私の個性、か? 岩や泥土を操れる『泥岩操作』だが」

 

「へぇ……、やっぱ強ぇ個性なんだな。羨ましいよ」

 

その、どこか自分を卑下するような心操の言い方にムッと来るところがあったからか、泥花は思わず問いかけた。

 

 

「……そういう心操はどうな──」

 

 

そう追いかけた時、突如として雄英高校の構内にけたたましい音が鳴り響く。

流れてきた校内アナウンスからは《セキュリティ3》が突破されたとの情報が流れ、それを聞いた普通科やサポート科等の生徒がパニックを起こす。

 

「先輩方、セキュリティ3ってなんです……!?」

 

「校内に誰かが侵入したってことだ! お前らも早く避難しとけ!」

 

心操の問いかけに対し、急ぐ目付きの悪い禿頭の三年生が答える。

周囲の生徒たちもまさかの緊急事態に混乱しているのか、食堂は酷い有り様だ。

 

「おい、アンタも──って、うわ!?」

 

一緒に逃げるように振り向こうとした心操を、泥花が両腕で抱え挙げる。

大混乱の人混みの中で、泥花の両の掌の上に乗った心操は酷く目立つが、状況もあってそれに注視するのは直ぐ側にいた禿頭の三年生と他数人程度だったのが幸いと言うべきか。

 

「ちょ、待てアンタこれはっ」

 

「人混みが酷い。避難するならこうした方がいいだろう。危険だからな」

 

そう言って軽々と心操を持ち上げた泥花は、避難しようとしつつ、人混みに見知った顔を見つけた。

 

「む、飯田か」

 

「あっ、い、岩繰君……誰だねその上の人は!」

 

「彼は心操だ。お前も乗るか……?」

 

「い、いやそんなことより、侵入者はただのマスコミだった! それを皆に伝えないと! 麗日くんは……!?」

 

大袈裟な身振り手振りで伝える飯田。どうやら麗日が必要らしく、岩繰は回りを見回し、人混みの中からその姿を見つける。

 

「心操、麗日を引っ張り上げれないか?」

 

「あ、ああ。俺の個性を使えば……」

 

わずかに躊躇を見せる心操。その態度は泥花もよく知っている、己の個性をよく思わない者の姿だった。

 

「──頼む」

 

泥花は真っ直ぐ正面から心操に頼んだ。

 

「──解った。おい麗日、こっちに!」

 

「えっ、なに、誰──」

 

心操の声に反応した麗日だったが、操られるようにぼんやりとした顔で個性を使い、泥花たちの元に飛んで来る。

 

「ちょっと刺激を与えれば元に戻る!」

 

言われた通りに少し頬を叩けば、直ぐに意識を取り戻した。

 

「わっ、何、泥花ちゃん! それに飯田くんと……えっと誰?」

 

「そのリアクションはもういいから……」

 

うんざりした調子の心操を横目に、飯田が麗日に提案する。

 

「突然だけど麗日くん、俺を浮かせてくれ!」

 

そう言って麗日に浮かせてもらった飯田は脚のエンジンを吹かし、ぐるぐると高速で回転しながら出口の上の壁面に非常口マークよろしくぶつかって止まる。

 

「大丈──夫!! ただのマスコミです! 何もパニックになることはありません!」

 

腹の底から出すような大きな声と、そのビジュアルが注目を引き、混乱は次第に治まっていく。

 

「ここは雄英! 最高峰の人間に相応しい行動を取りましょう!」

 

彼の活躍によって食堂の混乱は終息し、窓の外を見れば、警察の到着によってマスコミは撤退するようだった。

 

「なんとかなったな」

 

「……そうだな」

 

ふぅ、と息を吐く泥花とは違い、心操は何処か落ち着かない様子だった。

 

「そうだ心操、お前の個性についてなんだが」

 

ビクッ、と心操の肩が震える。

 

「──いい個性だな。お陰で助かった」

 

「……そ、そうか」

 

そう笑みを浮かべて告げると、気恥ずかしそうに頭を掻く心操に、更に声がかけられる。

 

「有り難う岩繰君に心操君、お陰で助かったよ!」

 

そう言って不思議な手の動きをしながら、飯田からかけられた言葉に、心操は何処か嬉しそうな顔をしていた。

 

 

……

 

 

その日の午後の授業、他の委員決めをする冒頭。

委員長の緑谷からの指名により、飯田が新しく委員長になった。

彼を含めて食堂には泥花を含めてA組のメンバーも居て、それに賛同する。

こうして新しく委員長が決まった裏で……。

 

「ただのマスコミがこんなことにできる?」

 

雄英高校の門の一つ、その前に教師陣が集まっている。

彼らの前には雄英バリアの作動した門と、破壊されたその残骸があった。

 

「そそのかしたものがいるね……」

 

一際小柄な姿が呟く。彼は雄英高校の校長の根津だ。

 

「邪な者が入り込んだか、若しくは宣戦布告の腹積もりか……」

 

重苦しい空気の中で、紡がれる根津の言葉に、しかし答える者はいなかった。

 

 

……一方、夜も更けた路地裏。

 

「フン、つまらん」

 

ヒュパッ、と瞬く間に振られた剣閃が、街の明るさの届かぬ暗闇に走る。

振り抜かれた剣筋は凶悪な顔つきのヴィランの胴を切り裂き、肉体とともにその命をあっさりと断った。

絶命して地に伏したヴィランに、下手人はただの一別もくれない。

路地裏の壁に貼られた手配書には、倒れたヴィランの顔写真とともに、彼が述べ十数人を殺害した凶悪犯であるという情報が記されていた。

 

「コイツも、狩りの獲物としては弱すぎる……」

 

そう口にした長身長髪の男は、刀についた血を払うと、腰に提げた、二本のリボルバーのように収納した大きな筒に収める。

 

「やはり、俺を愉しませるには其処らのヒーローやヴィラン如きでは足りん」

 

そう言って、男は鋭い目を瞬かせながら、闇に消えていく。

 

「英雄の卵に、オールマイト……至上の狩りを求めるには、アレの誘いに乗るのも一興か」

 

そうして男が消えた路地裏には、一人の凶悪だったヴィランの物言わぬ死体だけが残されていた。

 




最後の謎の男……一体ナニモノナンダ(棒)
恐らく一部の人にはモロバレな人です。
まあ、そんなことよりも、こんな遅筆を通り越した駄文ですが、お付き合いくだされば幸いと思います。
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