C.E.に転生した男がとにかく生きようと奮闘する話   作:QAAM_M1911

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駆け足気味かも。


戦禍の傷痕

「地上の戦闘はまだか…着地点参照、誤差を30km以内に修正。この距離なら…」

 

『まだ網に掛かっていない、だが早めに降りてくれ。』

 

冷却ジェルを展開し、大気圏へと突入する。

 

「砂漠の虎もやられてるんじゃ相当奴ら腕を上げてるな。よくイザークもディアッカも生きてるな。まぁ死んでるようじゃ赤とはいえねぇか。」

 

重力の恐怖を振り切るように、俺は一人で言葉を紡ぎ続ける。腹の底がスッと締まる思いだ。

 

「ったくこの重力…重いな。地上用のOSインストール完了、あとは天に祈るのみか。無宗教だけど。」

 

そう言って俺は大気を切り裂きながら、地上へと向かった。

 

「…作戦が丁度始まったか。安全高度まで60。カウント後作戦に参加する!」

 

『定刻通りだな、流石だ。足付きを特定、戦闘に参加してくれ。』

 

そう言うと、俺は4機と共に足付きを目指した。

 

 

 

「レーダーに反応!機数は3…いや4!」

 

「機種特定!Gです!」

 

「何だと…網を張られていたのか!?」

 

アークエンジェルの艦橋はざわめき立っていた。だが場数を踏んだからか、それぞれが各々の仕事を始めた。

 

「対MS戦用意!逃げ切れれば良い、厳しいとは思うが」

 

「え…MSをもう一機確認!空から…!?」

 

「何!?機種を特定せよ!」

 

「やってます!ッこれは…ジンハイマニューバ・アサルトの改造機です!」

 

『おいおい、Gよりやばいの久々に来ちゃったわけ?』

 

「慌てるな!いつも通りにすれば良い!」

 

 

 

「よう、生きてんなお前ら?」

 

「来たかヘキサ!」

 

「それより任務だ、本丸を狙う。相手の迎撃機は?」

 

「ストライクにファイターが2機だ。ッ撃ってきたか、散開しろ!」

 

「まだ俺は戦闘に参加出来ねぇ、焦んなよ!」

 

「んな事言ったって…うわっ!?」

 

「このっ…うわぁッ!?」

 

一瞬の出来事だった。自由に機動戦が出来ないはずのストライクにディアッカとイザークが立ち所にやられてしまった。どちらもグゥルの損失だけだが、今の戦線に参加は厳しいだろう。

 

「ディアッカ!イザーク!」

 

「やる様になりやがったか、ストライク!砲撃戦仕様でよくああも動く!」

 

足付きが雲海から現れ、ストライクがその上にたどり着く。そして、ファイターに搭載されていたパックを受け取って空中で換装してしまった。

 

「機動戦仕様か!危ねぇぞ、下がれ!!」

 

「くそ、コイツ!」

 

「そいつで接近戦は無茶だ!ニコル!ファイター来てるぞ!」

 

「えっ…うわあああ!?」

 

「機体を左に動かせ!」

 

「くっ…」

 

一呼吸遅かったか、ブリッツの右腕が切り落とされる。そしてグゥルが奪われた。

 

「アスラン…大丈夫そうだな。ニコル、ミラージュコロイドで奴の後ろに回ってくれ!地上に降りたぞ!接近専用パックだから注意しろ!」

 

「はい!」

 

「アスラン、聞こえてるか!おい!パワーもうなくなるだろ!おい!!」

 

「くっ…しまった!」

 

「アスラン下がって!!」

 

「おい、ニコル!?」

 

ランサーダートを手にフェイズシフトダウンしたイージスを庇うようにしてニコルが姿を現した。

 

「カウント3、2、1…行けるか!?」

 

自由落下に身を任せて、急加速したジン。あのままではまずい、カウンターを貰うし当たっても大した傷をつけられない。

 

「歯ぁ食いしばれ、ニコル!!」

 

「えっ…」

 

ビームの刃がブリッツのコックピットを少し溶かした瞬間、ジンの足がブリッツの頭を蹴飛ばした。

 

「ぐっ…あああああああああああああ!!?」

 

「ニコル!?」

 

「アスラン!ニコルを連れて下がれ!!早くストラトスに乗れ!足付きは俺がちょっかいを出す、その後に合流だ!!一瞬がニコルの命取りになる!」

 

「ッ…分かった!」

 

「ディアッカは俺の支援を頼む!ウジウジすんじゃねぇぞ。イザークは二人の護衛!怪我人を頼んだ!」

 

「ッああ!」

 

「ストライク…あいつの落とし前、付けさせて貰う!!」

 

そう言って、俺はショットガンを手にストライクに突っ込んだ。ろくに武器がない状態では、そうそう攻撃できまい。と思ったがまだバルカンはある。それに足付きからの援護射撃もある。

 

「ディアッカ、ストライクは撤退する。足付きをやるぞ!対空機銃をお願い出来るか!?」

 

「任せろ!」

 

ストライクを追って、俺は足付きの前面につける。俺に照準を合わさせればディアッカが落ち着いて狙撃できる。

 

「よっし、下のやつはやったぜ!」

 

「ナイス!したから食うか!ッ護衛機がうるさいな!あれは…鷹か!動きが鋭い!」

 

どちらの練度も上がってきた、ともなればブランクのある俺では役者不足か。

 

「チッ、ディアッカお手上げだ。撤退するぞ。」

 

「おいおい…ニコルの仇討ちが」

 

「アイツは死んでる筈ねぇ!それにここでまごまごしてたら今度は俺らが死ぬ番だ!」

 

「…ッ分かった。」

 

「…ックソッタレが!」

 

ただ、俺はその場を去る事しか出来ない。今帰らなければ、そのまま地獄への片道切符になってしまうからだ。

 

 

 

「クソ、クソオオオオオ!!なんでアイツが足を!あんな奴らに足を奪われなければ!!」

 

「…俺の突入が遅かった。クソ…」

 

「…お前はのうのうとそう言って!!」

 

「よせイザーク!むしろヘキサが来なきゃニコルは死んでいたんだ!」

 

「…いい、ディアッカ。俺だって非が多い。」

 

「…ヘキサ。」

 

「ックソォ!」

 

「…行こうぜ。ニコルの仇、どう討つか考えよう。」

 

俺とディアッカ、イザークはそのままロッカールームから退出した。アスランはそのまま留まったが、俺はなにも言えなかった。

 

 

 

「…足付きが見つかったって?」

 

「あぁ、今小島に差し掛かるところらしい。襲撃には絶好のポイントだ。ニコルは…どうなってる?」

 

「一先ずは落ち着いた、命は何とか助かったと見ていい。今度のシャトルでブリッツ共々宇宙に上げるとよ。まぁ…ピアノは弾けるようで何よりだな。孤児院でピアノを弾くって約束、後は俺が死ななけりゃいいな。」

 

「…今、そんな話するのはやめにしようぜ。」

 

「…そうだな、悪かった。」

 

ディアッカに誘われ、俺はジンに乗り込んだ。

 

 

 

「…ジンHMAS/AA、ヘキサ・ラプトリオ。出撃する!」

 

機体が潜水艦のカタパルトから打ち上げられ、背中のウィングを展開する。俺の機体はこうして浮遊できるためグゥルは不要だ。他の3機は…うん、良い感じだ。皆が程よく冷静だ。

 

「全機、もうこの際コンビネーションだとかどうでもいい!好きに暴れろ!俺が出来る限りフォローに回る!」

 

「そりゃ嬉しい事で!」

 

俺はあれと真正面から戦うのは無理に近い。皆のフォローに回るのが賢明だろう。それと鷹と船の方を優先する意味もある。

 

さて、ハルコンネンが無くなったからと言って特殊弾頭が搭載出来なくなったわけではない。両肩部上方に二発ずつ、計四発の特殊弾頭を搭載出来る様になった。鷹と追いかけっこ、しましょうかね。

 

「久しぶりだな、鷹!隊長の相手ばっかで神経やられてるだろ?俺とやってリフレッシュしようぜ!」

 

そう言ってファイターの後方へと回り込んでガトリングを乱射する。回避を見てからその先にショットガンを置いておく…が、それを見越したのか弾幕の間を縫って逆方向へと回避された。

 

「早いな!だが、これは避けられるか!?」

 

SASMをロックし、ファイターに向けて発射する。空中短距離炸裂弾。鷹とはいえこれを避けられるとは思えないのだが…パッケージを盾にしてやり過ごしたか。

 

「っと危ねぇ!」

 

急旋回した鷹がこちらにビーム砲塔を向け、発射。シェーレで問題なく防ぐが、同時にミサイルが着弾。シェーレが使い物にならなくなった。

 

「ッ流石にエース!巧いな!」

 

これで近接戦闘手段が無くなったわけだが、問題はない。元々緊急用だ。

 

「…そっちはどうだ!」

 

「船をボコボコにしてるよ!」

 

「ならよし!集中的に砲門を叩け!!」

 

そう言うと俺も戦艦に砲撃をする。主砲と副砲らしきレールガンを破壊、一番左のエンジンに至近弾。SASMなので使用出来ない程の損害は与えられた。

 

「…ッイザーク!被弾したぞ、大丈夫か!?ディアッカ!」

 

「くっそ…ッ」

 

「戦闘継続は無理そうだな…懸架する、掴まれ!ディアッカ!?」

 

無線は通じない。だがバスターの信号は途絶していない、投降したか。まぁ生きてりゃ良い。コーディネーターなんだから向こうでの扱いはどうなるか分からんが。

 

「…イザーク、こっから行けるか!?あの戦闘機をどうにかする!」

 

「…クソ、情け無い……」

 

「やっぱそんな諦める訳ねぇよな、鷹さんよ!」

 

黒煙こそ吹いているが動きは変わらない。アスランがストライクを追い詰めている今、俺も鷹を撃破する。

 

ショットガンを前方に放ち、上昇する機体に向かいガトリングを放つ。上昇しきったファイターはこちらに機首を向けてビームを放つ。この程度なら別に受けてもコーティングがある為致命弾にならない。だが避けれるもんは避けた方が良い。最後の一手まで取っておくべきだ。

 

「こっちに突っ込んできた時が攻め時…引き付けてから…」

 

弾幕をとりあえず撃ちまくり、動きをパターン化させる。痺れを切らしてこの巴戦をやめた方が負けだ。

 

「…ッ痺れを切らさねぇな、中々!だが、今お前は俺に釘付け…お前が行く前に、アイツがストライクを落とす!」

 

その言葉と共に、通常飛行から急減速して機首をこちらに向けて来た。クルビットか。

 

「だが…これで終わりだ!」

 

ビームと共にバルカンが放たれて俺の機体を叩いた。ビームは防げたがバルカンは無理だ。損害を無視してショットガンを放った。

 

致命弾。コックピットには着弾を確認出来なかったが、鷹は制御を失って墜落している。

 

だがそれと同時に俺は見た。イージスの自爆を。

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