C.E.に転生した男がとにかく生きようと奮闘する話   作:QAAM_M1911

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いつも誤字報告、感想などありがとうございます。


足を喪った者

「…アスラン、応答しろアスラン!」

 

戦艦は墜落こそしているもののまだ武装は稼働している。どの道長居は出来ない。

 

「…クソ、生きてろよお前ら!」

 

そう言い残してこの場を去る。

 

 

 

「…起きたか、ニコル。」

 

「ヘキサ……ッ!?」

 

「ニコル!鎮痛剤あるか!?」

 

「起きたのか?待ってろ。」

 

「ヘキサ…僕は……僕の足は…」

 

「…あぁ、負傷時に無くなった。」

 

「…僕は、どうなるんですか…?」

 

「どうもこうも…退役だ。その足じゃあな……」

 

「ッ……」

 

「…話せる様になったら言えよ。話し相手にはなる。」

 

そう言うと、俺は医務室を出た。

 

「おい!どう言う事だ!何故捜索隊を出さない!」

 

「クルーゼ隊長からの帰投命令も出ています。」

 

「何を…あの2人がそう簡単にやられるか!伊達に赤服を着ている訳じゃない!」

 

「よせよイザーク、命令には従わないといけない。捜索は別の隊が?」

 

「ヘキサ!」

 

「オーブが動いていると言う報告もある。分かって貰えたかな?」

 

「クッ…」

 

 

 

「…すみませんでした、ヘキサ。」

 

「なに、足が無くなったなら発狂もしかねない。よく耐えたな、ニコル。気にはするなよ。」

 

「ありがとうございます。それで…僕に話とは…」

 

「っと、大丈夫か?まだ身体が万全じゃないな…ま、今話さないと理解が遅れるから仕方ねぇ、話すぞ。まず、次のシャトルでニコルとブリッツをプラント本国に帰還させる。ニコル、これから除隊になるが元気でいろよ。」

 

「ブリッツも、ですか?」

 

「それについてはこのビデオテープが説明してくれる。映像を流すぞ。」

 

そう言って、俺はデッキにフロッピーを入れた。

 

『意識が戻った直後で済まないな、ニコル。』

 

「隊長…」

 

『君の乗っていたGAT-X207 ブリッツだが、些か損傷が激しくてね。誰かが強かに蹴った弊害なのだが、内部機構を改造しないと満足に能力を発揮できない状況になった。』

 

「誰かって…まさかヘキサじゃないですよね?」

 

「…言うな、あん時お前死なせない事しか考えてなかった。」

 

『そこで、だ。まだヘキサはGを持っていない。少し後のことになるが、そこの彼にブリッツの改造機を手配させようと思っている。君はそれでも構わないかな?』

 

「…構いません。僕が除隊した後のことですから、余程のことがない限りは異論はありませんよ。」

 

「ここで答えても隊長は返事しねぇぞ。」

 

「あっ…」

 

『まぁともかく、だ。足を失ったとは言え生きて帰る事になれた、君のやりたい事をしておけ。』

 

「そうですね…ありがとうございました、ヘキサ。」

 

「まだ忘れてねえよな、俺との約束。」

 

「孤児院でピアノを弾くって事でしょう?覚えてますよ。」

 

「ま、しっかり治療が終わってからだな。戦争が終わるまで、俺らがどうにかプラント守っとくから、リハビリ頑張れよ。」

 

そう言うと、俺は自分の部屋へと真っ直ぐ引き返した。少し、寝たい気分なのだ。何よりここ数日の連続の勤務と精神的負担で疲れているのだ。ここで働かなくてもバチは当たらないだろう。

 

 

 

「おいヘキサ!貴様はどれだけ寝ているんだ!」

 

「ぐ…イザークか……ええと…ん?ありゃ13時間も寝ちまったか。」

 

「37時間だ馬鹿者!」

 

「やったら腹減ってるとおもったら1日半も寝てたのかよ……飯食うか。」

 

「全く…待機とは言え気を抜きすぎだ!」

 

イザークはプライドも高くていつもこうだが、真面目な奴なんだ。自分の休息を潰して仲間を探そうとするくらいにはな。

 

「ったく、ニコルの出るシャトルはいつ出発なんだ?」

 

「二日後ですね。」

 

「なるほど。それまでに要望をまとめろって訳か。」

 

「ブリッツに搭載する火器ですか…」

 

「ぶっちゃけミラージュコロイドなんていらねぇんだよ。頑丈でよく動きゃそれでいい。」

 

「ヘキサはそうなるでしょうね。とりあえずガトリング取り付けて機動性確保すればいいですもんね。」

 

「その通りなんだが言い方よ。そうなるとブリッツのフレームから改修した方がいいが、まぁそんな時間はねぇ。だから機体からミラージュコロイド関係の隠蔽装置を取っ払う。エンジンもそれに合わせて新型に専用設計を用意して貰ってる。ま、俺の機体だ。好きに組めとは言われてるからな。」

 

「そうですか。武運を祈ってますよ。」

 

「ありがとう、とでも言っておこうかな。」

 

そう答えて俺は食堂を出て、宛がわれた部屋へと向かう。そこでパソコンを開き、要望書につらつらと書き連ねる。

 

GAT-X207-6 ブリッツゼクサ

・ビームガトリング

・特殊弾頭発射管

・ビームハンドガン、サーベル内臓型シールド

 

この三つを所望したわけだ。ここまでビームを盛り込むとバッテリーでは制限時間が短い、と思うかもしれないがそれについては問題ない。隊長がこんなもんがあると漏らしてくれたのだ。

 

“ニュートロン・ジャマー・キャンセラー”。言わば核をまた使用可能にする技術だ。議会の方で先日承認されて生産がされ始めたらしい。その内一機を俺のブリッツゼクサに付ける事になっている。生産されたNJCは少ないが、MSに乗せるのは4機程。まだプラントの核の恐怖があるためだろう。4機の内1機は隊長が乗る機体に搭載するとの事だ。まぁ当り前か。

 

「しっかし戦争がしたいんだなぁ、議会のお偉方は。」

 

無論穏健派は止めた事くらい分かってはいるが、連帯責任である。議会はそういう場所だ。

 

「…ん、隊長からの通信?こちらヘキサ・ラプトリオです。」

 

『ニコルが戦闘不能、アスランとディアッカがMIAと判断されているが本当かね?』

 

「私見では、アスランは恐らくオーブ軍に救助…ディアッカは足付きの捕虜になっているでしょう。」

 

『理由は?』

 

「アスランについては俺の願いみたいなもんです。ディアッカはバスターが破壊された記憶がない為です。破壊されたなら大きく爆発するはずですから。」

 

『なるほど、イージスの前後でその様な記憶はないと?』

 

「はい。救出にはいきたいですがディアッカは…まぁ無理でしょうね。返還を願うばかり。」

 

『そうか…今日私が連絡したのは他でもない、ニコルの所属についてだ。』

 

「ニコルのですか?」

 

『先ほど正式に除隊申請が通ってね。ニコル・アマルフィは負傷により退役となる。二日後のシャトルに乗せて帰還させよ。そして、アスラン・ザラ。先日転属が命令されたが…遅くてね。』

 

「生きてたら、伝えときますよ。」

 

『頼むぞ。』

 

 

 

「オーブから連絡?」

 

「はい、先程我々宛てに通信が入って兵士を1人、身柄を預かっているとの事です。名は…アスラン・ザラ。」

 

「ふむ…であれば、アマルフィ殿を乗せる輸送機を迎えに行かせるのが良いでしょうな。」

 

「丁度、アスランにも辞令が下されてますしね。」

 

「君たちもその輸送機に。丁度帰還命令が下されている、共に向かってください。」

 

「ご配慮に感謝します。」

 

 

「…って訳。所在知らずはあとはディアッカだけ…まぁ足付きの捕虜になってるんなら抜け出すは出来るだろうが…アラスカに?」

 

「アラスカに入港してもう6日だ。全く動きが見られん…くそっ、力さえあれば…!」

 

「クルーゼ隊長でもあの中に飛び込むのは無理ですよ。一人で軍隊とやり合うのは自殺行為です!」

 

「まぁまぁ、イザークだって本気…ではあるんだろうが本当に軍にカチ込む訳じゃないんだし、な?」

 

「フン、直ぐに軍のトップガンになってやる。今度は俺の下で皆働かせてやるからな、覚悟しておけ!」

 

「おう、楽しみにしとるぜ。まぁ今はアスランの生還と昇進に乾杯だ。」

 

「…そうだな。おい、ディアッカは大丈夫なんだろうな?」

 

「恐らくな。まず足付きに乗ってる奴らは練度こそ高いが殆どが素人。まだ敵でも生身なら殺すのを躊躇う、それを分からないほど馬鹿な指揮官はいないさ。んで、お前の知っての通りナチュラルはクソ野郎が多い。」

 

「そうだろう?」

 

「上層部にな。まぁこれは古今東西どんな人種だろうと同じ事だが権力を持つ奴らは基本的に腐るのさ。ここだけの話にしといて欲しいんだが、俺はザラ議長が苦手でなぁ…」

 

「どうしてですか?」

 

「俺の戦う理由は数あれど、ナチュラルが卑屈だからだとかそう言う理由はない。俺はな、コーディネーターとナチュラルが逆の立場だろうが同じ事が起きてたと思ってるよ。両者がごっちゃになってようが、地球とプラントで結局ボン、だ。二言目にコーディネーターが、とか言う奴は苦手だ。」

 

「俺の事を言っているのか!?」

 

「イザークは一言目で貶すだとかはしないから優しい方だよ。議長なら振り向きざまにバン!ってな。ハハハ!話しても自らを省みない、そんな奴が嫌いなんだよ。"俺は、僕は正しい!"とか言ってる奴がな。」

 

「成程…言い方こそ過激ですけど、結構同意ですね。話し合いで戦争が解決出来れば一番、命に関わる様な方法以外で決着がつけば…そうだ!芸術で決着ついたらどうでしょう?」

 

「芸術は感性もあるし、なにより明確な得点がないだろ。なら過去のオリンピックみたいに、スポーツやらゲームやらで決着付けた方が良い。その方が、戦うよりも金も掛からないから良いだろ?」

 

「フン、俺たち軍人はお払い箱と言うわけか。」

 

「軍人って何の為に存在してるか知ってるか?戦争の為じゃない、脅威から民を守る為にあるんだよ。そしてその明確な"盾"になる事で民衆は安心を得て生活が初めて出来る。俺としてはオーブみたいな国が理想だね。」

 

「あそこは…本当に長閑な場所でした。戦争が終わったら、コンサートで行ってみたいものです。」

 

「…その時は俺たちも呼んでくれよ。イザーク、お前も来るだろ?」

 

「…まぁ、やぶさかではない。」

 

「んじゃあまぁ…ニコルは怪我こそしちまったけど、皆命は持って帰れる様にしようぜ。ディアッカの無事を祈って、乾杯!」

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