C.E.に転生した男がとにかく生きようと奮闘する話   作:QAAM_M1911

13 / 41
狂気の一ツ目

「お目覚めかね?」

 

「…ひっ!?」

 

「隊長、拘束しますか?」

 

「いや、扱いは通常の緑服と同じとする。君は戦闘に加わってくれたまえ。合図と共に撤退せよ。」

 

「了解です。おい、推進剤満タンにしてくれ!ガトリングの弾はそのままで良い!ショットガンは補給!」

 

「シェーレの交換は?新型のヒート・シェーレ、実地試験終わったぞ!ビームライフル、試験終了早くしろ!」

 

「頼むぜおやっさんたちよ!」

 

そう声を上げて、水分補給の為に休憩室へと足を運んだ。

 

 

 

「ヘキサ・ラプトリオ、ジンHMAS/AA。再出撃!」

 

再び出撃した時、かなりこちら側は連合を押し込んでいた。俺は全て分かっているからこの状況がちとマズイ事は分かっている。取り敢えずイザークの所に行って伝えなければ。

 

「…ん?上空より降下する機体アリ!IFFの応答なし、全機警戒に入れ!」

 

「ヘキサ!どういう事だ!」

 

「俺にも分からん!イザーク、先ほど突入した際のデータを転送する!端的に言えば…あの基地は自爆する!」

 

「何ィ!?」

 

「俺らを誘い込んで潰すつもりだ!ここから先には出来るだけ行くな!」

 

「クソぉッ…!」

 

そう言う間に、例の機体は戦闘に入った。やはり敵か!

 

「隊長。敵に新型を確認!繰り返す、新型を」

 

『フリーダム。』

 

「え…」

 

『君の機体にも搭載する予定のニュートロンジャマ―キャンセラーを搭載した機体。こちらで開発していたはずが、何故だろうね?』

 

「…分からない、けどジンを撃ちました。敵でしょう!」

 

『交戦を許可する。』

 

その言葉を聞いてイザークと共に奴を討とうとしたその瞬間である。とんでもない量の味方が墜とされた。

 

「今のは!?」

 

「アンノウンだ!イザーク、行くぞ!味方の被害を減らすには俺らで戦うしかねぇ!」

 

「分かった!へまをするんじゃないぞ!」

 

そう言って俺とイザークはフリーダムを挟み撃ちにする。

 

『ザフト、連合両軍に伝えます!アラスカ基地は間もなくサイクロプスを起動させ、自爆します!両軍とも直ちに戦闘を停止し、撤退してください!』

 

「下手な脅しを!!」

 

「イザーク!」

 

『やめろと言ったろ!死にたいのか!』

 

「そのまま捕らえてろ!」

 

後ろからショットガンを発射し、シェーレを熱する。だが、多数の鉛玉の向かった先は…

 

「な…イザーク!」

 

「うわああああ!!」

 

空中を一回転してショットガンを躱したフリーダムは、そのままビームサーベルを抜いてデュエルの足を斬った。

 

「イザーク!」

 

「あいつ…何故…?」

 

「…分隊のディン、デュエルを母艦に頼む!俺が護衛する。」

 

『了解!』

 

その時である。アラスカ基地が自爆して多くの機体が爆散していった。

 

「…間に合わねぇ、俺が運ぶ!お前ら直ぐに逃げろ!」

 

『聞こえるかね、ヘキサ。』

 

「隊長!」

 

『イザークも聞きたまえ。あの機体はZGMF-X10Aフリーダム。イザークかヘキサに支給される予定だった機体でね。』

 

「俺が…?」

 

『そう。今後アスランの乗る事になるジャスティスの兄弟機とでも言えば分かるかね?先ほど入電が来てね、機体の奪取または破壊を言い渡された。今デュエルの調子は?』

 

「…足が斬られてます。」

 

『分かった、ヘキサは一度帰投し爆風が収まり次第フリーダムに向かって戦闘を開始。デュエルは足の換装が終わり次第援護狙撃を開始しろ。空での戦闘力は現在ヘキサが一番だ。』

 

「クッ…了解!」

 

 

 

「まさかビームをジンが扱える様になるとはな。」

 

「でもその分稼働時間が極端に減っています、もって戦闘時間は10分、その間に撃墜撤退を選んでください。」

 

「あいよ。爆風も晴れたしそろそろ行くか!こちらヘキサ、出るぞ!」

 

カタパルトから打ち出された機体はぐんぐんと上昇していき、展開した翼は揚力を生んで巨体を空へと留まらせる。

 

 

 

 

 

「敵機接近、戦闘準備!」

 

「こんな状況で!?機数は!?」

 

「一機です…っ紫!紫色のジンです!」

 

「G部隊で一機だけジンだったあの…クッ、坊主頼めるな!?」

 

「…はい。なんでこんな惨状を見た後で…!」

 

キラはフリーダムへと向かい、コックピットへと乗った。

 

 

 

 

 

「さぁてと…この回線で聞こえるかな、フリーダムのパイロット。いや、ストライクのパイロットとでも言うべきかな!」

 

『よせ!なんでこんな状況下で!』

 

「軍人だからだ。軍人はどんな状況でも戦うのが仕事だ!それに…その機体は俺らのとこから盗み出されたもん、それを取り返しに来んのは当たり前じゃねぇか!!」

 

『クッ…僕はラクスにこの機体を托された…僕の責任で、この機体は!』

 

「クラインの野郎共に軍プラントの全権があると思うなよ!確かにクライン派の言う世の中になれば良いだろうがよ…そんな綺麗事で人間社会やってけると思うな!」

 

『この…ッ!』

 

ビームサーベルを抜いた事を見てシェーレを発熱させる。プラズマ化した刀身がビームと干渉し合って鍔迫り合いを起こす。翼に懸架されたショットガン二丁を発射して翼を破壊しようとする、がやはりPS装甲。抜けはしない。

 

「綺麗事は皆言ってきたさ!だが誰もが上へ上へと向かう向上心を持つ!そんな世迷言が実現した時、人間は停滞する!争うからこそ発展し、戦いがあるからこそ死に物狂いになる!君だってそうだろう、民間人から驚異的な成長を遂げた根は、そこにある!」

 

『違う!僕はただ、皆を守りたかったから!』

 

「それでも死に物狂いになって争う理由になる!俺にだって守りたいものはある…だが誰かが壊そうとする!だから戦う!綺麗事が通じる世の中ならどれだけ優しい世界か!そうさ、君だって知っているだろう、世界の闇を!血のバレンタイン、報復のニュートロンジャマ―による地球の寒冷化、戦争の始まり!そして先の味方さえ巻き込む自爆!」

 

『くぅ…っ!』

 

翼からビーム砲が伸び、垂直尾翼が溶解した。だが戦闘に支障はない。一度取っ組み合いから離れてビームライフルを撃つ。

 

「そんな現状がある限り!人は成長などしない!新しい時代に伸びる芽も、先の時代に愚か者共が通った穴をたどるのみ!人間はそうやって同調し、新しい道を切り開く為に力を使う者など多くはない!多く通った道にばかり栄養は行き、そちらに花は咲く!所詮貴様らは枯れ果てる!」

 

『何かを信じて戦うのはいけない事なのか!』

 

「いけないさ!行き過ぎた信仰は内紛を誘発する様に、信じ過ぎた目標はやがて毒となって己を蝕む!」

 

『…なら、その毒を克服する位強くなりゃいいんじゃねぇのさ!』

 

演舞の様にビームライフルを撃ちあっていた中に、ミサイルが飛んできて均衡が崩れる。ショットガンで迎撃した後に何が起こったのか確認する。

 

「エンデュミオンの鷹…2対1か。面白い!」

 

『こうして話をするのは初めてだな、紫毒(しどく)のスナイパーさんよ!』

 

「へぇ、異名がついてんのか連合じゃ。色々と恥ずかしいから皆殺しにして有耶無耶にしてぇよ。」

 

『こっちにも名前が売れてきてんだよ!こっちの部隊まるまる一個潰しといてなぁ!坊主、お前は何の為に戦うんだ、思い出せ!』

 

「思い悩め…悩めば悩むほど毒となる……その苦しみこそ、俺の付け入る隙になる!貴様を殺して、孤児院に安寧を得させる!お前らが居るから、アイツらは安寧を得られない!全ては戦い続ける戦士こそが悪い!手を止めないからやり返し、落としどころを見失って泥沼になる!今の現状はそれだ、だからこそただの沼地を毒沼へと変化させ全てを溶かし、何もかも溶かす。歪んだパズルは一度リセットすべきだ!全てを毒で埋め尽くしてゼロに戻す!そして次の世代に世界を托す!それこそが今出来る一番の」

 

『…そんなのダメだ!』

 

「うおっ……!?」

 

腰部にマウントされていたレールガンが発射され、脚が破壊された。

 

「AMBACへの異常……だがコイツはほぼ戦闘機、大丈夫…落ち着け、相手をよく見ろ…」

 

ショットガンをファイターへと向けた瞬間にビームが襲う事を予見した俺は、直前で急発進してビームライフルを撃った。

 

「…これを防ぐか。」

 

ラミネートアンチビームシールドの名は伊達ではなさそうだ。挟み撃ちになったので、ガトリングに火を入れ、ライフルを連射モードに変え、腕を伸ばして双方に射撃を開始する。

 

『ぐぅ…おいおい!ジンであの射撃か!ったくどんな改修してやがる!しっかもあのライフル、あんな小型でジンでもビーム扱える様にしたのか!プラントの技術はやっぱ凄いねぇ!』

 

「…ッ意外にキツいもんだぜこの作業はよぉ!」

 

それもそのはず。ペダルにレバーをガチャガチャと鳴らしまくってようやく回り続ける事が出来る。そこに精密射撃を追加すれば恐ろしい量の作業を熟す必要が生じる。

 

『クソッ、直撃か!おい坊主!俺は脱出する、早いとこ決めろ!』

 

『くぅっ…!』

 

先程見せた一斉射撃が俺を襲い始める。直ぐにローリングをやめて一気に加速する、がタイミングが遅かったかスラスターがごっそりと削られた。だがそこは痛み分けだ。

 

「…撤退する。スラスターがやられては活動出来ない。ではな、フリーダムに鷹。次は宇宙で会おう…」

 

捨て台詞になったが、2対1で良くここまでやれたものだ。ファイターは撃墜、だがフリーダムはシールドを劣化させた程度で無傷。目標に対してはあまりよろしくはない戦果である。

 

「…強いな、アイツは。」

 

機体性能の差を鑑みても、そう嘆息するしかないのであった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。