C.E.に転生した男がとにかく生きようと奮闘する話   作:QAAM_M1911

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再びの帰還

「ううむ…修復不可だ。」

 

「マジですか…」

 

先の戦闘で、ぶんまわしにぶん回したジンHMAS。ついに寿命を迎えてしまった。修復するには本国に回すしかないと言う。

 

「…そうかね。なら君は一度帰還しなさい。」

 

「隊長?」

 

「ブリッツゼクサ、その調整も兼ねた休暇だよ。専用機なのだからこのくらいしないとね。」

 

「隊長…了解しました。直ちに帰還致します。」

 

「ストラトスを使いたまえ。大気圏離脱機能も兼ね備えている。先程本国からも帰還命令が出た。」

 

「了解です、ヘキサ・ラプトリオ、本国へと帰還致します。」

 

 

 

「ジンHMASは戦闘不能…ストラトスのライフルがあるとは言え、戦闘は回避したいな。」

 

「君なら上手くやれるさ。ストラトスにも機銃を増設しておいた、上手く使え。」

 

「はっ。ストラトス、発進シークエンスに入ります。カウントをお願いします!」

 

「発進まで10、9、8、7、6、点火!」

 

「5、4、3、2、1…発進!」

 

カタパルトから打ち出された機体が、漆黒の宇宙へと飛び立つ。一筋の白煙は、青空のキャンパスに大きな線を描いた。

 

 

 

「…ジンHMAS、どうしますか?」

 

「後回しだそんなもん、ここまでぶっ壊れるか…連合のMSと戦った訳じゃねぇんだろ?こっちのフリーダムと戦っただとか聞いたが…」

 

「はい、でもべらぼうに強すぎる訳じゃ。中のパイロットがまだ未熟、つけ入る隙は多い。」

 

「成程…まぁ良い。んで、こいつがお前の機体、ブリッツゼクサだ。」

 

「コイツが…俺の新しい剣か。」

 

「ニュートロンジャマーキャンセラーを使用しているが、俺らはその製法までは知らん。専門家が一人来るが、穀潰しだな。」

 

「ははっ、言うなぁ。んで、いつ上がりますか?」

 

「納期は10日後、だがそれまでに何度かテストしてもらう。それまでゆっくり休んでな。」

 

「了解。」

 

 

 

俺はデータを見るためテスト会場で一泊してから、孤児院へと帰宅した。

 

「ただいまー」

 

「あっ、お帰りなさい!何かあったの?」

 

「いやぁMSが手ひどくやられてね。現場で修復が出来ないから蜻蛉返り。俺の専用機がテストするからそれに付き添えと。」

 

「やられたって…大丈夫なの!?身体は…怪我してない?」

 

「大丈夫ですよ、今皆は学校に?」

 

「えぇ。ところで、先に休みますか?ご飯は…」

 

「施設で食べたから、大丈夫。何か手伝おうか?怪我してる訳でもないし、暇だから。」

 

「なら洗濯物、手伝ってくれませんか?いつもいつも大変で…あはは。」

 

「いつもありがとう、俺が帰ってる時くらい頼ってくれよ、な?」

 

「じゃあ遠慮なく…そうしますね。」

 

「ヘキサさん、お帰りなさい。」

 

「レイか。これまでどうだった?」

 

「有意義な時間でした。戦う理由…僕にも分かってきました。」

 

「そうか。シスターの目から見たらどうだった?」

 

「とっても助かりましたよ。確かに料理はまだまだですけど…でも、彼が居て労力が減ったんです。」

 

「ギルの顔も立てたいんです。どうすれば…」

 

「それは俺の口からは言えないし、分からないな。」

 

「そうですか…」

 

「ま、まだ君は若いんだ。まだ悩める時間はあるぜ。」

 

「はい。」

 

「ところで…先日来た子を紹介した方が良いのでは?」

 

「あ、そうですね。僕と同い年の子がオーブから来たんです。」

 

「どっちの立場だ?」

 

「一応孤児としてですね。身寄りも無かったので、私が声を掛けて引き取りました。」

 

「今会えるか?」

 

「はい。シン君、紹介したいから来てくれませんか?」

 

「シン…」

 

階段から足音が聞こえる。2階に居たであろう紅い瞳の少年は、何というか…悲しい目をしていた。

 

「…シン・アスカです。オーブから来ました、これからよろしくお願いします!」

 

「おう、俺はヘキサ・ラプトリオだ。この孤児院じゃ2番目の年長者だな。…シスター、シンとサシで話しても?」

 

「良いですよ。お茶は飲む?」

 

「俺がやるから良いよ。」

 

 

 

「さて、シン君。さっきシスターに聞いたけど軍人志望なんだってな。俺の後輩になんのか〜」

 

「あの…エースって聞きました、どうやったらそんなに強く…」

 

「強さを求めるんだな。まぁ良い、PTSDを負ってるなら早めに相談しとけよ。まずそこからだ。」

 

「…ッ」

 

「なんで分かった、って顔だな。曲がりなりにも軍人だぜ?分かるさ。まぁあんまし深入りしすぎるのも悪いか。相談したくなったら言え。んで…強くなるには、やはり誰よりも努力することが必須だ。士官学校への編入は決まっているんだろ?ならそれまで俺が面倒見るからな。だが…まずはトラウマをなんとかしねぇとな。ま、ここの皆と一緒に今は過ごすんだ。家族を忘れろとは言わないし、君が覚えていなければ君の家族は本当の意味で死ぬことになる。戦争を止めたいんだろ?なら死に物狂いで訓練しな。俺だってそうしてきた。」

 

「…はい。」

 

「家族は忘れるな。その悔しさ悲しみをバネにしろ。君の進む道はそういうものだ。復讐も良いが…修羅の道となる。本当に行くんだな?」

 

「はい、気持ちは変わりません。」

 

「よし、分かった。教えるのは何のために力を使うのか、そして力を得ても暴走しないための精神を作る。つまり、君の指針を決める。」

 

「俺の、ですか…?」

 

「あぁ。推測すれば、君は戦争根絶が目標だな。だが、その為には何をすれば良いと思う?」

 

「それは…」

 

「分からないか、まぁ仕方ない。これは難しい問題だはあるからな。俺にも一つだけならビジョンは見えるが、それも不明確なものだ。つまり、ほぼ不可能。」

 

「…そんな。」

 

「でもまだ俺は人類に絶望はしてない。だから戦う。今は民間人の犠牲を減らす為だ。軍人は民間人を守る為に自分から悪役(ヒール)になる。正義だとかはありゃしない、それが民間人を守る為だろうがな。それをまず理解しろ。」

 

「はい。」

 

シンの紙コップを握る手が震え、水面を波立たせた。家族を奪われる悲しみは計り知れない、それなら元から家族の温かみを知らない方が良いのではと思えるほどに。

 

「ま、それを実感するのはある程度場慣れしてっからだ。それまでは夢を見ることも悪くはない。でも、戦う理由…絶対に見失うな。」

 

「…はい。」

 

「今やれる事はこのくらいだ。俺が稽古付けて変なクセ付くよりは全然マシだろ。何日後出立だ?」

 

「5日後…です。」

 

「それまでここの皆と親交を深めとけよ。ここに引き取られんじゃ、お前の家はここだ。レイは違うけど、同じ士官学校に行くなら友達になんのもいい事だ。人脈は広いほど良いからな。」

 

「は、はい!ありがとうございました!」

 

「分かった。…待ってくれ、隊長から通信だ。また話は今度だ。」

 

そう言って俺はその場を後にした。

 

『足付きと同型の新型が配備されたよ。そして鷹はストライクに乗り、足付きは連合から離反したみたいだね。』

 

「フリーダムもそっちに、って事っすか。」

 

『それともう一つ。アスランが離反した。』

 

「…はい?あー…はい。」

 

『驚かないのかな?』

 

「フリーダムのパイロット、アスランの親友って言ってましたから。」

 

『随分と薄い理由で納得するのだね。』

 

「納得は出来てません、けど親友同士で戦い続けるのも中々、ね。」

 

『ほう…まぁ良い。そして連合にあの捕虜と共にニュートロンジャマ―キャンセラーを渡した。今後核の嵐が来るだろう、君が守るのだぞ、レイを。』

 

「はっ。」

 

『そうだな…君にも知っておくべき事はいくつかある、このファイルを読んでおきたまえ。フリーダムのパイロットのデータだ。ジンでフリーダムに追従したとなれば多くのザフト兵士が奮い立つ事だろう。』

 

「戦士の数が双方減れば戦争は無くなるはずなんですけどね…まぁ良いです。とにかく、このマイウスだけは守り通してみせます。」

 

『いい返事だ。納期を繰り上げさせた、テストは明日からだ。』

 

 

 

 

 




キリ良いのでここで一旦投稿。
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