C.E.に転生した男がとにかく生きようと奮闘する話   作:QAAM_M1911

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しばらくはこんな感じの話が続くかも。


ひと時の青空

「お前ら!そろそろ外で遊ぶ時間だ!」

 

「はーい!今日は何する!?」

 

「ドッジボールしよ!いつものチームでさ!ヘキサ兄ちゃんも一緒に!」

 

「ははっ、怪我人に鞭打つのか?」

 

「あっ、そうだった!」

 

終戦から半年ほど。俺はこの孤児院へと帰って来ていた。訓練中の事故後に胸に痛みを覚えたのでレントゲン撮ったら肋骨にヒビが入っていた。とは言っても軽いので直ぐにまた軍に出向はするが。しかし、何故ここに来たのかと言えば…休養以外ではブリッツゼクサの解体とニュートロンジャマ―キャンセラーの秘匿を行う事にしていたからである。

 

まず驚いたのが、俺が撃墜扱いされていた事。そしてそもそもブリッツにニュートロンジャマ―キャンセラーが乗っている事が知らされていなかった事。と、言うよりここマイウスの極秘製作所にてこのブリッツは改修、さらにこの他にそのデータが送信されたのはヤキンの上層部にのみ。それもロールアウト直後でようやくデータ送信されたため目を通す暇も、バックアップする暇もなかった事に起因するものである。そして戦闘も終了していたためほぼ大破と言って良い状態だったブリッツには拾われた艦のクルーに手だしもされずに帰還、そして直ぐに修理に出される為のマイウス市へととんぼ返りしてきた訳だ。

 

そして、もう一つ。喜ばしい事にニコルの父がこれに賛同してくれたのである。ニュートロンジャマ―キャンセラーを作った張本人ではあるが、連邦に核を使われた事によって好戦派だったのが再び穏健派へとなった。彼が手回ししてくれなければ恐らくこの秘匿は無理だったと言えるだろう。

 

秘匿して何をするか、と言えば。再び戦争が起こった時に機体に積むためである。大きすぎる鉾は要らないが、まだ組み立ててないのであれば使えない。まぁ自爆したジャスティスは良いとして気掛かりなのが大破してはいるが再び回収されたフリーダムである。それへの対抗策を講じる為に、失脚したユーリ・アマルフィが陰ながら支えてくれることとなったのである。無論、これはニコルにも知られている事。

 

「こんにちは。今日も皆さん元気そうで何よりです。」

 

「ニコルか。ようこそ、孤児院へ。また弾き語りするのか?」

 

「いえ、今日は少しあの事でお話がありましてね。」

 

「…分かった、だが子どもも見なきゃなんない。外で話すぞ。」

 

 

 

俺とニコルは外に出したアウトドアチェアに腰かけ、タブレットを手に話をする。

 

「ブリッツは解体して連合に返還されましたが…本当に良かったんですか?」

 

「問題ない。機体が変わるなんて事はよくある。」

 

「いえ、中身が大きく変わってたからブリッツじゃないで済んだのに…」

 

「新しい技術をつぎ込んだ方が性能的には良いだろう?この先また大きな戦争が起きたら…その時はブリッツゼクサなんかじゃ無理だ。もっと大きな力が必要になる。でも、その力の振り方を考えなきゃなんないのが辛い事だな。」

 

「でも、ヘキサなら良い方向に使うって信じてますよ。隊長の真意を汲めた人なんだから…」

 

「隊長が勝手に独白してくれただけだよ。」

 

俺がそう言うと、ニコルはくすりと笑ってからタブレットを取り出した。

 

「実は…こんな機体になりそうだって事はもう出来てるんですよ。設計は戦争が始まってしまってから、ですけどね。」

 

「それが良いさ。この機体は生まれないのが一番だ。」

 

そしてその液晶に目を通した。

 

コンセプト:高機動万能機

 

武装

・ビームライフル

・高火力砲2門

 

今のところはこんなふわっとしたような形だが、技術革新を考えればこれくらいふわっとしていた方がいい。

 

「へぇ、俺もそろそろガトリングから卒業した方がいいかね。ロマンあると思ってたが流石にもうキツイか。」

 

「でしょうね。というかロマンでガトリング使ってたんですか?」

 

「自分の腕に自信がなかったってのもあるが、まぁ俺の好みだな。けど、流石に実用性の方を見た方が良いかもな。そろそろビームライフルを使うのも考えねぇと。」

 

「その手の武器、あまり使いませんでしたもんね。」

 

「あぁ、でもブリッツ乗った時に意外と使えるもんだって気付いた。特にガトリングのラグがないの、使いやすくて助かった。」

 

「アスランと戦ったんでしたっけ。それはガトリングじゃ無理でしょうね。」

 

「あぁ、回転し始めたらもう回避だ。無理難題って言うか、なんと言うかな。ブリッツも良い機体だが、元はバッテリーの機体だからな。仕方ない。」

 

「ブースターにも制限があったと聞いてますし、実際戦ってどうでした?」

 

「アスランはやっぱり強いよ。でも、心を揺さぶる事は割と簡単だ。何でか分かるか?アイツは迷いやすいんだよ。」

 

「迷いやすい…?」

 

「そう、自分の信じているものがふわっとしているとでも言うべきか?アイツには具体的な夢がない。ただただ、平和であれとしか思っていないのさ。だから周りには理解されない、出来ない、されちゃいけない。」

 

「…そこまで言いますか。」

 

「盲目に平和を求めてはいけねぇんだよ。ただひたすらに平和にしようとすれば、いつか堕落し別の者が昇華する。その時、牙が抜け落ちていれば待つのは死のみ。手入れは欠かさずしておくものさね。」

 

「だから、NJCを秘匿したわけですか。」

 

「今後、核の禁止条約は結ばれる。でも簡単に破るさ、こっちがね。」

 

「え?…あぁ、フリーダムですか。」

 

「そう、フリーダムなんかが介入したら核搭載機に対抗するには核搭載機で対抗するしかねぇ。つまり、こっちもNJCを投入するしかねぇのさ。」

 

「…そうですか。」

 

「んで、もし必要があればクーデターも起こす。今は平和主義だから良いが、万が一戦争を促す様な事があれば、それはクーデターが必要になる…あぁ、防戦以外でな。」

 

「…その時は、議長を殺す事になるんですね。」

 

「その為に色々と根を張っておく必要がある。その為の、アイツらだ。」

 

「…イザークとディアッカ。」

 

「あぁ、今こそ抗命罪と民間人殺害容疑で拘留されてるがデュランダル議長に口添えしといた。直ぐにザフトに復帰できるだろう。んで、元クルーゼ隊だった奴らは俺の腹心になった。」

 

「いつの間に?というかヴェサリウスは沈んだはずじゃ…」

 

「たまたま怪我してて療養してた奴を拾った。んで、俺が隊長の遺志を継ぐ事を伝えたら手伝うって言われてな。今は議長の側近をしてるよ。」

 

「裏でかなり色々とやってますね。」

 

「イザークにもディアッカにもクーデターを起こすときは協力してもらう。」

 

「なるほど、周りは固めておくって事ですね。」

 

「クーデターの広告塔はイザークが引き受けてくれた、が実際には俺とイザークの二人三脚だ。ニコル、お前も後方部隊として頼むぜ。」

 

「はい、しかしどうやってひっくり返す…」

 

「実を言うとな、もうとある情報筋から不穏なものが入ってきている。」

 

「新型MSですか?」

 

「そっちは割と公開されてるだろう。違う、ジェネシスだ。」

 

「ジェネ…え?」

 

「再びGが建造されようとしている。しかも小型化、連射、陽電子リフレクター…最新技術のオンパレードだよ。ったくこんなもん作って戦争がしたいんかねぇ。」

 

「これは…どうにか対策しないと。」

 

「頼めるか?技術者を何人か送り込んでほしい。」

 

「分かりました、監視もしておきます。」

 

「あぁ、よろしく。で、脚はどうだ?」

 

「はい、義足がようやくしっくりきましたよ。軍にでも復帰できそうですね。」

 

「ま、やめとけ。義足じゃメンテナンスも必要だしな。無論、サイボーグ隊なんてもんが出てきたら応募してみるのも良いかもな。」

 

「そんな表立って悪い事する人ですかね?」

 

「意外としたたかだよ、議長はね。」

 

「しかし…隊長の友人ですか。友人居たんですね。」

 

「独りぼっちみたいなもの言いするなよ。」

 

「だってあの冷静で堅物な隊長ですよ?驚きましたよ。」

 

「ま、そうだな。俺も驚いたさ。まだ会った事はないんだがな、でも優しい人である事は確かだ。」

 

「優しくて冷酷…か。矛盾してますね。」

 

「あぁ、矛盾してるからこそ面倒だ。ああいう手合いは何言っても自分の意見がはっきりしてる、聞かないだろうな。」

 

「…分かりました、しかしGが建造されてるとなると…MS、開発した方が良いですかね。」

 

「あぁ、確かにな。だがそんなに急がなくていい。例の新型がロールアウトした直後くらいからの開発でいい。そっから忙しくなるかもしれねぇけど。」

 

「間に合わせますよ。さて、今日はここらへんでお暇します。今度、コンサートしに来ますね。」

 

「あぁ、ガキも喜ぶ。じゃあな。」

 

息を吸って、吐く。軍でまだ仕事はしているが、こういった休日で羽を伸ばすのも良いものだ。

 

「…メールだ。えっと…今度アカデミーでシミュレーターで模擬戦の要請…レイとシンか。良いだろう、乗らせて貰おうか。もう一つは…新型MSのパイロット…いや、インパルスは俺の得意なやつじゃねぇな。辞退しとこう。」

 

返事をしてから、俺は立ちあがった。

 

「よーし、そろそろ雨が降る時間だ。濡れない様に中入るぞ!おやつの時間だぜ!」

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