C.E.に転生した男がとにかく生きようと奮闘する話   作:QAAM_M1911

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さて、ガンチャンで丁度種死やってますんで投稿。大体一週間二週間で一話回す予定。


振り上げられた槌

「SP-34Rの搬入は?」

「直ぐに、直ぐに終わらせます。あと実際に稼働させるまで……」

「テスト飛行はしただろ?」

「しましたが、あと一回だけノルマがあるんですよ。」

「全く、進水式まであと三日だぜ?もうちょい、許可早く降ろしてほしかったよな。向こうももスケジュール大変なんだろうけど。」

「よし、可変翼のテスト開始!」

 

アーモリーワン戦艦ドック。そこに紫色に染められた機体は鎮座していた。コックピットは完全に装甲に覆われ、その背後に垂直補助翼が付いている。カナード翼も搭載され、主翼と尾翼は変形した場合、一体化して疑似的なデルタ翼として機能する。速度も中々に出るが、旋回性能は低め。その代わり、A/Bが三次元ベクトルノズルになっており、上下に噴射する事で急激に機体を起こしたり、寝かせたりすることが出来るピーキーにもほどがある機体だ。

 

「そういや、今日はオーブの首長がいらっしゃってるんだってな。」

「あぁ……確かそうでしたね。」

「軍人なんだからそれくらい覚えとけ。こういう日に限って、一大事が起きる。」

 

その瞬間の事であった。スピーカーからけたたましく警報が鳴った。舌打ちすると、俺は直ぐに命令を飛ばした。

 

「何だ!どこからの警報だ!」

「MS格納庫です!アビス、カオス、ガイアのハンガー!」

「ヘキサ・ラプトリオより警戒している全艦隊へ!相手の回収艦がどこかに居る筈だ!全艦、対ミラージュコロイドパルスミサイル発射用意!全艦、これより35秒後に一斉発射!」

 

俺は振り返って自分の機体の状態を見た。

 

「いつでも行けるな?」

「機関砲の補給だけすれば、ですけどね!」

「スーツに着替えるから、終わらせとけ。」

 

 

 

「敵艦は見つかったか?」

「こちらの戦艦、二隻消失!」

「何してんだ警備隊は……パルスミサイルが一斉発射されたならコロイド粒子は剥離するはずだぞ!ったく、出撃する!」

「ドック警備隊へ!三番ドックを重点的に守れ!何としても彼を上げるんだ!」

「っし、こちらヘキサ・ラプトリオ。シュペアー、出撃する!」

 

カタパルトも無し。だが、直ぐに機体を少し浮かせるとすぐに平行に戻して前方を見る。

 

「各艦、とにかくあの戦艦に集中砲火!背後の奴らは内部がやってくれる!全MS隊、各隊の母艦を守れ!母艦が沈んだ隊はまだ居るか!?」

『こちらゴスペル隊!俺ともう一人だけだが生き残ってる!』

「ゴスペル隊、俺に着いて来い。あの戦艦の主砲を落とす。貴隊は避ける事にだけ注を置け。」

 

レールガンを装填する。別に勧告はしないが、ここで死んでもらってはどこがやったのかが分からなくなる。故にブリッジは狙えない。対空砲火がこちらへと向いた。

 

『俺たちが盾になる!じっくり狙ってください!』

「ダメだ、逆に砲火が集中されて撃墜させられる。対空砲の注意を引け。」

『了解!』

 

レールガンへの電力充填完了。AIシステムが機械音声を発し、俺は叫んだ。

 

「ヘキサ、スラッシュ!」

 

赤熱のビームとなって放たれたレールガンは、敵艦の下部にある主砲にぶち刺さる。しかも横からぶち抜いた訳で、反対側にあったそれも一気に破壊してしまった。同時に発射されている機関砲も、左側面の装甲を次々と凹ませていく。

 

「とんでもねぇ威力……ん!?ゴスペル隊、引き返せ!」

『え!?』

「お前たちじゃ手に負えねぇ、あのファイター……ヤベェぞ!」

 

敵艦から出て来た機体。いつぞやのメビウスゼロに似ている。とにかく二機を引き返させようとしたが、ガンバレルがはじけ飛んだ。

 

「ゴスペル1、右に回避!4は下に逃げろ!」

『ダメだ、避けら―』

「クソ、ゴスペル1ロスト!4はどうした!?」

 

下のデブリに逃げ込む指示をしたが、そのデブリの裏で爆発が起きた。これで俺は孤立無援である。

 

「……だが好きにはさせんぞ。」

 

シュペアーのA/Bを一気に吹かしてヘッドオンの状態に。敵機のリニアガンが火を噴くが、生憎この機体は40mmも普通に耐える。つかなんでコイツを量産できると思ったんだマイウスの馬鹿技術者共は。

 

「俺の機体は25mmのガトリングを四門積んでる……さて、楽しませて貰おうか!」

 

機関砲が火を噴き、曳光弾が列を為して敵機へと殺到する。向こうも簡単には当たってはくれない。直ぐに右旋回してガンバレルを射出する。

 

「生憎、その手の兵器への対処法はあるんでな!」

 

キャニスターの照準をHMDに同期させ、A/Bのノズルを最大まで上に向けて一気に吹かした。胃が裏返り、レッドアウトが起こりかける。気合でどうにか飛びそうな意識を繋ぎ止め、ガンバレルが通り過ぎる一瞬。キャニスターを乱射する。そして、正面に戻った瞬間。リニアガンが機体を叩くがこちらもキャニスターを3連射。相手のリニアガンを破壊、そして機体装甲にもダメージを与えた。

 

「二基やったか……撤退するのか?流石に兵装の半数を失って装甲も一部破損。戦闘を継続するのは無理だろうな。」

『ヘキサ隊長!』

「どうし……何だと!?」

 

アーモリーワンを視認した。恐ろしい光景でしかない、コロニーに穴が開いていたのである。ヘリオポリスの惨劇を繰り返した、とも言える状態である。そこから奪取された三機の最新鋭機、そしてインパルスが飛び出して来た。

 

「シン!機体のエネルギーは大丈夫か!?」

『エネルギー、300です!まだもう少しならいけます!』

「ダメだ、バッテリーが切れたらもう独活の大木だ。俺もファイターで三機はちとキツイ。帰還するぞ。」

『クッ……了解!』

「レイ、シンとスコードロンを組め。」

 

取り敢えずシンを逃がす手に入る。しかし、その手は一つの通信によりまた別の手に置き換わる事になる。

 

『こちらミネルバ、発進します。』

「こちらヘキサ、了解した。作戦変更だ、シン、レイ。そのまま艦隊を襲う敵機と応戦。バッテリー上がりそうになったら直ぐに連絡、二機で帰還せよ。」

『了解!シン、行くぞ。』

「分かった、隊長も気を付けて!」

 

次の瞬間。再びあのビームがこちらを襲い始めた。艦隊の方角へと向かおうとしたレイとシンの行く手を阻んだ。

 

「換装したのか!?いや、乗り換えてもいない……損傷したまま来やがったか!」

『チッ……ここで応戦します!』

「仕方ねぇ、三機でやるぞ!だが相手もエースだ、避ける事に専念しろ!」

 

ガンバレルは既に二基失われている。本体のリニアガンは効果がない為、効果のある攻撃はガンバレル搭載ビーム二門とミサイルだけ。

 

「分かってるな、とにかくガンバレルを集中して叩け。攻撃手段がなくなる。」

『はい!』

「今回はとにかく追っ払えればそれでいい。新型はもう母艦に格納されそうだ、奴による被害を出させない事だけ考えろ。」

『了解です!』

「よし、連携行くぞ!」

 

 

 

「ったく、やるねぇ。流石にザフトのトップエースじゃないの。紫色の高級ファイターに乗ってるって点、偶然にしても出来過ぎじゃない?」

 

エグザスの中で、ネオ・ロノアークはそう溢す。紫毒を狙い過ぎた結果、新型に詰める為の攻撃を弾かれ、白いザクによりガンバレルが一基撃破された。リニアガンも扱えない。

 

「引き上げ時って事かな。イアン、離脱用意!」

 

残ったガンバレルを殿に、エグザスは反転した。

 

 

 

 

「……へぇ、良い引き際だな。だが……」

 

レールガンをチャージする。狙いは敵機……ではなく敵母艦。エンジンのド真ん中にぶち込む予定だ。

 

「シン、そろそろ250だ。帰投しろ。」

『はい!』

「レイ、シンについてけ。俺の周囲の索敵も頼む。」

『了解。』

 

機体を水平移動させ、HMDをスコープモードへと切り替える。ビームより効果範囲が狭いかつ、射程距離に優れているレールガンには精密射撃モードがある。この状態では周囲の索敵がしにくいという欠点もある為、レイに索敵を頼んだのである。

 

「よし、動くなよ……」

 

ボロボロになった敵機が着艦し、エンジンが吹かされた。

 

「こちらヘキサ、スラッシュ!」

 

橙色の光が敵艦に伸びていった。だが、敵艦は思いもよらぬ行動を取り始めた。両舷にある予備タンクを切り離したのだ。

 

「クソッ!ミネルバ、敵艦は!?」

『爆風で索敵不能!』

「……こちらヘキサ、バッテリーがもうない。帰還する。」

『了解、ミネルバの着艦のやり方は?』

「俺に言うか?ミネルバの着艦テスト俺がやったんだぜ?」

 

 

 

「ボギー1は?」

「あの爆風に紛れて逃げたわね。でも追跡は出来てる。今はイエローαに向かってるわね。」

「了解。……しかし、議長までいらしたとは。良いんですか、このまま追撃戦などして。」

「君が居てくれればこの艦は沈まないだろう?」

「無茶を仰る、ですがやりましょう。俺もFAITHとしての責任と面子がありますからね。」

 

俺がブリッジに入るときには状況はイエローに変更された。あの状況ではミネルバに乗るのが確かに最適ではあったため、議長が居る事は何ら不思議ではなかった。が、俺にも予想外な事があった。

 

「……オーブの姫君、ねぇ。」

「今から議長と一緒に挨拶とお詫びに行くわ。」

「俺も着いて行きますよ。一応奴さんもボディガードはつけているでしょうし、ね。」

「そうだな、ザフト軍兵士の代表として立ち会ってくれ。」

「さて、行きましょうか。しばらくはアーサー、貴方が状況判断をしなさい。」

「あ、はい!」

「気負うなよアーサーさん。動きがあったら連絡して、その場しのぎをしてくれるだけでいい。後は俺らが何とかするからな。」

 

そう言って、俺と議長、タリア艦長はブリッジを後にした。

 

「しかし、どうして姫君がザクに?MSの操縦なんて姫がやる事じゃないと思うんですがね……」

「ボディーガードの子が操縦してたという。まぁ、会ってみたまえよ。君も彼も驚くだろうがね。」

「ん……つまり、俺の既知の人物、って事なのか……?」

 

 

その呟きに、議長はただふっと息を漏らすのみだった。そして、オーブの姫君が居る部屋の前へとやってきた。

 

「失礼するよ。」

 

議長の前に艦長が入る。俺は一番最後である。扉を閉め、振り返った先に居たのは……

 

「……アスラン?」

「ヘキサ……!?」

 

全く、どういう因果なのかね。驚きとか困惑というよりも、俺は正直言ってどうでも良くなった。

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