C.E.に転生した男がとにかく生きようと奮闘する話   作:QAAM_M1911

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メテオブレイク

「よしお前ら、スリルと冒険の準備は良いか!?」

「そんな事言ってる場合じゃないでしょう!?」

「頑張ってくれ!今回の目標はメテオブレイカーの護衛及び周囲の警戒だ。俺も機体の準備が出来次第、直ぐに行く!」

 

そう言って、俺はコックピットの方を向く。まだ機関砲の充填が終わっていない、まだ出撃は無理だ。

 

『あの……本当にこの人出撃するんですか?』

「ん……アレックスか。議長命令だろ、まぁ俺の旧知でもあるから腕は保証する。」

『一体どうして……』

「稼働出来る機体は一機でも多い方がいいからな。俺も賛成こそしねぇが止めはしない。議長も、何か考えがあっての事だろう。さ、そんな事よりお前の番だシン!出撃!」

『あ、はい!シン・アスカ、コアスプレンダー、行きます!』

 

モニターでインパルスが合体したのを見ていると、おやっさんから声が掛かった。

 

「機関砲の作業終わったぞ!」

「おっし、他の奴らの出撃が終わったらすぐに出る!今誰が出終わったか?」

「アスランだ。」

「今はアレックスだ、おやっさん。コックピット閉鎖!タキシング開始!」

「よーし、お前ら!一旦休憩だ!気密作業開始しろ!」

 

カタパルトまで機体を進め、ガチャリと接続を確認した。

 

『ヘキサ機、シュペアーのカタパルト接続を確認!発進、どうぞ!』

「ヘキサ・ラプトリオ、シュペアー行くぜ!」

 

カタパルトから打ち出され、A/Bを一気に吹かした。その時、ミネルバから緊急連絡が入った。

 

『こちらミネルバ!ジュール隊から連絡!接敵したようです!』

「やっぱり来たな……全機、全速力で行け!俺は先行する、良いな!?」

『了解!三人の指揮は任せて下さい!』

「頼んだぜシン。レイ、シンを助けてやってくれ。」

『はい!』

 

 

 

「こちらヘキサ・ラプトリオ!援護に入る!」

『ヘキサか!頼むぜ英雄さんよ!』

「ディアッカか!損害状況は!?」

『MS3機撃墜された、応戦が遅れていたらもっと被害が出ていただろう。』

「お前も来たかイザーク!よし、なら俺は適当に暴れる。メテオブレイカーの護衛は任せる!」

『何!?』

『その方が良いと思うぜ。それに、ファイターなら一撃離脱が基本だろ?』

「速度も出るしな、そう言う事だ。俺にヘイトを向けられたなら、ディアッカ、その砲撃の出番だ。」

『オーライ!やってやるか!』

『フン…戦果を上げれば文句はない!工作隊は作業を続けろ!』

 

一気にエンジンを噴かし、前線に向かう。向けられた銃口に機関砲を叩き込み、次いでコックピットに穴を穿った。

 

『どういう奴らだよ、一体!ジンでこうまで…』

「やけに腕が良いな……そうか!ヤキンの生き残りか!」

『過激派のテロか。道理で新兵の歯が立たん訳だ。ますますお前に任せた方がいい勝負の様だな。』

 

その時である。3機の熱源が接近していた。

 

「まさか、ボギー1が近くに居るのか!?」

『奪取された機体か!』

『全機攻撃に注意!』

 

だが、3機は無差別に攻撃する。まぁ彼らからしたら同じザフトだ。とにかく、呼び掛けるほかない。

 

「この空域の全勢力…いやこれを聞いている皆に告げる!現在テロリスト掃討作戦、及びユニウスセブン破砕作戦の遂行中である!落下を阻止したくば協力してくれ!」

『ヘキサ!?何をしている!』

「呼びかけるだけ呼びかける!俺の予想だと奴らは連合の手先、地球の危機に駆り出されたんだろ!」

『だが奴らこっちまで攻撃してきてんぞ!』

「仕方ねぇ!全機、あの三機は俺たちで相手する!護衛はあのジンから工作隊を守れ!必ず2対1で交戦しろ!」

『ヘキサさん!』

「来やがったか!シン、ルナマリア!ガイアをやれ!レイ、工作隊の援護を!アレックス、俺と来い!」

 

機関砲をカオスに向かって乱射する。しかし、俺の有効打はレールガンのみ。奴のエネルギーを減少させるしか方法がない。だからこそ、俺は回避盾として役目がある。戦い方からして、少々子どもっぽいものがある。イライラさせておけば、確実に俺を狙ってくるものであるからして……アスランにトドメを刺してもらうのが一番手っ取り早い。

 

ユニウスセブンの作業を見れば、もう既に真っ二つに割れているところだった。作業は早く進んでいるものと見て良い。

 

『作業は進んでいるな。だがまだまだだ!もっと細かく砕かないと!』

『アスラン!?』

『貴様……こんなところで何をやっている!』

『そんな事はどうでも良い!今は作業を急がせるんだ!』

「来たぞ、ジンだ。俺が囮になる、一発で決めろ!キャニスター装填、行くぞ!」

 

A/Bを一気に吹かして、ジン2機の間へ突撃する。放たれるビームをベクターノズルの噴射によって躱し、キャニスターでライフルを破壊する。ジンの2機は両方とも爆風を防ぐ為に盾を構えた。

 

「今だ!」

 

イザークとアスランの一発がジンのコックピット下を焼き、エンジンを爆発させた。しかし、次から次へと敵機は襲い掛かってくる。

 

「今度は……カオスとアビスか!ディアッカ!一発だけ援護出来るか!?」

『一発と言わずとも良いぜ!もう設置したところだ!』

「っし、カオスをやる!あの二人は……」

 

連携してアビスを圧倒している。イザークが注意を惹き、アスランが背後から斬りかかる。まぁ相手も中々の手練れで致命傷にはならなかったが、武器と脚部を破壊していた。

 

「行くぞ!」

 

カオスの一つだけになっている機動兵装ポットを反転しつつキャニスターで破壊し、機関砲を適当な装甲に当て続ける。俺へと注意が向けられた瞬間、すかさずディアッカの砲撃が飛んでくる。カオスは避け切れずに両脚部を損失する。ディアッカの方へと進路を変更した瞬間、アスランからのビームライフルが右腕を破壊した。

 

「後ろだ!」

 

そのアスランの背後からアビスが接近。事前チャージの終わっていたレールガンに兵装を変更し、コックピットを狙って発射。

 

『グゥレイト!』

『実弾が……効いた!?』

「流石マイウスの変態技術者だ。」

 

反応されたためコックピットまで破壊する事は叶わなかったが、それでも両肩部のシールドにデカい穴を開けているからしてとんでもない兵器だという事は分かる。流石に折角奪取した機体をいきなり破壊されるのはたまらないのか、信号弾が発射された。

 

「ふぅ……作業の状況は?」

『いい具合に進んでるぜ。けどよ、高度が……』

「全部破壊出来るって訳ではないか。よし……」

 

直ぐにミネルバに通信を行う。

 

「こちらヘキサ。ミネルバ、応答せよ。」

『こちらミネルバ!状況報告を!』

「カオスアビスガイアの三機は撤退。作業は残すところ一回、そして破片の破砕作業のみ。」

『了解!これより本艦は破砕作業の為に地球に降下します!』

「地球に?議長はもう退艦なさったのか?」

『はい!降下前に帰還をお願いします!』

「了解。お前ら、生きてるな?」

『なんとか全員、五体満足で生きてます!』

 

それを聞いて、作戦を思いついた。出来る手は全て打っておいた方がいい。

 

「っし、ミネルバ!ザクのガナーユニットとインパルスにブラストシルエットの用意!」

『え?』

「俺はこのまま残ったジンから艦の護衛をする!全ユニット、砲撃によりミネルバと共にユニウスセブンを破壊するんだ!」

『……シミュレーションは出来る?』

『はい!ですが、算出にはニ、三分程……』

『では、シミュレーションが成功した場合のみ許可します!ミネルバの整備用ラックに四機の固定準備!』

「全機傾注。このまま帰還してくれても構わない。俺の無茶ぶりだからな。」

 

これだけはとにかく徹底させる。俺の無茶ぶりで俺より若いのを同意なしに死なせるわけにはいかない。だが……

 

『ザクでも大気圏突入は出来る計算です。だったらミネルバの上に居ればなおさら安全です。俺はやります。』

『ここまでやって、リタイアってのはないでしょう?それに、私も赤。だったらここで意地くらい張らせてください!』

『確かに地球は嫌だけど……それでも、罪のない人たちを死なせるわけにはいかないんだ!俺もやります!』

「お前ら……っはは!」

『良い部下を持ったな、ヘキサ。』

「あぁ。だがこれだけは言わせて貰う。降下で死にそうになったら迷わず防御態勢を取れ!あのジンは俺がこの命を賭けてミネルバに近付けさせない、だから砲撃と自分の身を守る事に集中しろ!」

 

 

 

「シミュレーションは成功だ!さあ、四機の砲兵とタンホイザーでの破砕作業!頑張ってくれよ!」

『ほんとに大丈夫なんですか!?』

「大丈夫だ、アークエンジェルのメビウスゼロはそうやって生き残ってた。」

『問題は、MSが直立状態で誘爆も考えられるタンクを持っているという事だな。』

『エネルギーの貯蔵量を減らした状態での出撃、一発も外せないわね……!』

『あぁ、だが無理だけはするな。ヘキサもそう言っていただろ。』

 

俺の機体はまだまだ戦闘が可能だ。ジンが捨て身の特攻で重力圏に突入している以上、見ているだけと言うわけにもいかないし、下手に推力比が低めなザクをこの重力圏で飛ばす訳にはいかない。なら、引力を振り切れるこの機体が適任と言える。

 

『ヘキサ、ジュール隊と通信が取れました。作戦成功後、一時的にジュール隊の母艦に着艦して。良いわね?』

「っし、帰る場所も確保できたって事で!行くぞ、作戦開始!」

『タンホイザー、撃てぇ!!』

 

赤いビームが破片へと殺到する。爆風によりしっかりとは見えないが、破片はもっと砕けている事だろう。大気圏で燃え尽きる程小さく砕きたいものだ。

 

『ジン接近!数3、迎撃を!』

「っし、一丁やりますか!」

 

無線機はオープンにし、録音を開始している。このテロリストの発言など、証拠は取っておかなくてはならない。出来るだけ生け捕りにはしたいが、こんな場所まで来ているのだ。捕縛しても自爆される可能性が高い。

 

「レールガン充填確認。さて、一局手合わせ願おうか!」

『これ以上はやらせん!!』

 

3機の内、2機がこちらを捕捉してライフルを撃つ。1機が通り過ぎた時、ノズルを上に向けて噴射した。

 

「ぉぉおら……よっ!!」

 

機首を微調整し、反転した瞬間にレールガンを放つ。橙色に尾を曳くそれは、ジンの胴体に命中した。

 

『コイツ……!やはりヘキサ・ラプトリオか!』

「そうだぜ、ヤキンの亡霊さんよ。」

 

俺の考察をまず口に出す。乗って来たのならそれは確実にこちら側の責任となる。やはりと言うべきか、彼らは乗って来た。機体をジンの周囲を回るようにして一撃離脱の戦法を取る。

 

『そうか……貴様も、ここで無惨に散った命を忘れ!撃った者は偽りの世界で笑う……そんな世界を肯定するのか!!』

「あぁそうだ。所詮この世は弱肉強食、強い者は生き、弱ければ死ぬ。それだけだろうが!!」

『軟弱なクラインの後継者共に騙され、ザフトは変わってしまった!パトリック・ザラが執った道こそが、我らコーディネーターにとって唯一正しき道である事が何故分からんか!!』

「人間に正しい道など、ないさ!だからこそ人間は変わっていくのさ、良くも悪くもな。」

 

三回目の突撃で、リーダーと思しき人物が仕掛けて来た。ライフルを構えたのを見てキャニスターを発射、ライフルだけでなく両腕にもダメージを与えた。しかし、瞬間的に取った行動を見て俺はA/Bを一気に吹かす事になった。

 

「特攻か!」

『我らのこの思い!今度こそナチュラルにぃ!!』

「届くと思うなよ、自分本位にしか考えられん馬鹿野郎が!!」

 

再び反転し、機関砲をフルオートで発射する。流石のジンの装甲にも穴が空き始め、交差するかという地点で大爆発した。

 

「あと一機!ミネルバに射線が重なってるか……すぐに追いつく!」

 

通信を入れ、ミネルバに警告する。

 

「誰か、上に一発射撃しろ!」

『対空砲四番を展開!結構な手練れだったのね?』

「リーダーの野郎、ヤキンで戦った三機のG並に強かった。ちょいと手こずらされたんですよ。」

 

ミネルバから伸びる曳光弾がジンを掠め、ジンが少し避けた瞬間にレールガンを発射した。

 

「っし、撃墜した。破片の状況は?」

『破片除去作業……えーっと、50%完了です!』

「……狙撃不可能な破片はあるか?」

『あるわ、けど燃え尽きない程大きなものの殆どは大西洋に落ちる。砲を撃つのも完全に限界ね。これより降下を開始します!』

『フェイズ3!突入します!』

「外野から言っといて無責任だが、全員無事に降りろよ!これよりジュール隊に合流する!」

 

機体を反転させ、旗艦へと一気に向かった。着艦した後、残っている推進剤を確認するとほぼ空に近かった。やはり地球の重力は侮れない、あんな場所で戦闘する事はもう御免である。

 

 

 

『この未曽有の出来事に、我々プラントもまた沈痛な思いで受け止めております……』

「流石に会見は開くか。議長は穏健派だし、各地への被害補償の派遣がやっぱり早い。」

 

ジュール隊の母艦。その隊長室で俺とイザーク、ディアッカの三人は議長の会見を聞いていた。被害は確実に最小限にとどめられた。しかし、落下した隕石の影響により、津波…というか海面の上昇が引き起こされて海岸沿いは被害が出てしまった。死者は今のところいないが、大西洋に漁に出ていた何隻かの漁船が行方不明になっているとの事だ。ほぼ死亡で間違いないだろう。会見の内容はほぼ予想通り、そして災害への救難隊派遣。しかし……

 

「ちょっと早すぎねぇか?」

「ユニウスセブン落下から手を回していたのなら同じくらいだろう。だが、ミネルバに居たんだったな?」

「あぁ、お前らも知ってる通り艦の無線は全部記録されている。だがミネルバにはそんな記録はなかった。となると流石にここまで出動は早くなんねぇさ。」

 

俺がミネルバから出た時点で、議長は指示の無線を入れたとは言えない。つまり、事前から用意されていたものであると言える。

 

「と、なるとやっぱこれはマッチポンプですかねぇ。」

「だが、実のところそうとも言いきれない。災害復旧チームはいつでも出動出来る様に訓練されているから、別に少し早くても民衆は何の違和感も持たないし、軍もギリギリ違和感を抱くか抱かないかの瀬戸際だ。どちらにせよ、これで連合は戦争の理由を手に入れちまった。テロリストは全員死んじまったしな。」

「そうだな……お前の権限で全軍に通達出来るか?」

「確かに出来る、がFAITHの俺が出しちまったら更に口実を与える事になっちまう。悪手もいいところだ。」

「だが、そうでは備えすらも出来ん!第二の血のバレンタインにもなりかねないんだぞ!」

 

イザークがそう怒鳴る。その気持ちも分かるし、俺だって防がないといけないと思っている一番のシナリオだ。だが、ここで爆発させても仕方ないもの。

 

「その為の、アレだろ。まだ一基しか作れてないが……」

「考えているならいいさ。だが、そうなら分かっているだろ?」

「警戒網はいつも以上に厳重にさせておくさ。」

 

議長の演説は終わっていた。テレビを消し、手に持っていたコーヒーを呷る。

 

「んで、俺たちは一旦戻るって事か?」

「仕事は果たした、それに補給と休養も大事だ。お前も、議長から帰投命令が出ているだろうに。」

「あぁ、漸くセイバーが完成したんだと。早く帰ってお目見えしたいもんだぜ。」

「俺たちも見に行きてぇもんだが、他の仕事もあるんでな。」

「あぁ、頼んだぜ。」

 

そう答えると、俺は宛がわれた部屋に行った。死んじまった兵のベッドってのはきついが、もう鉄の棺桶に埋葬されているんだ。ありがたく使わせて貰い、少しの間に恐ろしく蓄積した疲れを取る事にした。




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