C.E.に転生した男がとにかく生きようと奮闘する話   作:QAAM_M1911

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ヴェールを突破せよ

「ポイントまであと少しだ、気合入れてけよ!」

『……ホントに俺でいいんすか?』

「俺にはインパルスは扱えない。特に狭ッ苦しい場所を飛ぶのは苦手なんでな。」

『失敗した時はどうしますか?』

「その時は俺が突っ込む。陽電子リフレクターを展開してる間、ヤツが盾になる都合上ローエングリン砲も撃てねぇだろうからな。が、そんな弾幕をぶち込むよりもインパルスを活かせた方が超効率的だ。つまり、お前が貧乏くじを引いたって訳だぜ。」

『……マジで俺頼みの作戦っすか。』

「そう言う事だ。頼んだぞシン。」

 

エレベータから走って行くシンを横目に、パイロットスーツの襟を上げた。今回の作戦は短いものになるだろう。結末は二極化もいいところだろうが。

 

「……ホント、シンを扱うの上手ですよね。」

「んな事はない。強いて言えば、時々同じ家に帰るからだな。素のアイツを知ってるのは良い事だ。」

「ですね。」

 

セイバーのコックピットに近付く中、おやっさんが耳打ちをする。

 

「……俺たちにデッカい味方が付いたらしい。」

「へぇ……了解した。」

 

その言葉の意味をしっかりかみ砕いてから、頭の隅にやった。考え事はこの後だ。セイバーがカタパルトに行くのを感じながら、軽口を一つ。

 

「ミスるなよシン。レジスタンスのお嬢様方も見てんだぜ。」

『分かってますって!』

『インパルス発進、どうぞ!』

『シン・アスカ、インパルス、行きます!』

 

シンの通る坑道のデータだが、滅茶苦茶狭い。本当にコアスプレンダー一機が限界だ。そして俺が動かしたシミュレータで、入るトコロで爆発したのをシン自身が目撃している。その後ざっとデータを確認したのでアイツなら確実に出来る。

 

『進路クリアー、セイバー発進、どうぞ!』

「セイバーホーネットはヘキサ、発進する!」

 

上空には出ず、そのまま地上へと降りる。レイとルナマリアのザクも同様で、岩陰に機体を隠す。ミネルバが上空に出て、タンホイザー発射体制に入る。

 

「タンホイザーが陽電子リフレクターで防がれるのは分かってるな?」

『防がれて、爆風が止んだらすぐに戦闘開始ですね。』

『だが、ローエングリン砲を避ける為にミネルバは速度を出す。そうすればMS隊を引き剥がすための援護が必要になる。』

「そう。俺が直掩に入る。レイとルナマリアはその援護だ。シンが坑道から出てきたら、俺が直ぐにクモ野郎の足止めに向かう。その他、臨機応変に対応せよ。」

 

タンホイザーの爆風が止むと、ローエングリンの光線が見えた。ミネルバは船体を地面に擦りながらも回避し、直ぐに上昇した。

 

「行動開始!」

 

MA形態に変形し、ミネルバに群がるMS群を狩る。上方はルナマリアに任せ、死角である下方から接近するダガーを迎撃していく。

 

『隊長、敵MAが後退します!』

「大丈夫だ、ゼロアワーまで20!それよりも敵の数を減らせ。味方がなだれ込める隙間をこじ開けるんだ。」

『了解!』

 

動きのトロいダガーを1機、ミサイルを数発迎撃したところで、ゼロアワー。それと同時か、やや遅れて地面が爆発した。

 

「よし、作戦続行!ミネルバは頼むぞ!」

『了解!ルナマリア、援護を頼む!』

『当たらないでよね!』

 

なんか当てそうな気がするが、まぁ良いだろう。直ぐにクモ野郎の足を止めに行く。

 

「厄介なのはコイツと長距離砲のコンボってだけだ。コイツ単体じゃあな!」

 

アークライトを交互に発射すれば、陽電子リフレクターを展開する。勿論弾かれるが、俺はビームの嵐を躱しつつも射撃を止めない。

 

「最初っから回避しとくんだったな寝坊助野郎!」

 

多脚故の小回りと引き換えにした地上機動力の弱さ。変形しつつビームサーベルを投擲し、コックピットに突き刺した……筈だが、未だに稼働している。

 

「違うか!?」

 

宙がえりでビームを避け、そのまま後方に回りながら両腕のSMGを乱射。後方にまで陽電子リフレクターは展開出来ないようだ。クモ野郎の爆発を利用しながら上空まで飛び上がる。アークライトは……ギリギリ届くが砲台には直撃させられない角度だ。

 

「シン、そのまま突っ込め!周辺の掃討は俺がやる!」

『了解!』

 

ADMMを発射、一気に対空砲を破壊。同時にそれぞれのSMGでダガーを破壊する。シンは順調に登っているが……!

 

「シン!敵機直上!ダガーだ!」

『ッえぇいっ!!』

 

いやはや見事という他ない。接近戦と判断した瞬間にライフルを投棄、ナイフでダガーを撃破した。そして仕舞われつつあるローエングリン砲の攻撃手段として爆発するダガーを利用したんだ。

 

「上手いぞシン!良くやった!」

『このっ……!狭いとかデータ通りにとかじゃなくて……!』

「文句は後で聞く。とりあえず帰るぞ、乗りな!」

 

ミネルバへと帰還する最中、俺は見た。連合兵がレジスタンスに私刑が執行される瞬間を。

 

「……こっち(プラント)の民度の方も考え物だな。」

『何か言いました?』

「いいや、何でもねぇ。よくやった、今日は祝杯だな。」

 

夢を見るのは良い事だが、現実はそう甘くはないらしい。

 


 

「……全く、呆れたものですわね。こんなところにお出でになるとは。」

「っハハハ、驚いたかね?」

「えぇ、驚きましたとも。まぁ、今に始まったことではありませんけれども。」

 

デュランダル議長とタリア艦長、そしてレイの三名が向かい合った。議長の声はどこか、普段の緊張感漂うものとは全く違うものを感じさせる。

 

「元気そうだね、活躍は聞いている。嬉しいよ。」

「ギル……」

「こうしてゆっくり会えるのも、久しぶりだな。」

 

そんな声が聞こえて来た。かなりプライベートな関係故、俺は深く入る事はしない。

 

 

 

「しかし、ホントに来ちまったんだな議長は……」

「だな、フットワーク軽いというかなんと言うか……」

 

軽口を叩き合うのは、同僚であるハイネ。つまり、FAITHの一人だ。

 

「で、シンとルナマリアだっけか。もう向かってるってよ。」

「分かった。けど、早めに来て欲しくはないな。あんな議長は久しぶりに見たな。」

「そうか?初めてだぞ俺は。」

 

廊下に寄り掛かりながら、そう言い合った。階級が同じだと、バカ問答も弾んでやりやすいもんだ。年齢はハイネの方が上だが。なんならヴェサリウスにて先輩だった、ミゲルの更に先輩だ。とは言え、ムードメーカーな人物である故にこうして対等な関係に落ち着いている。

 

「あ、隊長!シン・アスカ、ルナマリア・ホーク。両名到着しました!」

「おうよ。おいシン、制服はしっかり着ろ。」

「あ……はい!」

 

この後は……議長と俺たちで軽い会談をした。シンが議長の話をやや遮る形にはなったが……俺としても議長の意見を聞けるのは中々興味深かった。腹の底に隠しているものはあれど、人類に対する思いは本物なのだろうしな。

 

テーブルマナーやら何やらは前もって教えていたからか、シンも失礼にならない程度には出来ていた。特に、議長からすればシンはキーパーソンだ。故に議長もシンを無下に扱うことはない。

 

 

 

それから少しして。夕方に差し掛かっていた空はすっかり暗くなった中。議長から呼ばれて噴水の前にやってきた。傍にはラクスの偽物も居る。先ほどまでライブをしていたし、議長が重用していることからも順当だと言える……のかもしれない。

 

「アークエンジェルの事なんだがね、君はどう思う?」

「姫君を誘拐して姿を晦ました、とお聞きしましたが。」

「あぁ、君に伝えた通りだよ。前大戦で戦い抜いた君であれば、なにか思い当たる節はないかね?」

「そう言われましても……あぁ、ですがアスランと姫君が惹かれ合っていた。とか、フリーダムのパイロットにかの機体を托したのはクライン派。そもそもフリーダムのパイロットとアスランは幼馴染であるとは聞いています。何かしらの糸口はあるかと。」

「ふむ……それは私も掴んではいる。どうかね、アスラン・ザラ、そして本物のラクス・クラインはそのアークエンジェルに居るのではないかな?」

「ラクス・クラインについては高いかと。ですが、恐らくアスラン・ザラは乗船していない可能性が高いです。」

「何故そう思う?」

「そもそも、アスランに枷を嵌めたのは私自身ですからね。家族を托したのですよ、私は。」

「オーブにかい?」

「えぇ。一応中立国でしたし、それなりの地位に居るアスランに託しとけば、ある程度の庇護は貰えると打算しまして。結果としては胃がキリキリとなっている所ではありますが。」

「そうか……それはまた災難な事だったな。だが彼なら上手くやってくれるさ。」

 

俺はそれに首肯した。ハロが飛び跳ねながら、噴水の方へと向かっていった。それを軽くキャッチし、偽ラクスへと渡した。

 

「もし君の方で何か掴んだら、是非知らせてくれないか?」

「微力ではありますが、お力添え致します。」

「あぁ、頼んだよ。」

 


 

(……上手いな。)

 

私も知っている情報を出し、その上で知らない情報を提出して自身の内を曝け出す。だが家族を巻き込んだという同情を誘い、油断させる。私だったらまず打たない手だ。

 

(結局彼の周辺()()何もなかった……だが怪しい。ニコル・アマルフィは一体何処へ消えた?)

 

オーブに向かったという記録はあるものの、それ以降の足取りが一切つかめなくなっている。要警戒対象であるのは勿論のこと、最後に接触したというヘキサが共犯である、という可能性は否定できない。と同時に黒と言い切る事も出来ない。

 

……が、私は彼が黒であると確信している。知っているのだ、私のプランを。盟友であるラウから、託されている。人類の、未来を。

 

託されなかった者としての嫉妬もある。だが、それ以上に私でさえも希望を見てしまうのだ。スーパーコーディネーターである彼と同様に……いや、ある意味それ以上に凄惨な産まれでも、自由に羽ばたけるその姿を見て。

 

「……彼を捨てたのは非常にもったいなかったな。アウラ?」

 

であれば、見届けようではないか。運命と努力。どちらが人類の未来を掴むのかを。

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