C.E.に転生した男がとにかく生きようと奮闘する話 作:QAAM_M1911
「ちょっと待て、何があった?」
「その……色々とデータバンクにアクセスしてたら、その……デスティニープラン?とか言うやつを見てしまって……」
「は?何、お前ザフトのネットワーク覗きまくってんの?」
「……それまだ公表されてない機密情報じゃねえか。どこの馬鹿がそんなセキュリティ低いとこに……」
「待って、その端末コレじゃねぇか?」
「そう!なんです!セキュリティ意識低すぎでは!?」
「ハッカーから正論言われるの腹立つな……!」
普通に俺のノートPCに侵入されてるわ。ってもこれFAITH用にセキュリティを万全にしてるはずだ。
「……で、どうしてここに来た?」
「……デスティニープラン、私は賛同出来ないと思うからです。」
「へぇ?理由は?」
「私だってお洒落を楽しみたいですから。確かにそんな自由はあるかもしれないですけど……需要は、消費によって作られると思うんです。それを管理するって、無理じゃないですか?」
「そうだとも。新しく何かを作ることはAIには到底不可能。それを仕事に割り当てる為には人間の手が必要になる。結局、人間が世界を管理するシステムさ。」
「そこに平和を謳えば、人々は難なく信じ込んでしまう。この世界は、血に塗れてるからなぁ。」
「ま、それは良いさ。メイリン、本当に行くのか?ルナマリアくらい誘ったらどうだ?」
「……私も、考えました。でも、無理ですよ。説得に応じるわけ、ないじゃないですか、あなたが模範的な兵士に育てちゃうから……」
「お前もそうしとくべきだったかもしれんがね。普通に軍規違反……いや、もうどうでも良い話だな。乗れ。」
俺だってこれから軍規違反を大きく逸脱するのだ。むしろ重大度は俺の方が大きく上。言えたもんじゃない。内線をとって管制塔へ出撃許可を急かす。
「こちらヘキサ。出撃許可はまだか?」
『こちらタワー、必要性を感じない。待機せよ。』
「了解した。」
ボートが発進し、荒波の中で揉まれる様子を確認した。付近には監視カメラの類は少ない。そもそも、あのボートは警備用のもの。少し遠くまで行ったらIFFを消滅させて撃沈反応と誤認させ、俺が出撃する手はずだ。まぁ、直ぐ見破られるだろう。
「ったく、コックピットの中で雨音だけ聞いてんのも嫌だな。」
『こちらタワー。ボートが一機撃破された!出撃!』
「了解。とっとと行ってくる。」
「どうだお前ら、新型の調子は?」
『いい感じです!機動性もインパルスとは比にならない……!』
『レジェンドもよく動く。ザクと比べてしまえば……』
『ともかく、俺たちで海上封鎖をするぞ。配置は?』
「俺はこのまま真っすぐ行く。レイはここに待機。ハイネとシンは左右に展開してくれ。」
『しかし……スパイとは一体誰なのでしょうか。』
「さてな。せっかく連合やらも集まってくれたってのに幸先悪い。」
『全くだ。敵は何使って逃げたんだ?』
「把握出来てないが、潜水艦はありえないだろう。ソノブイが絶対に感知する。」
『同様に空もありえないですよね。ミラージュコロイドはこんな雨の中じゃ使えない。』
『暗くて雲が厚いっても、さすがに航空機の離着陸音は誤魔化せん。』
『……同じくボート?』
「もしくは、海上ホバーするMSなんて線もある。そうなると相当な手練れだぞ。ポイントに到達、散開!」
このまま事を構えず逃げおおせたいものだが……そうはいくまい。
「議長!不正なデータバンクへのアクセス履歴の報告が上がっています!」
「どこからだ?」
警報が鳴り響いた基地内では、烈火のごとき大騒ぎへ変動していた。そんな中でも、デュランダルは平静を保っていた。しかし、次の言葉で少しばかり動揺してしまったのは仕方ない話だ。
「ミネルバ艦内、メイリン・ホークの私室からです。」
「どこにアクセスしたかは解析できるか?」
「6番格納庫、ヘキサ・ラプトリオの支給PCです。」
「なっ……」
あのPCは相当に強固なアクセスロックを施している。それこそ、ザフトの技術を結集したような芸術品と言えるほどに。
「彼女は?」
「それが、姿が見当たらず……」
「……動いたか!?」
この行動は意図していたものではないだろう。メイリン・ホークにPCを覗き見られ、何をしていたのか露呈してしまった。その口封じのために誘拐……もしくは殺害されて時化の中か。ならまだチャンスはある……
「……FAITH総員、よく聞きたまえ。」
「こいつは……!?」
オレンジ色のデスティニーの中で、ハイネは驚きを隠せないでいた。IFF情報が更新されたのは良いが、その対象が問題だった。
「ヘキサが主犯だと……?」
『ハイネさん!どうなってるんすかこれ!?』
「俺にも分からねぇ……!」
『……ですが、指示を下されました。行動しないと。』
「クソッ、ここまで気分悪い戦いは初めてだ……!」
「バレたな。おやっさん、どうだ。」
『離島に到着したぞ。そっからざっと30は離れてる。』
「メイリンの調子は?」
『風邪引きそうだが、まぁ凍えることはねぇだろ。その為にいろいろと準備してきたんだ。』
そうなりゃ、おやっさんらが居る場所から少し離れた場所に移動出来ていたのは幸いだった。バレたと理解させるため、一気に加速する。
「機動性じゃデスティニーの方が上。追いつかれるのがオチか。ならここいらで迎撃をさせてもらおう。」
反転して三機へビームを発射する。レイとハイネはうまく避けたが、シンは動けずシールドで防いだ。
「どうした。今のを避けられないなら落第点だぞ。」
『そんな……どうしてアンタが!?』
『ヘキサ……マジか、マジなのかよ?』
「言うまでもなく、結果だけが物を言う。」
ビームライフルを仕舞ってハルバードを取りだす。接近戦であれば誤射を恐れて弾道を読みやすくなる。死中に活を求める、とはよく言うものだ。
「……思慮のある人は考えてほしい
この数字は終末の獣の烙印であり、その獣を意味する数字である
その数字とは666である」
『何!?』
ヨハネの黙示録。オーメンという映画が有名だろう。ドラグーンの砲塔をレイのレジェンドに向けつつ、ハイネのデスティニーと切り結ぶ。この旋回砲塔は牽制に向いているな。
「獣とは思考せぬ生物のことだ。」
『戦闘中にふざけたことを……!』
「人間とは思考する生物のことだ。なら今の意味は分かるだろう。」
『聞くな!俺たちの動揺を図っていやがる!』
「この馬の額に刻まれし文言は“
ハイネのデスティニーに蹴りを入れて追撃の射撃を入れつつ、後方から迫るレイのレジェンドにハルバードを後ろ突きの後斬り払い、入れられた射撃は的確にシールドで防ぐ。シンのバカは……呆然としてやがる。
「フォーホースメンのうち、ホワイトライダーは放たれている。侵略戦争は既に始まっている。」
『クソ、どの回線でも聞こえやがる……何が狙いだこれは!?』
「レッドライダーも同様だ。殺戮の大剣は振り上げられている。」
『誰のことを言ってるんだ、これは!?』
「ブラックライダーは予てから存在する。皆飢えを知り、どうにかしのいだ。銀貨一枚の麦はどうにか増えたが、その麦は末端まで届きはしまい。」
『やれ!撃墜するんだ!』
『議長!?』
「ペイルライダーは一度退いた。だがしばしの眠りを経て、再び矛先を皆に向ける。」
『逃げるなよ……降伏してくれ!』
ようやく再起動したシンが、こちらにビームライフルを向けるが、その弾道はこのレジェンドに当たるべくもなく、海中へと吸い込まれていく。
「トランペッターは吹かんと息を吸い込む。止めんとする人は知らぬ内に神に代わろうとした。」
『……』
「神は怒りてバベルの塔を壊す。画一の世界も一つの雷霆により崩壊せん。」
上部ドラグーン砲塔がシンのデスティニーに総攻撃し、ビームシールドを破って海中へと突き落とす。ハイネのブーメランが迫り、ライフルで撃ち落とす。
「天使は裁きを下す。運命を定めるのは人間でなく、神でもない。ただ賽の目のみが知る。」
『これは……何の話をしている?』
「人が数多持つ予言は、結局確率論でしかない。どのような政策であろうとも、失敗する時は失敗する。人の夢、人の望み、人の業……全てが重なり、絡み、千切れるか否か。そういうものだ。」
レイのレジェンドからの砲撃を捻って躱しつつ狙撃。ビームライフルを破壊した。が、同時にシンのデスティニーからの砲撃でこちらもライフルを喪失。
「世界はなるようにしかならん。管理されし世界は、夢物語である。それとも……人々を薬漬けにでもする気かな?」
『どの話を……広域ジャミング!?』
『これは友軍からの……味方にまで被害が及んでいるのか!?』
「なるほど、判断が早い。適当にそれらしい演説をする必要もないか。」
『演説……だと?』
「まぁ議長には気取られているだろうが、一般兵は理解出来んだろうな……が、貴様らには言っておくべきだ。議長の目指す世界を。“デスティニープラン”を……」
『FAITH権限でも知らされてない情報だぞ。一体何なんだ?』
ハイネが食いついてきた。とは言え戦闘をやめる気配はない。ドラグーン砲塔を広めに展開し、接近するハイネのデスティニーの回避運動を遮る。砲塔の角度を徐々に狭めていくと、たまらずビームシールドを展開するが、そこにビームハルバードの突きで左腕を破壊する。これであの大火力砲は潰せた。
「全ての人々の才能を査定し、定められた職に就かせるシステム……」
『パッと聞いた限りじゃ、食うに困るような世界にはならなそうだけどな?』
「強制的に、というところがミソだ。誰よりも笑いを嫌う者に笑いの才能があったとして、コメディアンが務まるとでも?」
『……だが、少なからずこの荒廃した世界なら効果はある。』
「劣等種の烙印を付けられ、差別される人間がいたとしてもか?」
『それはッ……!』
「一見良いシステムに見えても、職業の難度で優越感を持った人間が生まれ、結局差別と貧富が生まれる。繰り返しだ、この世界は。」
『だからって、軍を抜けるバカが居るか!』
「なら議長を撃つか?クーデターを起こすというのなら協力するぞ、ハイネ。」
『ギルを……!?』
レイのレジェンドからの砲撃が一層強くなる。海面に見える岩瀬を蹴って動きを気取られぬように回避し、レジェンドの大型ドラグーンを蹴り飛ばして破壊。レイも同様に海中に吹っ飛んだ。と、同時に左側面のドラグーンがシンの砲撃で全て失われた。やはり3対1はキツイな……!
「良い援護射撃じゃないか。流石、専用にカスタムされているだけある。」
『このッ……!』
「最後の訓練を付けてやる。来い。」
ハイネが先陣を切り、続いてシン、後方からレイの援護射撃。即興の戦術としては満点。ハイネの意思をくみ取った二人も、兵士として成長しきっている。が……
「……甘い!」
アロンダイトの刺突をビームシールドを展開した裏拳で弾き、左のドラグーンで追撃。次に襲い掛かってくるシンには……最高級のミサイルをプレゼントだ。
「行け!」
『なっ……うわああ!?』
短時間で使い捨てるのなら、ドラグーンも空中で一応使用できる。大型ドラグーンを一基射出してビームを照射しながら突っ込ませ、撃破させる。もう一基はその煙幕を利用してサーベル状態で突貫。大型砲と左腕消失。ただし、こちらもメイン火力が失われている。何なら遠距離戦でレイに左に立たれるだけで相当にキツイ。
「どうした、立て!命令すら遂行出来ずに何が兵士だ!貴官は俺を殺すのだろう!」
『このっ……』
『腐ってもザフトのトップエース……!』
『とはいっても、もうあっちも限界だ。次で決めるぞ!』
ハルバードを分割して二刀流の構え。双方共に左腕を消失した上、ハイネ機はビームライフルとビームブーメラン一基。シン機はアロンダイトとブーメランが二基。しのぎ切れる……!
「行くぞ!」
『ッ……!』
息をのむ音は、誰のものか。同時にブーメランを投げる二機、仕掛けてくる。レイの援護射撃の雨あられを避けつつ、接近する。
「カタログスペックは読了後なんでな!」
ブーメランとハイネ機のパルマフィオキーナをバルカンで破壊する、がどこからかブーメランがハイネ機の手に収まった。やるな、シンのもう一基だ。簡易ドラグーンだからこんな芸当も出来るってわけか!
「まだやれるな!?」
『舐めるなあああぁぁ!!!』
半狂乱に叫ぶシン、右肩でタックルするようにビーム砲を向けつつ、シンのデスティニーに迫る。ハイネの機体はもうほとんど無視していい。それよりレイだ。後方支援に徹されているせいでビームライフルと大型ドラグーンの喪失以外、損傷らしい損傷がない。早急にシン機も無力化せねばならない。
二刀流でアロンダイトを挟み込んで切り裂く。と同時にパルマフィオキーナが照射されて左肩部が損壊する。後方からビームブーメランが戻るのを確認して避け、それがデスティニーの手に戻る。を確認したと同時にレジェンドのバースト射撃が機体に襲い掛かり、右上方のドラグーン一基、左足を損傷。
「……はっ、このくらい!」
『最後だ!』
泥沼もいいところだ。デスティニーが機動力で圧倒しているせいで、レイのレジェンドに近づくことも許されない。皆が分かっている、レイがこのゲームの主導権を握っていることに。だからレイに近づかせないように、ひたすら格闘戦を行っている。
突貫。ただそれだけだ。残った3基のドラグーンを射出してビームを放ち、使い捨てる。大きく膨らんだシンのデスティニーを狙うため、ハイネのデスティニーにサーベルをジャベリンとして投擲。狙う。
……隊長。あなたがフリーダムのパイロットに何を思ったのかは分からない。だが、恐らく同じだろう。
「……お前らの勝ちだ。いい腕になったもんだ、ほんとによ……」
『ヘキサ!』
「最後のトドメは……レイか。おめでとう、とでも言っておこうか……」
『隊長……祝いの言葉など……呪いにしか……』
若いやつらが、世界を良くしようと。奮闘していることに、歓喜したのだろう。
「だが……最後に。」
隊長の代わりに、助言を送ってやろう。
アドバイスにもなっていないようなものだ。だが、絶対に忘れてはいけないことだ。
「自分の頭で考えることは忘れるなよ……!日記の片隅にでも書いとけ!!」
蜷帙?縺セ縺?闍・縺?s縺?縲ゅ%縺」縺。縺ォ譚・繧九∋縺阪〒縺ッ縺ェ縺?→諤昴≧縺後??