C.E.に転生した男がとにかく生きようと奮闘する話   作:QAAM_M1911

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“信頼”

「どうした?」

『エターナルが発進したっす。』

「追手の数は分かるか?」

『分かりませんが……地球方面に向かっているっす。』

「こちらから出来ることは?」

『既にキラ君がストライクで出る用意をしてるっすね。ファクトリーの方もレールカノンを用意してるみたいっすし。』

「……ならこちらは手出しは不要だな。こちらで出来ることをやろう。アスラン?」

「何をすればいい?」

「んなもん、どう考えたって一つだろ。」

 

オーブがブルーコスモスのバカを匿っているのは確定。あんな火種どころか汚染物質というか導火線に火の付いた爆弾を持ち込むあたり、今の頭目は馬鹿にも程度というものがあるのを知らないらしい……いや馬鹿に失礼か。“愚者は愚者らしくする方が賢明だ”とも言うから、それ以下の何かと言わざるを得ない。

 

「カガリをオーブに連れていく。そして実権を取り戻す。」

「ま、そういう事になるが……姫君のストライクは、今は兄上様が駆られているんだろ?」

「バルトフェルドさんが乗っていたムラサメでも良いが……どうにかならないか。」

「そこらへん、多分どうとでもなるだろ。行ってこい。姫君の近衛兵(イージス)はお前にしか務まらん。」

「……アークエンジェルは頼む。キラも帰ってくるはずだ。」

「もちろん。ま、俺は出られんがな。」

 


 

「……上手く防衛線を立て直せたな。」

 

ザフト軍の相手はアスランがやっているようだ。カガリ姫は国防本部へと直行……上手い事やれているみたいだな。

 

「アークエンジェル、発進できます!」

「アークエンジェル、微速前進。」

「頼みますよ、艦長さん。」

「……えぇ。」

 

まだろくに話も出来ていないが、この艦長の目線からはあまり快いものを感じない。それもそうだ。生きていたとはいえ、想い人を撃ったんだからな。俺だってシスターやアリーを撃った奴を許すようなことはしない。

 

「……そういえば、あの男は?」

「ムウ……の事かしら?」

「あぁ。」

「……元居るべき場所に戻って、と。」

「なら、帰ってくるさ。」

「え?」

「病室が一緒だったんだからな、分かるさ。妙に馴染んでたんだよ、この艦に。なら帰巣本能ってやつがあるはずさ。人間、時々やるべきことがはっきりと分かるときがある。ラウ・ル・クルーゼのライバルだったのなら……尚更な。」

「……そう願いたいけど、無理よ。」

 

水面から浮上するアークエンジェル。それを見るかのように、ジンで戦ったあの戦闘機が見えた。その横に、その男は居た。

 

「……まずいな、ミネルバの動きが変わった。エースが出てくるな。アスラン!」

『どうした!』

「シンが出てくる。相手してやれ。」

『殺すなってことか?』

「そうできればな。」

『……それほどの相手か。分かった、カガリは国防本部に急がせる。』

 

戦線全体の指揮は俺が、この艦のコントロールはマリュー艦長が執る。一番効率がいい。

 

「それと、レジェンドに乗ってるレイはクルーゼ隊長のクローンだ。」

『な……バカ!なぜそれを先に言わない!?』

「もうそんなもんに憑りつかれてる様な奴じゃないからだよ。」

『そうか……それ相応に、彼自身の強みが出てきたというわけか。』

「俺が手塩にかけて育てた教え子だよ。インパルスに乗ってるルナマリアだってそこらのパイロットじゃ鎧袖一触さ。」

『気を付けさせるよ。』

 

そういうと、上空より数機のMSが降下している事を観測。データ照合、これは……

同時に、通信が入る。

 

『マリューさん!』

「キラ君!?」

『ラクスを頼みます!』

「フェイスをここに持ってきたのか?……ははは!全く、じゃじゃ馬お姫様は一体何人いるんだか!」

『騎士様は、たくさんいるんだぜ?』

「ドムトルーパーに……ゲイツJ!エンジェル隊も来たか!こちらの戦力は潤沢だ、対応される前に一気に戦線を崩すぞ。俺も出る。」

「大丈夫なの?」

「もう治った。MSの戦闘機動くらいじゃなんともないさ。」

 

急いでパイロットスーツを着る。すでにフェイスは着艦していた。機体の元に駆け寄ると、すでに作業員が臨時点検を開始していた。

 

「……ラクス・クライン。」

「初めまして、ヘキサ・ラプトリオ様。」

「様付けはやめてくれ、むずがゆい。しかし驚いた。あなた自身がこの機体に乗っていたとは。」

「本当にただ乗っていただけですわ。」

 

そういうと、ラクスが手を差し出した。俺はその手を取り……

 

 

 

 

 

視界がゆがむ。

 

きらきらが視界に広がる。

 

何か、あたたかいものを感じる。

 

遠くに、冷たいものを感じる。

 

あそこに、消えそうな光を感じる。

 

 

 

 

 

「何だ……?」

『これは……?』

 

だが、それは一瞬の事だった。ラクスも同じだったようで、目を丸くしていた。懸念事項が増えやがったなクソッタレ。

 

「君も視えたのか?」

「……あなたも?」

「あぁ……だが、今こうして悩んでいる間にも鉄の欠片がすべてを壊す。」

「……あなたは、本当に戦士なのですか?」

「運命が定め、ラウ・ル・クルーゼが定め、ギルバート・デュランダルが定め……そして何より俺が選んだ。自ら選んだ道に躊躇いなんてしてちゃ、死んでいった奴らに失礼で、無礼で、侮辱する行為だ。迷う時はある。だがやるべき事を貫く。それが俺の道だ。」

「あなたのやりたいことなのですか?」

「だから選んだ。さっき述べた、それ以上に理由は必要か?」

「……過去に囚われている、ととるべきなのでしょうか。」

「だろうな。けど、そういう生き方だって間違っちゃいないと思う。それが自分のために、ほかの奴らのためになるならそれはそれでいいんだ。」

 

フェイスの武装をざっと見る。“オープンパッケージ”……ロングレンジでの戦闘を主眼にした形態か。ロングレンジキャノンにビームカービン、複合兵装防盾システム……ファイヤビーとクスィフィアスもあるのか。面白い。

 

「時間がない。フェイス出るぞ。」

「出来れば、コックピットは避けてください。」

「確約は出来んぞ。相手は命を賭けて俺を殺しに来る。なら俺も相手の命を奪う権利がある。隔絶した実力があるなら別だがな。」

「あなたには、それが出来ないと?」

「やってやるよ、出来るだけな。」

 

コックピットに入る。インターフェースはセイバーとほぼ同じ、やれるさ。IFFはターミナルのものだった筈だが、点検ついでに書き換えたらしい。優秀な整備員だよ全く。

 

「じゃ、ヘキサ・ラプトリオ!フェイス出撃する!」

 


時はやや遡り、キラがエターナルへ着いたころ……

 

多種多様な武装を施したゲイツが、ファクトリー周辺のザフト軍を壊滅させていた。それを待っていたかのように、巨大な岩に偽装されていた艦……いや、砲塔が3基動く。

 

「副長。これよりオーバードレールカノン、実弾射撃訓練を開始する。」

「了解。オーバードレールカノン、実弾射撃訓練用意!」

『“ユニコーン”、射撃準備完了。』

『“サビトゥン”、こちらも準備オーケーだ。』

「射撃訓練は我が“アリコーン”、“ユニコーン”、“サビトゥン”の順に行う。“プリンシパリティ”、測量データを要求する。」

『こちらプリンシパリティ、了解したよ。』

「想像せよ、諸君。運命に縛らるる命を、100万の命を以て救うのだ。」

 

プリンシパリティ艦長、トダカ一佐はやや不安であった。

ジャンクチャ級1番艦“アリコーン”の艦長、“マティアス・トーレス”に対して、不信感を抱いていた。

かつてニュートロンジャマーを地球に降り注がせた、忌まわしき作戦に参加した一人。無理もなかろう、彼とてその被害を受けた一人。あまりいい印象は抱かない。

それに言動。何かにつけて“想像”だの、“救う”だのと言いまわる。ACESに参加した中でも古参であると聞いて驚いたものだ。こんな奴にまですがるしかないのか、と。

 

「……撃ち方はじめ。」

「うちーかたーはじめ!!」

 

ジャンクチャの最大の武器にして、唯一の存在意義。8割の体積を占める120cmレールカノン。通称“オーバードレールカノン”。その矛先が、数千キロは離れた箇所に向けられる。その先にはエターナル。

 

だが、この男はエターナルを狙いはしていない。それを追うザフトの艦を狙っている。恐ろしいほどの偏差射撃を、見事に決めて見せた。次の矢を放とうとするが、ユニコーンの発射前にすべてのザフト艦が沈黙した。大方、エターナルに搭載されたフリーダムが殲滅したのだろう。

 

「……撃ち方やめ。」

『教練は?』

「想像せよ。救済すべき命を、その手で救うのだ。」

 

またこれだ。そうトダカは頭を掻いた。

 

「トダカ一佐、本当に大丈夫なのでしょうか?」

「分からんなぁ。だが、ACESの最古参かつヴォータン君のいとこだそうだ。それに、ターミナルとの会談にも出席していたそうだ。信じるしかないんじゃあないかな?」

「あまり命を預けたくはないですね……」

「あんな大質量、地球に向けられたら……」

「3mもの大質量弾とて、大気圏で燃え尽きる。故郷のプラントを撃つことはないだろうから、うまく閉じ込めたともいえるさ。」

 

ジャンクチャは元々ファイターであるPW-PK.Ⅰやシュペアーの運用を想定していた……が、プリンシパリティが譲渡されたため、それらを切り詰めたという経緯がある。出来すぎのような話だが……それが逆に危険人物を閉じ込める“檻”となった。

 

少数ではあるが、連合系だった兵はプリンシパリティへ配属している。元が連合の艦だったわけだし、当然の配属だ。

 

「さて、始まるよ。準備は良いかい?」

「いつでも。」

「世界に喧嘩を売りに行くとしよう……いや、この場合は世界に喧嘩を売ったのを殴りに行くと言った方がいいのかな?」

『どちらにせよ……我が方に出来ることはいくつかのみ。鉄の欠片で命を砕く100万の者どもを殺し、1000万人を救済するのだ。』

「分かった分かった。行こうか。エターナルと合流、エンジェル隊は発進用意。」

『こちらアリコーン、ファクトリーにて待機する。』

「分かった。不測の事態ってのもあるかもだし、そもそもジャンクチャじゃ戦乱の中に飛び込むのは無理だからね。」

 

プリンシパリティがエターナルの後を追って発進した。砲を格納したジャンクチャは再び岩に偽装され、ファクトリー周辺は一切の揺らぎも失った。




ACに出てくる大型レールキャノンを盗んだCV安元洋貴の狂人キャラ。
なぜこれでキャラの選択肢があるのだ……
 ↓
ちょっと混ぜた(お空強め)

120cmは誤植ではありません。
もう一度言います。
120cmは誤植ではありません。
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