C.E.に転生した男がとにかく生きようと奮闘する話   作:QAAM_M1911

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混迷の空間

「血液検査します、腕出して下さい。」

「細胞検査します、綿棒で頰の内側擦って下さい。」

 

とまぁ色々な検査をさせられるのだが、まぁ参った参った、着いた初日は良かったが、次の日はもう検査に次ぐ検査。体内環境が火の車である。

 

「結果は12時間後に出ます、ありがとうございました。」

 

ありがとうございましたて、文句の一つくらい言いたい。

 

「で…ハルコンネン改修出来ました?」

「あぁ、作られていたハルコンネン改に換装したぜ。砲身をとりあえず強化したモデルだ。」

 

砲身が最早レールガンの様な形状になっているのはもう無視する。

 

「そして、装甲全てに対ビームコーティングを施した。ただし受けられるのは一発まで、良いな?」

 

「分かりました。」

 

「ヘキサ、電報だぞ。」

 

「あ、ありがとうございます。」

 

紙を受け取り、内容に目を通す。内容は…“再び検査棟に出頭せよ”、か。

 

「急用が出来ました。俺の機体の事、お願いします。」

 

「おう、行ってこいや。」

 

おやっさんの声を背中で聞き、急いで検査棟へと向かう。

 

 

 

「…隊長、議会お疲れ様でした。」

「君のレポートのお陰で上層部の重い腰を上げる事が出来たよ。次があった場合、また頼む事になるかもしれないね。」

「ありがとうございます。で…何故隊長がここに?」

「私も個人的に知っておきたい事だからさ。」

 

医師が扉を開けて入ってくる。何やら多くの書類を抱えている。

 

「君の身体について色々と調べてみた。薬品の反応、遺伝子操作の痕跡、その他諸々ね。」

「…どうだったんですか?」

「結論から言えば、君はコーディネイターになろうとしたナチュラル…遺伝子操作をされたが失敗した、と言えば分かるかな?」

「…つまり、ヘキサはナチュラルと。」

「ええ。コーディネイターと言う区分ではあるんですが、失敗したが故に遺伝子情報が元と全く同じだと思われます。才能の面でも操作の影響が見受けられない、ならばほぼナチュラルと言う事でしょう?」

「…フフ、そうだな。」

「…俺が捨てられた理由も、なんとなくわかりました。猶更孤児院に恩返ししないと。」

 

しかし、心配な事が一つ残る。

 

「これ、公開したら非常にマズイ事になりません?」

「そうだな、赤服の一人がナチュラルなどと知れればそれこそクルーゼ隊の面子は無くなる…言いたい事は分かるかね?」

「元々、医者は秘密厳守です。」

「なら良い。君も何事もなかったかの様に過ごしたまえ。いいね?」

「はっ!」

「良い返事だ、私は先に戻っている。修理完了次第出航だ。」

 

その後、同時に行われた健康診断の結果も訊いてからヴェサリウスに戻った。結果は健康そのもの。特になし。

 

 

 

「よ、親父さんへの報告は上手くいったみたいだな。」

「あぁ…もっと戦闘が深まるかもしれない。」

「なるほどな…どうせ、連合にGを作られてプライドうんぬんからいつもの演説だろ?」

「…ハハッ、そうだな。」

 

休憩室に入ってコーヒーにこれでもかと砂糖を入れる。コーヒーをブラックで飲むやつの気がしれん、薬以上に飲めねぇぞあれ。

 

「…結局、あの白いのに乗ってたのは予想通りって訳か。」

「あぁ。足つきに乗ってるのは自分の友達だ、と言って投降しようとしなかった。」

「優しい奴なんだな、ソイツ。」

「そうだな。」

「…ま、とりあえず死なない様に祈っとけ。民間人ならそのままフェードアウトするだろ。友達の安全が確保されたんならこっち来てくれるさ。」

「そうだと良いけどな。」

「…なんだ、その道に進まないって感じの顔じゃねぇか。」

「…何となく、だ。もしこのままキラが戦い続ける時…俺とアイツで殺し合う事になるのか、って思ってしまってな。」

「その時はその時だ、今は最善を選んでおけよ。お前の行動一つでヴェサリウスが沈むかもしれないし、お前の行動でザフトが勝つのかもしれない。ま、お前の為になる選択をしろ。」

「…あぁ。」

 

と、その時だった。

 

『全クルー発進準備!スクランブル!繰り返す…』

「何だ、発進までまだ2時間あるぞ?」

「パイロットスーツを着ておこう。」

 

コーヒーを飲み干してから休憩室を飛び出すと、一人のクルーが向かって来ていた。

 

「アスラン、君にとって大きな話だ。あ、まだスーツは着なくていい。」

「おいおい、スクランブルなのにスーツ着なくて良いのかよ?一体なんだ?」

「よせよヘキサ。それで…」

「あぁ…君の婚約者の、ラクス・クラインが行方不明になった。」

 

アスランの顔が青くなっていくのが分かった。

 

「ヴェサリウスはこれより捜索任務にあたる。良いな?」

「了解です。」

 

アスランの代わりに敬礼を返し、アスランの状況をうかがう。

 

「大丈夫か?ほら、胃薬。」

「…あぁ、ありがとう。」

 

 

 

「俺の機体…何か追加されました?」

 

明らかに少しコックピットの形が変わった為におやっさんに訊く。

 

「あぁ、ハルコンネン用に作られた長距離索敵用センサーだ。んで、ハルコンネンの砲塔上部にはしっかりカメラがあるからそっちは狙撃用センサーって訳だな。つまり!もっと敵を認識しやすくなった!」

「いや、その前にこの上にある双眼鏡なんすか?」

「HMDだ。索敵センサーと狙撃センサーを使う時に使え。モニターじゃ映すのに限界があってな。」

 

まぁ、とどのつまりもっと精密な狙撃が出来る様になったって訳だ。

 

「ここに居たか。」

「なんすか?もう宙域についたんすか?」

「いや、もしもの場合にスクランブルの準備を隊長から伝言頼まれたんだが、その必要はなかったみたいだな。」

「戦闘で失われたんなら、周囲に連合の艦隊が居てもおかしくないですからね。」

「よしよし、他のより物分かりが良くて結構だ!」

「次からは電話一本で大丈夫ですよ?」

「目で確認しろと言われるんでな。」

 

再びジンHMASの方に目を向け、重量の増えたこの機体をどうするか悩むのであった。

 

 

 

「ジンHMAS、ヘキサ・ラプトリオ。出撃!」

 

今回の作戦は先行し、目標ポイントの偵察である。まぁ、センサー類のテストも兼ねているが何より今稼働する機体が俺の機体とイージス、そして隊長のシグー。一応補充人員のジンも居るが、修理していた俺の機体にのみ火が入れられていたという訳だ。すぐにそれらにも火は入るだろうが…

 

「…生体反応、なし。デブリ帯に向かいます。」

 

逐次報告を行いながら残骸を掻き分ける。

 

「…ありました、ザフトのブラックボックスです。」

『充分だ、壊さずに帰還したまえ。』

『…警戒、戦艦三隻をレーダーに確認!』

『やはり来たか…』

「慣性飛行での帰還を行います。」

『ヘキサ機、帰還シークエンスへ突入!ヘキサ機はバッテリー及び燃料補給後そのまま発進!』

「了解、水くらいは融通してくれよ?」

 

そんなことを言って着艦を行う。コックピットを開くと直ぐに水のボトルが出てきた。いや冗談だぞ…と苦笑いしながら受け取る。

 

「アスラン、ヘキサ。聞こえるかね?」

「はい。」

「聞こえてます。」

「補充人員だが… ザフトの大勝で終えた戦場しか経験していないずぶの素人だ。頼りにしているぞ。」

「ご期待に添える様、頑張ります。」

「っと、補給終わりました!出撃します!」

 

隊長との通信を切り、三隻の戦艦に意識を向ける。

 

「全機の出撃を確認!先制攻撃を仕掛けます!」

『ヘキサ、まずは護衛艦をやってくれ!』

「…ったく、自分の手柄しか考えない素人が。ま、陰に隠れてっからほっちからやるしかないがな。」

 

ハルコンネン改を起動し、エンジンに照準する。

 

「…このHMD良いな。」

 

両エンジン大破。狙いは過たず、改修された大砲の完成度の高さを窺わせる。

 

「…第二射開始っておい!射撃の邪魔だ!」

「うるせぇ!俺が手柄を」

 

そんな手柄を焦るから死ぬんだ。まずは生きて帰る事が優先なんだよ。いきなり旗艦に突撃するのは愚の骨頂と言える。

 

「レーダーに感有り!全機に警告、足付きを発見した。繰り返す、足付き及び発進した機影を発見!」

『了解、全機損傷した艦に攻撃を集中せよ!反撃の手を奪う!』

「こちらアスラン、もう一つの護衛艦を狙う。」

「了解、ジン隊は破損した艦に集中せよ!」

「ふむ、中々の手腕じゃないか。副隊長を譲っても良さそうだ。」

「ん…クルーゼ隊長!?何故前線に?」

「鷹と一戦交えたくてね。君も来ると良い。アスラン、君も艦の無力化後に来たまえ。話は聞いてあるのでね。」

「…了解。」

 

そう言うと、隊長は俺の前に出る。

 

「ヘキサ、データリンクは出来るかな?」

「了解です、今送ります!」

 

ハルコンネンを撃っていつまで経っても撃沈されない護衛艦にトドメを差し、データリンクを開始する。旗艦も撃ちたいが、今の状況では無理だろう。

 

「…畜生、ジンが全部やられてます!」

「狼狽えるな、あの様に無茶をするから死んだ。それだけの話だろう?」

「…戦力的に、マズイかと。」

「そう思うかね?…いや、ガモフは焦っているからかな?」

「先程から意味のない攻撃ばかり…チャフを予測した波状攻撃、主砲の使い方が出鱈目です。」

「なら、私たちで落とせば良い。その前に…!」

 

迫る鷹、そして白いやつ。一筋縄ではいかぬ奴らが来たのだ。個人回線にして隊長に話し掛ける。

 

「…どうしますか?隊長、鷹とやりたいのでは?」

「フ…良く分かるな。君は…ヴェサリウスの撤退の支援、艦をやりたまえ。」

「流石に3対1では厳しいですか。了解です。」

「アスランは白いのを頼むぞ。」

「了解。」

「アスラン、しっかりやれよ?」

「…あぁ、お前こそ頼むぞ。」

 

モニターにサムズアップしてから一気に合流した三隻の真上に飛んだ。

 

「ハルコンネン、発射!」

 

対空砲火を潜り、護衛艦の一隻に前方から直撃弾を与える。一直線に貫通し轟沈が確定するバイタルヒット。旗艦をやりたかったがやはり練度が高く弾幕が濃密。最後に隊長とアスランにも手伝って貰わないと無理だ。

 

「次は…お前らだ!!」

 

足付き。確かに完成度は高いが中身は新兵かと思う様な下手弾ばかり撃つ。シェーレを前に構え、突貫する。

 

「対空砲火…そうそう当たらん!」

 

当たったとしても盾用に改良した重斬刀、数発程度では凹みもしない。

 

「…ッ流石にレールガンは無理だな!」

 

こちらを向いたレールガンに反応して船の下に潜り込み、ハルコンネンを接射する。

 

「…ッ主砲が!?」

 

現在エンジンを狙う為に足付きの後方に居る。発射を止める術がもうない。故に、俺が出来る最善の行動は…

 

「ヴェサリウス!敵戦艦主砲発射3秒前!回避行動!!」

 

『ッ了解!』

 

ヴェサリウスへの連絡のみだ。後は直撃しない事を祈るだけ。

 

「…ッ向こうも立て直しやがったか。」

 

弾幕の薄い足付きの下部をカバーする様に敵旗艦が弾幕を張り始めた。互いに弾を撃ちあい、互いの周囲に弾幕を作る。

 

「…ヘキサ、撤退だ。」

 

「了解…!」

 

「ヴェサリウスの損傷は軽微、だが戦闘するには心もとない。我々の任務に戻るぞ。」

 

隊長からの指示を聞き、ヴェサリウスへと帰還する。もっとやりようはあったはず…俺が未熟故に失敗した様なものだ。俺を撃墜しようと撃って来たビームをシェーレで弾いてから、全てのバーニアを開放した。

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