C.E.に転生した男がとにかく生きようと奮闘する話   作:QAAM_M1911

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取り敢えず投稿です。4000文字程度で纏めるならここいらが丁度良かった。


歌姫の返還

「すみませんでした、もっと早く攻撃をしていれば…」

 

「いや、あの弾幕の中で護衛艦2隻撃破、更に足つきに有効弾を叩き込んだ。新兵としては非常によくやってくれている。まだ経験は足りないがね。」

 

「はっ、精進していきます。」

 

「それでだが…君のジンのスコープで足つきの偵察をして貰いたい。」

 

「了解です。もし動く様なら何を?」

 

「指示を待て。向こうが撃ったなら反撃しろ。」

 

「了解しました。」

 

そんなやりとりからもう三時間も経っている事に、俺は気付かなかった。

 

「おい、そろそろ休めよヘキサ。」

 

「…そうだな。お言葉に甘えさせてもらうよ。索敵と整備、頼んだぜ。」

 

そう言って、自室に戻った。相部屋の奴はもう居ない、そう思うと寂しいものだ。

 

「…休むのも戦いの内、か。」

 

俺は軽く睡眠を取る事にした。

 

 

疲れていたのか、思った以上に深く眠っていた様だ。

 

「今日の俺の目覚ましはレッドアラート。ったく騒々しい事で!」

 

「ヘキサ、スクランブルだ!」

 

「了解!」

 

パイロットスーツを着ながらHMASのコックピットへと滑り込んだ所で、無線が鳴り響く。しかし、その声はオペレーターのものではない。

 

『こちら地球連合軍、アークエンジェル所属のモビルスーツ、ストライク!』

 

「何だこれは?」

 

『僕たちは今、プラント最高評議会議長、シーゲル・クラインの娘であるラクス・クラインを保護しています!』

 

無線傍受能力も(おやっさんの趣味で)強化されているこちらの無線では、ストライクのパイロットが誰か…女性と話をしているのが聞こえる。信用しても良さそうな気はする。

 

『僕は彼女の保護を貴艦へ要請します!応じる場合はナスカ級は艦を停止して下さい!それと…イージスのパイロットが受け取りに来ることが条件です!』

 

「…キラ、か?」

 

「へぇ、なるほど。隊長、応じましょう。」

 

「理由を聞かせてもらえるかな?」

 

「一応追って見せてはいますがこのヴェサリウス、損傷であれとやり合うにはちと厳しい。向こうも増援が来る前に俺たちとのケリをつけたい。そもそも…俺たちの任務はクライン嬢の捜索及び救出。達成しない訳にはいかないでしょう。」

 

「…隊長、俺からもお願いします。行かせてください。」

 

「ふむ…いいだろう。許可する。目標の身柄と安全は保証してくれるのだ。もし約束を違えれば…ヘキサ、あの弾頭の使用を許可する。」

 

「了解です。しかし一発だけか…ま、撃たないで済むとは思うがな。」

 

そう答え、ハルコンネンにとある弾頭を装填する。通常の弾頭が貫通弾だとしたら、この弾頭は…巡航型拡散弾。しかも、その爆発範囲はとてつもなく広く、戦艦2隻なら余裕で包み込める程の大爆発だ。

 

「MPBM…しかし、どれだけの破壊力を持つのか…」

 

ライフルグレネードの様にMPBMを取り付けながら、デッキ上でアスランの出撃を見送る。

 

「報告、足付き及びストライクに不穏な動きはなし。」

 

「了解した。アスラン、そちらの状況は?」

 

「ラクス・クラインを確認、負傷も無さそうです。」

 

「よし。保護した後、帰還せよ。ヘキサ、最後まで気は抜かない様に。」

 

「了解。」

 

そのままハルコンネンを構え続け、アスランの帰還を待つ。

 

「隊長、帰還します。」

 

しばらくしてから、イージスがこちらに進路を向ける。最後まで気は抜かない。ストライクは良いにしろ、背後の戦艦が撃ってくるかもしれないからだ。

 

「よし、任務完了か。隊長、警戒を続けますか?」

 

「我々は一度最寄りの基地に補給、そして任務対象の引き渡しを行う。

戻れ。」

 

「了解です。」

 

 

 

「君はラクス・クラインに会わずとも良いのかね?」

 

「俺は苦手なんすよ、アイドルっつーものが。確かに士気を上げるにはうってつけってのは分かってますよ、でも個人的に受け付けないんですよね。」

 

「何故かな?」

 

「気持ちが沈んでる時にアイドルに没頭しても、結局俺の方向は向いてないって事ですよ。皆に当たり障りの無い中身のない事しか言わないんです。」

 

「フ…なるほど。」

 

操縦桿を握りながら唯一残っている隊長の質問に答える。全く、軍人なんだから順番くらい守ってあのアイドルに会いに行けよ。

 

「君はナチュラルに恨みはあるのかね?」

 

「ある訳ないでしょう?結局、戦争ってもんに条約はないんですよ。確かにプラントに核を撃ったのは酷い事です、けどこっちだってニュートロンジャマーを地球に投下した。非人道的なのは両方一緒ですよ。」

 

「人は滅ぶべくして滅ぶ、違うかな?」

 

「ええ、しかも絶滅の理由は同士討ちと言う酷く滑稽なものですよ。そりゃ人類に絶望もしますよね。」

 

「…君は随分と人の考えている事を読むのが上手い。」

 

「俺だってそんな思考になった事ありますしね。隊長だって俺と似たような、いやもっと酷い生まれなのでしょう?踏み込む勇気も理由もありませんが。」

 

「…フ、君は引き際が分かっているな。」

 

「人にはそう簡単に踏み入られたくない事はあるもんでしょう?俺にだっていくつもある事です、クルーゼ隊長なら尚更多い事でしょう?そこまで俺はナンセンスではありませんよ。推測した事を言葉にする事はありますけど。」

 

前方のデブリを避ける為少し回頭させたが、そのまま話を続ける。

 

「…まぁ、何にせよ俺はナチュラルもコーディネイターも関係ない世界がいいと思ってますよ。でも、人類が宇宙に出るにはナチュラルでは厳しいものがある。どうしてもコーディネイターが必要なんです。複雑なものですよね、世界…人類ってものは。」

 

「…フ、いい考えだ。もっと色々聞いてみたいものだが、時間切れの様だな。総員、直ちに戻れ。そろそろ寄港する!」

 

 

 

「アスラン、良かったな。歌姫さまにも、親友にも会えてな。」

 

「あぁ、だが…アイツはこのままストライクに乗り続ける気みたいだ。」

 

補給と修理を手早く終わらせたヴェサリウスは、既にローラシア級と合流して地球に降りんとする足付きを捕捉していた。

 

「しっかし…イザークがやられてたとはなぁ。寄港した途中で3人の乗ってた艦が足付きに攻撃、大敗北ねぇ。ディアッカ、イザークの調子は?」

 

「頭に包帯グルグルだよ。まさかあぁまでやられるとはねぇ。お前たちが居りゃ、何とかなってたのかもしれないけどな。」

 

「あのストライクのパイロット…どんどん強くなっている気がするんです。」

 

「どんどん成長して、しかも一騎当千って訳か。どうにか隊長の手を煩わせたくないもんだがなぁ。もうアスランの説得も通じねぇ。」

 

「…マジなのか?」

 

「あぁ…昔、同じコロニーに住んでた。」

 

「戦いたくねぇよなぁ、そりゃ。」

 

そんな話をしていた。だが、緊急召集がされてしまった。

 

「…とりあえず、先に言っとくぜ。全員ラスティのところには行かねぇ様にな。」

 

「そりゃ隊長のアスランが言う事だろ?ま、確かにその通りだけどな。」

 

「…あぁ、全員生きて帰ろう。」

 

「特にニコル、お前だぞ。訓練生時代の約束覚えてんだろうな?」

 

「勿論ですよ。僕のピアノを孤児院の子どもたちに聞かせようって話でしょう?」

 

「そうだ、お前は自分をちょいと蔑ろにし過ぎる癖あんぞ。」

 

「そうか?俺はそうは見えないけどな。」

 

「どちらにせよ、みんな生きて帰ろう。重力の井戸に引っ張られねぇ様にな。」

 

 

 

「ヘキサ、今日は前線に出て貰うが良いかな?」

 

「いい加減、ハルコンネンばっかの機体だとは思われたくないっすよ。是非やりましょう。」

 

そう返事をし、3人が飛び立つのが見える。ジンが出撃し、やはり俺は最後だ。

 

「…おやっさん、聞こえます?」

 

「何だ?」

 

「デュエルですが、一応火を入れといて下さい。」

 

「んだと?」

 

「プライドの高いイザークの事だ、無理を押してでも出撃するでしょうしね。」

 

「そうしたら隊長には何と言えば」

 

「アサルトシュラウドの試運転とでも言えば良いです。もしくはイザークに脅されたとでも。」

 

「ったく今度奢れよ?」

 

「酒は飲めないんで食いもんでどうです?」

 

「それで良い、生きて帰れよ!」

 

カタパルトが動き出し、宇宙空間へと機体が投げ出された。

 

「全機傾注せよ。これより自機よりデータリンクを開始する。回線開け!」

 

「ジン隊、突っ込むぞ!」

 

「待て、ディアッカとヘキサの射撃後に突撃だ。あそこのメビウスの群れが見えないのか?」

 

「死にたくなきゃ、俺の射撃を見るんだな!」

 

「ディアッカ、俺の射撃後に撃ってくれ。MPBMで艦一機やっちまおう。迎撃するメビウスを摘んでくれ。」

 

「あいよ!」

 

ディアッカのバスターが長距離砲を構え、俺はハルコンネンをぶっ放す。

 

「ディアッカ、撃て!」

 

「全機、突撃する!」

 

MPBMの弾速が遅いと言っても、それはライフルに比べての事。普通に通常ミサイル以上の速度は出る。

 

「っし!効果確認!」

 

「俺はメビウス3機でお前は戦艦大破、メビウス5機ねぇ…」

 

「ディアッカの腕なら普通に抜かせられるだろう?遅れたが、俺らも行くとしよう!」

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